船山美帆 (ふなやま みほ)
作風概説
第一印象は魂を感じない、やや厚くかすかにゆがみのある鉛ガラスを見通したような感じ。
枠外などを黒く塗り潰すことが多く、それが非常に強い印象を与える。鼻がほとんどなく、目もほとんど黒く塗りつぶしている。
他にも空間操作が非常にうまく、それがやや弱い表情を補って独特の世界を作っている。
単純なギャグキャラなども鮮やか。
冷たい印象があり、負の感情をかすかに浮かび上がらせるのがうまい。ただし描くテーマ自体はとてもまっすぐで深い。
代表作
2006「通学バスのふたり」
いつも同じ通学バス、左側前から二番目の席の彼。英語だけ得意な大山いろはちゃんも右側前から二番目の席。
彼女はひたすら窓を通して、彼は左斜め前に視線を固定して…
ある日、生徒手帳を落とした彼の名前を知ることはできて告白しようと思ったけれど、受験生でもあるしいざとなると…
夢も男の側の心理も的確に使い、実に狭い舞台を無限に活かしたすばらしいデビュー作。
2007「カノジョの存在」
彩美ちゃんがピアスをあけたのは、幼馴染の真人に彼女(さなえ)ができたのがきっかけ。その彼女に「ムカつく」と言ったのを非難されて、どうしようもなくピアスをしてしまった。
それから嫌な言葉を言うたびに、ピアスの穴が痛む。さなえちゃんは会うたびに強く嫉妬してくるし、すぐムカつくと言っては怒られ、ますます痛くなる。
彼女を優しく見守る大人のキャラクターが非常に魅力的な佳作。
今までの実績、現在の地位
デビューからしばらく出ていなかった。
個人的な感じ、思い出
とにかくうまい、という印象。
この力でどんなテーマを料理してくれるかが楽しみ。
これからの可能性がすごいだろう。