藤森幹(ふじもり みき)
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作風概説
ホラーが得意でオカルトに関する直感的な理解が深い。
絵も重厚で非常に細かく、黒真珠の輝きと細やかさ、綾絹の華麗さと柔らかさを併せ持っているようなずば抜けた美しさ。逆にそれをホラーに使うと、優れた特撮のようにリアルな怪物を描いて凄まじい恐怖を与える。蜂蜜のように甘い色香のある目元は吸い込まれるような魅力にあふれる。
自然描写がうまく、動物の絵は写真と見まごう細やかさと現実感。
正統派や少々妖しいラブストーリーもこなせる。
恋心を覚えているのに言葉にできない微妙な時期を表現するのが上手い。
代表作
97「TAN!TAN!たぬき」
夏姫ちゃんは満月に重なった林間学校に行けるか不安。なぜなら満月を見ると変身してしまうタヌキ娘だから!
両親が新婚時代、タヌキを救った時にかけられた魔法による・・・普通呪いだが、大して気にせず普通に生活している。
仲が悪い静流が林間学校ではぐれ、捜索のために変身し、発見したけど彼女は動物アレルギーで近づけない。のどかな感じで、話に重い要素が混じる割にとてもお気楽な展開に終始した軽妙な作品。タヌキの写実的で躍動感のある絵と自然描写が見事。
98「サマーナイトメア」
海で遭難した葉月と清香は奇跡的に救助されたが、その船には怪しい研究者がいっぱい。
そして救助に関する連絡はされず捜索は打ち切られ、突然魔の実験が始まる。清香がクモと共にガスを浴び、次の瞬間全身が変化して巨大なクモの化物に変貌した!
倫理を失って暴走した科学の恐ろしさ、しかもその、人間が生存していくためにより高い存在になるという道徳的には否定できても論理的に否定しきれない理念、悪夢の終わり方など胸が悪くなるようなショッキングなホラー。ただ、変貌しつつも心を失わなかった清香の痛々しい自己犠牲が心に残る。
98「殺人予告は天使あて」
学園のマドンナ、まどかは後輩の唯ちゃんと学園を騒がす事件のトリックを暴いている。悪い噂がある人物に脅迫があり、そしてなにかイタズラ程度の被害が起きる、勧善懲悪的な意味もある事件だが、実は犯人はより注目を集めたいまどかの狂言。
そんなまどかの小悪魔な面を知るのは幼なじみの敦士のみ。でも狂言であることが敦士にばれて咎められた直後、まどかにも身に覚えの無い怪文FAX、今度は命に関わるような事故が!
そして、まどかのところにクリスマスミサでの死を予告する怪文FAX。あまりにも愚かしく、哀しい人間の悲劇をつづった作品。
99「朽ちゆく闇」
引っ越した夕子ちゃんの誘いで栞と司のカップルはキャンプにやってきた。相客にいやな大人がおり、彼らの煙草を注意した逆恨みで罠にはめられ、三人で呪われた洞窟へ。だが、はめたほうが次々予言通りに悲惨な死を、そしてより恐ろしい最後。
今までの実績、現在の地位
本来美しい絵を武器にラブストーリーもできるが、ホラー専門だった。ホラーができるメンバーが限られている以上仕方無いが。
「なかよし」からホラーが事実上消えたためあまり登場できていない。
今は他誌で活躍しているらしいが、詳細は不明。
「サマーナイトメア」がネット上でかなり話題になっている。
個人的な感じ、思い出
初めからその直感的な深さのあるオカルト描写と歴史的な視点、独特の写実性の高さに衝撃さえ覚えた。その世界構成の確かさと緻密さ、独特の、非常に原初的な神道の感覚的表現などはとても高く評価している。
また「殺人予告は天使あて」の唯ちゃんにはその人間らしい弱さに恋愛感情さえ感じるほど感情移入した。
ラブストーリーでも活躍してほしいし、アクション性の高いホラーや本格派のミステリーなど、いろいろと期待している。