なかよし2008年4月号感想

新聞以外の付録は正直、あまりぴんと来るものがなかったです。特大の消しゴムはマウスパッドとして使えますし、はしごゲームつきのものさしは退屈な授業中遊べそうですが。
この新聞も懐かしい付録ですが、前のときはもっと豪華だったような…作家プロフィールさえありましたもの。

作品は新連載も読みきりも期待以上に面白く、これからの誌面の変化にも期待が持てます。

「なかよし文庫」の誕生は嬉しいニュースです。
最近、X文庫での小説化があまり出てないことをすっかり忘れていました。
ただ遅すぎる気もします…「オレンジポケット」「夢幻伝説タカマガハラ」「B-ウオンテッド」などの傑作が小説化されていたらどんなに素晴らしかったか。できたらオリジナル作品の小説化もどんどんやってほしいものです。

しゅごキャラ!(PEACH-PIT)夢みるエンジェルブルー(白沢まりも)ギリコイ(山田デイジー)ココにいるよ!(遠山えま)AAA(フクシマハルカ)小川とゆかいな斉藤たち(茶匡)マジカルダンス!(小鷹ナヲ)月光ヒメジオン(安野モヨコ)Yes!プリキュア5(上北ふたご/東堂いづみ)桜の咲くまえに(瀬田ハルヒ)かみちゃまかりんchu(コゲどんぼ)キッチンのお姫さま(安藤なつみ/小林深雪)地獄少女(永遠幸)予告

しゅごキャラ!
二本立て+四コマとは贅沢ですね。もう「なかよし」自体、とっくにこの作品の時代だったと判断したほうがよさそうです。
僕はコタツはもう十年ぐらい使っていないと思います。キャラたちがすぐ隠れてしまったのも苦笑します。
冬休みの校庭って…入っていいのでしょうか?そのあたりのルールは、少なくとも僕には知らされていません。
イースターの裏が少し見えてきたようです。想像以上に不快感を与えます。
なでしこ再登場は前の話で暗示されていましたが、やはり嬉しいです。
女装でここまできれいな人が男に戻ると、恐ろしいぐらいですね。
まあ戦線復帰は嬉しいです。
今キャラが使えない、というのも気になりますね。
イクト側の緊迫感とのんびりした雪遊び、そして生徒会側、と三方向で話が動くのもうまいです。
いきなりあむちゃんと再会し、あむちゃんはそのまま「なでしことふたご」と…それを利用してJチェアを押しつけるのは爆笑。そして今更言えなくなる…ぎゃはははは。
寝ようとしたらいきなりイクトも笑えました。

「ただのヘンタイ」というのも、まあ自業自得です。本来は、女装時代の友人とは二度と会わないほうがいいのかもしれません。過酷すぎるかもしれませんが。
「基本男にはきびしいよ」という別のキャラが面白いです。そして…Jの義務、これってなんの…
三条くんが「だれかにこき使われるのになれていた」というのも思い出して苦笑します。
そして引き受けると見せて逆襲する、結構強いキャラですね。
キャラ持ちのパターンというのも面白いです。僕に足りないものは…どんなキャラでしょうか?
キャラが使えなくなった理由はそういうことでしたか。
もう一つのたまごもいろいろ気になりますね。
で「おもしろ半分に女装のこといわれるのキライ」で…爆笑。かなり強烈なキャラになって戻ってきましたね。

