なかよしラブリー2004年冬号感想

今回はとにかく笑えました。
ちょっとエッチが多かったのは苦笑というか頭を抱えたいのが正直なところですが。
そういえばクリスマスなどの話が割と少なかったです。どうしてでしょう。

掲示板で本誌を買わず、感想だけ読んでいる人もいるようなので、今回からインデックスに作者名を入れて少しあらすじも解説します。あらすじは各作家紹介に流用できますし。
でもそれ以上配慮しようがないです。感想を読むなら雑誌を読みながらじゃないと面白くないと思いますけどね。

ラブラボ(桃雪琴梨) まもロリ(菊田みちよ) ぷーちょ(遠山えま) ココア(柏木志保) 金色(水無月真) wish2(征海未亜) ヤバスギ2(恵月ひまわり) プチ暴(ハットリユカコ) ヒミW(秋元奈美) 冬のヒント(山名沢湖) 告カウント(白沢まりも) キラキラ(ゆみみ) まっしろ(山田デイジー) 最チョコ(咲良あさみ) 雪うさぎ(瀬崎ちか) イマ☆カノ(大原彩) 灼熱スノウ(おおうちえいこ) ピポパ(猫部ねこ) ひいろ(高上優里子) 恋ピア(戸川あき) 梅桃桜(宮河とも) ちびハニー(春瀬サク)

ラブラボ
結城くんと莉子ちゃんは彼氏彼女のはずだけど、化学オタクの結城くんはクリスマス用フェロモンなんか作って売ったり実験に夢中でクリスマスらしくないのがちょっと不満。その薬も効きすぎだし…
クリスマスにフェロモン薬…うまいといえばうまいです。
実験で手の薬をなめる彼の、男の色香はかなり強烈でした。
「おまえとオレだけの禁断の実験」っておい…それは男の妄想では…
で、この薬の効きすぎは…なんか呆れて笑ってしまいました。
この男の子も、相当思いつめてのことなのでしょうが…で、この対策はわかりやすくてまた笑えました。
実験が失敗続き、というのはどういうことでしょう…正しくやればいいだけの既存の実験で技術的に難しいのか、それとも仮説を検証する段階なのか、ちょっと興味あります。
「ケーキはこの時期値上がりするしアトラクションも冬休みは並ぶし」はその通りです。典型的な理系の考え方ですね。
いろいろ話していて、いきなり「あたしもフェロモン薬使いたい」は吹きそうになりました。あの効きすぎを見ていて使いたいなんて…そんなに10ページのカップルのようになりたいんでしょう…ね…というか男として、こんなコト彼女に言わせるなんて最低。
爆発する本音はよくわかります。面と向かって感情的にいうことではないですが。怒るのは当然ですが、ここはもう少し危機感がほしいような…
フェロモン薬を飲ませる、という行動の過激さがかわいいです。
しかし、水と混ぜて爆発するって…濃硫酸並に過激な薬品を売ったのか、飲ませるつもりだったのか…
いきなりすごい体勢になって、しかも閉じ込められて二人きりシチュエーション!というかあのフェロモンが広がっているのでは?
炎色反応によるイルミネーションは秀逸な発想です。
香水であれだけの効果、というか相当原価も高いのでは?催淫系の香料、特にローズやジャスミン、イランイランのエッセンシャルオイルはめちゃくちゃ高いので…
脱がせて抱くか、と思ったらプレゼント、ってこれも実験結果ですか!すごい。結城くんは現実にできるより少し上程度のレベルの化学(炎色反応は科学的事実です)なのがすごくいいバランスだと思います。再現なしになんでもありにするのではなく…
「幸せがあたりまえになったときそれに気づけなくなって」という言葉は、来年の標語にできそうな言葉です。
ほっぺキスからめがねを取って、このキスは強烈でした!しびれるような男です。
わずかに開いた、飾られた胸元がまたセクシー。
かなり激しく唇をむさぼるシーンがちらりとあって、そして「うそ…っヤダ… 学校でこんなコト…っ!」はいいミスリードです!
本当に幸せそうで、服は着ているようですが本当はどうなのでしょう。
あやしい宗教儀式というよりいっしょに寝ているほうが問題ですが…というかなぜ彼のシャツの前が開いているのでしょう。本当は…疑わせてくれます。

まもって!ロリポップミニ☆シアター
パールちゃんかわいい!
フォーちゃんがこの服を着ているところ…爆笑!見てみたい!確かに似合う!
ハートちゃんの女の意地はどこまで暴走するのでしょう。というか合コンは?

ぷ〜ちょの日常
十年前のカフェ・クローバー。妊娠中のマスター(まゆの母)を助けようと、いたずら盛りのまゆちゃんがお手伝いを。ぷーちょは店の雰囲気が変わるのがいやだけど…
とにかく小さいまゆちゃんの子供らしい騒ぎが楽しいです。
こんな小さいころからぷーちょとまゆちゃんの絆が結ばれていたとは。

