姫宮ユイゴ (ひめみや ゆいご)
作風概説
真円で非常に書き込みが深い、大きな瞳がとても印象的。まじめな印象がある、全体に鉛ガラスのように重くクリアで非常にきれいな絵。
複雑な感情を描き出すのがうまく、小さな映像からトラウマが引き出されるのを器用に描ける。人間の弱いところと強いところを強い陰影で浮き出させる力がある。
男の子の内面がものすごくカッコいい。
代表作
2004「コノ、ムネノウチ。」
巨乳が悩みのエミナちゃんが下着を試着していると、突然男の子が転んで飛び込んできた。その須賀圭吾くんは店員の弟で転校生、おわびに彼女を遊園地に連れ出してくれた。
彼はいきなり「好きな人おる?誤解されたないやつおるんやったら」と深い思いやりを示してくれるが、エミナちゃんはクラスの男子と会うのが怖くて、その優しさを素直に受け止められない。
そうして逃げ回っていたら、圭吾くんは自分を嫌がっているのではと心配して平謝り。そんな彼に少しずつ心を開き、つい昔のことを打ち明けてしまう。
好きな男子に告白されたが、その直後彼がエミナちゃんの巨乳をネタにからかわれているのを聞いてしまう。そして深く傷ついた彼女を、彼は助けてくれなかった…
そして圭吾くんの暖かく強い言葉に、恋している自分に気がつくエミナちゃんだが、だからこそ余計に水泳の授業の水着姿を見せるのが恥ずかしくて…体の問題に正面から向き合い、不安定な心理とヒーローの圧倒的な強さを描き、開いた心と閉ざした心の対照もうまく浮き出させたデビュー作。
2004「モテ期がやってきた!」
好きな行原くんに告白されるのが一番素敵だけど、でもモテ期という言葉にも憧れる…そんな理緒ちゃんに突然モテ期がやってきた。学年トップの水嶋くん、そしてサッカー部のキャプテンの高村くんに相次いで告白されたのである…確かに自分が好きなのは行原くんだけど、この状況が惜しいのも本音!
いきなりもてた時の妄想などが非常にリアル。また、青春の苦い面や男の子の内面のカッコよさを真正面から丁寧に描いている。
2005「バスルームvシスターズ」
上デビュー作の続編で、その妹のエミカちゃんが主人公。
たまに相談などで一緒にお風呂に入るほど仲がいい姉妹、前は三ヶ月前、エミカちゃんが失恋したとき…胸は小さいエミカちゃんが、告白したら彼が友達との話で「ねえちゃんのほうならソクOKなんだけど オトコにさからわなさそうだし」「ムネでかいし?」「そーそー」…
それでエミナ姉さんが彼氏がいると告白してきて、悪い奴だったら別れさせる!とチェックすることに。
エミナ姉さんの彼氏、(上作の)スガくんに、三ヶ月前からのつきあいだと聞かされ、教えてもらえなかったことにショックを受けるエミカちゃんだけど、それは失恋の傷を慮ってのことだった。
八つ当たりも受け止めてくれ、はぐれた姉妹がナンパされたときも強烈なカッコよさで助けてくれた彼に、エミカちゃんも心ひかれて…
切ない思い、上作品の二人の性格もより深く掘り下げた最高傑作。
今までの実績、現在の地位
今のところは登場頻度が高い。
個人的な感じ、思い出
強い感じと絵のうまさ、巨乳というネタでありながら男性読者サービスに走らず徹頭徹尾女子の目線で描いたこと、そしてヒーローの圧倒的な強さと存在感に驚いた。
文句のつけようがないほどしっかり色々な想いを描いてくる、目の離せない作家。
これからはもっと欲を出して、人間のマイナス面ももっと見つめてよりスケールの大きな作品を描いて欲しい。