夢みるエンジェルブルー
ふふふ、面白いことになってきました。前後篇じゃなくてもう連載ですが。
服を真似してしまう、というのも面白い問題です。あこがれる人を真似するのは人間にとっては当然ですが、特にここまで近いとそれが、真似られるほうはうっとうしいし、真似るほうも辛いでしょうね。
青磁くんの存在がプレッシャーになるところはすごく圧迫感が伝わってきます。
「ノルマ減ってちょうどいいでしょ」という言葉もどれほど痛いか。
なにがいけないか…読み返しても類似性がわからない、というのが我ながら頭痛がします。どこまでセンスがないのやら。
葵先輩にも相談できない、そう追い詰められたところで、別の人が苦しんでいるのを見て…今回はその使い方がとてもうまいです。
亜美ちゃんの苦しみもすごく伝わってきます。
それで自分も真似をしていたことに気づいてしまう、というのもよく伝わってきました。
そして原点に戻る、というのも素敵でした。
店に案内し、葵先輩がメイクして、というのももう黄金パターンですがまたよし。
「自分のことしって」という言葉は…本当は意識したほうがいいのかも。でも、僕のキャラには「おしゃれに関心がない」があまりに強く染みついています。
洋子ちゃんへの素直な言葉もすごかったです。洋子ちゃんもすごく素敵な人ですね。
次は六月号ですか、単行本も出ますし、すっかり連載としても軌道に乗ってきましたね。

ギリコイ
やはり本誌連載は夢みたいです!
一人だけ中学が違うとしたら…好きな人がいなくていじめられていればむしろ嬉しいかもしれません。
「特別なときにしかこえられなかった川のむこうがわ」というのもなんだかわかりますね。小学生の行動範囲の狭さは驚くほどです。というか今に至るも、住んでいるところの周囲はごく狭い範囲しか知らないものです。
誰も知らない学校での孤独感が強く伝わってきて、そしてこの大声!すごくカッコいい子でもあるんですね。
「その正義の心を持ちつづけておくれ」というのは思わず笑ってしまいました。
本当に全然知っている人がいない…そのきつさもすごく僕自身の経験も思い出して辛くなってしまいます。
「どうしたらできるんだっけ?友だちって」という言葉も…目が痛くなります。僕は最初から知りませんでしたし…
王子さま、と呼ばれてしまうのもすごく面白いです。
というか大声でいろいろ言われて照れているのか、それとも抱きしめられてびっくりしているのかどちらなんでしょうね。
なんとなくフルネーム、というのも面白いです。
ちゃんとクラスに溶け込めている、その楽しさがうまく描写されている…その中でさりげなく、髪の長いウェーブの女の子が背景として出てくるのが読み返すとうまい!の一言。
サッカーシーンの迫力も、サッカーの迫力ではなく「陸」の人間的な迫力をよく出していますね。
名前で呼び合うようになってしまって…あ、ここで真央ちゃんが何部に入ったのか描写がないのが少し残念。
名前を呼ばれて嬉しくて布団に突っ伏すところもすごく可愛い!
カキ氷の罰ゲームもなんだか楽しそうです。
携帯電話がこんなふうに使われるとは…すごくふわっとした感じの描写で、だからこそ痛みがすごく伝わってくる…たまりませんね。
最初から失恋して、次からどう展開するのでしょう…

ココにいるよ!
ブログから消えるなら…どうしようもない事情ができた、とするというのは?
たとえば「親に受験に専念するためインターネット完全永久禁止を告げられた」「経済的な事情でネット接続が不可能になった」など。
それを、代理人が告げる形にすれば余計確かです。「大変お世話になりました、KUROウサギの母です。諸事情あって本人はネットからいなくなります。感謝しております」でも…
それは嘘をいえない彼の人格かもしれませんが。
このショックの描写もさすがですね。
メールアドレスや携帯電話番号も交換していないのでは…もちろんその交換は非常に危険な行為ですが。
ひかげちゃんがすごく悲しんでいるのを目だけで表現するのはうまいです。
しかし日向くん、この罪悪感は強烈でしょうね。
それで本人に彼を探せ、って…「いいよ」って、それは余計に人を傷つけると思います。
で…メガPIGのほうは、当然すぐ察してしかるべきでは?
輝の言葉は正論ですが、というか彼はどこまで何を知っているのやら。わかりにくい人です。
「でも…隅野さんはここに」…この一言を言うために、長い時間付き合ったのでしょうか。時間が癒すと計算済みで。だとしたら結構邪悪かも。
大声でのメッセージ、聞いている本人もさぞ辛いでしょうね。
僕もネットの中ではそれなりに別れを経験しています。
「悲しいとき一人でいると痛みでおしつぶされて」という言葉が痛いですね…まさにそうです。
そして、やっと疑念?まったくもう…うう。それにしても目の演技がうまいです。

