有沢遼(ありさわ りょう)

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公式ホームページあり、リンク


作風概説

 絵は絹糸のように繊細。淡く上品でなよやかな感じで、特に髪の毛の細さと軽さがどきっとする。非常に線の細い男子は生っちょろい印象があるが美形度は注目。反面小学生くらいの元気な子供がとても魅力的、という面も。激しい動作は少ないがスポーツなどの描写もきちんとしている。

 心理描写も細やかで読み切りが非常にうまい。
 ギャグは比較的少ないが、特に「上手な夢のかなえかた」で龍一を窓を破って空の彼方に殴り飛ばす繰り返しやおまけマンガ講座でのアリー(作者)と里瀬ちゃんの漫才がとても面白かった。独特の自画像キャラも確立している。


代表作

1991「花園のヒ・ミ・ツ」単行本全一巻。
花屋の四姉妹の末っ子、香澄の誕生日にママがパパが遺した店を守るため、一番結婚が遅くなった子に婿をとって店を継がせる、と宣言!早速男探しをするけど、姉妹がからむ多角関係に。おしゃれでかわいい名作。

1995〜96「上手な夢のかなえかた」「るんるん」連載、単行本全二巻。
小学5年でマンガ家デビュー、うかれまくる里瀬ちゃんだけど、夢はかなってからが本番!アドバイザーの人気作家さとこさん、担当の新木さん、クラスメートで喧嘩友達時々押し掛けアシスタントの龍一を始め多くの人に支えられ、時に無様に、時にひたむきに、時に調子に乗って、情熱のままに歩きつづける。マンガ講座としても良質。

1995「ホンキで恋愛」
捨てられて悲しい卒業式を迎えた倉橋美波がふと気になった男の子が恋愛ごっこを提案してきて、楽しいけれどやっぱり軽いヤツ!でも彼を好きな娘に責められたりしてだんだんと切なさが募り、遊びであることに耐えられなくなる。そして対にキスされそうになって・・・切ない思いの移り変わりを優しく描いている。

1996「夏色のグラデーション」
極度のブラコン、七緒は友達と兄にペンション招待とだまされて、住み込みで働く事に。そこの同僚、潮見くんはむかつく奴だけど、お兄ちゃんと同じく夢を追っている。仕事が忙しくてお兄ちゃんを恋しがる余裕もなかったけど、もうすぐ旅行(バイト)も終わりという時、いきなり大きなミスをして・・・自立を描いた佳作。

1998〜2006「恋愛向上委員会ジューシーフルーツ」単行本全五巻。
大人っぽくて彼氏ありのユカ、どうしても好きな男子に友達扱いされてしまうが最近年下の幼なじみとくっついたミカ、少しぽわっとしていて男の子が苦手なリカの三人組、恋愛向上委員会が「なかよし」本誌アンケートの恋の相談!
 普段は数ページ読者アンケートを紹介するだけ(初期はややページ数が多く、アンケートを再構成したマンガもあった)だが、増刊で定期的にユカ、ミカ、リカの恋なども描いている。
 恋だけでなく友情などを含め、今時の女の子のリアルがたっぷり。

2007「ドルフィンブルー フジ、もういちど宙へ」同名映画のコミカライズ、単行本書き下ろし。
 沖縄の水族館に就職した獣医の植村一也は、飼育員と同じ仕事ばかりなのに失望していたがイルカたちに励まされ、徐々に職場にもなじんできた。
 そんな時、イルカのフジの尾びれに壊死が蔓延する死亡率の高い難病が発生。患部切除で一命は取り留めるが、泳げないことで絶望したフジはほとんど動かなくなってしまった。
 企業の協賛を得て人工の尾びれを、義足のようにつけるがそれはそれで苦労も多く、またどちらがフジ自身にとっていいのかもわからない…
 男性メインだが、非常に丁寧に心理も描かれさわやかな自然描写、イルカの質感と動きの迫力もすばらしい。


今までの実績、現在の地位

 新井葉月と同じく非常に若いデビュー。本誌連載経験があり、「るんるん」では連載レギュラー格だった。またアシストの天才で数々の名作を影で支えてきた功労者でもある。
 読みきりの名手でもあり、増刊では傑作を次々と発表している。

 長らくアンケートをベースにしたショートコミックを連載していた。

 昔「なかよし」ボードゲームのイラストも担当。

 しばらく登場機会が少なかったが、近年映画のコミカライズをしたり「プチプリンセス」に登場したりハーレクインからコミックスを出したりあちこちで活躍している。


個人的な感じ、思い出

「なかよし」を読み始めた頃連載をしており、その淡い雰囲気は気に入っていた 。
特に「上手な夢のかなえかた」は好きな作品で、ギャグやキャラクターのバランス、報われない想いに生きる龍一などとても楽しかった。
「なかよし」の現在の新人育成方針を思うと、連載をしたがってすねた里瀬ちゃんに新木さんがさとこさんの初期作を見せ「彼女もはじめから連載がかけたわけじゃない。絵も話もいろんな物をかいてすこしずつ力をつけて」と言ったのが虚しく感じられるのが個人的に残念。

 実力はあるので、ちゃんとした連載を含めてもっといろいろな形で活躍していいと思っている。できれば「上手な夢のかなえかた」の続編、より高い年齢層を狙った話などが出て欲しいが…名作の多い短編の文庫化も待望している。

「恋愛向上委員会ジューシーフルーツ」が終わってから出番がなく心配していたが、コミカライズとはいえ再登場にほっとした。
「プチプリンセス」登場にはびっくりしたが、安心できる作風にほっとしている。