なかよしアニメ小史

このコラムは流れを重視するものです。それぞれのアニメの制作会社、スタッフなどについては各自検索してください。

「なかよし」は「ちゃお」「りぼん」に比べ、作品のアニメ化を好む傾向が強いです。
 ただしその方針は「きんぎょ注意報!(猫部ねこ)」とそれに続く「美少女戦士セーラームーン(武内直子)」シリーズの大ヒットに続くものです。
 それ以前は「キャンディvキャンディ(1976〜79、いがらしゆみこ、原作:水木杏子)」や「おはよう!スパンク(1981〜82、たかなしvしずえ、原作:雪室俊一)」などが有名でしたが、それ以降十年近く大きなアニメ作品は見られない状態が続いていました。残念ながらあさぎり夕、松本洋子などの傑作はアニメとは無縁だったようです。

「きん注」「セラムン」の大ヒットから、作品をアニメ化する事の効果を知ったのか「なかよし」はアニメに力を入れるようになります。「ミラクル☆ガールズ(秋元奈美)」、「怪盗セイント・テール(立川恵)」など本誌のヒット作をアニメ化することもありましたが、90年代にむしろ目立ったのは「(超)くせになりそうv(なかの弥生、原作:芳村杏)」や「あずきちゃん(木村千歌、原作:秋元康)」など NHK枠の少女向けに外部のマンガ家を使った作品です。
 また、アニメを作るために呼んだと言っていい外部作家として、CLAMPとことぶきつかさが象徴的な役割を果たしています。その特徴はオタク、すなわち「なかよし」の本来の読者層である小学生女子ではなく、十代後半から三十代までの男性を主なターゲットにしていることです。ただし、「カードキャプターさくら(CLAMP)」は男性のみならず少女にもかなりの支持を得ることができました。

 そして九十年代後半、外部の原作で得た重要な枠に日曜朝があります。「夢のクレヨン王国(片岡みちる、原作:福永令三)」から「おジャ魔女どれみ(たかなしvしずえ、原作:東堂いづみ)」シリーズ、そして来年からの「明日のナージャ(あゆみゆい、原作:東堂いづみ)」に続きました。こちらは「なかよし」生え抜きの作家によってコミック版を本誌に連載してきたこと、幼児向けの性向が強いことが特徴です。

 また90年代後半から、「ム〜ぽん(かなしろにゃんこ)」「ふぉうちゅんドッグす(真伊藤、原作:友野拳太)」「よばれてとびでて!アクビちゃん(上北ふたご)」など外部とのタイアップでショートアニメを作ることが多く見られるようになりました。
 ただし、ギャグマンガのアニメ化は「きん注」以来わずかにローカルで「わんころべえ(あべゆりこ)」がある程度です。

 90年代の中盤から、連載作品の多くがアニメ化を狙うようなファンタジーになりましたが「セラムン」以外大きなヒットはないようです。本誌で一時代を築いた「だぁ!だぁ!だぁ!(川村美香)」は上述の NHK枠でした。

 そのためかオリジナル作品をアニメ化する力がなくなっているようで、外部原作の事実上コミカライズが多いです。
 特に力を入れたのが「満月をさがして(種村有菜)」「ミルモでポン!(篠塚ひろむ)」と競作の形をなしている「東京ミュウミュウ(征海未亜、原作:吉田玲子)」です。結局勝ったのが、一応生え抜き作家のオリジナル作品で最も少女漫画らしい「ミルモ」だったのは妥当というか皮肉というか。
 その次は「ぴちぴちピッチ(花森ぴんく、原作:横手美智子)」ですが、筆者は正統派オリジナルのヒット作をアニメ化し、それが成功すれば一番いいと思っています。

 現在は「ふたりはプリキュア」のコミカライズ(上北ふたご)がショートから昇格し、本誌連載の一角に食い入っています。
 しかし「りぼん」もそうですが、「生え抜き作家で原作なし、作家オリジナル」のアニメ化はもう難しい時代のようですね。00年代の「ちゃお」「なかよし」「りぼん」全体で見ても「ミルモ」のヒットがほとんど唯一です。

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