AAA
「ちゃお」「りぼん」はこれと同じようなストーリー紹介だらけだったような。
生徒に学校の木を題材に俳句を詠ませるとは素晴らしい!さすがに最高レベル。
相合傘の伝説は当然あるでしょうね。先生の態度は読み返すと頭痛くなります。
特大の相合傘はコケました。
「トーゼンとなりの生徒」…悪徳中が多くの冤罪を負わされているのでは、と頭が痛くなりました。
フェンスの中に木があるというのも風流でいいです。
黒田くんの登場は相変わらず派手。
それでなぜ裸踊り…というか男は裸踊りしても大したことはないのですが、女は裸踊りがダメージになるんですが…いや、それは偏見で、男子も結構羞恥心は強いかも。
それでまた脅迫呼び出し…一々下着を見せなくても…
習字の授業も書道部もないからうちの学校ではありえない…これには笑うしかないです。完全に勝負はついていますね。
秀徳へ侵入するとか、楽しみたくてやっているんでしょう。
それでさりげなく手をつなぐ、というのも気持ちいいです。
裸踊り決定、と思ったら、ただネクタイを引き寄せて「じゃあぬいでもらおっか」がやりたかっただけのような気がします。
女子一同も男子一同も素直で、学校と身分の差を越えた団結が心地いいです。
真犯人は爆笑しました。
唇にとまった桜の花びらをとるというのもすごいシーンです。
それを見られての急展開って一体…
今回の話は、秀徳側の嫌な部分をもっと出す事もできたと思います。それをしないのは…この作品が恋愛重視ということなのでしょうか。そのほうがいいですよ。

小川とゆかいな斎藤たち
食べ物の恨みは恐ろしいですね。
平和ならいいじゃないですか、いつもどんな目にあっていると?懲りるという言葉を知らない人ですね、なかよし編集部並みに。
荷物を持つ持たないは、今の子供にとっては内心があるから結構厄介ですね。
そして…これはもう職に関わる話ですよ。
「わたしがなくしたかもしれない」と、そっちに追い詰める小川さんの精神支配能力、一つ間違えると地獄少女を呼ばれてしまいそうです。
そして自分が持っていたことに気づいて…この策略は見事としかいいようがないです。
「一人よか四人のほうが効率いい」というのはなんだか気持ちいいですね。
テスト答案が盗まれたという話にするとは…ある意味天才ですね。
「それに対しての怒りはないのか」という言葉、なんだか痛くなります。人を怨まないでいられるのってそれはそれで強さなのですが…
そして最後の最後での成田のミス、ここでファイルを焼却炉か絶対永久に見つからない隙間に放り込めば正解だったんですよ。先生も懲戒…厳重注意程度でしょうが将来の出世、ボーナスなどのダメージは大きく、その恨みを小川さんにぶつけるでしょう。
そして小川さんは答案泥棒の疑いを晴らすことは永遠にできません。犯人だという証拠を見つけられるより唯一の容疑者として疑われ続けられるほうが苦しみは大きいです。
顔面ケーキ人間というのは、そういうどうしようもない罠を動かさないためでしょうね。
それで食べ物の恨み暴走で片付けることで、かなり陰湿さを弱める効果はあります…ドリフの落ちのようなものですね。

