なかよし2008年冬ラブリー感想

今回のメンバーのすばらしさには感動ものでした。
本誌連載番外編が少ないとなんて素晴らしい作家たちが出てこれるのでしょう…

単行本ももっとがんがん出して欲しいです。
それにしても本誌の枠のなさ…を嘆くより今は存分に素晴らしい作家陣の傑作を楽しむとしましょう。

もうひとつのひまわり(遠山えま)メガネ王子(水上航)パパとあたしのヴァーサスな日常(春瀬サク)もう一度v(高上優里子)まもって!メイドさん(カンナ)コイvトモ(栗沢じゅん)ニコニコ☆クラス(茂呂おりえ)ラブvクエスト(ゆみみ)この恋 destiny!(渡辺留衣)ナイショのお姫さま(瀬崎ちか)プレゼント(秋元葉子)若おかみは小学生!(おおうちえいこ/令丈ヒロ子)真冬のイリュージョニスト アンコール!!(美麻りん)陽だまり図書館(水沢友希)迷子のラブレター(伊藤みんご)白い記憶(福月悠人)純恋パーセンテージ(大塚さとみ)

もうひとつのひまわり〜ココにいるよ!番外編
本編では終始謎だったメガPIGさんの正体…というか学校と全く関係ないというのがすごく意外です。もう一方の太陽だとばかり思っていたので。
「死ぬほど屈辱的なんやから」とか、まあメガPIGさんらしくて楽しいです。
特に何もない、漫然としたチャット状態も楽しめたらよさそうですね。
嘘プロフィールは爆笑でした。肝心の年齢は出しませんね。
男一人称なのも楽しいです。
いきなり女の子にぽんと声をかけられる…うらやましい生活です。
モテる人に…あまりの参考にならなさに笑うほかありませんでした。なんとなく、『ここはグリーン・ウッド』の「ゴールに向かって走る、それだけです!」を思い出しましたね…恵まれすぎている人にとっては…
「おまえがデートでもしてくれれば」に黒板消しを投げるとか、この状態でこの三人の関係が固まっているのは実に楽しいものがあります。
二人のアドバイスは確かにアホかとしか言いようがありません。
関西弁だからお笑い…僕も一応ある程度関西弁バイリンガルですが、お笑いは無理です。
「早弁は得意だから」…どう突っ込んでいいやら。
あくまでひよりちゃんが追いかけてくれる、というのも都合のいい恋ですねぇ。
携帯電話に「好きなんや」これは…そりゃ誤解されますね。
なかなか会話できない、とかそのあたりのもどかしさも読んでいて楽しいです。というかうらやましい。
というかそれ全部逐一報告しているんでしょうか、ブログに…はは。
で、二人きりになって「笑ってるほうがにあう」ってもうすごい台詞!
彼女の誤解も心地いいです。
というかここでのひまわりちゃん、ほとんど神。全部見て全部わかって…
笑顔だけで十分だった…「嫁にもらってや?」も爆笑でした。
ラストの毒舌も…結局顔も知らない同士のままのようですが、そのほうがネット仲間らしいですね。

メガネ王子
ますますいろいろなキャラの鬼畜ぶりと、先輩のデレぶりが楽しめるように…。
地獄行きバスというのは僕ら、松本洋子先生の作品を知っている世代にはとても懐かしい言葉です。
冬のスパルタ合宿にこんないい宿を使ってくれるとは贅沢な話です。
同居していて一週間顔を見ていない…「グッドモーニング・コール」でもそんなことよくありましたっけ。
特別講師…受験勉強の中に?確かに親切ですね。
一年からも…単純な男子ならこれだけでやる気出るかも。
二年が一年に教わるというのもあれですが、特に数学などは、できていない子は下の学年からやり直せばいいことが多いです。
問4は倍数の概念がわかっていない、5が確率と組み合わせの概念がわかっていないので。どちらもわかっていれば時間さえかければ解ける問題です…受験向けに短時間で解く技術は別の問題ですよ。
恋なんてわからないとか言っているの、読み返してみると苦笑します。多分、この先を読んでからまた読み返せばもっと鬼畜なんでしょうね。
料理までしてくれるとは…もう女神様ですね。そりゃもう女神様の一顰一笑のためにだって徹夜で勉強しますって。
「メガネかえたんですね」という言葉と、そのさりげないしぐさに込められた感情、かなりすごいシーンでした。
そして遭難ですか…はは。一生というのも数時間になりそうですね。というか実質殺人になりかねないことは理解してやっているのでしょうか。
友哉くんが興奮して飛び出そうとしているのがなんだか燃えます。
「だったらいかないでください」って人命の問題だというのに。まあこういうとき女に理屈は通じませんが。
「好きな気持ちだけはだれにも負けられない」という言葉…なんとなくわかります。好きという気持ちしかない、どうしようもなく…
「あいつや幸に」と、彼女にはまだいろいろわけありのようですけどね。
来てくれたのは友哉くんもですよ?でも二人で動いたのは賢明です。一人だったら二重遭難の恐れが大きいですから。
さて次にどんなことになるやら…ふふ、何かと楽しみです。

