なかよし2005年11月号感想
今月号は読むのにものすごいエネルギーが必要でした。
受け止めきれないほどのエネルギーは「ちゃお」「りぼん」からも感じています。
これからどうなるのか、とんでもないエネルギーがたまっている気がします。
付録は、消しゴムシャープペンはとても便利でありがたいです。何ヶ月、または一年かけて実用的な文房具セットをフルセットそろえる、というのが一番ですよ。これならキャラクターが強くないですから、連載終了後も使えます。
また、缶ケースが最近多いですね。
頑丈で実用性が高いですが、僕は小さくてもいいから防水性を高くして、ソーイングキットと救急絆創膏を入れられるようにしてほしいです。
王子様のつくりかた(桃雪琴梨)シュガシュガルーン(安野モヨコ) 少女天使みるきゅーと(菊田みちよ)チェリージュース(フクシマハルカ)とき★めか!(武内直子)ママコレ(遠山えま)キッチンのお姫さま(安藤なつみ/小林深雪)二人はプリキュア(上北ふたご/東堂いづみ)きららプリンセス(小鷹ナヲ)ぱにっく×ぱにっく(川村美香)恋愛向上委員会ジューシーフルーツ(有沢遼)地獄少女(永遠幸)予告
王子様のつくりかた
巻頭カラーでいきなり教育上悪い…麗ちゃんの目から見たらすごいシーンでしょうね。
見開きカラーはまるで宝石箱かバラの花園のような華やかさです。
本棚が倒れるのはぞっとしました。皆さんもベッドに寝てみて、その状態で大地震が起きても大丈夫か確認しましょう。
起きたらこの飾りつけは面白いです。
「ハイリさまと話してましたわ」と、それ自体が勘違いなのですが…うまい。
吸血鬼コスプレで確かめにいくのもなんだかほほえましい感じです。
彼も親がいない、だから…
「同時にいたことはいままで一度もない」というのは、誰が誰の変装ネタの基本ですね。今ごろ気づいてどうするよ、というのも。
禅くん、さすがに怒ったときは迫力です。でもなぜ、手の内が剣道の形ではないのか…純くんの罠も彼らしくて、なんかこういう連続攻撃は見ていて楽しいです。
いきなり麗ちゃんと颯月くんでドラマチックな会話になるのもいいギャップです。
ここでのユイリちゃんの、「恋は実るかどうかも〜」という言葉はなんだかじーんと胸が熱くなります。ここでの陽太くんもさすがにカッコいいですね。
そして、いいシーンだと思ったらこのご開帳は…思い切って全部描いちゃったほうが潔いのでは?
入れ替わりにハイリ登場、というのも楽しみな展開ですね。
シュガシュガルーン
こういう話も成長には必要でしょうね。
この女性は本当は相当な年齢だろうな、とはすぐ察していました。
ピエールはどこに行ったのか…幼いころに何があったのか、それはまたしばらく先になりそうです。
ココアでできた砂漠、というのもすごくいいイメージですね。
干しイチジクと黒パン、という質素ですが栄養のある食事もすごく雰囲気があります。
ピスをクズという、というのはちょっと悲しいです。ちょっと前は、そんなピス一つ集めるのにあんな苦労していたのに。
こうして砂を集めながら、浮かぶピエールへの想いはどこに行くのでしょう。
砂のシャワーというのも面白いですね。実際の砂漠では衣服を砂で洗うということはあるそうです。
理不尽な修行を一つ一つ積んでいく、というのも、中国の神仙を含む魔法修行の民話ではよくあることです。民話では大抵、タブーを破ってしまって失敗するものですが。
ロビンが苦手、ってどういうことでしょう。昔つきあっていた、か…どんなだったのでしょうね。
あんなに苦労して集めた黄色がピス一個、それがほんのわずかな…これは再生不能な化石燃料や核分裂燃料を急速に使い果たそうとしている近代文明に対する皮肉でしょうか?
でも、人間界で集めることも難しくなったということは、人間界でも心そのものが減ってきているということ?まあ、『モモ』の時間どろぼうが支配する社会ではハートは取れそうにないです。
洞窟の店でも何か冒険が待っているのでしょうか。
少女天使みるきゅーと
今回の話はどうでしょうか…子供にとってはそんなものかもしれませんが、命の重さはもっとちゃんと描いたほうが…
大丈夫か心配なのはセナちゃんのほうでは?
