なかよし2009年10月号感想
正直言うと、今月号は発売日に読めませんでした。もう二十年近く読んできていて初めてです。三誌を読むだけですごい気力がいるんですよね…。
感想だって、ヘッドホンで音楽聴きまくったり時々ストレッチしたり、あまりひどいときは電波ソングや縄跳びで脳味噌ふっとばすかしてエネルギーを補給し続けないと力尽きそうです。
「しゅごキャラ!」中心もますます…
使いやすいノートと文房具の付録は安心感があります。
読者ストーリーのコミック化は何が…「ちゃお」のいじめシリーズや「問題提起シリーズ」「ライフ」などのヒットを追うだけでなければいいのですが。ああいうのはエスカレートしやすいです…麻薬と同じで。性描写や暴力描写と本質的には同じですよ、脳のより低次な部分を刺激して購買意欲を起こさせ、結局読者に耐性ができてエスカレートするのですから。
で、ラブリーは…これ以上シリーズを増やして、新人の読みきりはどこに入るのでしょう?
何のために年三から年五まで増やしたのでしょうか?レギュラーに倍描かせるためでしょうか?新人作家にチャンスを与えるためではなかったのですか?
もう少し増刊の作家陣を信じてみましょうよ。実力はすごく高いんですよ、もう少し工夫して売れば…
しゅごキャラ!(PEACH-PIT)ちよこれいと(フクシマハルカ)AEISA(安藤なつみ)わたしに××しなさい!(遠山えま)フレッシュプリキュア!(上北ふたご/東堂いづみ)夢みるエンジェルブルー(白沢まりも)ミリオンガール(桃雪琴梨)どきどき!たまたん(こげどんぼ*)ボーイフレンド(山田デイジー)妖界ナビ・ルナ(菊田みちよ/池田美代子)羊がいっぴき(茂呂おりえ)ツバキヨ(原明日美)地獄少女R(永遠幸)予告
しゅごキャラ!
冒頭の日常を無音で描くのが実にうまい。
めずらしく生徒会というかそういう立場らしい仕事してますね。そっちももっと見たかったです、たまごとかイースターとかとは無関係な彼女たちも。
いろんなこと、といっても僕はそっち側は全然知りません。
新しいガーディアンはたまごもちなのでしょうか?
卒業する視点で行動を見渡す、このワンシーンもたまりませんね。
変化に対する恐怖…他の変化もありますしね。
そしてたまごがいきなりなくなるって…ダイヤだけ残って?
今度はそっちのクエストでしょうか。
でも結局は単純な構図になるんだろうな、という気もしますが…もしそれなしで、自分との対話で終始できたらすごいですよ。
ちよこれいと
思い出を失う…記憶を失うよりはましだと思いますが、人間って思い出などをものに…なんといえばいいのか、象徴でしょうか?
リコちゃんの好きな人って?これも出てきそうですね。
「これいじょうあんたにあたしのだいじなもの傷つけさせない」…ゆーともだいじなもの、なんですね。
もう我慢できない…一番素直な感情ですね、僕も似たようなことを感じたことが何度もあります、当時は言葉にできなくて、机を叩いたりすることしかできませんでしたが。
髪の毛がフェンスに引っかかる、というのはロングヘアーの子にはよくあるのでしょうか?
「これでもゆるせない?」とキスするところは呆然とするしかありませんでした。
え、リコちゃんの好きな人が…あれ?いろいろ違うような?
あまりにも理解を絶して…それが魅力なんでしょうか。ちょうど嵐の海で風浪に翻弄されるような…
ARISA
ハッキングでも暴けない王様の正体とは…レベル高いですね。
今までよりもっとすごい…大量虐殺にもなりかねないですね。
毬子の姿が別の角度からふっと照らされるのも印象が強いです。
プラネタリウムの日食を利用した演出、これもすごく…人間の脳の、理性とは別の部分に訴えかける力が強いのがわかります。
特別…人間にとってそれがどんなに本質的で恐ろしいものか。誰もが持つ際限のない自尊心は特別を求め続ける…水や食物と同じかそれ以上に。それが重なってできているのがこの世界…
毬子も操られていた…そして出てきた…この星や鏡を利用した恐怖の演出がまたものすごいです。
一番深いところを自在に操られているような…恐ろしい作家になったものです。力そのものは中立、その力で何を伝えてくれるか…楽しみにしていましょう。
わたしに××しなさい!
