花森ぴんく(はなもり ぴんく)
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作風概説
甘みの強い、決まれば恐ろしいまでに美しい絵。思い切った崩し絵、デフォルメされて可愛らしさと怖さを両立したモンスターデザインは確立している。
かなり女の子の体の曲線を強調しているし、男の子女の子両方の裸や半裸を活用する。とにかく何でもかんでも女の子が変身し、しかも巫女装束やウェディングドレスなど本来露出度が低い服でも強引に(例:動きにくいと袴を脱いで)露出度を上げる。それが妙な可愛らしさがある。
話も甘くワンパターンで極端な巻き込まれ型変身ものばかりだがテンポがよく、読みやすい。
色気の強調が激しくキスシーンが大胆。エッチになるかと期待させておいて外すギャグを多用する。
アクションもあるがそれほど細部が正確とは言えない。ただし可愛らしさと迫力はかなりのもの。
実は男の子(湘南海岸にいるようなチャラチャラしたのが多いが日焼けはあまりない)も相当かっこいい。
代表作
2001「ミス・ダイエッター・ヒロイン
」
お菓子が大好きで家庭科部に通いつめる加糖実留久ちゃん、でも実は部長のサンジくんも好き。ある日、転んでサンジくんにお姫さま抱っこをしてもらった、らひっくりかえって、彼の口から「最悪」の一言。それでダイエットを決意して・・・彼のケーキともお別れ。で、やせてもてるようになってきたら、彼が冷たくなってきて・・・彼はなぜか体を鍛えているし。かなり甘くて、さりげないスパイスが効いている。
2001「ヌードになって」
真面目な風紀委員長、古式みさおちゃんがある日、チャラ男すばるの違反を注意しようとしてシャツを脱がせてしまった。責任取れ、と海に連れて行かれることになる。
嫌だったサーフィンにも一生懸命な彼女は、いつかみんなもそれなりに一生懸命だと分かってくる。メガネ越しの狭い世界から、解き放たれていく彼女…でもクラスメートが「すばるに好かれたいの?」と言ったとき、実態調査だ、責任の対象としか見ていないと言ってしまって…大胆な告白には衝撃。
2001「月光女神=MOON LIGHT GODDESS=ディアナ」
弓道日本一のゆみあちゃんは、突然転校生の音羽陽くんにずっとおまえをさがしていた、とアプローチされ、月の形の鏡を渡される。
夜忍んできた陽くんと二人でその鏡を見ると、ギリシャ神話の神と女神の姿に!実は陽くんは太陽神アポロンで、儀式上のミスから太陽の鏡を失い、時空のひずみをさまよっていた。そしてパートナーのディアナであるゆみあちゃんを2500年も探していた、と協力を求める。
そして、人気アイドルグループ「雷」のクリスマスライブに光と音楽の連想から連れて行くが、「雷」は臨時の新メンバーを入れていた。太陽鏡を持つその新メンバーの音に洗脳される観客、変身したゆみあちゃんが立ち上がる!
情報量が多く、伏線を理解するのに何度も読み返す必要があるが迫力はすごい。これで弓道シーンが完璧なら…
2002「チェリー V ブロッサム」
夢の中、桜と助けを求める声…いぶきちゃんの学校の桜の古木には恋の伝説が。でも去年から花がつかない。
いぶきちゃんは何とか幼なじみのにのちゃんに告白したいけど、なんだかうまくいかない。だが、ある日理事長がその桜を切り倒すと発表!にのちゃんと自分の家に伝わる古文書から桜伝説の正体はつかめてきたけど。どんでん返しが予想外でかなりのスリル。また告白シーンがものすごくいい。
2002〜2005「ぴちぴちピッチ」(シナリオ
横手美智子)アニメ化、単行本全七巻。
美人看板姉妹にこら、るちあのおかげで大繁盛の真珠湯、でも二人は人魚だった!人魚は美しい歌声を持つものだが、昔遭難した男の子を助けるために真珠を渡したるちあは音痴。海を救うためその真珠が必要になり、探しに来たのだ。
るちあは転校した学校で、もしかしたらあの人かと思える男子、海斗と出会いそのサーフィンを応援に行くが、突然水の怪物が現れ、海斗が波に飲まれると同時に嵐が……ものすごいお色気と甘いムードでとても華やか、少し切ない恋も混じり、「誰もが犯してしまうかもしれない、それでも決して許されない罪と、それと戦う愛」という深いテーマも秘めた人気アニメ。
2005〜7「ゆめゆめ★ゆうゆう」単行本全三巻。
二つの世界を助けて、という祈りの夢を見たおまじない大好きな優女(ゆめ)ちゃんと、対照的に完璧な生徒会長の妃女(ひめ)ちゃん。
優女ちゃんは王子と言われる水城あおい先輩に近づきたいけど、同じ生徒会の妃女ちゃんと違ってなかなか近づけない…でもある日、転んだところに額に五芒星円のおまじないをしてもらい、心臓が爆発しそう。
そんなとき、突然居眠り中の夢で…また「ふたつの世界を守って」という祈り、倒れる女性と男の子の涙…その居眠りの罰で行った社会科準備室で見つけた四神鏡から突然麒麟が出てきて、さらに夢の男の子と人形サイズの女の子が…同時に突然現れた青龍が暴れ、そのとき優女ちゃんが妙な姿に変身した!