翼くんの登場は…まあ当然といえば当然ですね。「B−Enpire」の子だったというのも…というかあんな店、普通男の子は恥ずかしがって隠す気が…。
セナちゃんとみうちゃんの過去エピソードも、何か思い出させるようですが、いい話です。
ここで悪魔になれ、という誘惑はうまい。でも…この天の声も、「大切な命のひとつ」という言葉でわかるべきでした。
もし、それが魚ではなく、星司さんや母親だったらどうしていたでしょう。この年齢ではわからないのも無理はないですが…あまりにも…
代償はあくまで自分自身から払うべきだと思います。たとえば失明と引き換えだったら、本当の覚悟かどうか試すこともできるでしょう。
「どんなに大切なものでも」という言葉が、子供にとって持つ意味がどんなものか…恐ろしいですし、なんだか悲しくもなります。
で、せっかく変身したのに空手の技は使わない、というのがちょっと残念ですね。空手にも様々な武器があるので、それを使った華麗なアクションも見たかったのですが。
二人ともあまりにも幼く、命も戦いも軽いことだと捉えているのがむしろ痛々しく感じます。
本当に「戦う」ということが、「命」がどんなことなのか…これからちゃんと伝えてくれればいいのですが。
チェリージュース
本当は、その…きょうだい、という縛りから恋心に対して抵抗感、罪悪感が起きる、というのをもっと丁寧に描いてほしいのですが…
激しいキスはびっくりしました。
なるちゃんの、いきなり「なんかあったわね」から報告の連続攻撃はびっくりしました。三者三様の反応も面白いです。
そして、なぜ南くんが慌てているのでしょう…いきなり現実感がでて、さっきのキスのショックも冷静に思い出してしまってパニックに?
大事なお話、それがいきない「一個くらいオレがもらっても」になるのは…なんというか、話を引き伸ばすために無理な展開をつけている気もします。ストーリーだけを考えれば、もうまとめに入ってもいいのですが。
次の日の乙女ちゃんがキスで頭がいっぱいになっているのが伝わってきて、こっちもどぎまぎしちゃいますね。
「キョーダイであんなのヘンじゃん!」というのを、もっとはっきりやってほしかったです…でも、それはどうしても非常に淫靡な話になってしまうので、それがフクシマ先生の作風と根本的に合わない…セクシーな絵が多い作家ですが、逆に色気というか淫靡さ、湿気がまったくないからこそセクシーがいやらしくならずに成功してきたのです…ことはわかっています。
でも、キスをきっかけに一気に進展すると思いきや拒否されて…意外なところから「あたしのこと好きになれば」ときて、どうなるのかな、と不安です。どこまで本気でしょうか、そっちに進むのでしょうか?
で、周くんも…冷静に考えると周くんが乙女ちゃんを裏切ったんですよね。でも乙女ちゃんが周くんを振った、というのが事実なのは明らかです。
この自転車のシーンはすごく、心の微妙なひだが描かれていて胸がきゅうっとします。
それで…いきなりのキスには凍りました。考えてみるとムチャクチャです、こんな無理やりなキスで想いを奪えるはずはない…人は物ではないのですから。
結構どろどろするのでしょうか?
とき☆めか!
ああ、目がちかちかする…
で、いきなり別れのメッセージ?何?なんか影でとんでもないこと…B級サスペンスアクション映画…がおきていそうなのですが。
というか、あたりまえのように3D画像が出てくる携帯電話…それに各種ロボット…ずっとSFだということに気づいていませんでした。
超声優声、とは誰が前提なのでしょうか。
「人類みなキョーダイ総大親友」ってあまりにも都合のいい…ついでにキリスト教的には正しい…論理ですが、本当にそれを実践する覚悟は彼女にあるのでしょうか。
ずいぶん制限の多い話ですが、その気になれば、情報をうまく処理して行動の無駄を排除すればときめ☆ケアを使わなくても大抵のことはできるようですね。
めっちゃほしい…それはまあ、誰でもほしいですよ。特に大企業は。
ミミィちゃんの家庭も結構複雑なようです…まあ、考えてみると武内先生は『セーラームーン』のときから、セレブの家庭でないキャラはいませんでしたね。その点でもあれって時代の先を行っていました。