珍しく正しいこといいますね、「ほんとうの恋なんておしえられねーよ」。
恋人のフリを…まあ確かに、政略結婚や見合い結婚からでも何十年も一緒に暮らすことで本当の愛が目覚めることも多いです。というか結婚で本当の愛になる率って、恋愛結婚と決められた結婚とで変わらない気がします。
お互いに相手を攻撃することしか考えないって…
晶くんが動き損ねたのは胸が痛くなります。背景から彼の思いを伝えるうまさはさすがですね。
べたべたはしていても違和感がありすぎる、というのは見ていてどうしようもありませんね。
「おまえがそばにいれば」の表情は強烈でした。
ここで晶くんが出てきてくれたのは、もうヒーロー登場!って感じでした。
「きみサイテーだね」の一言もしびれましたよ。
そしてこんなに強くぎゅっと抱きしめて…これはもう悲鳴の連続でした。
あれほどこれまで存在感がなかったのが…このどんでん返しは見事です。
フレッシュプリキュア!
今回はすごくいい話でした。
彼女の人間としての生活の始まり、謝罪と贖罪、親の力…子供向け作品では無視しがちな部分をしっかり描いてます。
手の傷、疲労が救いになることは僕もよく知っています…犬が死んだ時に。
機械を使わない、手で穴を掘ったりするのは…穴を掘って埋めるのは拷問ですが…何かになる仕事であれば有効です。
せつなさんを受け入れて一緒に暮らす…それがしっかり描かれているのも嬉しかったです。
「朝までぐっすり眠れるわ」というのも意味深な言葉ですね。
大事な宿題、せつなさんにはある意味残酷…容赦ない強さもあるんですね、この子達。
出待ちして…タルトくんが全身毛を剃ってしまったのは爆笑でした。
すごくこの謝罪は重かったでしょう。
「この子には愛とか温もりが必要だ」とすぐに見抜いて受け入れるこの両親の度量も大きいですね。
毎朝早朝から…「ぐっすり眠れる」という言葉がここで強く響いてきます。多分最初、何日も一睡もできず、どんなきっかけかこの花壇作りを始めて、それでやっと激しい疲労で眠れるようになった、ということでは?
「自分が幸せになってはいけない」というのも…すごくよくありますね。
「自分を愛せない人は人を幸せにはできない」という言葉も重いです。なんか涙が出てきそうなぐらいに。
ただ逆に、今のこの地球でも何十億人が、自分を愛することを教わることがない…いくつもの国名も出ますし、僕が知らない国名も…先進国内部、いや上流階級にだって…魂の傷と憎悪と因習と妄信と伝統と麻薬と暴力ではなく、愛と光で生きている側の人間のほうが、今の地球では圧倒的に少数派のように思えます。
今回、この一篇の重さはものすごいですよ…上北先生がいてくれたことがすごく嬉しいです。
夢みるエンジェルブルー
クライマックスに向かってますね。
冒頭のハイテンションは圧倒されました。
なんだかんだいってモデルになるの好きですね、天音ちゃんも。
とろとろにとろけているのも見ていて楽しいです。
手が触れるだけでびくっとなっちゃうのも懐かしいです。
好きな人の役に立てたら嬉しい…それもわかります。僕もほんのわずかでも好きな人の役に立てたらすごく嬉しかったですし。
必死でデザインを考えている普段の姿もすごくいい描写です。
コンテスト本番でパニック状態になるのは見ていて楽しいです。
「くだらないイヤミいうやつの」はカッコよかったです。
メイクでのときめきもうまく描かれています。
フードを外したときの印象も…でもやりすぎと思われないでしょうか?
優勝して抱きしめられて…抱きしめられたのに告白にNo?って脳天叩き割りたくなりますよ。まあ僕は留学だとわかってますけど。
ストレートな告白はむしろ意外でしたし、すごく素敵でした。
ミリオンガール
演出の、刃のように簡素な部分と派手な部分が互いを引き立てている…まるで刃の品質のみならず全体のセンスも衝撃的なナチスドイツの軍用ナイフ。
億を越えているクイーン?というか…根本的な矛盾が頭をよぎりました。本当の上流階級は金に頓着しないのが、少なくともヨーロッパの伝統では?まあアメリカでは別の上流文化があるようですが、それはそれで寄付と信仰がなければならないのでは…
マネーゲームで負けた金はマネーゲームで取り返す…賭博で負けた金は賭博で取り返す、というのが賭博で破滅する定石ですね。言い換えれば賭博の経営者にとっての儲けのイロハ。長い目で見れば、確率的には経営者が勝つのです。
見世物でもある、そして…ゲームマスターの質問?だとしたら誰かとの勝負では…ふむ、ヒントを買う…ですか。これはゲームマスターの公平を前提とするシステムです。
みんな見せもの…それに対する怒りにも共感して欲しいですし、同時に「見せもの」がもたらす快感も自覚して欲しいです。人間にとってそれはまぎれもなく大きな快感なのですから…それからも目をそらさないで。
このヒントは…むしろ心理学に強いほうが有利?