マジカルダンス!!
期待以上に素晴らしい作品です。
第一回から読んでいて激しい痛みを感じましたし、それが続かずに今回だけでまとめているのもありがたいです。この痛みのまま来月号に続かれたら大変でした。
服自体はかなり露出度が高いしスタイルもすごくいいのですが、すごくさわやかな絵柄なので印象はいいです。
カラー扉からごく自然にミッキーとティンクがいるのもなんというかすごい。
最初から迫力のあるダンスシーン、それが一人の少女の夢をかきたてる瞬間がすごくわかります。
下手なのは伝わってきますが、その理由が描かれていないのは…それはこれからでしょうか?
学校対抗、というのは全員で?
カイくんの乱暴な優しさは素敵です。
ユウナとカイのダンスの上手さも、躍動感ではなく不安定な止め絵でよく伝わってきます。
そして努力はしているのに、この言葉…あまりに残酷です。
彼女は学校全体でも図抜けて下手なのでしょうか?それともカイが彼女に優しくしたから嫉妬して?または集団が必要とする、つつき順最低の存在なのでしょうか?
宣告されたとき一瞬目に浮かぶ呆然とするほどの絶望…それを笑顔で押し隠す…僕もこんな経験を何度しているか。
なぜ彼女は練習してもだめなのでしょう。どれほどその自問自答をしているか。
ここでティンカー・ベルの出現には驚きました。そして突然渡されたカード、これにそれほど驚いていないのは…この世界では「ダンスとドリームステージがきわめてメジャーな存在」「ディズニーキャラが普通に存在している」のでしょうか?
学校のみんなは「足手まとい」と馬鹿にしている子と、彼女の味方の友達がいる?
公園で一人で練習する気にはなれない、というのはなんだかわかります。
小さい子に「あたしにはもうムリだけど」という痛み…これも痛いほど分かります。
だからこそ「ヘタクソなやつはダンスをやっちゃいけないんでちゅよ」には、全身の血が胸に集中するような凄まじい怒りを感じます。じゃあてめーらはこの子の頃から上手かったのかよ…というか地獄に落ちろ。
というより、なぜ公園を誰が使うか幼児相手にうまく折り合いをつけられないのでしょう。こいつら正気だろうか?という気持ちのほうが大きいです。
ダンスで勝負しようとしたら相手がものすごくうまい、というのは全身を打ちのめされたような感じがします。
その絶望で心が折れた瞬間、ティンクがカードを…ここで変身してものすごくダンスが上手くなるのか、と一瞬想像しましたが、それ以上でしたね。
やはりミッキーって最強のキャラクターです!登場しただけで血を噴き出していた心が一気に笑顔になりました。
そしてミッキーのわけの分からない行動、そして楽しさがごく自然にダンスに変わる…そして笑顔が伝わってくる、最高です。
見ていたカイの微笑みも素敵ですね。普段から彼は彼女が楽しそうに踊っているのが好きだった、というのがあったら嬉しいのですが。
技術的にはどうすれば進歩できるのかも気になりますが…とにかくすごく素敵なメッセージでした。
やはり素晴らしい作家ですよ。今度はしっかり本誌に定着して欲しいですね。

月光ヒメジオン
やはり難解な作品です。
一人欠けても機能しないチームは産業としては間違えていますが…ある朝、誰が事故死しても問題なく機能できるチーム、というのは逆に言えば…なんというか、人間性を排除しすぎた感じもします。
「客は券とってずっと楽しみに〜」というのも正しい言葉ではありますね。
行動しろ、という凍の言葉は彼女のことを彼なりに考えてでしょうか?それとも人形同然のヒメノに対する怒り?
駆け出すヒメノの感情はすごく幼い感じがします。ユキサミや蜉蝣丸の反応と比べるのは…人の言葉を、言葉を発した人と切り離して論理的に検討する力がない?
いきなり「つかまえた」ってキス体勢なのがすごいですね。
「この街は何なんだ」と、世界そのものに対する疑いを抱かせた、その次に捕われた蜉蝣丸を出してくるのがうまいです。
そして蜉蝣丸が釈放されたのは、凍を売ることに同意したからでしょうか?蜉蝣丸には凍をかばう必要は何もありません。
それにしても…今僕がいる「この世界」も、客観的に見ればおかしいことだらけなのでしょうね。

Yes!プリキュア5GOGO!
ちょっと今回、前回あらすじがむしろ邪魔です。
冷たいココの態度、なぜシロップがここまでココを嫌うのか…謎が多いですね。
ココの教師復帰も脈絡がなかったような。
それまで冷たかったココが激しく怒りを叫んだのが…というか図書館を荒らすな!
のぞみちゃんを危険な目に遭わせたくない、でもどうしようもない…運命を呪うほかない…
でも、戦いで…のぞみちゃんたちの、肉体が傷つくだけでしょうか?
死や身体・精神障害を負う危険…そして、「戦い」である以上、たとえば…勝利のためには無辜無力な女子供を虐殺しなければならないことにはならないのでしょうか?
その場合の傷は想像以上でしょう…前の戦いでも、邪悪とされることをやらなければならなかったことはなかったのでしょうか。