ココア!
芸能コースがある私立星の原学園、つばめちゃんは興味なしだけど、外でいきなり芸能コースのスター、地緒くんにキスのふりをさせられて…連載。
いきなり連載とは!シナモン&ジンジャーの甘さが強まって、うまいところに安定しました。
偏差値55というのが妙にリアルです。僕は高校受験から十数年経っていますが、今も全国模試はあるのでしょうか?
まず校則違反を注目しますか。僕は宝塚音楽学校のように、学校では厳しくしつけるほうが大成すると思いますけど。
お菓子作りは十分いい趣味だと思いますが?この趣味をうまく話に活かしてほしいです。
雑誌を見て、感動しながら興味がないふりをしているのが面白い心の動きです。どうしてもそれまでの態度が惰性になって、素直にいいなとは思えないものですよね。
で、いきなり出会って…この進み方の速さはいいです。
そして、いいわけの代わりに「いま…する?」と誘惑するのが凶悪!殴らせずによける余裕も憎らしいぐらいです。
僕は彼女のまじめさにすごく好感が持てました。それをこう利用しようとするとは…
投げつけたのが健康診断書だったのは爆笑!これは強烈な弱みですね…
で、今度はぼーちゃん…このちょっと気まぐれ妖精のようなかわいらしさも面白いです。
ヘアゴムに夢中になって、これはグリちゃん得しましたね。
散々かき回しておいて…ただこれだけですか!メモを見たときの壊れっぷりが見事。
いきなり後ろから抱きついて、「キスよりもっとドキドキするコト」って…つばめちゃんの元気と地緒くんのジゴロっぷりがいい対照で、実に面白いです。
妄想をロゴで隠すのも笑えました。
いわゆるシンデレラガール…ライトの強烈さなどのリアルさがさりげなくうまい。
「自信のあるフリをする」ってホーンブロワーみたいな生き方ですが、それが一番いいのでしょう。
あたたかい手、という魅力のポイントがしっかり強調されているのもいいです。
彼女が暗示にかかって、さらっとスパイスの効いた色気を出すのはじつにうまい!
いきなりそれって…というか本来は家族の許可、協力が全面的にないと無理ですけどね。
化ければ面白くなりそうなので、楽しみです。

金色のマーチ
転校生の真琴ちゃんは吹奏楽部に入ろうとしたけど、強豪である部は新入生でもない初心者を見る余裕はない、と追い出した新部長の宮内くん。口げんかの末になんとしても合格してやる、と力む彼女に、鬼コーチ宮内くんの特訓が…
とにかく面白かったです。終わり。でもいいぐらい面白かったです。
導入部のテンポのよさは抜群です!
体力自慢の彼女の元気なところ、そして宮内くんのはっきりしたところがうまくかみ合っていて、すごく会話がいいです。この楽しさは読んでいる読者にははなから説明不能、読んでいないならさっさと買いに行け!です。
しっかり描かれたトランペットの現実感もさすが…投げ上げるのは爆発しました。
そう、値札のとおり二十万…
意地になって宣言し、一言「鬼」と来るリズム…そして特訓の厳しさの描写もいいテンポ。
そして、「それは…思わなかった」というのは彼女に感心させられました。努力をつらい、やめようと思うこと自体がないのでしょうか!
手をたたいてリズムを確認、という特訓の中に自然にスキンシップが混じってしまうのもいいですね。
どちらもほとんど意識していないのもまたいいです。
「たしかにキツイ部だ」というところの、窓の鍵がまたリアルでいいです。
宮内くんの一生懸命をしっかり受け取れて、すごく根っから前向きなんですね…肝心の日程を忘れるぐらい。
宮内くんもそれを認めていることがわかって、そうしてすごく気持ちよく進んでいますが、“どうしてもできない部分”で危機感を抱かせて…オマケして、といわない、そして約束は約束と開き直って前向きに出るのはかっこいいです。
でも、思いやりゆえですが…「てか 一週間てやっぱムリが」となるのは切ないすれ違いです。
ここの真琴ちゃんのショックもうまく描けています。それが宮内くんに跳ね返るのも。
「だったらレッスンも適当でよかったのに」という言葉から、必死で応えようとした思いが無駄になった痛みが伝わって、たまらないです。
ここで「宮内からもらいたかったのは"合格"じゃなくて――――」と、恋愛感情も生まれかけていることをうまく描けています。
気持ちが揺れているのを、金色の光が導いてくれる屋上のシーンも素敵です!
テストしなくていい、の真相は理解できます。そう考えるのがある意味当然で…
そして、胸に飛び込んでいくところのうれしさ!前に「"合格"じゃなくて―」と思ったときには形にならなかった思いが、一気に形になって体を衝き動かして…じーんとします。
素直な告白も素敵です。
そして、この二人での演奏は…うわ、動きたい…爆発しそう、フルマラソンできそう!
「二人の気持ちが重なって」なんてしびれます。
またトランペットを投げたり、入部後の本格レッスンという落ちもいいです。
う〜〜〜〜〜っ…最高!早く本誌連載や単行本が見たい!

wish2〜たったひとつの願いごと〜
そのアドレスにメールするとただひとつだけ願いをかなえる、天使のメアド…願いをかなえた結果どうなるかは知らないが…。塾の日のはずなのに、道端に座り込む少女はもう死んでいた。だが、何にも触れられないはずなのに一つの携帯電話だけは手にすることができ、生き返る願いをかなえる条件として「好きな斉藤君と今から二十四時間以内にキスできたら」と。でもどうしていいかわからない、そこにケンカ友達の名生くんが登場…
今回はハッピーエンドなのが惜しい気がします。前回のダークな終わり方がとてもよかったので。
まあ人間には闇もあれば光もあります、クリスマスでもありますし光を描くのもいいでしょう。
ごく普通に見える少女の姿が、ごく軽く死んでいるのが不思議な衝撃です。
「勉強しただけ損じゃん!!あたしの人生返せ」というのはすごく納得できる言葉です。人間いつ死ぬかわからないし、今を楽しむほうがいいかもしれない…と、それをやると問題なのですが。
ここで携帯電話を使って、天使のメアドが出てくるのはうまいです。
夢中になっている彼女にくすっと笑っているのが面白いです。
結局どうしていいかわからない、という気持ちはよくわかります。僕が彼女の立場でもどうしていいかわからないでしょう。
いきなり登場した男の子、まあこれまでも征海作品ではよく見るタイプですごくうれしいです。
「あたし死んじゃったんだけど」という言葉に受けているショック…読み返してみるとこのシーンの意味、深いですね。
こうして読み返してみると、コーラを飲み干してぱっと気持ちを切り替えるかっこよさがすごい!
いきなりかくれんぼから自転車のスキンシップもうまい。
ハートマークが大文字Vなのもなんだか面白い感じです。
いつもの学校でのノリって、学校でもいつもこの調子?それはなんか…すごい。
そういえばどこにこんな大金を持っているのか、というのは言わぬが花ですね。
こうしてぱっと雰囲気を変えたのもいいですし、それに「うん かわいい」も悶死です。
ここで彼の寂しそうな顔…うまい伏線です。「ずっといっしょにいたのにこんなことも知らなかったんだな オレ」という言葉もかなり実感を持って伝わってきます。
こうして手をつないで歩くのが、なんだか胸が痛いです。
そして、こうして渡せなかったプレゼントを渡して…彼の立場で読んでみると、一つ一つ愛情を込めて別れを告げていくのがたまらないです。
「好きな女の子を二度も助けられないのはかっこわるいからな」は、実にうまいミスリードになっています…明生くんが生きていて、後悔していたかのように思わせます。でも、読み返してみるとより深く納得できるのです。
斉藤くんの軽さはなんというか、面白いです。もう心は明生くんに動いている彼女…もしこの新聞を見なかったら、同じ事をしたでしょうか?
この真相の衝撃はすごかったです。新聞記事の伏せ方もうまい。
ここからキスに向かう流れの激しさも素晴らしいです。
そして、条件と願いはなるほど、です。こういう願いをかけたのは、とっさに二人とも生き返らせるほかないように罠をかけたのでしょうか?そう、もしあのまま美佐ちゃんだけが生き返っていたら、真相を思い出して重い十字架を背負っていたはずですから。
双方の自己犠牲には感涙です。すごく深い愛情を丁寧に描いた、いい作品でした。
これからもハッピーもアンハッピーも、いろいろやってほしいです。