タイプなどより初恋の相手や家庭のほうがヒントとしては強力でしょう。
というかこれ、ゲームの結果と告白の成功失敗が関係してしまわないでしょうか?妨害可能な競馬みたいなものにならないでしょうか?
これは作者の能力もすごく試されますね。でも本来高い力を持つ作家ですから…
どきどき!たまタン
やっともどってきましたか。
おしゃれねえ…聞くべき相手じゃないような。
ここでエンブルとコラボするような度胸はないようですね。
一人じゃなければ自信が…逆にそれは怖いですけど。
いきなりUFOに吸い込まれるってなんておいしい。
地球の礼服で演歌は爆笑しました。
逆に宵のほうも恋まほうを使ってますね。
映画館とかレストランとかをわざわざ作るとか…ってこれ、ホロデッキでしょうか?
まあちゃんとしたホロデッキなら実際の映画館やレストランと別に変わりませんしね。
「ぼくのこと…好きになってくれないか?」という言葉、この上なく自分勝手で率直です。僕もそれぐらい言えたら…犬にしかいえません。
「きみも…ぼくを一人にするのか…?」って人格障害の気配がありありなんですが。逃げたほうがいいです。
このタイプが求める愛情は人間には与えきれません。自分まで壊れていって相手ももっと壊すだけです。
ボーイフレンド
触れたけどつなげない手がぎゅっと痛くなります。
「フラれたらいいのに」…そりゃまあ罪悪感も…僕だって好きな人にとっては災難でしかないことで、それで僕には都合がいいことを散々妄想しました。ずっと、自分の出番が一生全くないことを祈り続けるのはある意味地獄です。
本当に言いたいことは…宝来くんが欲しい、では?
「あの人に…好きっていった?」も残酷な言葉です。
夏休み中に追いつこう、という意欲もあるんですね。
年齢別の授業は僕にはつくづく狂気にも残酷にも思えます。実力ではなく規律を求めているだけなのなら、ずっと(軍隊がそうするように)真鍮を磨いているだけでもいいじゃないですか…
ここでこの人が出てくるとは…いきなり教えてくれて「このままでは最低レベル」ってびくっとしました。僕だったら何と言うでしょう…ショックを与えて発奮させるためだと善意に見ることもできますが…
とにかくわかるところまで戻って積み上げて、公文式がお勧めだよ、としか言いようがないですね。でも公文式だと学ぶ楽しみ自体がないので、それも別のやり方で…
「ほかの子とは約束されてる未来がちがうのよ」には背筋が寒くなるほど怒りが出てきました。「医者にならなきゃいけない」とか、どれだけそれが偏って狂った価値観だかわかっていないのでしょうか?
「好きってどーやってやめたらいいの?」…あまりに根本的な言葉ですね。もしかしたら依存症が多いのも、犯罪も、なにもかもこの問いに答えがないからなのかもしれません。
みんなのなかで思い切りぶちまけて…なんというかこのひじきちゃんの行動もかなり勝手というか…
というか留守電って、今まで彼は何をしていたんでしょうね。
なんというかいろいろなものをありのままぶつけてきている感じがします。加工していない食材そのまま、血を流してまだ走っている首を切られた鶏とか、湯気を立てている内臓とか、泥がついたジャガイモやネギ、もいだばかりのトマトとか。それが真実なのはわかっていますが、どう料理しろというんでしょうか…
妖界ナビ・ルナ
風の町というとシカゴを思い出します。でも今僕が住んでいる船橋も風が強いです…巨大な湖や海に面した町は風が強いのでしょうか。
ルナちゃんにとってはいいにおい、でも彼にとっては…
この理科の授業はなんだか嬉しいです。機体分子運動論までやってくれるとは…補足、分子というのは、ここを考える上では高速でまちまちにぶつかり合っているスーパーボールみたいなものです。その速さの平均が温度なんですよ。それが速くなると壁をたくさん強く叩いて圧力が増し、そうなると壁が動けるなら体積も増えるんです。
「空気の体積が増えた」というのはある意味では正しいですが、ある意味では圧力が増えた、ともいえます。圧力が増えるとほんの少しだけお湯を押し、大気の圧力+温度による圧力とこの高さでつりあっているんですよ。だから、この深さまで非常に精密なはかりについた浮きを入れれば、「ストローの中の空気が熱い」ことがどれだけの圧力を出しているのかはかれます。さらにいえば、別に真空中でも同じ実験が原理的には考えられます…その場合、ストローの中をこの高さにするには、温度による圧力+大気圧を別に出してやらなければならなくなるのです。逆に、ストローをふさいでいる指やストローの壁自体も、それだけ少し強く押されています。
色をつけた水であるときに、周りの水面とストローの水面が一致していることに驚くべきです。それは両方に同じ大気圧がかかっているということなんですよ。
そのあたりを考えてみれば、この実験の正確な手順も重要ですね。「1ストローの上をふさがず、水面が周囲の水と(毛細管現象を無視して)同じであることを確かめる、2色のついた水にして、ストローの上をふさいで、それでも同じであることを確かめる、3色のついたお湯で1と2をやり、時間が経つとストローの水位が下がることを確かめる」が正しい手順でしょう。
「空気があたたまるってどういうことだ?」のほうが本当は正しい問いなんですが、それは小学生にはきついですよね。
水や大気の、物理が示す実態と僕が普通に感じているもののギャップは信じられないほどです。
本当は普通のことして小学校に通いたい…きつい境遇ですね。
理科室の幽霊の話がどう発展するかも楽しみです。
「あいつ」って知り合いなのでしょうか?