パパとあたしのヴァーサスな日常
人気があるようで、単行本や本誌も期待できそうですね。
ちょっと今回は「普通」にしすぎている感じがあります。もっとはじけてもいいと思いますよ。
「おっきな弟」というのはうまく作品の感じを伝えてくれていますね。
それに帰ってきたときの巨大なもみの木、そして「もみの木さん部屋まちがってますよ」という言葉…ここが実に面白いです。
というかこんなものを持って帰るってどんな怪力でしょう。僕でもこれを一人で運ぶのはきついです…台車で搬入するとしても、台車から一人で安全に下ろし、室内に設営する自信はありません。ロープでアシストして背筋力だけでやるとしても…危険が大きすぎます。最低三人は要求します。それだけの質量になると思います。
三人でクリスマスイブを過ごしたことがあるとは。
「夜は帰ってくるんでしょ」という言葉は可愛いです!
宏哉くんは相変わらず影が薄いというか…立場が弱いヒーローです。
てっぺんの星に夢中になるのは昔から同じ、というのも苦笑しました。
いきなり女の子が入ってくるのはびっくりしました。
「ファンの子が入りこんでますよっ!」…まあ彼女にはそう見えますね。全部知ってての確信犯の可能性もありますが。
「めいっ子」は傷つきますよね…爆弾はサッチーナのほうですが?
「一彦おじさんv」は爆笑でした。そりゃ怒りますよね。
「やきもちやいてる子どもみたい」と宏哉くんが指摘するのもある意味容赦ないですね。
ふてくされてる…まあ客観的にはそうですが。
晩飯がこれなのもある意味可愛いです。
「都子の前でした約束」…まあそれをやられると弱いですね。
結局爆弾で脅迫されて…本当に爆弾娘ですね。ここで冷たく交渉できないのはカズヒコの弱さですが…
約束を破られてすねる、ということがこれまでずっとできなかった…そう思うとなんだか腹がすごく重くなります。
ここで「もともといらなかったのに」という言葉が出てしまい、ひっぱたかれる…このシーンの重さはかなり痛みがありました。
どうしたいのかどうしてほしいのかわからない…あまりにも自分自身と切り離されてしまっている、恨みが心と体のあちこちに食い込んで分断されている…なんだかわかる気がします。
ぼくも「どうしたいのかどうしてほしいのかわからない」という点は同じですよ。
というかここで宏哉くんと…またはどうでもいい男子とクリスマス、という発想にならなかったのがちょっと不思議な気もします。
帰ったときのクリスマスツリー、それもてっぺんの星だけがない…ここは泣かせますね。
「都子にあやまってこい」この一言に、都子さんが彼女を産むときにどれほど苦労したかがうかがえてしんみりします。母親にだけは彼女も素直なんですね。
いきなり抱き上げられててっぺんの星を飾るのもすごく素敵なシーンでした。
「シラフでする話じゃねーよ!」というのも爆笑。まったくです。ここは大人らしさが出ましたね。
相変わらず宏哉くんは影が薄いですが…まあこんなクリスマスもありですね。
次回以降、あの爆弾娘がまたいろいろやってくれそうなのも楽しみです。

もう一度v
彼氏の柊(しゅう)はかなりモテるからか、ましろちゃんは付き合っていることをなんとなくクラスで秘密にしている。
好きなアーティストの新曲をやっと手に入れ、プレゼントにするのを楽しみにしていた彼女だが、彼が交通事故にあったことを知る。
そしてなぜか彼はましろちゃんとつきあっていることを忘れ、クラスメートの梨沙子ちゃんとつきあっていることに…

絵柄がかなり変わりましたね。かなり軽く明るく口当たり良くなり、そしてさりげない感情表現がすごく伝わってきます。
冒頭で、最低限のインクでしっかり三人の名前を出しているのはさすがです。
出会いの回想…これからかなり楽しいです。男が譲れっての…。
それがきっかけで、どちらからどう告白したのかとかがないのも想像させてくれてうまいです。
サイト名をバンド名に使っているのが苦笑…もしかして、バンド活動やっていたりしますか?だったらぜひ聴きたいのですが。と思ったら有名な曲か何か?
彼が、クラスメートにこそこそすることを少し嫌がっているのもうまく伝わってきます。
兄との会話がなんだか楽しいです。兄の、ガッツポーズしながらのにやけっぷりのだらしなさときたら…。
事故の知らせで一瞬心臓が止まりました。画面の暗さが緊迫感になって、包帯は巻いているけど無事…と思ったらいきなり「つきあってるのv」…はぁ?というのが正直なところです。
記憶がない…ここで「なにいってんの、柊はあたしとつきあってるの」と叫んでいたらどうなっていたでしょうか。…かわいそうな子扱いされて終わりでしょうか?
「なにそれ。」というちょっと突き放したような感じもなんだかいいですね。
大バカヤロー、と叫びまくる、この主人公の明るい根っこもすごく魅力的です。
音楽で元気出して、というのもすごく素敵ですね。
ここからの女二人のバトルは見ていて楽しいです。
「美人だし胸でけーし」というのが男の子らしくて苦笑しました。彼の「好きでもない」って誠意ですけど、本当にとことんましろちゃんのことを忘れてるな…ということでもありますね。
カラオケでの打ち上げもすごく楽しそうです。
彼のカバンの中から出てきた包みを「これってあたしへのクリスマスプレゼント!!?」と奪う理沙子ちゃんのすばやさ、厚かましさ…憎めないけどかなり強烈ですね。
本当ならこの上なく嬉しいプレゼント交換になったはずなのに…こうして捨てられてしまうと、理沙子ちゃんに悪気はないのはわかっていても胸が痛いです。
そして潰れたCDだけを拾い上げて…記憶を失う前の彼が自分のものだからそれでいい、今の彼は諦める、ということでしょうか?
「これがほしかったから」と、傍点の使い方がすごくうまいです。
ここで理沙子ちゃんの告白をOKしたことの真相、これもしっかり状況がわかって、それで記憶が戻る過程でも…
人ごみの中で大声で「バカー!!!」は恥ずかしい…実際クリスマスのときにこう叫んでいる子がいたら、振られたんだなとしか思えません。
ここで…彼がもう思い出していることがわかっている分、なんだかシャンパンみたいに心地いいしびれと軽さがあってとても美味しいシーンです。
それから堂々とラブラブになる、それで冒頭とも響きあう…
今回は技巧の確かさと変わった絵柄の印象のよさがすごく目立ちました。
一刻も早く本格的に本誌に出て欲しいです。

まもって!メイドさん
 金持ちの家に生まれたので小さい頃誘拐されそうになったことがある。その時助けてくれた、首にあざがある「バンリ」という空手少年に恋して…
 でもそれ以後、ボディーガードの壁で誰ともつきあえない。
 そして首にあざがある、山下伴理という男子に出会い、だからボディーガードはもう嫌と叫ぶ。
 そんな彼女に父親は、一人の美少女メイド出雲まりを単独のボディーガードとしてつけることに。彼女は恐ろしい強さで、それでいて彼女と優しい友達として接し、他にもクラスメートと友達になるのを後押ししてくれた。
 でも伴理くんと接するのだけは妨害する…そのことに怒ろうとするけれど、彼女のがんばりと誠意は本物だと思って仲直りしようとすると、なんと彼女は女装男だった!

