なかよし2010年夏ラブリー感想

感動を重視して、すごく質の高い作品が集まったのは確かです。その多くが、最終的には光の側の作品であることも。
でも、そのプロセスとしてものすごく嫌な感情にさせられ、それを乗り越えて感動するタイプの作品があまりにも多いです。
正直言ってそういうのは、少数なら最高なのですが、そればかり連続で読まされると嫌な感情のダメージが後を引いてしまって、増刊全体の読後感を悪くしてしまうんです。
本当にいい作品ばかりなのです、単品としては。でもそればかりが並んでコース料理になると、激辛ばかりとか油ものばかりとかのように、コース料理全体で吐き気のほうが残る、ただの拷問になってしまうのです。
むしろ肩の力抜いて、単純に楽しめる、大笑いできる作品がたくさんあって、その中にいくつか考えさせられる深い作品が混じるぐらいがちょうどいいのでは?

いい作品を集めたことは確かですが、肝心なことを見失っていないでしょうか。
「面白い」「楽しい」という言葉を忘れていませんか?

ただでさえ本誌が暗いんですから、増刊まで暗くなっては救いがないですよ。明るいを勘違いしてバカさと眼の大きさを暴走させた派手作品ばかりなのもなんですが…そのスキュラとカリュブディスを避けて、読んでいて面白い、目を引く美しさもある、中身もあるけど全体に暗い感じはしない、そんな作品を創ることは、また作品の割り振りで雑誌全体を明るくすることはできないのでしょうか。
本誌関係作品も暗いのが多かったです…
誰か、増刊全体を読み通して、「暗い」と思う人はいなかったのでしょうか?

かみかみかえし(遠山えま)ARISA(安藤なつみ)オオカミ少年(水上航)ティーンズ・ロック!(進藤はるか)地獄少女R(永遠幸)インザクローゼット(渡辺留衣)少年ブルー(結翔)おんたま♪(美麻りん)先生とあたし(栗沢じゅん)ミリオンガール(桃雪琴梨)不器用フレーバー(瑞樹しずか)アニ×カレ(紺のんこ)神社のわきの階段をぬけて(春瀬サク)名探偵夢水清志郎事件ノート(えねうえけい/はやみねかおる)若おかみは小学生!(おおうちえいこ/令丈ヒロ子)ごくゆめ(大塚さとみ)蜘蛛女(秋本葉子)

かみかみかえし
神という存在をなめすぎてますが…
折り紙だけで式神を召還できる、これだけの力があれば戦場で使い潰されていったのでは?それこそ絶対可憐チルドレンの戦中世代みたいに。
しかし迫力はさすがですね。完全にゲームです。
アクションシーンの派手さもすごい…
あの、屋敷内で人を殺して大丈夫なんでしょうか?
人も神も手段でしかない、ってそれは天皇制から見れば存在自体許されないでしょうね。明治維新も戦中総動員体制も彼らにとってはちょっとした儲け話に過ぎない、神々含めた全人類が彼らの箱庭?
あまりな邪悪…それが読者にどんな影響を与えるやら。
実際神を閉じ込めて富を得て、誤って没落する民話はありますけど。
炎で結界の札を焼きつくした、というのはたまたまでしょうか…
ずっと味方のつもりだった…あの虐待で…生かしておくだけでも精一杯だった、って外国とかの選択肢は?
この家は世界のあらゆる国家主権や闇を含む権力を上回る存在なんでしょうか。
なんというかギャルゲーの逆みたいなことになりましたが、どこに突き進むのでしょう。