ピッキングでは窓は開きませんよ、外に露出したシリンダー錠は普通ないですから。
「人間じゃないね」といわれたときの反応はびくっとしました。
炎がまず喉が熱くなる…気管や肺を焼くのが致命傷になるというのもいい描写です。
ついに都和子先生が出てくるとは…動き出している運命が…断片的に知ってしまっているのが辛いです。
羊がいっぴき
ちがうよ、と言ってくれる友達の存在がすごく嬉しいです。
無視されて通り過ぎられる、幽霊にとってはこれ以上ない恐怖でしょうね。普通の描写では幽霊は、常に人に無視され通り過ぎられているのですから。
ミルクセーキ…その温かさとわずかなわがままがとても心地いいです。
雷が火事になる、というのはすごくびくっとしました。
「死んでもたすけるから」…それは二次災害の元です。現実では…僕がその立場なら耐えられませんが。
まだいけない、それは選べるものでしょうか?
「おとなになったらむかえにいく」…これも素敵な結論だと思います。
熱いキスの連続もすごく愛情がこもっていて心地いいです。
過去と未来のエピローグもすごくいいです。
驚くほど短かったですが内容が詰まっていて、すごく楽しめました。
次回作が楽しみです!
ツバキヨ
クライマックス、ですね。
この扉のセンスはいいです。
心の声が聞こえる…それを悪用しようとしない彼女の心のあり方のほうが僕には不思議です。
「ジメジメしてんじゃないよ!!」という理解の言葉がすごく嬉しいです。
ちょっとした人気者、というのも苦笑させられる話です。
放送室に集合、そして臨時集会ってかなりすごい…しかも嵐を「絶好の天気」ってあんた…
強化授業できもだめし、というのも唐突ですが…学校側の許可は?
夏休み三日増やす、それはみんな…有刺鉄線どころかレザー(革のレザーでも光のレーザーでもなく剃刀です)ワイヤーだって乗り越えるでしょう。
彼女を主役にする、というのもなんというか面白いですね。
なんというかこのきもだめし、準備だけでも大変だったのでは?
いつのまにか「呪い女」から「ツバキヨ」になってる…それもすごいことですね。
そこで能力が消えるとは。
本来なら喜ぶべきことなのに…僕は別に能力はなくても人の役に立つことはできると思いますよ。僕も、能力が…それこそX-MEN全員の能力があっても人の役には立てないことは間違いないんですし。
地獄少女R
あまりにすべてを賭けすぎたら…というか人間、「**さえすれば○○が手に入る」式の思考法がすごく強くて、それが多くの悲惨の元なんですよね。
といっても、父親がどういう人間だか子供にわかるわけがなし、直接「そばにいてほしい」と要求したところで…
「あいつさえいなくなればお父さんもきっともどってきてくれる」も結局「**さえすれば○○が手に入る」思考ですね。
それは…特に虐待されたり無視されたりする子供にとって、致命的な罠になります。
あと、人間が魔術・呪術を好むのも、根源的にはこの思考です。
ピアノを続けさせることに意味はあったでしょうか?
「**さえすれば○○が手に入る」思考の誤りを彼女が理解することができれば…といっても、何を理解したとしても、来世を失った以上何の意味もないのですが。
今回はテーマがきっちりしていたのは評価できますね。
来月号から茶匡先生の新連載…新人作家の出番が少なすぎるのは僕には不満ですが、作品自体は楽しみにしていましょう。
増刊もどうなるか心配ですが、昔の…年三回しか増刊がなかったころのことを思うと贅沢な苦しみです。