私立ヤバスギ学園2
馬鹿男子を下品暴力でねじ伏せるのが趣味の風羽ちゃんが、鬼畜系十八禁ゲームに出てくるような名門だが男尊女卑で「男子は女子を欲望のままにしていい」学校に潜入、夜な夜な変装しては男子に地獄の裁きを…
やはり抵抗が強い、楽しめません。
僕は下品なのがいやなのではなく、男子の妄想をこういう形で具現化したのを少女読者に見てもらいたくないのです。
同じ下品でエッチでも『ハレンチ学園』や『まいっちんぐマチ子先生』のような明るいものはいいのですが、この話は…彼女たちが来るまで、女子生徒は皆性奴隷として踏みにじられてきたということじゃないですか。それは我慢できません。
エッチなこと、下品なことを子供が好むのはよくわかっています。
だからこそ、こういう形じゃなくこの下品なギャグやお色気を出すことができていたらよかったのですが。
やはりまともに感想を書くのは無理です。

プチギャル大暴走!
もう子供なんて飽きた!小学生なんていや!あのお兄さんにチョコ渡したかった!という華ちゃんと芽衣ちゃんが、派手な保険医の妖しい薬を勝手に飲んで、いきなり大人に!これであの人に再チャレンジ…
わかりやすくてすごく面白かったです。
ロマンチックな冒頭とその真相にまず爆笑。結構やさしい、というかまあロリコンじゃないだけいいじゃないですか。
「三年も片思いしてんのに」と堂々といっているのがなんかうらやましい…
大人がみんな「カッコイイ」「背高い」…とは限らない気もするのですが、それがまた大人にならなきゃわからないことです。
「先生の年までいくのはちょっとな…」って、那加先生が怒るのよくわかります。
大人になってしまった二人のセクシーダイナマイトはすごいです。小さすぎる服がすごく体の曲線を強調しています。
ここからの二人の暴走は笑えました。借りたのは服だけじゃなくてお金もかも…
先生が広瀬くんを抱きしめるのがなんとなく笑えるというかうらやましい。
この再チャレンジにあっさり引っかかる男子は、ある意味男は悲しいよなとため息をつくほかありません。
亮くんが「オレがとってやるよ」とやる優しさも、考えてみると小学生の男子には絶対ないですよね。
高校生ってサイコー、となるのも、苦笑はしますが正直な気持ちでしょうね。
しかし芽衣ちゃん、ずいぶん順応していますね…
「本命にコンビニチョコなんて」って、それをいうな!高校生もまだまだ子供です。
ぎゅっと抱き寄せて、そっとキスを迫る…ここで彼の悪い面を見せるショックも面白いです。
まあこれは彼なりに、華ちゃんに「君だけだよ」とこびているのかも知れません。
高校生でも女の子の気持ちを大事にする人もいますし、高校生の女子でもチョコを捨てるのを見てもなんとも思わない女も本気で怒る女もいます。
合わなかっただけです。
ここで二人が元に戻って、名札を突きつけて脅すのは…カッコイイですがちょっと悲しいものもあります。
般若は爆笑。
「大人ってさ 楽しいけど つかれるね」という言葉がすごい。まさにそうですね…
そして、このせめてもの…お情けなんですけど、大喜びしている広瀬くんが見ていて楽しいです。
まあ大人へのいい一歩でしょう。しっかりしたテーマでわかりやすく、いい作品でした。