デビュー作での期待以上に楽しい作品です。成長も著しいですし、いろいろな面が見られるのも嬉しいです。
こんな小さい子がこれほどの強さとは…というより、その場でバンリくんに家として礼をいい、交際を許可するぐらいのことはしても良かったのでは…いや、彼も急いでいてすぐ目的地に行かなければならず、連絡先を渡すとかは発想できなかった…
ボディーガードだらけで友達もできない、とテーマがしっかりしているのもいいですね。彼を捜すことと同時に友達を作ることもしっかり重視されています。
この山下伴理…読み返してみると冒頭の王子様ぶりが嘘のようです。
この三点がそろっている人はそりゃそうはいないですよね…
死んでやる以外に交渉手段がないというのも悲しいものです。親権はほとんど際限がないですからね…子供が死んでやるといえばなんでも許されるというのは間違い、でも子供から親に要求を出し交渉をする方法が全くないのも子供を絶望させます。うまい交渉システムがあればいいのですが。
メイド兼ボディーガードというと、それはまさに鉄塊だとしか言いようがない巨大な剣を背負っているのではと一瞬期待してしまったじゃないですか。何のことを言っているかはおねがいですからわからないでください。よいこの読者がみんな知ってたとしたら、とても日本の未来が心配です。あと検索もしないように。
この美女が…読み返してみると笑うほかありません。
ボディーガードを瞬殺するところは、なんというかやられるほうがかわいそうでした。
みんな「友だちになりたいと思ってたんだよ」というのはちょっとあっさりしすぎかもしれませんが、最短距離で「友達を作る」というのも前に出してくるのはすごくわかりやすいですし、それにペンダントで二人の絆をしっかりさせるのもいいです。
バンリの話を聴いたときのまりさんのすごい顔…はは、実にうまい。
読み返してみると、伴理がいい人だったらゆずっていい、自分はそばにいられれば、と思っているのもわかって胸を打たれます。
キープしといて…馬鹿ですね。もっと先まで考え…られないのが邪悪ということですか。
今度はまりさんがお邪魔虫モードになるのが実に楽しいです。
ここで「仕事ですから」と言ってしまうのはちょっと卑怯な逃げかも…やむをえないですが。
「親友じゃな」と否定しようとして、まりさんの真剣な奉仕が出てくる…あ、ここまでに普段の家事とかそういうのをすごくがんばっているところがもっとあれば、とちょっと惜しくなりました。
でもクラスのみんなからのメールで、友達ができたことがまりさんのおかげ、と反省する、その…自己中心的な状態からの成長をしっかり描いているのがすごく素敵ですね。逆説的に、あまり閉じ込めて育てると自己中心が治る余地がないとも思えます。
そして「これからも親友でいてくれる?」からいっしょにおふろ…また変な表情…
夢水ポーズというのも苦笑しました。そして男…ははは。
ここからのパニックとか「はずかしいトコ色々見られ」とか実に楽しい。
伴理も、ここでの対応が下手すぎます。すごく短絡的な悪党…だからこそわかりやすい話にできるのですが。
この、悪の手に囚われたとわかるところの闇の迫力もさすがにすばらしいです。
それでまりの真情がわかるのもうまく対比されています。
ここでの、まりの強さと美しさはすさまじいものがありました!
ちょっとナイフのデザインはいい加減ですね。僕に一言相談してもらえれば、いいのをいくらでも紹介できたのですが。
髪を切られての容赦ない膝蹴り、強烈!
そして彼にこそ首にあざ…ははは…
「シュミ?(オカマさん?)」が笑えました!こういう間抜け顔も実にいいです。
「ストーカー罪でうったえられても」「否定はできない」というのも…すごくおもしろいです。
「髪の乱れた主人をおいて」という受け入れの言葉も素敵でした。
ちょっとここは素直じゃない気もしますし…なかなか対等な恋人同士は難しそうですが、これからがすごく楽しみなカップルです。
…女装してメイドをやっている万里が親戚の超金持ちに一目ぼれされるとか続編もあれば楽しそうです。
これからがすごく楽しみな作家が出てきたものです!

コイvトモ
 バカコンビの羽雪ちゃんとシノくん。一緒に補習を受けたり一緒にニンニクラーメン食らったり、色気は全くないが仲がいい。
 でも本当は羽雪ちゃんは彼のことが好き…そんなとき、彼を見つめる三津矢さんの視線に気づいた。そのことから妙にぎくしゃくして…

冒頭の緊迫感からの色気のなさ!補習は確かに先生にとって災難ですよね。全員基準点を取っていれば休めるのですから。
二人でニンニクラーメンというのも二人の関係の色気のなさを良く出していてすごくいいです。
その二人の目の前のラブラブカップル…これは確かにきついです。
なまったり、さむいとは…くさいで、という対比も実に楽しい。
本当は羽雪ちゃんはシノくんが大好き、というのもなんというか伝わり方がすごくじっくり染み込むようでいいですね。
下駄箱に顔をぶつけられ、仕返しに飛び蹴り、という関係も楽しいです。
美少女がシノくんを見ている、とそれを盛り上げていくのもさすがにうまい。
バスケシーンもカッコいいですし、男女なのに肩を組むのが平気というのもなんかいいです。
三津矢さんのことをかけらもしらず、女扱いせずに羽雪ちゃんにじゃれかかるシノくんの子供っぽさ…これが痛いような感じにさえなるのが不思議なものです。
二人きりの補習というのも天国でしょうね。
紙飛行機を取ろうとして机の上の椅子に乗ってほうきを…これ確かに危ないです。よく間に合ったものです…ここを見られたわけじゃないのが、この作品の淡さでいいところですね。三津矢さんが悪い子じゃなかった、というのも。
告白を見て走り去ってしまう切なさもすごく伝わってきます。
自分は友だち、と自分に言い聞かせるのも切ない…この気持ちの描き方が丁寧で、感情移入しやすいです。
強引に保健室に連れて行こうとする彼に反発してしまう、この思いもすごくわかります。
ついに爆発しての告白、そして追いかけっこ…この軽さと楽しさは素晴らしいです。
この二人がどんな恋人同士になるのか…そちらのほうを見てみたいですね。
翌日、いつもどおりにしようとしてもぎくしゃくするし、逆に多加良・菊川カップルみたいにしようとしてもできたもんじゃない…うわ〜、本当に見たいですよそれ!

ニコニコ☆クラス
 転校生の早坂瑠々ちゃんが入った2-5は男女がとことん仲が悪い。
 ルルちゃんのことはみんな歓迎しようとしているけれど、やはり男女対立のほうが先に出てしまう。それでルルちゃんは、同じく最近転校してきた高原くんや委員長の富田さんと、何とかクラスをまとめようとするけれど…