いきなりキス話で盛り上がってるのは…でもそこから、星子ちゃんの正体がより出てくるのも…ここから誘拐、そして超技術の脅威とどんどんテンポアップしていく、序破急のリズムはすごくいいです。
あ、誤解なきよう…特殊チタン合金といっても、少なくとも今知られているナイフ素材では硬度は低いです。軽く、錆びず磁気にも反応しないという長所があるので注目されてはいますが。
自己防衛最…ロボット三原則ですね。一気に右納に左納、それに…なんというかすごい…
ミミィちゃんの保護防衛も徹底する、というのはいい判断です。芽歌ちゃんを襲って一時的にでも動けなくして、そこでミミィちゃんを攻撃するという可能性は高いですから。
アクションの華麗さもさすがです。
そして…突然すごいライバルがでてきたようですね。
「C&Cがロボ」とわかったら、芽歌ちゃんもロボットだということはわかりそうなものですが…。
いきなり「アンタとそれ」と…ミミィちゃんはRURの後継者候補、でも相続予定者の星子ちゃんが…ということは星子ちゃんは、もうこの世の人ではないか少なくとも法的には存在していないか…
もしかしたら、星子ちゃんはもうネットワークに記憶と人格をフルコピーしてこの世の肉体と法的な戸籍などは抹消してしまっているのかも。
ミミィちゃんが強かったのは意外で面白い展開でした。
自分がキスされたことよりめかちゃんのほうが大事とは…さすが人類みなキョーダイ総大親友。
ママコレ
やはり扉は毎回パンチラですか…タイトル文字の位置に、教育的配慮と緻密な計算を感じます。DTPじゃなかったらさぞ大変でしょう。
毎日こうしてのぞいているんですね…いきなり兄さんが階段から落ちるのは爆笑。家族はクールキャラでしたが、それが一気にボケキャラと化していますね。
しっかり縛られて逆さ吊りになっている陽介くんもいい味出してます。
「タマの名前はどうやってつけたの?」これは恥ずかしいです!
陽介くんが縛られたままなのもいいですね。
三匹の見分けが、これからしばらくのテーマでしょうか。
オプションは犬猫の場合、首輪ぐらいしかありませんがそういうのもありなんですね。
というかこの店は…なぜ店員がコスプレ…
「二人のベビー」というのはうれしい言葉ですね、多分意識しないで出た言葉でしょうが…というかワリカンですか。
陽介くんが地震ですばやく彼女をかばうのはさすがにカッコイイです。このギャップがいいですね。
みんな混ざってしまったのは…品種が多い犬猫ではなく、ハムスターなどだったら…うわ。
他のみんなの、ベビーと飼い主の絆はうまく描けていました。それがまだないのは、単に時間の問題ですから仕方ないのですが…
で、実際に犬猫でもこういう形で、混じってしまったらどうするのでしょう…そのためにも首輪か、できればICチップ埋め込みが必要なのでしょうね。
違うのがなんとなくわかるシーンは心の動きの強さがよく描けていました。この場合は全部洗ってみれば混じっている白は出てくるのですから、こう高圧的に出る必要はないのに…店員の態度が悪いです。
また超能力が出てしまって、公開の場で…だいじょうぶでしょうか?
キッチンのお姫さま
すごいですね、ここまで徹底的に意地悪役の心理を掘り下げていくなんて。
むしろ、助けてと悲鳴が聞こえそうです。
冒頭の笑顔がすばらしいです!安藤先生の絵のすばらしさは、もう当たり前になってしまっていますけどやはりすごい。
大地くんの照れた対応に、危機感を募らせている茜ちゃん…いい加減あきらめたほうがいいかも…
言い訳で、なぜ空くんも一緒だったといわなかったのやら…まあ言ったところで同じことですが。
というか大地くんも、きっぱり突き放せばいいのに。優柔不断じゃなくて鈍いのでしょうが。
空先輩がそんなことに、それですごく切ない表情をしているナジカちゃんにドキッとします。ここは不思議に、体全体からなんだか色気を感じるようです。
フジタさんは相変わらずですね。「最近のは皮がむいてあって」とヒントをくれるのも。
リボンを直してもらってドキドキする描写もかわいらしかったです。
そして、話とは…まあ多分王子様は大地だよ、でしょうが…
時計は今なら、百円ショップで三百円ぐらいかホームセンターで千円で、まあ使えるのは入手できるのでは?