ヒミツのWペンション
カップルのはずなのに彼は部活ばかりでまるでそばにいられない、ついに勝負下着つけて彼の合宿に乗り込むけれど、そこの娘も彼を狙って過酷なサバイバルゲームに…?
なんというか、ここだけ雑誌が違うような気もします。
電車内のラブラブカップルは、なんだか暑苦しいです…
部活でラブラブできない…贅沢な悩みですね。
学校ではジャージというのは…女子高の実態というやつでしょうか…。
燃え上がっているノリは楽しいです。
あの〜、準備の中に肝心なものがないのですが。エッチネタやるならコンドーム描けっての。
まちぶせて、ドタキャンと嘘までついて…ほとんど非常識…
このメスの縄張り争いは力が抜けました。というか怖い。
とことんこきつかわれる、聖美ちゃんの意地悪役っぷりは見事なまでです…
合宿といいつつただ働きの肉体労働、というのもまた笑えました。さすが親戚。
「客に手ェ出したら裏山の滝にブチこむ」は爆笑。この季節にぶち込まれたら死にますね。
まあ、健康的な合宿でいいんじゃないですか?顔を見られるだけでも、家でやきもきしているよりいいでしょうし。
害虫というのが笑えます。これって本当に一目ぼれしたのか、単に人のものがほしくなったのか…どっちでしょう。
「やっちゃった?」にはびびりました。
この思い出ノートの伏線はさりげなくていいです。
「よくわかんないけどつかえるワ」という商売人根性がまた笑えました。
「あたし……あとくされないョ」は誘惑としてもうますぎます!
優宇ちゃんが追い詰められていく演出はさすがにうまい。そして、こうして閉じ込めるのはあまりにもひどいような…
「ほんとに見たならいえるだろ」という推理は見事。
追い詰められた優宇ちゃんが、陸くんが来てくれたのに素直になれないところまで言っているのも痛いですね…
みんながのぞきモードに入っていたのがまた爆笑。
聖美ちゃんの罪悪感のなさは…下手をすれば命にかかわったのに。しかし、請求書って保険があるのでは?
最後だけラブラブですね。キスが誕生日プレゼントというのは嬉しいでしょうが。
って、最後にプレゼントと書いて「あ・た・し」とルビをつけるのはどうでしょう…
バカップルはおきざりの刑、というのは納得です。
この合宿、他の部員にとっては相当悲惨だったのでは…うわ〜、そっちの立場で読んじゃったら殺意沸いてきました…

冬のヒント
受験で塾に行くことにした。そこでちょっと変なリズムの男の子と仲良くなるが、彼は男子校志望で自分は女子高志望…一緒の高校にはどちらも第一志望に落ちなければ行くことはできない…
山名先生が最近あちこちから単行本を出しました。それで痛感したのですが、いかに大きな才能をなかよしは長いことうまく使えていなかったかです。
なぜ本誌連載がなかったのか、不思議でならないですよ。
冒頭でいきなりすごく共感しました。僕も高校生活はずっと、時間を凍らせたまま過ごしましたから。
独学独習で受験というのも珍しいですね。本当にいるのでしょうか?
孤独同士、というのも面白いです。
彼のかかわり方を淡々と描いていくのもいいですね。
答えじゃなくてヒントを教える、というのは僕も小学校のとき、テスト中に好きだった隣の女子に聞かれてヒントを教えたことがあります。もちろん怒られました。
これまで「その子どこ高志望?」ということに気が回っていないのは…のんきというかなんというか。
女子高志望と男子校志望、交わらないレールが一瞬だけ一緒に走る…すごい時間ですね、考えてみると。
「同じ学校にならないように」という言葉の冷酷な真実に胸が痛みます。
それではじめて恋という言葉に触れて、それで…「心をかき乱されたくなかった」から彼のことを避けるようになって…そういう気持ちになるのもわかります。賢明なのでしょう。
試験問題を交換するだけの、もう一度のわずかな接点…そして、一気に思い出がよみがえってきて…ここの流れもうまい!
ただ、本当にこの二人がまた恋のレールに乗れるかどうかはわかりません。もしかしたら彼にはもう恋人がいるかも…そのあいまいさもいいですね。

告白カウントダウン
毎年町ではカウントダウンのイベントがあり、そこで告白すると幸せになれるというジンクスが…だからこそ今日告白しなくちゃ、でもお邪魔虫の美羅ちゃんに迷子、雑踏と難題が次々と…
毎年ハワイってずいぶん余裕があるようで…うらやましい。
ずいぶん重装備ですが、まあ寒いですし。こういうちょっとふわっとした厚着もいいですね。
美羅ちゃんのわかりやすいキャラクターもかわいいです。
さきこされちゃうよ、と心配するのもかわいいです。
迷子の世話はすごく優しくて心が温まります。
結局なつかれて動けない…でも楽しそうに見えるのですが。
ここから必死で探すの、まあ雑踏の皆さんにとってはかなり迷惑でしょうね。
間に合わなかったところで彼の登場、うわ…かっこいいし、素直な告白はため息が出るほどあったかいです。
そして二度目のカウントダウンと同時のキス、これはもう電子レンジにかかったみたいに体がはじけました。
「高校はなれても麻有のめんどう見るつもりだったけど」も、ちょっと妹扱いですがとろけました。
「ウチいまだれもいないけど〜受験勉強見てやる」のオチも心温まりますが、彼のほうが我慢できるのでしょうか?

