なかよし2009年7月号感想
安定感のある、バランスの取れた付録です。わんころべえのアニバーサリーが嬉しいです!
デビュー人数三人はちょっと多いような気もしましたが、思い出してみればここしばらく三人・一人というパターンが続いていますね。
爆笑があったおかげで色々とおさまりましたが、今月号は「なかよし」じゃなく「いじめ」ですよ。それこそ上の「なかよし2009年〜」というのを、「なかよしいじめ2009年〜」とやりたいぐらいです。
いじめ・死などで感情を刺激し、それを麻薬のように使っているとしか思えません。それは「ちゃお」「りぼん」もかなりそうなのですが…
それは激しい暴力をそれに用いる、いわゆる切株映画と何が違うのでしょう?または過激な性描写と?
辛いことを一切書くなとは言っていません。人が見たくない真実に直面させる、闇の奥に光が見えるような書き方であればいいメッセージといえるでしょう。
でも途中経過で、結果的に…勧善懲悪ドラマでありながら、前半の悪がひどいことをするシーンの、それ自体の魅力で人をひきつけるのと同じことにならないでしょうか?
個人的には、いじめを連載でやって欲しくないです。話が切れて不快な読後感だけで今月号を読み終えるのはいやです。
どうか読者のための「なかよし」であってください。
ちよこれいと(フクシマハルカ)しゅごキャラ!(PEACH-PIT)わたしに××しなさい!(遠山えま)AEISA(安藤なつみ)ボーイフレンド(山田デイジー)ツバキヨ(原明日美)妖界ナビ・ルナ(菊田みちよ/池田美代子)フレッシュプリキュア!(上北ふたご/東堂いづみ)セレブな奴隷(青月まどか)どきどき!たまたん(こげどんぼ*)新・地獄少女(永遠幸)サファイア(花森ぴんく/高橋ナツコ)予告
ちよこれいと
またずいぶんと絵柄を変えたものです。「なかよし」では変わることこそ生き残ることなんですね、今更ですが。過激なまでに刺激的ですね。
こういう石段もいいですね。海は見えるのでしょうか?
いきなり男の子が落ちてきたのは、いわゆる「おちもの」ジャンルかと思いました。
さりげなくなぎなたを握っていますが、抜き身で持ってちゃ危ないのでは?
いきなり「今恋してる?」にはびっくりします。
竹刀となぎなた…ものすごい腕の剣士が、一勝だけお情けでもらった以外全敗した、という話が伝わっています。
あ、やはり剣の持ち方が…剣道では基本的には拳を離し、左拳は柄頭ぎりぎりで持ちます。
頭を持たせかけ、それをぐりぐりしているって見ていて楽しいです。
二月十四日…バレンタインですね。僕も近いですよ、二月十一日建国記念日。
三人が誕生日が終わりと言うのはすごい偶然に思えますが、確率的にはどうなんでしょうね。
チロルチョコ一つがすごい小道具になるものです。
みんなにきゃあきゃあ言われるのも当然ですね。
他人の色恋話が娯楽になるのも動物としては当然です。
彼が顔を出したのが保健室からだった、というのも読み返すとさりげないです。
髪を外すために距離が寄ってしまうのも繰り返されてきたことですが、それだけに以前よりも切れ味が増しています。余計なことは描かない、肝心なことだけ、という感じがします。
チョコを捨てた、というのもうまい!
「ちーはオレが待っててやる」…これは小学生男子に言える台詞じゃないですよ!すごい。
いきなり単刀直入に「転校生のこと好きなんだろ」にはびっくりしました。
窓から飛び降りてプールに、ってできるでしょうか…
強引に食べさせて「それが恋だよ」…ここまで振り回されたら、読者は同じように振り回される快感を一杯味わえるでしょうか?
風呂シーンは、今までフクシマ先生がいくら裸を出しても逆になかった色気が結構あってドキッとします。
朝、いきなりの死の知らせ…あまりにも強烈です。
これは死を軽く、麻薬として扱っていないか、という疑いさえ感じますが、これほど大きく変わった勇気に期待しましょう。
とても深い物語りもここからなら作れそうですから。
しゅごキャラ!
これで解決でしょうか?