桜の咲くまえに
 ずっと一緒だったアイツと、中学を卒業したらはなればなれになるなんて…いつも柚流くんへの告白を、幼馴染ということで取り持っている紗弓ちゃん。でも別のところではつき合っているという噂もあり。
 本当はずっと前から手紙をしたためているけれど、やはり渡せない…でいたら、その手紙をいつものか、と彼に取られてしまった。差出人を書き忘れていたことに複雑な思いだが…そして彼は、もうとりもちはしなくていい、と。
 そんなとき、もう一度渡したい、という女の子の強い頼みに心を動かされるが、彼は相変わらず冷たく、その手紙も握りつぶしてしまった。
 手紙を託した子に、潰された手紙を見られて非難され、つい偽悪的なことを言ってしまうが…
 正統派のテンプレートでありつつ血が流れる切れ味で描いた、かなり強烈な作品。
制服が妙にとある作品を思い出させますが…とにかく前に比べて大幅に絵がよくなっています。
ずっと一緒にいた人と離れ離れになる…思い出すと痛みというか疲労感のようなものを感じます。
いつもラブレター受付になっている、というのも辛い立場ですね。
なぜそんな立場になったのか、というのをさっぱりと略しているのもいろいろ想像の余地があって面白いです。
つき合っているという噂への反応がまた強烈。こういう崩し方が大胆なのも読んでいて面白いです。
頭を叩かれたことの余韻で赤くなる表情がすごく素敵です。
「さみしいけど一人で」で真っ赤になったり、真っ赤になりっぱなしですね。
さんざんからかって、「告白すれば」と…いい友達ですね。
ずっと前からのラブレターというのも切ないです。
遅刻しかけて手をつないで走る、というのも…別れを思えばいい思い出です。
またいつものか、と自分のラブレターをとられてしまう、それで差出人がない、というのは読み返してみるとなんだか切ないです。というか…読み返して思えば、分かっているんですから抱きしめればいいのでは?
誰ともつき合わなかった、というので…皆も含めて二つのことを疑わなかったのでしょうか。ひとつは同性愛、もう一つはもちろん紗弓ちゃん…こちらは疑われているようですが。
「恋の相談なら」という表情、すごく切なくて素敵です。それを言われた彼がどんな想いだか…
一度ふられた女の子の必死の願い、彼女の存在がこの作品をすごく複雑で面白いものにしています。
深く必死で頭を下げる態度、でも…だったらなぜ直接気持ちをぶつけないのか、いや、それをするには気持ちが大きすぎて?
それで「さいごの郵便」というのがどうしようもないすれ違いになってしまっていますね。
「この子泣いてたんだよ」と、それほど強い気持ちでこの手紙を押しつけた…それには嘘はないです。あと「オレが返してくる」という言葉にはせめてもの誠意も感じます。
握りつぶされてしまった手紙に、さっきの子が怒りをぶつけるのは…すごく悲しくなります。
彼女に、手紙を受け取るよう怒った紗弓ちゃんの姿を見せたいですよ。
けれども…やはり失恋には違いない以上、悲しみを怒りに変えてしまうのもわかります。
友だちで集まるとこういうことになるのは、人間自体に対する怒りになりますけど。
というか、二度目の手紙を渡した子自身は何も言っていませんね。その友だちが勝手に怒っているだけです。結局…その二度目の手紙を渡した子は救われないままですね…それがなんとも痛いです。
その暴言に、呆然としながら…なぜこんな、自分を悪者にするような言葉を…なんというかどうしようもなく悲しいです。
あまりにもめちゃくちゃな言動ですが、なんか分かる気がするんですよ…僕の中学卒業の頃もこれよりめちゃくちゃでした。
ここで柚流くんの反応…「字見りゃわかるわ」というのは盲点でした。
逃げるしかないのも分かります。
そして「返事なんてわかってるし」と泣きじゃくる彼女に、始めて…自分は好かれていないと彼女が思い込んでいる、とわかった…この、彼の認識の変化もよく描かれています。彼の側から読み返しても、この話はしっかりわかるのがいいですね。
告白してキスするしかない、というのも…でもこの二人はいちゃいちゃしてますけど、結局二度目の手紙を渡したあの子のフォローがなかったのが残念です。
そういう部分も含めて、とても複雑でよく作られていると思います。思春期の感情の疾風怒濤が実に良く思い出されます。