ARISA
これも、なんというか…大人が勝手すぎて、子供が圧倒的に無力で、読んでいて自分が…拷問の前段階として全身をくまなく棍棒で叩きのめされているような感じがします。
痛みはすぐに感じなくなりますが、殺さないギリギリまでうまく体力と気力を奪うと、それからの拷問がすごくやりやすくなるのです。やり損ねて死んだ場合も、その死体が小林多喜二のケースのように見せしめメッセージにはなります。
徹底的に力を奪われている、無力だ、無力だ、無力だ…下だ、下だ、下だ…意思も心もいらないただ従え、意思も心もいらないただ従え…そう何千回も叩きのめされながら刷りこまれるようです。痛みなど感じない、棍棒が骨を砕く感触と内臓の反応、全身の痙攣だけが、まるで他人事のように感じられてしまう、そんな感じで。
昔は親戚というものもありました。
またさまざまな、半ばアウトローに近い場がありました…数日間両親から離れて生きられるぐらいは、もちろんリスクは大きいですが。
今は何もありません。親権だけが絶対なのです。子供には一切の権利がない、親の所有物に等しいのです…単純に法を解釈すれば。せいぜい殺すことが容認されない程度。
そして日本が戦後、面会権を容れずに離婚だけ認めてしまったことが、子供たちにとってどれほど残酷になっているか。
ここまで勝手な親に育てられたら、どうなっていても仕方ないかもしれません。

オオカミ少年
神の怖さがうまく出ました。
入れないのは着替え中か何かかと思いました。
恋心を意識しただけで…でも可愛いです。
「ひよりに会いたいのに」というまっすぐな表情も可愛いです。
いいわけない、とのたうちまわったりしてるのも。
いきなりいなくなった感じはさりげないですが重いですね。
いつでも助ける…これもありがたいメッセージですね。
閉じる扉を見る冬真くんの表情もすごく印象があります。
一人でいるのはもう淋しい、というか、帰ってこないのを待つ三日間も、本当に淋しい部分をゆっくり描かないのはテンポ重視でしょうか。
礼王のうつろな目の印象も強いですね。誰?という一言も…
こういう状態になったら、正気があるだけでもよかったと思ったほうがいいです。
それほど民話などでの、神・妖精・妖怪(全部ある意味同じようなものです!)との恋愛は危険なのです。
冬真くんに向けた微笑、それを見抜けるのも本当に近い人なんでしょうね。
どこまでわかってくれているのか…わかってもらえる、ということがどれほど人に強さを与えるものか。
冬真くんという存在はこの作品をものすごくいい作品にしてくれていると思いますよ。
一番大事なものだけを…
儀式の神聖性もよく描かれています。
すごくすっきりした感じのいい作品でした。本当にものすごい実力です。
単行本も楽しみですよ!

ティーンズ・ロック!
続けて描くことで、作風に大幅な力強さが加わった気がします。
線がどっしりと太くなって、すごくパワーが出ていますよ。一つ間違えれば暴走しそうなギリギリのバランスですが。
服や鎖骨からにじみ出るような色香もコンスタントに出ていますし、すごく力強いです。
すごい画面から出てくる生気が強くて、クーラー強くしちゃうぐらいです。
兄のポスターを見上げる表情もすごく魅力的。
すごく大きいチャンスが来たものですね。というか最初から嫌悪感みたいなのがはっきり伝わってくる人ですけど…
「舞ドンマーイ」とちょっとしゃれになっているのがくすっとさせてくれますね。
知り合いというほどでさえなかった、というのもなんだか淋しいですね。
自分にできることをやるだけ、という美空ちゃん、カッコいいです!
結構本格的なステージですね。
みんなに目標にされるような人、でしたか…
和志という人を目標にするか、その人がいたステージに立つことを目標にするか…たとえばBOOWYのような実在の名を代入したらわかりやすくなるかもしれませんね。
四人とも頑張っている、でも…見ている二人の女の子の表情が曇ってくる…厳しい!すごい伝える力ありますね。
ピックが割れたことを前向きにとらえようと、とにかく物事を物語にしてしまうのは僕には人間の悪い癖だと思いますが…いい意味でも悪い意味でもそれが人間なんですよね。
真似するな…でもどこまで、というのが難しいです。守破離、どこまでコピーするか、どこでコピーから離れるか…その按配は…
だから葉月さんもコピーするな、とはっきり言わず、自分で気づくのを待ったのですか…
一気に感じが変わる、ライブシーンの迫力はすさまじいです。
バックのメンバーのパワーもさりげない目配せやカットからすごく伝わってきます。
まさに圧倒される…なんてパワーでしょう。
本当に素敵な作品でした。ぜひ単行本で出して欲しいですよ。
というか今すぐ本誌連載に出て欲しい、勢いがあるうちに!このありったけのパワーを、フルスロットルノーブレーキで本誌に叩きつけて欲しいです。