このお兄さんも何もかもわかっているのに一切行動しませんね…
音楽が好きな人にはひたすら音楽をやらせればいい、名前だけにして実務は別の誰かがやれば問題なかったのでは?まあそれこそグイン・サーガのマリウスと同じですね。
「子どもらの身の安全を保障するかわりに」…なるほど。
「無価値の人間がボクのそばに」…その価値観がいきつくとこうなるんでしょうね。でも今の世界で、どれだけの子供がこんなふうに育てられているか…
専務に対する同情はあむちゃんらしいです。
こころにたまごがない、からっぽ…本来の、アフリカの森と草原の中間で暮らしていた群れサルはどうだったのでしょう。群れの一員であること、家族で伝えられた神話と狩猟採集技術、敵に対する憎しみと恐怖、それで十分だったのでしょうか。
隙間を埋めるために石を…わかってはいるんですね。
あむちゃんの優しい言葉には胸が痛くなります。
ひかるくんのたまごはどこに行くのでしょうか?
泣くことが許されない、心を自分から追い出す…
というかこの状態から、次回何に通じるのでしょうか。とんでもない罠をここで仕掛けるか、それとも…
わたしに××しなさい!
手をつなぐだけでなく顔も寄せ合ってますが。
感情描写をそのままケータイ小説にできるというのもすごい。
苦労って苦労どころじゃないでしょうがあれは…
二人が顔をあわせたときの緊張感は楽しめます。
コピーを逆用して脅し返すかと思ったら、この攻防は実に楽しいです。でも漁夫の利になったらすごく危険ですけど。
もってます、と認めて意表をついて逆に笑いものに…人を操る天才、ってなんだかアルド・ナリスみたいですね。
「恋愛ごっこのお時間だ」…容赦なし。
嫌な気持ちにならない?というのも不思議な話ですね。
でも抱き寄せられてびくっとしてしまうのは女の子ですね。
抱き寄せるシーンは実にドキドキしますね。
で、いきなりキス?うわああああああああああ…ここに目撃者とか?
ARISA
確かに記憶喪失だとしたら、都合が悪いことだけ…ですね。
毎日学校帰り、これは確かにすごい。
このありさちゃんが本来のありさちゃんなんでしょうね。
クラスのみんなの写真…そこまでして共同体に?
問題は気軽に転校できないこと、学校と違うけれど最低限の学力を維持できる場がないことでは?
誰にも秘密の隠し事…確かにこれは学校に来させるぐらいの力はありますね。人の好奇心は強いです。
それがいつしか変質していく…
パソコンでデータが見つかったのは、見つけられることを前提にしてでは?その気になれば完全に隠すのは容易です。
パスワード探しは面白いです。
つばさちゃんが表に出られるのは久しぶりですね。
知るのが怖い、というのも健全な直感なのでしょうね。あまりに深い人間の業…もう警察に任せるべきだと僕は思いますよ。エルキュール・ポアロかジェーン・マープルと連絡が取れないのなら。
「つばさがやんなきゃだれがありさちゃんを助ける」って、人間に助けられることとは僕には思えません。集団が一度暴走したら人には止められませんよ。
病室から昏睡状態の人を盗み出す…これは完全に犯罪です。警察に委ねるべきですよ。健くんがそれを決断できればいいのですが…
ボーイフレンド
また、胸が悪くなる話に…描いてほしくなかったのが本音です。
最初の、恋心の強さは見ていて意識を失いそうな何かを感じてしまいます。読み返していると、あまりにも心が強く衝撃から身を守りたいとしている…
ちょっとした「いいな」から…
宝来くんはほぼ絶対的に味方なのでしょうが…
「たった一日で味方がいなくなるのもいじめだった」…わかっている、というのがおぞましいです。まるでベテラン兵士のようなものですね、いきなり砲弾が落ちて自分の足一本消し飛ぶのが当たり前の世界…
この憎悪は前のとは全く質が違うもののような感じもします。
学校にも家にもいられずそとで雨に打たれて…これも体から、焼けた針金を一本ずつ抜かれるような痛み、全身の腱を一本一本抜かれていくような無力感と気持ちの悪さを感じます。呼吸し、木刀を構えなおして姿勢を正せば収まりますが…外でこの感覚にとらわれたときそうするわけにも行きません。どうしましょう。
「やりなおせば?」って、それはそんな簡単なことじゃないですよ。
月曜日に…これほどの悪意は…正直来月号を読むのが怖いです。
あまりにも、胸から鼻にかけて冷たい憎悪が覆い尽くしてきます。爆発も許されない…ただ力を失うような。
もう…勘弁してください、が正直なところです。
ツバキヨ
確かにこれは壊滅ですね。
さりげなくシャボン玉で遊んでいるのが楽しそうです。
赤い軍団…赤い旅団ってありましたねえ。懐かしい。
おばあちゃんも若いですね。まあ僕が中学生の頃の祖母は…
地獄…人格チェンジで「ひみつバラされたくなければ」って結構怖いですね、彼女の場合。そっち側ではとても役立ちそうですが。
心も体もすっぱだか…これも怖いです。
巨大化でわくわくしないでください。
教室に普通にいて、というかここで筆談させていれば問題なかったんですけどね。
どんどん熱がエスカレートしているのが見ていて楽しいです。
誰かがずっとついていれば問題ないのでは?