前作でほぼ完成した作風を固まる瞬間にぱっと捨て、新しい作風を作り上げる勇気にまず脱帽です。本誌登場もむべなるかな。
第一印象にものすごくびっくりしました。あまりにも作風が大きく変わっていて。
男女の仲が悪いクラスというのも、僕もそうだったので懐かしいです。
はっきりした対立関係もわかりやすいです。ルルちゃんの明るさと小ささも見ていて好感が持てますし、クラスのみんなも熱心に…でも男女対立が先に出てしまうのを見るとちょっと不安を感じます、どちらも自陣にとって利用価値がないと思えばすぐ捨てるのでは、と。
男子だけで女子転校生の歓迎会というのは確かにすごいかも。
両方に引っ張られて痛い、ってソロモン王か遠山裁きか…もっとずっと昔とか…
怖い、といわれている高原くんにも純粋に笑顔を向ける、ルルちゃんの人懐っこい性格を繰り返し伝えてくるのもわかりやすくていいです。
仲が悪くなったのがのぞきというのは…ばかばかしさに笑いが出てしまいます。
他に中立派の子はいないのでしょうか?
クラス全員でバスケとか、なんと言うかルルちゃんって…いじめが怖くないのでしょうか…
三人でバスケをしているのもなんか悲しいものがありますね。
水をルルちゃんにかけてしまって、ここで…彼らの自己正当化からいじめが始まってもおかしくなかった、と強い恐怖を感じました。
高原くんの行動がよかった…
転校ばかりしている子っているんですね、本当に…どれほどさびしいものか、想像もできません。
彼女の明るさにしっかり背景があるのはすごく話に説得力と深みを増しています。
なんでも、という約束からクラス全員でフルーツバスケット、この楽しさはすごく伝わってきます。
でも翌日、またすぐ意地になってしまう…天を仰いで目玉を回してしまいました。
「あの気持ちに似てる」と、皮膚感覚だけで負の感情を直接感じてしまう、という描写がすごく伝える力が強いです。この方向から伝えるというのも勇敢な作家ですよ。
ここで我慢しながら泣き出してしまって、ついに高原くんが切れて…
また責任転嫁に走ろうとしている両方を富田さんの勇気もすごく胸を打ちます。
高原くんが迎えに来てくれた、来てくれなかったら…ここがかなり怖いです。
本当に紙一重の連続というか、並みの冒険活劇よりスリルがあるかも。
それだけにこの歓迎パーティの感動ときたら!
仲良くなったのはいいけど授業中…ははは。まあ先生も、本当に大切なのが何だかはわかっている…
「ニコニコクラスと呼ばれるようになった」という最後の言葉が本当に素敵!
なんというかものすごい作品です。
すごい作家がいたものですよ…だからこそその本誌進出が嬉しくて、それからも期待してしまいます。

ラブvクエスト
 遺跡などが大好きな歩楽ちゃんが、いきなり目の前で自転車で転んだ男の子、悠馬くん…が持っていたマヤの神のキーホルダーに興味を持った。
 でもそのことで、影響力の強い紗妃ちゃんを敵に回し…

なんとも…「てのりくま」からやっと解放されての待望のオリジナル作!それ自身も嬉しいですし、まるっとした可愛らしさがますます強烈でそこもすごく好きです。
ただ話全体に、ものすごく不思議な不安定感があります。すごく言葉にしにくい感情が出てきて、手放しに大喜びして絶賛できないのです。
僕も古代遺跡などはすごく好きで、中学校時代クラスメートだったら是非仲良くなって色々語り合いたかったです。今の僕だったら、この時代どんな作物を作り、どんな風に暮らしていたのかとか、その結果どう自然を破壊していたのか『文明崩壊(ジャレド・ダイアモンド)』を読みながら検討するとかしたいですし。
オーパーツに宇宙にチョコレートの歴史…いい趣味じゃないですか!どれも新大陸関係で、そのつながりが僕にははっきりわかりますよ(オーパーツで有名なものはここに描かれているスペースシャトル似の黄金像をはじめ中南米遺跡に多い、また中南米遺跡には高度な宇宙論やオーパーツとしても知られる宇宙船に見える神浮彫像がある、そしてチョコレートは中南米生まれ…)
そういうのを電波と思う人たちのほうが僕から見れば…
フツー…僕も普通には反感を持つほうなので、歩楽ちゃんの気持ちがすごくわかります。
目の前で自転車が横転するシーンのショックがすごいです!
いきなりのんきにチョコを渡すというのもなんだかすごい…。
マヤの神の名前はさすがにわかりませんでした。その丁寧に描いた不気味さがこの作品の雰囲気を変えているのでしょうか?
紗妃ちゃんの、「めんどいなー 歩楽消えてー」という非常に直截な言葉、それに…いきなり銃で撃たれるような、痛いより先に驚くような感じがあります。
何も悪を知らない幼児がいきなり悪漢に何の理由もなく暴力を振るわれたら、そんな感じなのでしょうか。
それで逆らったらいじめられる、って…善悪より…
「いやな気持ちをぶつけられるといっしょにいたくなくなる」という、あまりに素直な言葉にも驚きます。言葉と心がこんなに一体であるなんて…僕にはそんなときはありませんでした。先に体が暴走するだけです。
僕も、いやなコトと関係のないところにいたいですよ。すごく。それはそれで寂しいですが。
彼は福神漬けに夢中、というのもなんというか面白いです。互いに互いの興味を否定しない、というのもすごく素敵、というかどちらも大人ですね。
彼といるとそわそわする、という感情もすごく、心から言葉のつながりがまっすぐでまぶしいです。
翌朝の質問攻めでラブか、とみんなが喜ぶのも、特に歩楽ちゃんの純粋さがすごいです。
紗妃の「全力で妨害してやる」とか、まったくかげりのない悪意も見ていてびっくりします。よくもまあここまで、自分の悪意に忠実でいられるものです…
「生意気だよね口ごたえするし」って、なんというか…全員の内心まで支配するのが当然ということ?なんかもう呆然として泣きたくなります。
そんな想いがあまりにそのまま伝わってきて、正直どうしていいかわからない…小中学校のときの僕みたいに、ただ意味もなく泣きわめきたくなります。…それが、この作品に僕が不快感を感じる理由かもしれません。言葉で処理できない、ただ体が泣きわめきたいと叫んでしまう、そんな感情を直接伝えてくるから…
「どうして人の悪意って」というのがあまりにリアルで、言葉でどう感情を処理していいかわかりません。
僕にも「いやなコトしかしゃべれないなら永久に話しかけないで」なんて言えたらよかったのに、と思うことが多すぎます。
そして友達を守るために自分から孤立する、明日からはいじめられる立場になる…それがあまりに…冗談抜きにいきなり重傷を負わされたような気分です。
紗妃の感情のあまりの未熟さも直接描かれているのが恐ろしくなります。容赦というものを知らない作家でもあったんですね…
古代人と未来人が見る星は、確かに星自体はほぼ同じですが星座が微妙に違いますよ。
星空が孤独の友になるのもすごくわかります。
そしてここで悠馬くんが助けに来てくれたのは嬉しいですね。
彼の言葉の優しさと容赦のなさ…ため息が出ますね。
そしてちょっと八つ当たりしたのをすぐ反省できる省察力の高さにもびっくりします。
「友だちがいて一人で遊ぶときもあるってのと」という言葉、なんだか泣けそうです。
彼のことが知りたい…それが恋かどうかなんてどうでもいいじゃないですか。
とにかく、ものすごい作品なのは確かだと思います。
容赦なくて、すごく一番深いものを直接ぶつけてきて、すごく読み返すのが怖い。
このなんともいえないもどかしい思いが、次回作以降こうだったのか、ときれいにはまって、絶賛の叫びになってくれることを信じています。
潜在力はまぎれもなくとんでもないことが伝わってきます…僕がそれを十分読む力がないだけです。

