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作風概説
アンティークのような匂いがする絵。独特の、繊細な銀細工のような美しさがある。
ストーリーはどこを切っても少女マンガの匂いが強く、お姫さまと王子様の感覚を好むが女の子の成長をしっかり描く。舞台創りが華麗で男の子のカッコよさがいい。
なんとなく台詞回しに気恥ずかしくなるような感じがある。
ホラーでも高い力があり、人間の心理をかなり深く描く。ストーリーも単純だが非常にわかりやすく、感動できる。
代表作
「レディ!!」(ひとみコミックス全十二巻、秋田文庫全六巻予定。アニメ化(ハロー!レディリン)もされた名作)など他誌でも多数。
「なかよし」系では
1992〜93「タイムプリンセス」単行本全一巻。
中学生になった時野未来ちゃんはなかなか友達ができない。小学校の頃からの親友、隣のクラスのケーコちゃんのところに行ったらあまり来てもらったら困るといわれてショック、絶交と叫んでしまう。ケーコちゃんの大切な楽譜を拾うが、それも返す気になれない。
そんな時、占い師に七色のオーラが出ている、君ならこの開かない宝石箱の主、時のプリンセスになれるかもしれないと箱を渡される。その箱は本当に開かないが、父を手伝って香水を作っている元クラスメートの一樹くんがくれた試作品をつけると箱が空き、美形お兄さんの「時の聖霊」が現れて神代ギリシャからクレオパトラ時代のエジプト、フランス革命時代に平安貴族まで様々な自分の前世と出会う(その体にのりうつらせ、体験させる)旅に。一応なんでも一つ持っていけるし、ピンチになれば時間を止めることができるけど、歴史の流れは変えられない。
外見を気にする未来ちゃんにクレオパトラの教養と気高さを見せて内面の大切さに目覚めさせるなど未来ちゃんが成長する過程を丁寧に描き、環境問題や母親の心、男らしさと女らしさなど深いテーマにも触れて少女の成長を丁寧にリードしている傑作。
1993〜95「屋根裏部屋へようこそ」単行本全一巻。
屋根裏部屋で古いおばあちゃんのタロットカードをみつけ、十年前に事故死した親類のマリィちゃんと出会った愛ちゃん。そのカードは白紙だが、マリィちゃんと占いをすると絵柄が浮き出てくる。
大アルカナ一つ一つを解説した(隠秘世界への旅、カバラとの対応など高度な理論はないが)良質の入門書でもある。
1996「あいつになった日」
りさちゃんが片思いの山口先輩の朝練を見るため幼なじみのたくやに連れていってもらう、その道すがら二人で階段から落ちて…気恥ずかしい感じ全開の男女人格交換コメディ。
1996「猫使い」
ともこちゃんは十四歳の誕生日を迎えた。秀才の和美、歌がきれいな香、そして憧れの神谷くんも。描いている絵も応援してくれるし、幸せな誕生日…そこで聞こえた「おひとよしね
同情されてるだけなのに」という言葉、見つけた黒猫。
でもその絵は落選、自分も入院する。しかも神谷くんの隣に、陸上大会で入賞した山中さんが!ショックの彼女に猫が語りかけてくる。魂と引き換えに、山中さんのように速く走り、和美のような秀才になって香のように歌いたいという内心の願いをかなえると……
退院した彼女は風のように走るが、同時に山中さんが倒れた。そしてきれいに歌える代わりに香は声を失い、テストがすらすらできた代わり和美も…山中さんは神谷くんの従姉妹であり、そして神谷くんは絵よりもともこちゃんの性格を見ていてくれた。
誘惑とそれに負けない魂の美しさ、幸福の意味を深く描いた傑作。
今までの実績、現在の地位
「レディ!!」を始め過去にも多くの傑作を描いている。
「なかよし」系で活躍したのは92〜96年頃だが、「るんるん」のレギュラーでもあったしホラーでも活躍した。
現在はホラーやハーレクインなどあちこちで活躍している。
個人的な感じ、思い出
「タイムプリンセス」では…スキャナーを持っていってもうすぐ燃えてしまう大図書館を少しでもコピーしてきてくれ、無数の失われた本が人類の手元に帰れば歴史から神学までどれだけの助けになるか…ちょっと待って、天然痘を持ち帰ってないよね、などと考えてしまった。
今読み返すととてもいい作品が多いことに驚く。特に小さい子はこういう作品に出会っておくべきだろう。