そのかわり…が天変地異より怖いです。
みんなどんどん本音を丸出しに、これは確かに学校が壊滅します。誰が誰を好きか、誰が誰に本当はムカついているか、全部ぶちまけてしまったら…
桜井くん、さりげなくその左手に持っているのはバットではないでしょうか?
やっているのは子供に逆上がりを教えていること、でしたか。
親がいないとできない?できないのは単にできないからです。できる子がやるのを見れば、人間にはミラーニューロンという便利なものがありますから、その記憶を利用すればいい…あと圧倒的な基礎体力があればできます。僕は小学校の頃はできませんでしたが、高校になって体を鍛えるようになり、ランニングの途中にあった公園でふと逆上がりをやってみてできてしまったんですよ!
確かに「オレらにいえばすむこと」ですね。
ここで桜井くんの本音がだだ漏れ…恐ろしい能力です。
「そんな上目づかいで」は鉄棒に頭ぶつけて死にたくなったでしょうね。
熱まで移されて…はは。
妖界ナビ・ルナ
この約束は、破っていいのでしょうか?
というか実際にも、洞窟は、特にちゃんと観光用に整備されていない洞窟は非常に危険なので近づくな、ですませるべきでは…子供に禁止は逆効果ですが。
九字・呪符とどんどん陰陽師としてもレベルアップしていきますね。
でも呪符で火を消せるなら、水鉄砲でもコップでも火は消せます。クロウリーによればそれも、意志によって正しい手段を選び、使役するなら魔術です。
やわらかいものをだっこしてると、というのもわかります。
幹太郎さんも子供のことをよくわかっていますね。
本気で洞窟に入るなら、かなりしっかりした装備が必要になります。特に外部に、いざというとき捜索してもらえるように。
アリアドネの糸も理想的です。
外部で待っていて、必要があれば救助に向かう隊が必要でしょう。
自分自身も、暗い中落下し骨折して行動不能になっても、数日間生存できる水・食料・保温具・医薬品も必要です。
狭き道から、ですね…こういうところでは。
コウモリは狂犬病を持っている可能性があります。危険ですよ。
この沼は見るからに危険すぎますよ。
というか幹太郎さんもずいぶんと行くことにこだわっていますね。
この魔の木の不気味さはすさまじいです。
ああなってとうぜん、というのは…この島を開発で穢そうとした連中なのでしょうか。
木じゃなくて人間、というのが悲しすぎますね。
やはりすごくレベルの高い作品です。
フレッシュプリキュア!
四人目、って自分自身では?どちらなのでしょうか。
命をも縮める代償を払うカード…選ばれた、というのは平気で命さえ投げ出させる、それが人間ですね。そう、人間ですよ。
「かわりはいくらでもいる」というのは笑うしかないほど悲しいです。
「プリキュアが守ってくれるわ」ってもろにプリキュアが安全システムに入ってしまいましたね。
自分も痛くても必死で止めようとするピーチ、この強さと優しさは神々しいほどです。
そして…彼女はどちらを選ぶでしょう。彼女が四人目だったのか、それとも…アニメを知らないのは気楽でいいです。
セレブな奴隷
予定通りの大団円ですね。
三億円がパア、なのがゲームというのが苦笑させられます。
ネコ耳メイドセット…最近出たとあるエロマンガのとあるアクセサリーがあるかどうかは見ないほうがよさそうです。
首輪つけっぱなしと言うのは確かに変態です。
というか風呂は?汚れは?
父親がお金持ちに戻るのは予想通りでした。
あっさり辞めるのを受け入れてもらって、そしてお嬢様の生活と、自分で何でもやっていたメイド生活のギャップ…このままだったら、それはそれで落ち着いていたでしょうか。
この三人の冷たさには驚きました。でも…論理的には、この三人と華ちゃんの外での関係はメイドになる前、メイドでいた頃、そして今で変わるべきではないと思いますが?