地獄少女R
行った先の地獄なんてたいしたことありません。この作品の世界自体が地獄です。
こんなトラブル、あらゆる人間が年がら年中やっているはずです。
大抵は他の誰かが何か干渉したり、自分たちの中の反省する部分が出たり、気分転換があったり、自然に癒されたり…とどこかでいい循環があってなんてことなく笑い話になるはずです。
誰もが銃を持っている国でも、それならそれで宗教や血族や部族の助け合い、ギャンググループの結束など光に向ける力はあるはずです。
それらが一切ない…励ましも受け入れも、慰めも許しも癒しも、警察も福祉も、信頼も家族も、愛も信仰も希望も一片もないこの世界、それ自体が地獄です。「往生要集」と「神曲」と「天界と地獄」のどの地獄よりもずっとずっと悲惨な。
逆にこの世界で、地獄少女システムだけがなかったら…あるから地獄なのか、なければもっともっと悲惨になるのか。変わりませんよ、地獄であることには変わりありません。
人であることが地獄行きに値する罪、なら阿弥陀如来やイエス・キリストが無条件に救ってくれるはず…それがなければ世界自体が地獄。
普通に、刻印もなしにこの世界で生きている人間、その全てが地獄にいるんです。
実際何がしたい、何を伝えたいんでしょうね、この作品。

インザクローゼット
こういうパワフルで明るい作品はほっとします。
冒頭からド派手で強烈な炭酸!すごく楽しい世界を作ってます。
おもいきり古い絵柄をギャグで使ってきたのも楽しいです。
ブルドッグというかこの指輪が許容されるなら護身用にいいですよね…
基くんの兄、という形で話に入ってくるとは。1441という数も結構面白いです。
ペチペチ体をたたきまくるのも楽しいですね。でもやってるほうは愛情表現でもやられているほうはいじめとしか思わないものですよ。
お嬢様なのを知って利用しようと…聞かれたときの悲しげな眼がすごく強烈。
教室でマニキュア…そりゃ臭くなりそうです。
何と戦ったら、というのは苦笑しました。
マニキュアとか、そういう体を飾り整えることをそれを仕事としていない男にやってもらうのは、女にとってすごく官能的だそうですね。
反抗する気もおきないくらい真っ暗な日々…
「アニキもむかしはそんなふうに笑ってた」という言葉、よほど衝撃があったんでしょうね。
確かにこんな制服着ていけたら勇者ですよね…ここの彼の表情がすごすぎます。
「このころのお兄さんとなら友だちになれそう」という言葉も印象強いです。
この三人がかましたミッションは強烈に楽しかったです。
心の底からすごいパワーが伝わってくるようで。
「オレのが上だっつの」という…それが初心というものですね。
最後のイチャイチャも楽しいです。
とにかくすごく素敵な作品でした!大満足。こういう作品こそ一杯読みたいんですよ、渡辺先生も今すぐにでも本誌に出てきて欲しいです。

少年ブルー
 ああいうのを見ると心底同情する…那音くんにとって、髪色で教師に目をつけられている吉成ちゃんは心にさざ波を立てる存在。
 友だちとの会話では相手に合わせ、教師の言葉には是非を問わず服従する…とにかく波風立てない生き方をゆるがせるから。