買ってしまったことに言い訳をしている大地くんが笑えます。むしろ可愛い。
で…人のプレゼントを見るのは…でも悪いとわかっていても抑えきれない、という思いの切なさが伝わってきてたまらないです。
そして、せっかく摂食障害が治ったのに…こういう邪悪な部分が残ってしまっているのが残念で、なんだか悲しいです。
でも憎悪に満たされていくところの描写はすごくよくできています。
空くんがいなくなって、それでバランスを取り戻すことができるのか…心配です。なんとか茜ちゃんが自力で立ち直ってくれればいいのですが。
ふたりはプリキュアMaxHeart
ごきげんですね。こういう表情の強さも上北先生の魅力です。
親友同士でも進学、就職、結婚で…この妙にリアルな話には驚きました。もちろん結婚後も仲のいい友達というのはいますが。
この夢はとても夢らしくて面白いですね。
でも実際、藤P先輩とうまくいったら…恋と友情、ついでにプリキュアとしての使命…そんなのキレイに忘れていましたが…どれを優先するのでしょうか。
きららプリンセス
ますますドラマチックになってきました。アリエルの歌の力もすごく力強くて、素敵です。
完成された印象の白雪姫とは違い、未完成ながら情熱的なエネルギーがガンガン伝わってきます。
レイが自分からどこかに去ったのであったら絶望的ですが、さらわれたのならまだ希望はある…でも、誰かに…アリエル、または王に直接…協力を頼むか武器を調達してから行ったほうがよかったですね。
王子様、というのが「会話することさえゆるされない天上人」と、それを実感させる力がこのシーンにあるのがすごいです。
読者は自分もプリンセスのような気分で、それでいて自分が平民であることを忘れたままきららちゃんと同化していたでしょう。でも…この言葉、シーンの一気に現実を突きつける力が、すごいショックになるでしょうね。
きららちゃんのショックも丁寧に描いているのがまたすばらしい。
「おまえに好かれたって王子はさぞ迷惑だろうよ!」という言葉の、完全な闇バックの効果もすごいです。
アースラの迫力がすごい分、さらにアリエルの歌の力も強く響き渡ってきます。
なんだかしびれてきましたよ。想像以上の作家、作品です。なかよしもとんでもない拾いものをしましたね、小鷹先生だけでも。
ぱにっく×ぱにっく
川村先生らしくとても楽しい作品でしたが、「タイホしてみ〜な!」のようなパワーが感じきれなかったのが残念です。
魔物だらけになってしまったのは…本当はキングの『霧(『闇の展覧会〜霧〜』ハヤカワ文庫)』のような、阿鼻叫喚地獄絵図なのでしょうが。
すぐ大神くんを探さずにミーコちゃんを信用したのは失敗でしたね。
でもここで男を見せる大神くんはカッコイイです。
この結婚式の迫力はさすがですね。
「どっちをやめてほしいの?」というツッコミ…いまだに恋心がちゃんと育っていない…
ひっぱたいて、十字架を媒体に気持ちを通じ合わせるシーンはまあパターンといえばそうですが、すごく心を打つものがありました。
この呪文は…二人が手を組んで唱えているのは「オン・ア?・ボ・キャ・バ・リタ・マ・ウン?」、ハートの上に書かれているのが右列「ウン・キリーク・イー・マン・モウ・ユ」中「ビー?・ア・マ・ギャク・ウン・ア」左「キリーク・ア・マ・ギャク・ウン・バク」…ちょっとわかりませんでした。
結構あっけない終わり方で、魔物のほうの心情背景がなかったのも残念です。ミーコや大神くんは封じられもせず普通に暮らしているんですね。
恋の告白までいかず「仲よくしてみないか?」ですませるのがなんだか可愛いです。
次回作は、川村先生らしさを大事にしながらちゃんと壁を破って、本当にいい作品を出してほしいですね。難しいですが。
恋愛向上委員会ジューシーフルーツ
そんな感じなんですね。もうふ〜んという感じ…ああ、枯れてます。
すごくかっこいい男の子たちのエピソードの乱舞も面白いです。
地獄少女
永遠先生の本誌連載はすごくうれしいですし、こちらの方面でもその実力はよく出ているのですが…永遠先生には関係ないことですが、この作品のコンセプト自体すごく不快です。
今回の話は非常にリアリティがある状況でした。だからこそ、地獄少女に頼ることなくそこから自力で抜け出すやり方を描かなけば、読者には絶望と偽りの勧善懲悪の快感しか残りません!