かみちゃまかりんchu
やはりミッチー…本当に死んでいる?目を開けたままというのが苦しいです。
そして口に隠した指環を和音に、死んでまで…
神くんもまだ戦い続けているんですね。
そして和音くんも変身し…「神化用に作られた人造人間」であることを肯定できる、というのが力を入れましたね。
ミッチーを助けるのに失敗し…そして神くんの叫び、これは…当然のようにも思えましたが、そうではなく…攻撃させないために烏丸教授が?
未来の花鈴ちゃんの示す解決策とは?
そして今度こそ本当に終わりでしょうか?

キッチンのお姫さま
一気にドラマチックになってきました。
小説版の発売も嬉しいです。
星夜くんは確かに小さい頃、一方的ではあったけれど知っている、でもプリンのことは覚えていない…水野くんの味なのに…でも水野くんがバカでよかったです。その誤解を利用しようとしなかったのは。
アルバムを見ている大地の「父さん」という声…始めてこの二人が親子として向き合っているような気がします。
自殺、だったらそれは家族にとっても深い傷になる…ナジカちゃんがそう思うのは当然でしょう。
「おまえが大人になったらちゃんと話す」というのも…ここは親としての人情を感じます。
背を向けた、その手に演技をさせている…香りから記憶がよみがえる、というのもこの作品全体の雰囲気によく合っています。
ドリアを無理やり入れたのは苦笑しますが、理解はできます。
庭から出てはいけない…「お父さんも仕事おわって」という言葉を読み返すと、父親もすごく罪悪感感じているだろうな…という気がします。
ダメといわれるとやってしまうのは仕方がないですね。
風が吹いて材木が倒れる、というのは工事側のミスです。法的には…不法侵入に対し賠償を取れるかは微妙ですが。
この死を知った瞬間の、恐怖の表情は凄まじかったです。
大地がナジカちゃんに抱きつくのは…本来は父親に抱きつくべきなんでしょうけど。
なぜここにいてやらないのか、というか父親は、ナジカちゃんにはここにいて欲しくなかったのでは?多忙ゆえ…ですか。
ナジカちゃんにはこの親子を救えるのか…かなり重い課題になってきました。