この恋destiny!
 運命の赤い糸にこだわっているナナちゃんの、赤いマフラーにある日一人の少年のリュックが絡まった…赤い糸が伸びる?王子様?しかも生徒手帳の名前を見た彼は、小学校時代転校生の彼を助けた思い出を語ったが、彼女にはその記憶がない。
 そのまま仲良くなっていったけれど、以前同姓同名だった別の子が彼の思い出の子だったと知る。でもナナちゃんはそれを打ち明けられなくて…

やや強引ですがテーマがはっきりしていてとてもわかりやすい作品です。
絵もすごく惹かれるものがあります。
運命の赤い糸はみんなどこかで信じているでしょうし、そこから読者はバカにしながら共感してしまうでしょうね。
そしてマフラーを引っ張られて、ほどけて赤い糸…これはうまい!そりゃもう赤い糸ですね。まあ相手が美形だからですが。
ここで生徒手帳の名前を見られて、というたたみかけかたもすごいです。
覚えていない罪悪感、居心地の悪さもなんだかわかります。
そういえばそこまで転校が多いと、卒業アルバムはどうなるのでしょうね。
公園に来れば何か思い出すかも、とちゃっかりデート…というか携帯電話番号とか何か交換したんですね、しっかり。
大人がブランコに乗ると、力が違うのでかなり危険ですよ。
靴が帰ってきて頭に当たり、「笑って!!」となるところがすごく面白いです。
走るということから…すごく多面的に、色々な方面からテーマを出しているのもすごい作りこみです。
そして真相がわかるシーンは…七海という名前自体がそれほど多い名前でしょうか?そこからの、真相を言いたくていえない辛さもすごく伝わってきます。
結局自分で言えず、別のクラスメートから伝えられる、というのが余計に辛いです。
そういえばここで、本当の…現在川島七海さんを話に入れなかったのは…連載なら必要でしょうが、読みきりですし無理に複雑にするよりテーマを強調するほうがいいでしょう。
運命の人を捜せば、という…そちらの考えになってから「ヒロじゃなきゃやだよ」と気持ちが変わっていくところがすごく素直に描かれてきて、伝わりやすいです。
そしてとにかく走る、という心の態度が本当のテーマだという…ここはすごく熱くなりますね。
クリスマスツリーを背後にしてのプレゼント交換もすごく素敵です。
非常に良くできた作品で、次回作…増刊連載などの発展が楽しみになってきます。
今が伸び盛りですね。

ナイショのお姫さま
 この学校には姫と王子が存在する…緑地みちると鷹取くん。ある日鷹取くんがみちるちゃんに告白してきたけど、断った…スーパーの特売にいけないから。そう、みちるちゃんは実はお嬢様ではなくやりくり上手の超貧乏だったのだ。逆に鷹取くんは大金持ちの御曹司だったりする。
 翌日、断ろうとしたら写真を見せて脅迫してきた!告白も、単に女に言い寄られるのがウザい、誰もが認める彼女がいれば、というだけ。
 それからなぜか彼が貧乏ライフを見学しについてきて、卵かけご飯をごちそうしたり、結構楽しくもなる。
 だが他の女子からの意地悪と脅迫が…

タッチが大きく変わって、すごい重厚になって…ギャグ絵の暴走にもびっくりしました。
柔らかい感じと抜群のプロポーションに思わずくらっとしますよ。
鷹取くんの幼く上品な感じもすごくいい…これはベストカップル?と思ってからの暴走開始にはびっくりしました。僕は今一人暮らしで家事は自分でやっていますが、この状態には至っていません…
この古い木造家屋も、小さい頃からあちこちで見たのを思い出しますね。小さい家庭菜園も見事です…
まじめにしてたら姫と呼ばれる、というのも皮肉な話です。
母子家庭が貧困に陥ることが多いのは日本ばかりではないですが、どうにかならないものでしょうか。年齢性別不問のベーシックインカムさえあれば…
断るのは…本当にこう思っているのでしょうか?それとも、つきあったところで結婚できる可能性は低すぎるし不幸になるだけ…という考え?
翌日の断るときの演技のすごさ!そして王子のほうも…大笑いします。
この脅迫は彼女に恋人がいたら最悪ですが、いないとは調査済みなんですね。
二人でチヤホヤされるのを楽しんで、二人きりになればお互い地を出して、また誰かがドアを開ければ姫と王子…これも見ていてすごく楽しいです。
キーホルダーがどんな伏線になるかも何かと楽しみでした。
帰り道、お似合いの姫と王子と思ったら中は…後ろの二人が何なのかはちょっと小さすぎてわかりにくいです。
特売に彼を利用して、なぜなしくずしに彼を連れまわしているのやら…二人ともわからなくなっていませんか?
確かにこれはケチを通り越してます。根本的な問題は別にあるのですが、それで貯金を増やすとはすごいですよね。
さっきの二人組がまた出た、そして悪意が…すごくさりげない形で積み上げていきますね。
まあこのタイプの家にはフリーズもしますよね。
でも妹に対する対応は…こんなところでまで王子様にならなくても…しっかり「おにいちゃんが勉強見てくれるって」というセコさがまた楽しいです。
13-9は、13=10+3だということが先…まあでも一の位で引き算ができないときにそれが意味を持つ…よく考えると結構ややこしい場合分けをしています。それがわかっていない子も多分多いだろうな、と思うとぞっとしますよ。
食事までご馳走するとは…彼もある意味厚かましいというか。
大根とごぼうと…卯の花かひき肉?の煮物もとても美味しそうです。
この食事シーンはすごく暖かさが伝わってきて、優しい気持ちになります。妹二人が良く動いています。
逆に彼の家は徹底的に描かない、だからこそ断片的な言葉から冷たいバラバラの家族の孤独がよく伝わってきます。
個人のプライバシーがない、というのは実はかなり深刻な問題ですよ。ただし逆に、ある程度以上の邪悪が抑制されることもあるし孤独感を感じることがない、といい面も結構ありますが。
母親にはまた王子様モードで、でも「暖かかったです」という笑顔は本物だとなんとなくわかります。
ついてきたのは送ってくれたんだ、というのはついてくるシーンと間が空いていてわかりにくかったですが…
二人組の悪意が徐々に強まっていく…でもまたすごいギャグ顔!このギャップはたまらないものがあります。
なんというか…言葉にならないというか見てはいけないものを見たというか…
脅迫のくだらなさには頭を抱えましたが、ここでの王子の態度の強さ…やはり王子様ですね。というか王子のままだったらここで々対応すればよかったのやら。
二人とも本当に強いです…二人とも姫や王子に全然未練を持っていない、しっかりした実力があるから…足で足をつつくところがすごく暖かいです。
そしてラブシーンかと思ったらまた特売、というムードのなさも苦笑しました。
告白も何もないけれど、二人の結びつきの深さがすごく伝わってきます。
やはり想像以上にすごい力を秘めていましたね。
これからもガンガン色々ぶっ壊してください!楽しみにしています。