失った気がする、というアップの迫力と表現力はすごいです。
いきなりの誘拐は…「すーぐピンチに」という言葉どおりです。
身代金を取ってそのまま逃亡、だったら…人質は確実に殺されますね。
それ以前にこの状態は…利用価値と言うのは…
ロープを引きちぎってしまうのは強すぎます。
船から飛び降りるというのもすさまじいです。
ここで出てきた王子三人組、カッコよすぎます!
いきなり脱がして殴られる、というのも強烈でした。
で、船の船長も含めて買収…でもちゃんとした犯罪者だったら「金で契約を裏切った」とばれたら他の誰も彼らと契約してくれなくなりますが?
この船から飛び込むというのも無茶ですね。ビル並みの高さです。
「華ちゃんの王子さまだからでしょ」がまたすごい!
で、この父親…まあいいか、ちゃんと身代金は用意してくれましたし。というか払った身代金は返ってこないのでしょうか?
メイドに戻るのも予想通りでした。
まあお約束なだけ楽しめました!
結構量のあるこのシリーズでの青月先生の成長はものすごいものがあります。あちこちの絵の魅力と迫力には瞬殺されたぐらいですよ。
この魅力で、本当に明るくて強い作品で今度こそ本誌連載!期待しています。
どきどき!たまタン
笑い死にしました。そのおかげで、三誌を買って読み通して、胸にたまりにたまった大量の嫌な思いもほとんど消せました。
下忍が多いです…
帰ってきた下忍の、…この背景を消して影だけ、完全に真面目な等身大、超リアル絵、完全に真面目な目と指だけ…笑い転げたなんてもんじゃありません。
というかプレイボーイ日本版も廃刊でしたね…論座や諸君や現代より、プレイボーイ日本版や噂の真相のようなタブーに鋭く切り込む型の雑誌のほうが惜しいです。
で、ガンダムがどうしたのでしょう?他にも色々表紙が気になるのですが。まあプレイボーイバニーにモザイクがかかっているのも。
で、繰り返しギャグとノリツッコミ…強烈です。
茜くんの自責は正しいです。
ここからの笑顔の爆発は見ていて気持ちいいです。
そしてこの恋魔法、結構強力ですね。というか…もし問答無用に即死の魔法だったら、何の交渉もせずに…怖いもの知らずですね。
美しい姫君って、この格好で美しいと言うのは無茶がありますね。僕には単にものすごい色気しか感じられませんでした。
離れてもすぐ解けない魔法って結構極悪…
地獄少女
今回の話も脳にとことんとり憑いたように僕を苦しめる話でした。
まずこれが真実であることがいやというほどわかります。
真実と言っても実話とは違う、ディテールは違うにしてもこのようなこと…いわれなく人が世間に背を向けられ、追い詰められて地獄を見ることが、特に日本では、いやどこの国時代でも普遍的にあることが。
これが人間の本性だということが。
でも、そこで今回にはいくつか罠があると思います。
今回を読んだ読者はどんな思いを感じたでしょう?
かわいそう、でしょうか…ならいいのですが。
逆にいじめる側に感情移入してそれを楽しんだでしょうか。それも責められません、人が水を飲みトイレに行くことを責められないのと同じように。
怒りを感じた人もいるでしょう。でもその人たちに、このいくつかの罠に落ちて欲しくないのです。僕は交互にその罠に落ちて、別の自分が引き上げました。
まず…人間なんてみんな地獄に落ちちまえ。人間そのもの、世間、日本に対するすさまじい憎悪。
この母親が生活保護を受けるなどなんとか別の、正しい選択をしていれば…本質的には自己責任主義。
誰が悪者?…悪者探し。
人がもっと優しければいいのに…それは人に、物を食うな水を飲むな息をするなと同じことです。
日本が**主義(教)国でないからこんなことになった、**主義を実現すれば…それも人間の構造を無視していますし、悪者探しです。
人間は所詮こういう生き物なのだからどうしようもない…現状追認。
これらの罠すべてから逃れるのはとても難しいです。スキュラとカリュブディス…「オデュッセイア」で描かれた海の難所、右に行き過ぎたら岩の魔物に食われ左に行き過ぎたら渦に飲まれる…より罠が多いです。
この話で自己責任主義を取ってはならないのは、「地獄少女」自体に、まるで最初に足を切断してから追い詰めて殺し、それからなぜちゃんと逃げなかったんだと責めるようなおぞましい残虐さがあるからです。