キラキラ
台風の休みがクリスマスイブに振り替えになってブルーなこづえちゃん。でもせっかくみんな集まるんだからクリスマス会でも、と思ったら健太くんはいやだ、クリスマスなんて嫌いだ、と…はてさて?
絵柄が少し変わっていませんか?少し華を入れようとしすぎで、肝心のリズムが崩れていないかちょっと不安です。
いきなりくだらないことで悲しんでいる、こういうかわいいおばかはすごく楽しめます。
先生はここは小学校かと思っているでしょうね…というかクリスマスがチャラで悲しいのは先生も同じでしょう。あ、教師は生徒は休みでもいろいろあって…だとしたら生徒だけ楽しむのがつぶれるのはいい気味で嬉しいかも。
クリスマスに暗い過去の想像で、「プレゼントが参考書だった」というのは笑えました!それがあったら悲惨ですよ…まあ「ファインマン物理学」なら嬉しいかもしれませんが。
それでめちゃめちゃ楽しいパーティにして、という熱さも見ていて楽しいです。
「そんなあっさりOKしたってことはちえちゃん彼氏いないね?」「永池減点1!」という会話は爆笑!
読み返していると、健太くんが嫌がるのは当たり前なので…というか初読時も大体想像できていました。
「その日から健太のきげんはどんどんわるくなっていって」って、読み返してみるとあまりに当たり前で笑うほかありません。
誰か彼の家の商売を知らなかったのでしょうか?
悪者扱いされてしまうのはもう哀れですよ…
そして、あまりにも単純な真相には笑うほかありませんでした。
そういえば、昨日今日とあちこち探して見ましたが売れ残りケーキってどこにもないです。
「あたし手伝う」は、いきなり人手がやってきたようなもので…ありがたいでしょうね、親にとっては。
この売る側の寒さなどはあまり考えませんが、考えてみると大変です…まあいい短期バイトでもありますが。
「あたし健太といっしょにクリスマスすごしたかったんだも―」は恥ずかしいぐらいストレートな…店内で聞いている両親は、まあてんやわんやでそれどころではないでしょう。
おみまいが全部冷なのは笑えました。
失敗作をもらってクリスマス会に、と思ってほっとしたらこれは…
ホールのまま食べるのが夢になる気持ちはよくわかります。ケンタッキー15ピースジャンボを独り占めしたがって、じゃあ食べてみろと怒られた小さいころの僕と似たような心理でしょうか?今はやろうと思えばいつでもできるのに、そんなにやりたくもないんですよね…
二人きりでほっとして、気持ちを隠そうとしない二人の会話は見ているほうが甘くてたまらないです。
いきなりみんなが来て、で…ごく普通の会話のはずが、何気なく「今年はそんないやでもねー こづえいたから」とケーキより甘い言葉が入って、で…あっさり「オレ こづえが好きだ―」は…ワンホール食べるより甘い…机に突っ伏してのたうちまわるほかありません。
ったくもう、このラブラブカップルは…もうどうしていいやら。

まっしろ
もし…好きな人にもうすぐ彼女ができそうだったらどうする?理沙と山本くんはいつも仲がよく、二人はいずれくっつくだろうと予想できる…その現実に痛みを覚えながら思いはどんどん募っていく。
素晴らしいの一言!なんていえばいいのかわかりませんが、すごくあったかくて切なくて…
冒頭のごく普通の会話、でも一番最初のあまりに切ない言葉…
腹巻を好きな男子に見られてしまうというのは恥ずかしいでしょう。下着とは違う恥ずかしさで、いたたまれないでしょうね。
「すごい細いのにいまモコモコだしさ」はなぜ細いと知っているのでしょう…
回想シーンのさわやかさも素敵です。こうして丁寧に思いが描かれていると、すごく思いの深さも話の中での思いのふくらみもわかって、感情移入できます。
「いつでも席使っていーから」は、全体に男子と女子の仲がよくなければできませんね。「よかったね」と言ってくれる結花ちゃんは、愛美ちゃんの気持ちを知っているのでしょうか。
「だれにでもやさしいから誤解されやすいんだけどね」は、僕は理沙ちゃんがいやみを言ったのかと思いました。うまいミスリードです。
手が冷たいのは僕もつらいです。パソコンをやりながら、手足だけ温めるものってないのでしょうか。
そっと手を頬に当てる天然な大胆はびっくりしました。
理沙ちゃんのことを思うと、不倫をしているように感じるつらさもよく伝わってきます。理沙ちゃんが無邪気な笑顔を向けてくる分、余計に。
図書室での冷え症用のプレゼント…読み返してみると、素直に納得できるのですが初読時はただ切ないだけですね。
そしてこのラブシーンのショック…いま読み返してみると、なぜ理沙ちゃんが真相を言わなかったのかという疑問になります。
そっと彼の席に座ってしまう思いなんて、あまりに切なくて…寒さのように痛みが胸にしみてきます。
そして教室で、このどんでん返しがすばらしかったです。
素直で誠実な彼の告白も素敵でした。
理沙ちゃんの優しさもじーんと胸にしみてきます。
本当に素敵な作品でした。これからももっとこういう作品を読みたいです。

最終兵器チョコ!
いとこの昌兄が大好きな里花ちゃん。なんとか告白したいんだけど、ひとつ上なだけなのにかなり精神年齢違う昌兄にははぐらかされてばかり…と思ったら、彼氏がいるはずの金子先輩と怪しく…
なんというか、初期のフクシマハルカ先生を思い出しました。あのころの元気な子供の描写がそのまま素直に成長していたらこんな感じだったかな、というような感じです。他誌出身だと忘れるほど、なかよしの空気になじんでいます。
冒頭の仲良し兄妹ぶりが見ていてかわいいです。それがいとこだとわかってほっとして、いきなりの巨乳で笑って…うまく引き込んでくれました。
「彼氏とあんなコトやこんなコト」って一体?
好き、といってもこの態度だと、子ども扱いするのも無理はないです。
「ひみちゅv」とごまかす大人の余裕が面白いです!好きな人がいる、に「へえ」、「うまくいくといいな」はちょっと腹が立ちましたけどね。
お色気アタックも笑えました!というかそんなもの学生がなぜ見ているのでしょうか?まあ夏休みなどがあるかもしれませんが。
耳に息を吹きかけるのはびっくりしました!怖い技です。
そしてこの決定的な瞬間、読み返している今は笑えますが初読時はどきっとしました。
金子先輩が早めのバレンタインチョコをくれたりするのも、読み返している今は御礼だとわかっているのですが…
それで雪玉攻撃はもろ子供ですね。さりげなくチョコも混ざっていて…なんだか苦笑します。
でもそれで推薦に落ちたのは悲惨すぎます!
それで金子先輩に、ずいぶんストレートに聞きますね!まあそれが正解でした。
ブラックリストが笑えます。何のブラックリストでしょうか、というか仕返しならそれを彼氏にちくれば(って悪魔かおのれは)。
それで、この落とし前は…あまりの子供らしさに笑うほかありません。
普通の会話から「おまえのことだよ」とくるのはびくっと震えがきました!「ほんとおまえってかわいーな」は、なんというか…もうとろけてます。
そしてオチが大爆笑!大丈夫でしょうか…哀れな。