プレゼント
 お姫さまな小学生、弥生子ちゃんはクリスマス会のプレゼント交換でもブランド物と計を持ってきたりすごく素直にわがまま。でも家庭そのものは寂しく、それを認めることができずに怒り、その怒りを当たったピエロ人形にぶつけて池に投げ込んでしまう…
 それからいきなり変な男の子にクリスマスプレゼントに何が欲しいか聞かれ、思わず「世界じゅうのあらゆるクリスマスプレゼント」と言ってしまう。

デビュー作の影響がやはり強いです。最後までどちらに転ぶかわからない、すごく強いスリルを感じる作家になっています。
何気なくですが、女物が当たってしまった男の子が笑いを誘いました。
弥生子ちゃんの自然な傲慢さは僕にはむしろ可愛いです。
教師が事前に指導しておくか、プレゼント交換自体をしないようにすべきだったかも。
クラスメートのみんなも彼女はそういうキャラだと受け入れている、というのがほほえましいです。
この人形は結構すごいんですが…
両親がいなくてさびしい、というのを素直に出せない弥生子ちゃんも、オブラートなしで「かわいそー」と言ってしまうクラスメートも、どちらにもため息しか出ません。
クラスメートの誰にも悪気がないのが苦笑します。「姫を侮辱しようというの!」というのにはさすがに笑うほかありません。日本には華族制度はないですが、旧華族や皇室に連なっているのでしょうか?だとしたらもっとしっかりしつけられているはずでは?
怒りを人形に叩きつけるしかない…人形にはそんな役割もあるのかもしれません。
マフラーから、鏡の中の少年があの人形だと気づかせるのはうまいです。
「世界中のあらゆるクリスマスプレゼント」…なんというかあまりにかわいそうで…自分が本当に何を求めているかもわからないのか、と。
いきなり知らない人から、そして動物からも与えられるプレゼント…
帰ってからの、男の子の顔が崩れて出てくる人形の顔のおぞましさは強烈でした!
そしてこのハッピーエンドの暖かさ…「クリスマス・キャロル」を読み返したくなりますね。
どちらに転んでも極上、というのがよさですが、この作品はこの甘いハッピーエンドでいいと思います。これで悲惨だったらちょっと後味悪いでしょうし。

若おかみは小学生!
…長い。でも無駄は一つもありません。原作がすごく大きいのでしょう。
真月ちゃんもある意味関係ないのに…すっかり仲間ですね。
この状況でおしのびも何もないのでは?耐水メイクで顔をごまかすかできないのでしょうか。
ばれないためのすごい顔がまたすごい。
テレビ局も早いですね。温泉旅館はある程度交通は便利な場所でしょうが。
おばあちゃんの冷静的確な対応は感動ものでした。すごい迫力。三十年後にはおっこちゃんも同じことができるようになるかもしれません。
真月ちゃんもここを見ていないのは残念でした。
読み返してみると、マネージャーの態度じゃないような感じもします。
全部嘘だったのには笑うほかありませんでした。嘘をばらすシーンの、抜けた感じのユーモアは強烈でしたね。
そして絶対ペンダントを返さない、それには…邪悪さえ疑ってしまいました。なぜこれほどこのペンダントにこだわるのか…読み返すとわかりますが。
「あまやかされてそだった」に母親だと白状してしまう…そりゃまあこれはこの上なく恥ずかしいでしょうね。
もし自分の子供が邪悪だったら…親にとっては最悪の恐怖ですね。
でもこれ、あのこの母親じゃ…疑えば疑えますよね…
ここでのおばあちゃんの対応はお見事!あたたかいお茶は特効薬ですし…というか今回、おっこは補佐としても事実上必要じゃないです。おばあちゃんだけで十分対応できてますよね、当然。
なんというか、おっこは無理に「出させてもらっている」感じさえします。
苦手な食べ物の多さも、母親としては恥ずかしいでしょうね。今子供の自慢をした分余計に。
「むずかしいお客だと燃える」「いやいや修行やっとったのに」というのがとてもほほえましいです。
ペンダントにこだわり続けるなるかちゃんの…でも一度嘘をついたらそれも疑ってしまいます。
「だまされたっていいや!」という覚悟はすごいです。なかなかそれは難しいですよ。
昔の話…これがなるかちゃんの側から見た物語…それと母親の側から見た物語の違い、真実の多面性には頭を抱えるしかありません。
真月ちゃんは両親との信頼関係がしっかりしているのは…彼女も同じような苦しみを感じることがあるのでは?信頼関係があれば苦しくても我慢できるけれど…それを甘えと言っていいのでしょうか。信がなければなにも…真月ちゃんも将来そう苦しむかもしれません、成長の過程で脳細胞やホルモン、体自体がアンバランスになるのは誰でも同じですし。
思い切りずれたドラマの話から、彼女も仕事自体は好きだと…このシーンもうまいですね。
母親に真実を飾らず伝えるのも思い切った決断ですね。
母親が作る、というのもなんというか大胆な話です。
おっこが両親のことを思い出すのもなんだか切ないです。今の生活だとどうしても家庭料理とは無関係でしょうから…ここでおばあちゃんも作ってくれたのがすごく嬉しいです。
本当の気持ちを話せたのは…おばあちゃんが彼女に心を開かせるのは難しかったでしょうか?
でもおっこが何があっても彼女を見捨てない、すごい強さがあるのは事実です。
お菓子は食べている、というのが苦笑しました。
親子としては話せていない、いつ突然…これもかなり切実な話です。
露天風呂で、ウリ坊が軽くギャグを入れるのも楽しかったです。
幸せよりも楽しい、というのがすごく素敵ですね。楽しくなくて幸せなんてないですよ。
未来の夢もちゃんと持っていると言うのがまたすごい…
心が通い合った、そこでまた危機がやってくるのも構成がうまいですね。
逃げない、と決めてからのなるかちゃんの強さはすごいですね。
ここでおっこの話まで入れて美談にしてしまう…この年にしてマスコミを使えてしまえるとは。
ペンダントを返すのが最後の最後になるのも…よほど強力なんですね。
最後のドジも苦笑でした。
読み返してみれば、この長さが長いと思えないほど中身がしっかりしてます。
原作の令丈先生も漫画のおおうち先生もつくづくすごいですよ。

