夏園豪華 (なつぞの ごうか)
作風概説
非常に古い少女漫画の雰囲気、同時に極端な少年マンガの迫力などもある、ラフで、極端に濃く、熱く油脂分が多い作風。
男女の違いがかなり極端。唇がとても厚く、女の身体の線の柔らかさ、男の筋肉と骨の両方をぎっちり描く。
男は少し古い大人女性コミックのような、白人の彫りの深さを目いっぱい強調したような激しさ。男の筋肉の描写にものすごい情熱があり、日本人離れしたギリシャ彫刻のような激しさ。
女はバタークリームをどっぷり塗ったような濃さ、ある種の人形のようなシャープな線。かなりの巨乳を描くことも。
奇妙な泥臭さ、強くすらっと流した線、大胆な構図とデザイン。男女が抱き合うシーンを、全身を描くのを多用する。
冒頭のヒロインの印象が、美しくも可愛らしくもないが何とも言えず魅力がある、というのが大胆とも言える。
背景はシーツ・石階段など強い質感がある。ちびキャラやマスコットもある。
唇の表現がとても豊か。男の裸できわめて高い能力もある。
男女とも体に結構こだわり、裸がものすごく多い。
ストーリーは、デビュー作は意外にもまっとう、デビュー後第一作はぶつ切りシーン集のよう。
最新作は家庭の深刻な問題にも切り込む。
とにかく大胆。
代表作
2019「メリー・レッド・クリスマス」
同級生でバイト仲間、ついでにモテ男の大山くんにいつも引っ張られているあゆみちゃん。
その二人がある日事故キスをしてしまう。さらに真冬なのに上半身裸になってまで上着を貸してくれた彼が風邪をひいて…
2020「僕らのマリン・ハウス」
羽賀茉潤ちゃんは逃走中。でかいリュックを背負って走っている。
その最中見てしまった、サーフィン…無論半裸…の男。五号室の…そのサーファーの良夜くんに怒鳴られた。
彼女はマリンハウスの管理人だったが逃げようとしていた。父親に連れられて高校の寮の管理人にされたのだが、四人の男子を世話するなんて…
2021「恋のイチゲキ」
空手道場に通う椿生(つばき)くんと舞彩(まいさ)ちゃんは、稽古が終わってからも秘密の稽古をしている。
昔は弱かった、家庭内暴力で傷ついていた時に彼が道場に誘ってくれて、それ以来「戦友」の仲。
最近、彼にアプローチしてくる可愛い女の子もいて…
単に舞彩ちゃんが、むかし「つきあってくれ」を練習相手と勘違いして以来こじれているだけだが。
2021〜22「かみつかないで、キスしてよ」単行本全8巻。
「十年まえの夏ペットみたいな幼なじみがいた」。子犬のような男の子。結婚してあげる、とも言ってしまっている。
それから十年。家に帰て部屋に入ると、突然男に抱きしめられる…さらになめるわ甘噛みするわ、とんでもない…
それに今は好きな人が他にいるのに。
2022〜「ひとりじめしたい恋なんだ」
父が借金を抱え、家族が変わってしまい、母の笑顔を取り戻すため頑張ってきたあゆみちゃん。
愛より金と悟り、高校で気持ちを切り替える、と陸上部に入ろうとしたら、着替え中の男子の部室…
今までの実績、現在の地位
厳しい中何度も本誌に登場、奇跡のレギュラー定着。
個人的な感じ、思い出
かなり意外性のある作風に驚いた。とにかくすさまじい熱さは衝撃的なほど。
やっと本誌連載が始まったことには心底ほっとした。持ち味はそのままのようで、そのまま暴走してほしい。