地獄少女
今回もまた…いや、もしかして…僕が読み違えているのかもしれません。
もしかしたら、作家側は今回を、そしてこれまでの話の多くもハッピーエンドだと思っているのでは?
これまでの、地獄落ちは決定したけれど邪悪の束縛も消えたし成功の気配も見えてきたし、これからは前向きに生きよう、というのがハッピーエンドだ、とでも?
それは地獄、霊そのものに対するものすごい侮辱です。
僕は基本的には霊を信じていません。でも霊があるとしたら、という思考法もできます…霊があるとしたら、霊的なものは尊敬すべきです。そして地獄は完全な絶望です。この世でどんなに前向きに生き、どんなに幸せになっても…富と名誉と地位の大成功でも一人の人間としてのささやかで深い幸せでも、地獄行きと比べればどちらも一片の価値もありません。
それとも…シリーズ全体の一番最後で、これまで地獄行き決定とされた依頼者も、同情の余地がある人は救われるというどんでん返しが用意されているのでしょうか?
だとしたら、それはそれで霊そのものを侮辱しています。地獄の意味を理解していて、覚悟して自由意志で糸を引いた少数の依頼者も。
霊は軽蔑していい、この人生を精一杯生きるべきだ…僕はそれが正しいメッセージだとは断じて認めません。
霊は存在しない、だからこの人生を正しく精一杯生きるべきだ、というのは正しいです。
霊は存在する、だからこの人生は正しく精一杯生きるべきだ、というのも「霊が存在する」という前提を入れれば正しいです。特に『教会教義学(カール・バルト)』では徹底的に、この生は神に与えられ、生きるよう命じられた恵みであり戒めである、だから誰もが精一杯生きる義務がある、と強調していました。
で、本編ですが…いじめられている子の傷はうまく描けています。その状態にあれば、確かに転校はチャンスですね。これまで残酷だと思っていた転勤なども、それに救われた子も多くいたのかもしれません。
「小説の中には仲間とか友情とかが」というのもわかります。僕も、少なくとも僕にとって友情や恋愛は、魔法や超能力と同じ漫画の世界のものだと思っていますから。
「がんばるんだ」というメインテーマがしっかりしているのはいいです。
きれいな子となかよくなって、うまく行きそうだと思わせて…これは相変わらずうまい。
小説を読むことが今の子にとってはすごく危険な行動だ、というのはぞっとします。でも昔の子が小説を読んでいたのも、単に…今の子がおしゃれしなければついていけないのと同じだったのでしょうか?
これがきっかけで杉崎くんと知り合い、そのまま彼の小説を読みたい、という話になる…ここは正統派ラブコメになりそうな感じすらします。
勉強が夏用おしゃれ、というのはかなり怒りを感じました。あのなあ!この世界にはどれほどたくさん学ぶべきことがあると思ってるんだ!少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず、と。
「協力してくれない?」というのもまた重い…
「自分の好きな本がまんしてまで」というのも…僕は正直そう思いますが、それは僕も社会から心を切り離しているからですよね。
そして…いきなり始まるいじめ、嫉妬の怖さ…小説の秘密も利用して、…さらにノートを破り、屋上から突き落とそうと、ここまでエスカレートするとは…
でも、それは…人間の世界で解決すべきことでした。確かにかれんちゃんは邪悪ですが…これまでの多くの話のように、人間にはこの支配から逃れることは無理だろう、というレベルではないです。
杉崎くんの反応でいじめが収まった…そう、殺す必要は全くなかったんです。
今回は完全に…依頼者があまりに大きな過ちを犯しました。仮に自分の手で殺していたとして想像してください…必要のない殺人に弁護の余地はないです。
というか、依頼者と地獄少女の会話は前回もありました。これからはそれに重心が移るのでしょうか。

予告にはもちろん腰を抜かしました。

花森先生…もしご覧いただいていたら…とにかく雑音には一切耳を傾けないでください。
手塚治虫、「リボンの騎士」という大巨人との正面対決なんです。雑音に耳を傾ける余裕はどこにもないはず。その巨大すぎる壁にぶつかるだけで精一杯以上のはずです。
ほかを何も考えず、ひたすら原作と向き合い、小宇宙を黄金を超えた神の域にまで高めることに専念してください。
自分がギリシャ悲劇レベルの英雄だと自覚して死力を尽くしてください、こんな試練とチャンスを与えられる漫画家は何人もいないのですから。
何度落としても、ネームを載せても、少なくとも僕は文句は言いません…このように恐ろしい挑戦をしている作家の苦悩ははかりしれないものがあるでしょう。ネットの無責任な声はもちろん、編集や読者の声すら無視して、ひたすら自分の魂と小宇宙だけを信じてください。
予告の文句を見れば「いつもどおり」の花森作品に思えます…でも、それが自分の魂を賭けた武器だと信じるならどうぞご遠慮なく、信じたとおりにやってください。「リボンの騎士」という大横綱がしっかり胸を貸してくれることを信じて、命も捨てて全力でただぶつかってください。
奇跡がなければ…奇跡が起きてもごく一部の人にしか理解されないかもしれません。でも、このリメイクだけは、誰もわかってくれる人がいなくてもひとりよがりでもいい、ただ小宇宙を燃やし尽くすことだけを考えてください。この連載中だけは自分だけのために生き、描いてください。
神との、古典との対決なのです。

目次へ

ホームへ

もえるごみへ