向こうの朱雀だった男の子、烈火くんが住みついたりあおい王子もこっちの世界の青龍だと判明したり、何かとにぎやかな東洋系魔法アクション。
2007〜8「フィアンセはモンスター!?」
父の転勤で遠い親戚の家に行くことになった瞳みくちゃん。そこは妙な館で、開けたらいきなりヤギの化物?と思ったら普通の執事さん…そしてすごい美少年、ラウトが待っていた。彼がいきなり「サイアク…だな」といい、いきなり半分に割ったチョコを食べさせ…そのままボーっとしていたら強引に明るめのメイド服に着替えさせられて家事もやることに…
話しかけてくれたクラスメートの月乃園えりかちゃんはモンスターの館だといい、そのまま確かめるために押しかけてきて…その夜、雰囲気の違うえりかちゃんに「しってるんだよ、おまえがモンスターの瞳だということを」「誓約はまだ」襲われたみくちゃん。
そこをモンスタープリンスのラウトが助けてくれ、みくちゃんも妙に露出度が高いウェディングドレスのような服に着替えさせられて…
2008〜9「サファイア リボンの騎士」(シナリオ:高橋ナツコ/原作:手塚治虫)
サファイア姫のはるか子孫…
セントラルタワーのてっぺんに出現した誰も侵入できない「空島」が話題になっている。
でも白金学園女子寮の、ちょっとボーイッシュなサファイアちゃんにとっては遅刻のほうが肝心、でも…その耳元でいろいろ声がしているはずなのにろくに聞いていない。
全校集会に遅刻したら扉に突き飛ばされ、有名な美形のフランツ・チャーミングにお姫さま抱っこされる。でもなんともないらしいサファイアを、友達二人は着せ替え人形にした末にちょっと青系でまとめるが、空耳に悩まされて走り出してフランツと出会った。
そして塔に向ったとき、フランツが落としたペンダントを拾ってくれた。そのとき突然変なエレベーターが現れて…
手塚治虫生誕80周年+なかよし55周年カウントダウン、史上最大の新連載!
2021〜「ぴちぴちピッチ aqua」
上記「ぴちぴちピッチ」の続編。るちあと海斗の娘、七海るきあの活躍を描く。
今までの実績、現在の地位
デビューして間もなく増刊の巻頭カラーという異例の抜擢。
そして本誌に読み切りで登場、巻頭カラーで連載開始と強いプッシュを受け、アニメとのタイアップで一気にトップレギュラーに。
特にネットでは恐ろしく毀誉褒貶が激しい作家なのだが、それだけ注目を集めているということでもある。
2003年から2004年にかけて表紙および巻頭カラーでとんでもない占有率を誇り、否応なしに「なかよし」の中心として大活躍した。
「ピッチ」終了後も連載に復帰し、安定して主力として活躍している。
そして2008年、手塚治虫生誕80周年超大作「リボンの騎士」リメイク(シナリオ/高橋ナツコ)に挑戦することとなり、ネットでは恐ろしいまでの毀誉褒貶が渦巻いている。
2021年、「ぴちぴちピッチ aqua」で本誌連載復帰。
個人的な感じ、思い出
デビュー後第一作にはのたうちまわった。甘い感じを活かして素敵な作品を作って欲しい。
連載も不安定さが多いのだが、お色気とグラマラスボディというはっきりした武器があるので楽しみ。
読者サービスももっと思い切って、どうせならとことんサービスに徹してくれていいと思う。
「ぴちぴちピッチ」での成長は目覚しかった。「ゆめゆめ」には欠点が目立ったがその分も新連載で取り返すだけの向上心はあると思う。
「リボンの騎士」には驚いた。…2008年4月号感想の繰り返し…
もしご覧いただいていたら…とにかく雑音には一切耳を傾けないでください。
手塚治虫、「リボンの騎士」という大巨人との正面対決なんです。雑音に耳を傾ける余裕はどこにもないはず。その巨大すぎる壁にぶつかるだけで精一杯以上のはずです。
ほかを何も考えず、ひたすら原作と向き合い、小宇宙を黄金を超えた神の域にまで高めることに専念してください。
自分がギリシャ悲劇レベルの英雄だと自覚して死力を尽くしてください、こんな試練とチャンスを与えられる漫画家は何人もいないのですから。
何度落としても、ネームを載せても、少なくとも僕は文句は言いません…このように恐ろしい挑戦をしている作家の苦悩ははかりしれないものがあるでしょう。ネットの無責任な声はもちろん、編集や読者の声すら無視して、ひたすら自分の魂と小宇宙だけを信じてください。
予告の文句を見れば「いつもどおり」の花森作品に思えます…でも、それが自分の魂を賭けた武器だと信じるならどうぞご遠慮なく、信じたとおりにやってください。「リボンの騎士」という大横綱がしっかり胸を貸してくれることを信じて、命も捨てて全力でただぶつかってください。
奇跡がなければ…奇跡が起きてもごく一部の人にしか理解されないかもしれません。でも、このリメイクだけは、誰もわかってくれる人がいなくてもひとりよがりでもいい、ただ小宇宙を燃やし尽くすことだけを考えてください。この連載中だけは自分だけのために生き、描いてください。
神との、古典との対決なのです。