岡村香穂(おかむら かほ)

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作風概説

 絵がとてもかわいらしく、優しい。
 着慣れた体操服のような肌触りのよさとどこか懐かしい香りを感じるタッチ。恥ずかしがる表情がとても魅力的。キャラクターの一生懸命さをうまく伝える。

 非常に誠実な作り方で、思春期の女の子の不安定さをよく理解している。

 地味に見えるが背景などの描写は非常に緻密。下着姿の実在感のある緻密さには驚かされた。
 独特の猫が可愛い。


代表作

2000「ムーン・マジック」
 魔女の孫娘、はづきちゃんは今おばあちゃんの猫、ターニャを師匠に特訓中。学校ではおまじないに利用しているが、大好きな和史くんは科学者志望で非科学的なものを信じていない。
 だから魔法ももうやめる、と決意するはづきだけど、そしたらターニャが勝手に和史くんがはづきちゃんを好きになる魔法をかけてしまった!なんとかターニャを捕まえないと、と夜の学校に行ってみると、和史くんも残っていていっしょに追いかけっこを…夢いっぱいの楽しい世界。子供の心の中の、一番美しい部分をわくわくさせるほど素直に見せてくれた。とても後味のいい作品。

2000「学校へいこう」
 遅刻魔の真名ちゃんは、風紀委員長の長野くんに夢中。だから最高笑顔で挨拶しよう、とすればするほど遅刻してしまい、怒られることになる。
 Wデートをするなど仲良くなってきた時、嫌味を言われて一週間遅刻しないと言ってしまい、頑張ったけど最終日…色々な表情に胸がきゅんとした。

2001「ラブリーアップ!」
 ちょっとわんぱくな千春ちゃんがある朝、猫を助けようとして落ちて素敵なお兄さんに助けてもらい、乱れた髪を整えてもらった。
 好評だったので翌朝も可愛くなろうとする千春だが、うまくいかなくて昨日のお兄さんで美容師のたまご、穂積純くん(ちなみに穂積は二十歳、千春は中二)に髪を整えてもらい、彼に恋「ラブリーアップ!」千春するようになって大人っぽくなりたいと服を選んでもらったりメイクを教えてもらったりする。でもある日服選びデートに出かけて、厚底ブーツが足に合わなかったり彼が美人と話したりするのが不安で…どんどん可愛くきれいになる千春ちゃんがとても魅力的だった。

2001「まじかるvラボ」
 近所の高校生発明家、高史くんのところに入り浸っている真奈美ちゃん。
 ある日、運命の赤い糸が見えるメガネを高史くんが発明、それを持ち出してみると不似合いなカップルが結ばれていたりお似合いの二人が結ばれていなかったりする。高史くんが次に作った赤い糸用のり&ハサミを持ち出して、勝手に糸をつけなおすけど…はらはらする高史くんの気持ちがよくわかる。

2003「ブラちっくラブ」
 みんなが可愛いブラジャーをつけているのがうらやましい、ぺったんこの沙奈ちゃん。
 可愛いブラが欲しいと出かけるが、店に入るのも恥ずかしい。ナイスバディの店員が助け、いろいろ教えてくれるけれどブラを選んでいるところを好きな智弘くんに見られてしまう。彼の家に関係する店だったのだ。
 パニックして逃げ、翌日彼は「忘れ物」を届けてくれたけれどまたパニック、告白してくれたのにもうパンク…そこを例の店員さんが助けてくれる。
 思春期の不安定さを丁寧に描き、誠実に優しく助けてくれる極上の作品。


今までの実績、現在の地位

 投稿歴が非常に長い努力家。
 増刊の登場頻度も高く、2001年「ザ・ネクスト」にも参加した。


個人的な感じ、思い出

 このかわいらしい世界はとても好み。もっと幅広い作品でいろいろと頑張ってほしい。
 メルヘンチックな作品も見てみたいし、本格的なラブストーリーや青春群像も期待できそう。

 特に「ラブリーアップ!」が面白かった。この二人がくっついたら犯罪になるので心配だが、穂積さんも分別はあるだろうし初恋にするだろう、と思うのも楽しい。

「ブラちっくラブ」も難しいテーマを誠実に描き、感銘を受けた。