真冬のイリュージョニスト アンコール!
すごく人気あったんですね、嬉しいです。絵の輝きも増していますし。
冒頭の表情からめちゃくちゃ可愛いです。
コレクションはすごいです。僕も以前は色々妙な…今は事実上何もコレクションしていないです。
というかこれの金額とんでもないのでは?DVDは普通に一つ一万では…
太った人が同姓同名、と思ったら、これ協力している先生がすごい演技派ですよ。
「おまえがおれに会いたがってると思ったから」…素直すぎてどう反応していいやら。
後になって喜んでいる表情がまた可愛い!
またフツーに居候…はは。
ネクタイであせるところなんて普通の高校生らしくて可愛いです。
あくまでマイペースな輝石くんにも苦笑します。自分からはべたべた甘えたりしないんですね。
でも嫉妬はするんですね…このミラクル・レイズはどこに何を仕掛けていたのでしょう。
抱き合うのを楽しんでいる、それに気づいて手を離してしまう、と微妙な男心が見ていて楽しいです。
「大そうじをしにきたわけじゃないぞ」も苦笑しました。
コレクションを見られてもう終わりだ、と…「きくしかない」というところの表情もすごいです。
これでもはぐらかすなんて、女の敵ですね。怒りをぶつけたのも共感できます。
雪みたい…ため息が出ますね。
この脱出で、もうマジシャンだと知っているのに舞台ぶち壊しに…それを計算に入れているのがずるすぎます。
事情…修行するだけというのがある意味馬鹿すぎます。三年待ってろと逃げたイシュトバーンより間抜けかも。
舞台の上で、全校生徒の前での告白と言うのがまたすごい。
この年代で自分が異性関係で制御できなくなるのは、人間というか動物として当然のことですのであまり気にしないように。
絵の完成度がすごいことになってきているので、これからどう使われるか楽しみです。
本誌連載も考えていいと思いますよ。

陽だまり図書館
 仲良し三人組から、圭ちゃんがミサに告白して一人失恋を押し殺している亜梨子ちゃん。
 そこに図書館の新しい先生が来て、それが若くていい男。その先生が、常に読んでいる本をけなしたことで嫌な思いをする。
 そして圭に、ミサに別れ話をされた事を聞かされた…ミサが引っ越さなければならなくなり、遠距離恋愛は無理だから、と。

祝復活!あ〜もう、もう出てこないのかとどんなに切なかったか。
三人の結びつきがすごく暖かくて、それがあんな簡単に壊れるなんて…
いきなりバイクで登場する美青年、これは女子は騒ぎますよね。
ミサちゃんの気の強さが心地いいです。
いきなり倒れて、そして愛読書について…はっきり言ってこの時点で、この先生がクリスタルスノーの作者だというのはバレバレでした。
「なかよしごっこか」と、これを見ただけで三人の関係を読み取ってしまうのがまたすごいです。
そんな話を書いたことがあったら…そりゃ恥ずかしくていたたまれないでしょうね。憎まれ口も叩きたくなるでしょうよ。
圭くんの余裕のなさが実にリアルで、かなり胸が痛くなります。
ミサちゃんの言葉だけだと、初読時には単に…きっぱりした性格なだけかな、とも思えます。でも読み返すと…胸が痛いですね。
「本の整理です」「サボリね」という会話、微妙な距離感ですごくいいですね。
静かに本を整理している時間、そしてココア、これは何もなくてもすごく救いになったと思います。体を使う単純作業は結構心を癒してくれるものですよ。辛い時なんて薪割りとか穴掘りとかをひたすらできたら結構楽になるかも…
ココアを甘くしたのも糖分が心にいい影響を与えるからでしょうか。
「幻想見すぎ」というのもきついです。今の僕だったら…彼女の結論に君が口を出す権利はない、どちらが正しいかは誰にもわからない…もっと傷つけますね、これは。
「新しい男なんてすぐできる」…経験あり?
そしてまた「大槻先生」に手紙を出す、というのもなんだか苦笑しますね。これ、先生の立場から読み返すとすごく恥ずかしくて…
「なによいい子ちゃんぶって!!」という言葉に、ミサちゃん自身も傷ついているな、とかなり辛いものがあります。恋を譲られていたこと自体も申し訳なかったし、そして嫉妬も抑えていたけど感じていた…かなり嘘の多い仲良しだったのかも。
でも三人がすごくお互いを思っていることも事実でしょうし。
「大槻先生」からの返事は、どんな顔して書いたのか見てみたくなりました。
このバイクでかっ飛ばすカッコよさ、そして…ここでやっと言ったミサちゃんの本音、すごくいとおしくなります。
圭くんはどうやって飛んできたのでしょうか。
「雪のにおい」という言葉が重なるところなんてすごく温かいですね。
最後に机の上でさりげなく示されている真相も極上!
あ〜、やはり実力は極上ですよ。何でもっと違う形で…要するに本誌連載でこの素晴らしい作家を活かせないのでしょう。

迷子のラブレター
 人助けが好きだけどドジでかえって迷惑をかけてしまう最花ちゃんはとうとう友達から人助け禁止令を出された。
 そんな彼女がいきなり捕まえられたのは記憶喪失の男子で、つい助けてしまった。彼は誰かに宛てたラブレターを持っていたけれど、それについての記憶もない。あと妙にケンカが強い。
 心が通い合ったかと思ったとき、美人がラブレターにあった彼の名を呼び抱きついてきて…