最初に被害者の判断力を奪って視野が狭い精神状態に陥らせ、あってもおかしくない特に公的な救いを決して与えず周囲の人間全員を外れ札にし、そして紐を引くよう追い詰める…
それで人を呪ってはいけない、もっと別のやり方があったなんて、少なくともこの親子にはとても言えないです。それでは派遣村で飢えをしのいだ人たちに、これまでの人生で間違った選択をしたのだから自業自得だ、救う必要などない、という冷たい保守派と同じです。
いや、それ以前に最も根本的に、生存権を認めるか否かです。優れてなければ、賢明でなければ、性格が良くなければ…生きること自体認めない、それらがない人は死んでいいか、それとも人として生まれたら全く無条件に生存していいか。
これまでの僕の、別の選択肢を示す感想もその点では間違いだったのかもしれない、この「地獄少女」の根本的な構造自体のおぞましい邪悪を理解していなかったのかも…
でもこの母親にも子供にも、多くの選択肢があったことも事実ですし、一つ一つの転落で、わずかな幸運があれば餓死にまでは追い詰められてはいなかったはずです。だから餓死自体は日本では少ない数です。ただし、数が少ないからこのままでいい、容認していいというわけではないはずです。
確かに人間は群れ動物であり、集団で一人を悪とみなして攻撃する状態になったら自分だけ攻撃をせず生贄を助けることには大きな勇気が必要です。
でも誰もが均一な心を持っているわけではない、中にはそういう人に手を差し伸べる人もいます。
そして生活そのものについては、宗教も助けになりえます。
同じく福祉が弱く企業が気軽に人を首にする、極度に貧富の差が大きいアメリカでは貧困者は多いですが餓死者は少ないです。それは教会が極貧者を助けているからです。またフードスタンプなど、生活不能者を直接助ける福祉制度もあるからです。
この話でも、多くの餓死事件からもわかるように、日本では親戚・世間・企業から排除されたら餓死するほかありません。無条件の隣人愛が日本の精神構造にはなく、福祉制度に大きな不備があり、また多くの日本人は機能する宗教団体に所属していないし、中でもキリスト教の勢力が弱いからです。
キリスト教の教義、新約聖書の福音書に、世間様に対する無条件服従ではなく世間や家族にも背を向けて神に服従せよ、そして本当に犯罪者であろうが魔術的に穢れていようが被差別者であろうが世間みんなが悪いと言っていようが、無条件に人を愛し助けよという命令があります。イエス自身も世間から排除された者、悪とみなされた者に誰に非難されようと手を差し伸べました。
もちろんキリスト教自体支配宗教となっていますから、日本のこの世間と同じような面もあります、特に性道徳に関しては(「緋文字」ホーソーンなど)。けれども福音書の、最も弱い罪人に手を差し伸べよ、という命令を真に受けている人もいます。
いや、その無条件に何の見返りも求めず人を助けるのは、キリスト教の専売特許ではありません…本来は。
人々の中にはまれであっても、無条件に人を助ける心のあり方がある人もいるでしょう。ただし日本では、世間がある意味…イスラム教原理主義国におけるイスラム教のように、競争者のいない絶対宗教と化しており、世間教に無条件の隣人愛はかけらもないのでそれが出にくくなるのは理解できます。
といっても、日本をキリスト教国にせよ、といってしまうと行きすぎです。まして世間の面を持たない、福音書のイエス、家族も私有財産も否定したイエスにもどれと言うのは、それこそ人間性を無視しています…私有財産を否定する共同体が国単位でうまく機能したことはありません。人間が身勝手な群れ動物なのは、人間が水中では生きられないのと同じぐらいどうしようもないことです。
また情けのある人に、この親子を全面的に、生活全部を自分の生活の多くを犠牲にして助けよ、というのも無茶な話です。ごくわずかなこと、自分の生活を壊すほどではない…月二十万円ではなく月二千円なら多くの人に出せます…またその助けが世間の一部にもなっている、という形で助けるのが理想です…その点でも教会が機能していればよかったのですが。
人間自体を呪うのでもなく、かといって人間の本性から目をそらすのではなく、この状態を生んでしまった社会を少しだけ変える…餓死にまで追い詰められる部分、そして世間そのものが生贄を情け容赦なく攻撃する心理…どちらもどうしようもないのでしょうか?