雪うさぎ
大雪の日、今日こそ告白する決意をして元気に家を出た楓ちゃん。その日は大雪で実は休校、好きな和泉くん以外誰も来ておらず二人きりになり、自習したりトランプしたり…
絵はデビュー作のほうがすっきりしていて個人的にはよかったのですが、話がとにかく素晴らしかったです!
冒頭のごく自然な流れに見事にだまされました。
古い木造校舎の雰囲気もいいです!
学校で二人っきり、というのにこんなシチュエーションがあるとは、アイデア勝ちです。
机の中を出すときのデフォルメ絵はかわいいです。
告白を思い出したときの和泉くんの表情はすごかったです!僕もびくっとしました。
「自習はあきらめて遊ぼう」って、それでいいのでしょうか…
中が四次元になっているかのような机も面白いです。
教室に二人だけという不思議な時間…この新傷病者のうまさは素晴らしい。
まあ一時間ずっとやっていれば飽きるでしょう。
マフラーもカバンもない、と一つ一つヒントを与えていくのも読み返してみると上質のミステリのようです。
突然雰囲気が変わり、先生の異常な切迫感…わけがわからないまま押し流されました。
それでも告白しようとして、鏡に映っていないことに気がついて、すべてを思い出す、ここのうまさは素晴らしかったです!
和泉くんを早く見つけるには校内放送でもすればいいのに…。
信じられない、冗談じゃない…いつのまにか和泉くんの目でこの話を見ていることに気がつきます。
告白の迫力、ぱさっと落ちるマフラー…そしてここからの展開はある意味お約束ですが感動的です。
彼の優しい思いもすごくほっとしました。
見事にだまされましたし、感動しました。二人きりの学校という面白い要素によくこんな…脱帽です!

イマ☆カノ
告白は見事にOK!でも彼には前にすごい美人の彼女がいて、すごく心配…
現代風の女の子も内面は同じ純情で不安で仕方がない、とうまく描いてくれました。
冒頭から告白がうまくいいってしまって、さてこれからどうするか…わくわくさせてくれます。
友達の前での、ハートマーク飛ばしまくりののろけは見ていて面白いですが、リツコちゃんの立場で見るとひどい話です。
ここでさりげなく沙姫ちゃんを出してくるのがうまい。
音楽御地だったのを、必死でついていこうと聞いているのは好感が持てます。それが一番大事ですね、互いに相手の世界を知るのは。
お互い名前で呼び捨てにする、というのにどきどきするのもかわいいです。
「ユキの好きなものいっしょにみたい!」というストレートな言葉も素敵。彼としては嬉しいでしょうね。
この時計というキーアイテムもうまいです。すごくきちんと構築しています。
で、モトカノの正体がここで出て、この不安もよくわかります。「てかむしろなんで??」というのは正直な。
電話で、外野の「すっげー美人」がモトカノだとわかる切なさなど、明るい中にぽたりぽたりとつらい思いを混ぜていくのが実にうまい。
不安がどんどん強くなって、つい「いくのやめようかな」という言葉になってしまった…こうして思いがすれ違うのは見ていて胸が痛いです。
ここで亜衣ちゃんも思いを爆発させて「モトカノ」と言ってしまったのは本来自爆ですが、結果オーライでよかったです。
「あたしどうしちゃったの?」となるのは、それだけ思いが募っているからでしょう…ただ、その思いが変な方向に沸いてしまっただけ。
それでふさがってしまった目を、CDの歌詞カードが開いてくれる展開は素晴らしい!
ここで後悔して飛び出すと彼が…これは嬉しかったです!
彼のほうが振り回されたようなものだし、信じてもらえなかったことを怒っても当たり前なのですがひたすら謝って…本当にいいやつです。当たりでしたね。
時計を合わせるラストも素晴らしいです!

灼熱スノウ
沖縄と北海道の交換留学。沖縄代表で始めての雪とスノボが楽しみなだりあちゃんだけど、着いてみたらやたら厳しい翼くんがホストファミリー兼教官。他の子は滑っているのに自分だけ転び方ばかり練習させられて…
爆笑しました!基本的にはすごくストレートなラブロマンスなのに。
僕も育ったところはほとんど雪がなかったので、雪にあこがれる気持ちはわかります。なぜか僕はほとんどスノースポーツに興味がないのですが。
元気なキャラクターもいきなり好感が持てます!雪に飛び込んでしまうのも気持ちはわかります。ここでの彼の華麗な登場、そしていきなり厳しい一喝とスピード感と感情のわかりやすさが見事。ここできっちりと彼女の感情をセットして、そしてホストファミリーが彼、と話の運びが実にわかりやすい。
カニなどのご馳走はさすがにおいしそうです。
僕はなぜ転ぶ練習ばかりしているのかはすぐわかりました。それを彼女にわからせるため、翼くんが自分の時間を削っていることを示して、滑って転ぶところから彼の言動を納得させる…お見事。
こうして理解すれば上達が早いのは当然ですね。地道な努力もしっかり描いていますし。
スキーのジャンプ台という伏線もうまい。
確かに上級者コースには早いのでしょうが…まあ誰でもそういうのにあこがれます。
ここでさりげなく「翼の顔ちゃんと見れないよ」と、恋愛感情の発生を忍び込ませて少しずつ膨らませていくのもうまい。
腹筋一人で90はすごいですね。ただ、補助なしのシットアップは危険です…クランチの形にしたほうがよかったと思います。ちなみに畳痛みますよ。
「壁は一人ですべりたいの!」というのは…残酷ですが、男の素直な気持ちですね。もちろん女の子はすごく傷つけますが。悪気はないんです、本当に…彼女には客観的に無理だと判断しているのでしょうし。
これで自分で行くなって、もし大怪我したら翼くんも傷つきますよ。
看板の雪が落ちて間違った方向に行くのに気がつかない、これもうまい。初読時には気がつきませんでした。
壁じゃなくてジャンプ台には笑いながら硬直しました。
その長大さとすさまじい加速の描写がまたすばらしい。
鮮やかにドリフトなどを決めて…空中で華麗に舞ってる…もう笑い転げて背筋が痛いです。
ここで叫ぶのも爆笑。
しっかり受身が生きるのはいいのですが、それぐらいでどうにかなる落差でしょうか…まあスキーでのジャンプも死なないのですから大丈夫なのかも…真似しないように(だれがやるか)。
ぎゅっと抱きしめるのは、もういつの間にか…思いが通じるたのもほっとしました。
なんというか、これほどいい話なのに笑えるとはすごい。