僕は、子供に向けた「なかよし」(もちろん「ちゃお」「りぼん」も)の作品は、あくまで光の側のメッセージを伝えてほしいのです。「光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった(ヨハネによる福音書1-5)」でなければ…軽薄な性、暴力描写以上に絶望は許せないですよ。
冒頭は、万引きや痴漢という犯罪の非常に怖い面も描いていますね。犯行を証明するのが難しい分、冤罪をかけられたとき無実を実証するのも難しいです。そして、犯行の証明が難しいために「疑わしきは罰せず」の法理が否定されているから、疑われただけでも致命的な社会的被害を蒙ることになりかねないのです。だからといって従来のように放置するのが正しいのか、というと被害者のことを考えると難しい…。
この場合は、ここではCDに手を触れていないのですから、警察に訴えて指紋鑑定をすれば解決していたのですが、そこまでこの急場に頭が回ることはまずない…「そこまで頭が回らない」の積み重ねというか、頭を使うこと自体が先手先手を打って封じ込められている…そう分析しながら、キーボードを叩き壊したくて仕方ありません。
まさにこれは悪魔ですね。恩を売っておいて、ちょっとしたことから…深いレベルから支配していく…あまりの巧妙さに吐き気がします。
それらをきっちり描いている永遠先生の表現力はさすがなのですが。
ここで、何があったのか万引きの件から全部親に言えばよかったのですが…それができない、親子で深いレベルの信頼がなかったのが最大の悲劇なのでしょう。
友達が助けの手を差し伸べても、万引きの件を言うことができない…でも、それで彼女を責めるのは酷なのです。脅迫され、支配されている人間は蛇ににらまれたカエルのような、恐怖で思考が麻痺し、正しい解決策から自分から遠ざかる…そして疑われることぐらい大したことがない、というまともな現実認識、価値の順位づけができなくなり、疑われたことがばらされるという軽いことが生き死にの問題になってしまう…腹が立つのが、それさえ無意識かどうかわかりませんが、早瀬が誘導していることなのです。
人間には家畜の面もありますから、一度心に鎖をつけられてしまうとそれから逃げようともしなくなる…逆に人間は家畜として誰かに飼いならされてきたのではなく、自ら家畜のように進化してきたのですから飼う側でもあり、人に鎖をつける術も本能としていうなればプリインストールされています。悪魔の力ですが。
早瀬が邪悪さをむき出しにしたときに、なぜ他になにも…「きっとやってないっていってもだれも信じてくれない いうこときかないとばらされる」という、特に前者は妄想に近い考えに縛られてしまうのか…そう縛るように考え方自体を早瀬に制御されてしまっており、しかも自分が制御されていることにも気がつかないように制御されている…人間なんてみんな地獄に落ちちまえ!
冗談抜きに、ブラック・エンジェルズとして早瀬を地獄に落としたくなりました。
さらに「一生苦しめられる」となってしまう、そこまで恐怖を自分で増幅させて…実際にはすぐ早瀬は飽きるでしょうし、長くても卒業までですが…それで自殺まで追い詰められるのも、めちゃくちゃに見えますがあまりにもリアルな心理で…でも僕だったら、そこまで追い詰められたら殺すことを選びますが。殺して全てを公表して自殺することを選んでほしかったですね、そういう脅迫者に対する抑止になりますから。ちょうど見た目が派手で毒のある虫やカエルが、一匹が食われることによって種仲間を助けるように。
まあ、実際には殺さなくても手足の一本も折ってばらしたら殺すと脅せばばらす勇気など早瀬にはないですが。
そして、何の解決策も示さず、被害者を地獄に落とすなんて!あまりの残酷さに暴れたくなります。
自分が地獄に落ちるとわかっている…それがどれほど悲惨なことかも、考えたくありません。
確かにまりちゃんは弱いです。でも、それは人間であるだけです…誰にだってそういう弱さはあります。あのような巧妙な悪魔にからめとられて、何人がその支配から脱することができるでしょうか。
というか、なぜ地獄少女に頼らなくてもこの生き地獄から脱出する、簡単な術を示してくれなかったのでしょう!それが悔しくて悲しくて…全部ぶち壊してやりたいぐらいです。
できればまりちゃんに、『鬼平犯科帳』の『殺しの波紋』を読んでほしかったです。ちょっとしたことを隠すのにこだわって、小さな立場を守ろうとしてより大切なことを忘れては、人間としての尊厳を失ってはいけない…一番大事なのは人間としての尊厳なんだ、どうなっても悪魔に支配されちゃいけない!
そして誰か信頼できる人さえいれば…名古屋の五千万恐喝事件も、ただ一人意外なところに真人間がいただけで急転直下解決したのだから…
死ぬ力があるなら、死んだつもりで何があったか全部家族とみんなの前で叫べんでもいい…『殺しの波紋』の富田達五郎が、
いま、富田達五郎は、坂道を下へ走りはじめた車輪のように、
「とめようとしても、とまらぬ……」
自分を、どうしようもない。
といっていてもいつだって、切腹の覚悟を決めて平蔵に全てを訴えればすんだように。
死ぬ覚悟をしてしまえば、誰にどう思われようとなんでもないはずです。そして一人でも本当に信用できる人がいれば…
しかし、本当にもうどうしようもないのか…あまりに救いがなさすぎます!最悪ですよ。
来月号は花森先生の新連載、これでベストメンバーがそろった感があります。
でも、これでは増刊で育っているメンバーの出番が当分難しそうで個人的には辛いです。
本誌枠がはちきれているような感じもします。