すごく明るくて、漫画の絵の記号としての面がはっきり出ています。
こまってるひとをほっとけない、でもかえって悪いほうになる…僕も覚えがあるので頭を抱えるしかありません。
僕は…本当の思いやりが心の芯にないので人を助けることができないのだ、と思い切っています。毎年年頭に書いて見えるところに張っておく「人間には、同じ思いやりでもの、もっと相手の気性を考えた、深い労りがなくてはならぬ(徳川家康:山岡荘八著より)」が、僕にはどうやっても実践できないんですよ。わかっていて毎年書くのも無駄な話ですが。
いきなり足首をつかまれるという話の豪快さにもびっくりします。しかも記憶喪失って!
あまりにも話が重いです、というか警察ですよね。
自分の名前も覚えていないというのはかなり重症ですね。
でも僕も、すべての記憶を失ってしまえば何かと気が楽でしょうね…
「ほっとけないグラフ」が見ていて楽しいです。
バナナの皮というのも間抜けで楽しいです。
記憶のないラブレターというのもなんといえばいいやら。
というか、ポケットの財布とか携帯電話とかは?
そして手紙一つでここまで…人助け禁止、といわれるのがよくわかります。
こんなごまかしで男を連れ込むなんていい度胸してますね。
ズボン脱ぎな、でびっくりしたら単に傷を心配してだったとは。
ケンカにやたら強いところもなんだかさわやかでした。
手を握られた瞬間美女が飛びついてくる、それで頭をぶつけて記憶が戻る…勘違いも実に面白いです。
改めて手紙を渡されるシーンがすごく素敵です。彼の真剣な思いがはっきり伝わってきます。
最後もすごくさわやかで、読後感がすごくいいです。
次回作もどう成長するか、楽しみにしています!

白い記憶
 彼氏とケンカして家出し、電車終点まで行ってしまった。
 行き着いたのは終点の栗州駅、そこで男の子が声をかけてくれて、彼の家に一晩泊まることに。彼とふと星について話し、それから彼氏とケンカしたこと、死んだ兄のことなども語って…
 彼氏からも電話があるけれど、それでどうしていいかわからなくなって吹雪の中に飛び出す…

今回もすごい雰囲気がいい作品でした。
雪景色、一両だけの小さい電車、「なんとなく家出をした」という言葉…もうこれだけで完全に引き込まれました。なんて世界でしょう。
雪の終点駅、これは確かにすごく困りますね。
見ず知らずの家庭に温かく迎えられる、というのが昔を思わせる自然な暖かさを感じます。
彼氏との些細なケンカから「なんとなく帰りたくなかった」という感情になるのがなんだかとても切なく伝わってきます。
十代の僕にも、実行はできなくてもそんな気分だったことは本当にたくさんあったでしょうし。
死んだ兄の話もすごく自然で、読み返すとうまい仕掛けです。
冬の夜空…そういえば、あまりにも長いこと星が見えないところにばかり住んでいます。小さい頃はあんなに星空を見ていたのに。オリオン座ともすっかり疎遠になってしまったものです…
癖が彼氏と同じ、というのは読み返すと…兄に似た男を彼氏に選んだのか、それとも兄からすばるちゃんに癖がうつり、それがさらに彼氏にうつったのか…
昔の思い出とか色々とすごく切ない思いが感じられます。嫌いになったわけじゃない…
「ムリして笑うなよ」という言葉の優しさもすごいですね。
初読時にはわかるはずがない、別の男と手をつないで歩いているのは浮気じゃ、と思うべきな気もしますが…自然すぎて思いませんでした。本当に不思議な世界を作っています。
携帯電話まで捨てるとは。今の子は携帯電話がないと何もわからないのでは?まあ僕は財布の中に住所電話番号を書いたメモが入っていますけど。…多分もう覚えたと思います…
彼氏のことを思いながら、結局話したくはないという不安定さもリアルです。
「ここに残るか」という言葉も読み返すと怖いものがありますね。僕も…別の世界に逃げてしまいたい気はします。
「こわかったな」と抱き寄せられる優しさもすごいですね。
「また…会えるよね…」に答えない、そして…ついに気づく…
一体何があったのでしょう。「とーご」は存在していたのでしょうか。迎えられた家自体現実のものだったのでしょうか。あの電話は…いや、すべてどうでもいいこと、余計なことは考えるべきじゃないです。
なんという世界を作り出す作家でしょう…
最後の、彼氏とぶつかり合うシーンもすごく素敵です。
こういう、恋がかなってからの問題を描くこと自体がすごくいいですし、なによりこの不思議な世界を作り出す力、雰囲気の魔術のすごさ…なんと言っていいかわかりません。
どれだけの力を持っている作家なのか、底知れないものがありますね。
次以降何を見せてくれるのか、また楽しみでなりません。

純恋パーセンテージ
 この恋がかなう可能性は0%…学校の王子様、岡野先輩に麻耶ちゃんも恋してしまっている。雨の中転んだとき、まるで母親のようにこまかく優しくしてくれた時から。
 まともに話すこともできず、彼はいつも女の子に囲まれているけど…そう、ひめりんごの木に語りかけながら手入れをしていると、ちょっとしたきっかけから先輩とひめりんごについて話すようになり、結構近づくようになる。
 でも本来木を世話する委員の女子が自分が世話をする、と出てきて、なんだかまた近づけなくなって…

またいい作家がデビューしました。
男女の絵の感じがくっきり違うのがいいですし、中からすごく生命感があふれる絵です。
先輩の丁寧な心配の仕方がすごくいいですね。どういう人なんでしょう。
可能性のパーセンテージを繰り返し強調するのもうまくできてます。
差し入れの弁当で女の子に追いかけられる…うらやましい話です。
すごく表情豊かで、パニックになっていたりするところが可愛いです。
色々調べるとかリテラシーがしっかりしていますね。僕ももっとその能力があればよかったのに。
目が燃えているところはなんだか可愛いです。
「可能性ゼロじゃないから」と、可能性についての言葉が積み上がるのがなんだか好きです。
大きくなっての木登りは、二乗三乗則で相対的に体重が増えているのでかなり危険です。でも時々、僕も木を見ると上りたくなりますよ。
確かにこれ、お母さんみたいです。
感謝を素直に伝えられるのもすごいです。この年頃の女の子がここまで素直な言葉を言えるなんて…
「あだ名オカンだし」は笑ってしまいました。
山下先輩の、「こんなおいしいポジション独り占めするんじゃないわよ!」といわんばかりの笑顔が笑うしかありません。
花びらを取ってもらってから、風一つで心が壊れてしまう不安定さもよくわかります。
現実的になってしまえば自分に望みはない…と…
やはり山下先輩も…なんというか災難なのはひめりんごの木では?
「可能性は…ないの」と木に語りかけて、そこで枝の何かに気づいて、ここからの熱さが素晴らしい!
あくまで「可能性」という言葉にこだわって…
先輩のほうから寄りかかってきたり、彼もすごく強い思いを持っていたんですね…
告白から沈黙して、そしてぎゅっと抱き寄せる、ここの熱さもすごいですね。
ひめりんごがすっぱい、というオチもなんだか楽しいです。
すごく未熟さも感じますが、とても先が楽しみな作家がデビューしました。
次回作を楽しみにしています!

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