人間はこんな生き物なのだからどうしようもない、といいたくなります。
でもそうじゃない…ヒントになると思われる本があります。
いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか (講談社現代新書) 内藤 朝雄 「いじめる心を持つな」という、人間には不可能な道徳ではなく、極端な社会制度変革でもなく、比較的小さな制度の変更によって、それまでどおりいじめる心を持っている人が別の法則…法で生きられるようになる社会…これは大きな合意、理解があれば実現可能だと僕には思えます。
共産主義国だったら、キリスト教原理主義国だったら…というのは危険な罠です。人間性の限界を超えた実現不能な理想、現在の社会の全否定は安易な道であり、そのために力を注いでもろくなことになりません。
でも、この本に描かれている…いじめの利益を引き下げることでいじめ構造を少しだけ弱めることはできるはずです。
人間はこんな生き物なのだし民主主義など茶番なのだから、何を言っても何をしても無駄だ…というのも思考停止です。
まずこうなったのは、運輸省が適切な事故原因調査をせず企業と癒着していたからです。
メディアや噂等、何より人間の群れについての人々の無理解も大きい要因です。
学校でのいじめは、視線や無視などは罰することはできませんが持ち物を破壊したり汚したりするのは器物損壊罪、暴力は暴行・傷害罪、悪口は侮辱・名誉毀損罪であり、本来は警察の範疇です。しかし学校に警察を入れずという慣習が、本来法と警察によって守られているべき人の権利を侵害しているのです。また、バカな道徳ではなくなぜいじめるか人間の精神構造をきちんと教育し、それに対抗する術を与え、無条件にいじめられる人をかばった子を賞しいじめた子を罰するシステムもいい援護になるでしょう。
誰もが、「悪い」という言葉だけで攻撃したのは、人間の習性を学んでいない教育の不備です…その点では、今回にはいい意義もあるのではないかと思うのです。世間というものがどれほどおぞましいかを見て、こうはなるまいと一人でも思ってくれれば…
企業が基準を満たさない人を解雇したのは法的な権利のうちですが、その判断に世間によるリンチ・偏見を加えるのは道徳的には間違っているでしょう。
親戚には法によって親族扶養義務があります。
また憲法が生存権を保障しているにもかかわらず、解雇によって生活できなくなった人を公的機関が救済しようとしなかったこと自体違憲です。その違憲を違憲といわない最高裁も国会も政府も、それを選んだ国民も間違っています。生存権を否定するなら憲法を改正すべきですし、違憲国家のままであるよりそのほうがましです。
民主主義国の人間として国民一人一人が憲法を実現するよう選挙・最高裁判所判事国民審査権を用いて国に訴えなければなりません。
マスメディアを動かすのも国民一人一人です。
そして、一人一人に理解して欲しいのが、日本の世間教のこの冷酷さです。
できることなら小さい子供のうちから、一人一人に…世間教とは違う価値観、キリスト教と切り離して無条件に人を哀れむ心、世間との対立を恐れない正義を賞揚して欲しいです。
結局彼女は地獄少女になることを選び、復讐を始めた…本来彼女がやりたいのは人類そのものへの復讐では?地獄少女であることはそれになるのでしょうか?単に、「地獄」というものの圧倒的な悪意が彼女を捕まえただけです。世間も地獄も極悪、どこに光があるのでしょう。
悪をなすなとはいいません。ただ、ほしいものを正しくつかまないのは…ゲームソフトが欲しいのに服を万引きするのはただのバカです。
結局今回を読んで、読者は…そう、運命からは逃れられない、運命に攻撃されたらいかなる救いもない、どうしようもない、自分は無力だ…というメッセージを受け取らないでしょうか?僕はそれが心配でなりません。
何よりも読者に光の側のメッセージを、それが僕の願いです。
もちろん「地獄少女」自体は一回でも早く終って、永遠先生らしい光の側の作品を描いてくれることが。
サファイア
とにかくお疲れ様でした。
この大変な連載で、花森先生の力自体がすごく伸びていることははっきりわかります。
表現力の幅も広がっていますし、中から輝くような甘さを出すことがコンスタントにできていますよ。
多くの制約の中、せいいっぱい小宇宙を燃やしたことは僕には伝わっています。
あとは…ゆっくり休んで、この新しい力を爆発させてくれることを願うだけです。
茂呂先生の、オリジナルでの新連載はガッツポーズが出るほど嬉しかったです!
あおい先生の読みきりまで…誕生日とクリスマスが一度に来たとはまさにこのことです。
でも、考えてみればこれからの「なかよし」はどうなるのでしょう。小池田先生まで出てきて…
さらにゴーストハントも、ってこちらは…信じていいんでしょうか。さんざんやられましたからねえ…