ピン☆ポン☆パン!
女子ジュニア卓球界期待の新星、毬奈様の外れたボールを…立ったまま寝ていた珠美ちゃんがいきなり鋭く返した。あの子は何者?と尾行してみたら、彼女は卓球バーで働いていた。神聖な卓球を金儲けに使うのが許せぬ毬奈様は勝負を挑むが…
なんというか、何をどうつっこんでよいやら。
冒頭からこの白バラを背負った、典型的な意地悪役でうぉっとなりました。あまりに典型的なアニメキャラというか…
珠美ちゃんがとっさに鋭さを見せ、注目されるのも期待を持たせる面白い展開です。
ここで「珠美…恐ろしい子…」などをやらないのは…あ、そういえば猫部先生って他作品のパロディはあまりやらないですよね。
卓球バーって本当にあるんでしょうか?
白バラ子…毬奈ちゃんの偉そうな言動とあっけなさが面白いです。負けて「やはりマイラケットで」と態度を崩していないのがかわいいというか…まあちゃんと特訓するのはさすがです。まあわけがわからない特訓になっていますが。
一週間後、期待していたら…また案外あっけない幕切れでした。
そして、「フツーにやったら?」というオチにもう笑い転げるやら…ありとあらゆるスポ根マンガを根底から否定しなくても…
いや〜面白かったです。

ひいろ
受験勉強に疲れた中三の冬に出会った曲、如月水連『シグナルレッド』に、心に灯がともった…すっかりはまってライブに通うためカラオケボックスでバイトしているひいろちゃん。ある日、一号室にラーメンを届けたら変なミュージシャンが作曲をしているのを見て…
冒頭の歌詞のメッセージがさりげなく、少年少女の心を強く捉えるものがありそうです。まあ詳しい人は尾崎系かとかいろいろいうのでしょうが。
この作品はBGMをうまく選んで読めばもっと楽しめるでしょう。僕は手元の曲が少ない(というか宝塚ばかり)なので難しいのですが…さあ、どんな曲がいいでしょうか。
カラオケボックスはこういう使い方もありますね。音楽スタジオを借りたり、防音室を手に入れたりするよりずっと安上がりでしょう。
いきなりスカートをのぞかれて、よくラーメンを落とさなかったものです。
歌詞をさらっと口にして、毒づく言葉…読み返してみるとこの伏線の深さがわかります。
またラーメン、という好みがまた面白いです。
新曲を聞かせるシーンはなんだか空腹感にも似た緊張感があります。
惹きこまれている彼女の表情の描写も強烈で、どんな音楽だか…なんとなく僕は今『情熱の翼(作・編曲 アルベルト城間/作詞 真琴つばさ)』をBGMにしています。ギターメインのいいメロディがとっさに思いつかなかったもので…
曲を忘れられないが、いつ彼が忘れられないに変わるのかが初読時は楽しみでした。
彼の強い焦燥感、そしてこの入籍の記事に…初読時はこれは、ひいろちゃんにとってある意味夢が壊れるショックなだけなのですが、読み返してみると彼にとっての意味の深さに驚かされます。
絶望の表情も、笑顔な分すごく悲しみが伝わってきます…
この花火はすごくいい楽しみですね。「ステージの上に立ってるみてぇだ」もいい伏線です。
「毎日におしつぶされそうだったけど」という感覚もなんか共感します。
そして彼の言葉がすごく胸に響いてきます。僕の胸にもまだ炎は燃えているでしょうか?そして…この作品を読んでいる読者こそ、若い分どんな風にも燃える可能性を秘めています…
「もしかしたらほんとはそーゆー曲かもしんねーぞ?」という言葉も、読み返すと強い後悔を感じてびくっとします。
一気に作曲に情熱を燃やしている彼、彼の視点から読み返すとまたすごく面白い!絶望からの再生がはっきり伝わってきます。
もう如月さんのことはいつのまにか、絶対的なものではなくなっている…彼がいないことのほうが辛くなっている心の動きも面白いです。
そして、彼の姿を見つけて…この真相は僕は驚きましたが、音楽に関心がある人にとっては読めていたことかもしれません。
「取引というわけか」と当然のようにいう如月さん…ひいろちゃんと同じく強いショックを受けています。
今読み返すと、まだユキオの中に友情を信じる甘さが残っていたことがわかって辛いです。
大人の世界の醜さに触れてしまった彼女のショックと、ユキオの純粋さがガンガン伝わってきてすごく辛いです。
動けないユキオの現状もうまく描かれていて、だからこそ彼女の純粋な言葉にぞくっとしました。
「色気のある女神サマ」といいますが、僕は彼女になんとなく色気を感じていました。
そしてユキオの成功…もう会えなくなったかな、と思ったらこのラーメンの注文がすごく嬉しかったです!
自分に音楽のセンスがあまりないのが残念です。もっと音楽に詳しい人ならもっと深く読むことができるのでしょうが!
情熱がとても強く伝わってくる、そのくせ静かで暖かくいい作品でした。

恋するピアス
ピアスを買ってしまった愛葉ちゃん。いざとなるとやはり怖くて…小林くんとも相変わらずすぐケンカしてしまう。だから、ピアスの穴を開けると運命が変わるというおまじないを信じて…
僕はピアス自体に反対です。身体髪膚これ父母に受くあえて毀損せざるはこれ孝のはじめなり(『孝経』より。体、髪の毛や皮膚までみんな両親からもらったものだよ。それを自分から傷つけたりしないことが親孝行の第一歩)の一語。
でも、いくらそういっても実際にピアスをする人は多くいるのでしょう。だからこういう作品を通じて、安全にピアスをしてくれることを願っています。できればピアスはしないほうがいいと、僕は思っていますが!すれすれではありますが安易にピアスをカッコイイと勧めているような作品ではないので、倫理的にもOKです(って作品の倫理審査をする権限はありませんし、そんな審査ないほうがいいですが…意見として)
そして、開けるならピアッサーなどで自力でやるのではなく、医者に頼んだほうが安全でしょう。
なんだかこの穴を開けるのが怖い、というのは…処女を象徴しているような気もします。
小林君の乱暴なスキンシップも魅力的です。そして彼のがんばりをしっかり描いているのも話をうまく深めています。
「オレのこと見にきたとか?」って、一人しかいなかったら他の目的はないですね…
ちびっ子という、一番彼を傷つける言葉を出してしまうのは…苦笑しながらため息をつくほかありません。これだから子供は…
いきなりかわいい後輩の登場はびくっとしました。
ピアス穴を開けて運命を変える、という決意…あ、いや…処女というよりこれはむしろ、通過儀礼に近いですね。
この恐怖はかなりの読者が経験済みでしょう。そして、今開けようと思っている読者も多いのでしょうね…残念ながら。
「ファーストピアスは穴が固定するまではずしちゃダメ」と教えてくれたお姉さんがいてよかったですね。忠告守ってないから意味ないですが。
ピアスにぷいっと怒ってしまうのも、真相を知ればな〜んだとしか言いようがないです。
落ち込む要素を重ねていくのもうまい。
「ピアスの穴なんかあけるからだろ」は、僕が彼の立場でも言う言葉でしょうね。大切な子に自分を傷つけて欲しくなんかないから。おしゃれのための愚行はやめてほしい。
ついに「そんなだからいつまでたっても補欠なんじゃん」はいくらなんでもひどい…たまらないです。
結局耳が痛くて胸が痛いだけ、ちっとも大人になんかなれていない…簡単じゃないですね。
お姉さんの言葉はすごくいいです。読者もよくこの言葉は読むべきです。こうしてしっかり忠告があるっていいですね。
小林くんのプレゼントの真相、それでやっと気がついて…やっと一歩大人の階段を上って…必死で気持ちを伝えていく言葉から、切ない思いがひしひしと伝わってきます。
もうひとつのプレゼントにはしびれました。
この作品がいい教訓になってくれればいいのですが…やはり本当に優れた作家です。

うめももさくら
四コマ。
結構面白いです。四コマ作家層の崩壊をこうして補うのは…どうかと思いますが…
馬車が駕籠なのは爆笑。
この四コマは続くのでしょうか?どういう作品世界になるやら。

ちびハニーv
背が小さい泉ちゃんは、いつも必死で牛乳を飲んでいる。夏河孝志くんにラブコール混じりにからかわれるのが悔しいから。本当は彼のことが好きだから、大きくなって彼を本気にさせたい…
すごく元気な扉から好感度高いです。
泉ちゃんの小さなかわいらしさ、僕はいいと思いますが…僕も高校時代身長の伸びが止まって、大学時代まで大量に牛乳を飲みましたが止まったものは伸びませんでした。
牛乳パックをぶつけるのは、下手をすると臭いのでは?
冒頭から「マイハニー」と彼の関係をうまく描いています。
こうして告白できないし、彼の言葉を本気に取れない関係もそれはそれで辛いですね…身長が伸びたら、というおまじないも馬鹿ですが気持ちはわかります。
あくびなどの表情がとても豊かなのもいい。
牛乳は気持ちを落ち着けるカルシウムが入っているため、眠くなることを話しにうまく活かしています。ちなみに砂糖を入れたホットミルクを寝る前に飲むと、歯磨きをしなければなりませんが眠れます。歯を磨きたくないならカモミールティーを飲んで、ラベンダーなどリラックス系オイルを枕元の丸めたティッシュに一滴も垂らしてもいいですね。
結局寝てしまって…起こさない彼も友達も冷たいというか。
白いプリント、にいきなり「ち・び・ハ・ニ・イv」とあごを頭に乗せるスキンシップがなんだか気持ちが明るくなります。
二人きりで…この後ろから覆うような体勢はかなり過激な…
いきなり「おれおまえのこと本気だから」にはびっくりしました。
返事ができなかった、時間がたってから素直に喜んで、にやけているのが…ちょっともったいない気もします。
翌朝またいつもどおりの彼を見たら、昨日の言葉も冗談に思えてしまうのは仕方ないですね…といっても、じゃあどうすればいいのかといっても。
「マイナス思考禁止!」という言葉も印象に残りました。
後片付けをしようとして…「あまやかすからいつまでたってもちっちゃいままなんだあ!!」はなんか爆笑しました。本気に取ってもらえないのもこれじゃ自業自得だ、十分こっちもガキだよ…
届かないのを抱えあげられて、これは見ていて変にどきどきします。いいなあこういうの。
どきどきしている彼女の表情もすごくかわいいですし。
それがこんなところに逆流して…「大ッキライ!!」という言葉が出て…うわ、それを本気にするやつがあるか…すごく欲求不満を感じさせる展開です。
どうしようもない思いをここで丁寧に描写するのもいいです。
「好き」のたった一言がすごく重くて、胸がなんだか切ないです。
ぎゅっと抱きしめる腕、そして…まる聞こえのオチは大爆笑!本当によかった。
すごく面白かったです。これからの成長も楽しみにしています。

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