こういう作品が雑誌全体に一つだけだったら最高傑作と大絶賛していたでしょう。とんでもない傑作です。
男の子の視点からというだけでも恐ろしく切れますし、その心理だってわかりすぎるぐらいわかります。
女の子の読者だって共感できることはたくさんあると思います。
絵から、画面から伝わってくる圧倒的な閉塞感、絶望感、焦燥感、言葉にならない不快感…よくもまあこれほど、小さなカットに凄まじい表現力があるものです。
これは漫画と絵画の絶妙の接点では?
世界がモノトーンに感じられる…ひたすらうなずいていればいい。そう、相手が要求しているのは、犬と同様に「服従のサイン」…理屈ではなく。
クラスメイトでさえも自分の好みも出さない…
その「ideal.」というバンドも次あたり題材として出してくれたらすごいんですが。
複雑な直線を駆使したカメラワークが、まるで万華鏡のように幻惑してきます。
頼まれたら笑ってうなずく、この笑顔の白々しさも強烈…
人の心を読むのが得意、だったらなぜ空気を読まずに…もしかしたら、昔それをやって強烈に嫌なことがあったのかもしれません。
つい全部爆発した言葉の奔流…いえるわけがない、というこの世界に対する絶望感…
「この色好きだし」に「だから?」と応える那音くんの冷酷さ…その冷酷さのまま固まったら、最も残忍なSSにもなれるのでしょうか。
昔のことを思い出している、何があったかはっきりと描かれたわけでもないのに、恐ろしいほどの痛みが伝わってきます。もう嫌だと泣き叫びたい、水爆の一つや二つ爆発させたい。
でも逆に、そう…吉成ちゃんが逆に那音くんを哀れんでバカだと思っている…そう、どちらが得な生き方かといえば、自尊心も喜びもゼロの那音くんより、軋轢はあっても胸を張って自分を好きといえる吉成ちゃんのほうが、ずっとお得…そのことに気づかせるのがテーマでしょうか。
浩也くんにも読まれている…「友だちなんだし」というのも、今のままでは一方的な言葉に過ぎない…
なんかすごく浅い感じすらします。
ここで教師に謝れ、と…この激しさは凄まじいほどです。逆に、この教師を人間として描けばもっと更に深さが出たと思いますが。
臆病者。それほど重い烙印を男子に刻んでしまうことはないでしょうね。
神もなく、ただ押しつぶされ続けて…本当に多くの人が、老若男女問わず彼と同じ状態だと思います。
戦争経験の有無にかかわらず。戦争ははっきりと個人の良心や力の無力さを叩きつけてくれますが、普通に生きていてもそれはあります。特に日本の学校という刑務所もどきでは。
回想シーンの、ちぎり紙のようなコマワークも以前の直線的なコマとは全然違う、凄まじい悪夢のような効果があって強烈です。
教師が謹慎処分になる…この世界は悪だけでできているわけじゃない…地獄少女の世界とは違って。これも素敵なメッセージでした。
三人の笑顔がまるで泡のように漂うのもなんともいえません。
とにかく凄まじいとしか言いようがない作品でした。読み返すのにこんな勇気が必要な作品もない、体力を消耗する作品もない…実はこの感想書く前に、わざわざ腕立て腹筋スクワット三セットやって、かろうじて挑んだのです。
このパワーがこれからどうなるのか楽しみでなりません。
次回作はぜひ「ideal.」というバンドの話、いやどんな話でも、たとえ原作つきでも(その原作はぜひ古典級の傑作であることを求めます)素晴らしい作品にしてくれることは確信できます。
本当に素晴らしい逸材、存分に活かして欲しいですよ。

おんたま♪
お疲れさまでした!本誌連載にも劣らぬ大作、とても大変だったと思いますし、得たものも多いと思います。
この圧倒的な絵の可愛らしさ、パワーを毎回どんなに楽しませてもらったか。
おんたまの時点で怒ってるって…
「彼女になったとたんやさしすぎ」…公認なんですね。で、結局腹筋三百校庭十周…さて僕もやってきますか。校庭はないですが。
新規の曲が課題曲というのも大胆ですね。
自分の父親の仕事も知らないって…母親が興味を持つなと暗黙で命じてきたんでしょうね。
実際の道徳より、「**に興味を持つな」というメタ道徳のほうが効果ははるかに大きいです。ただしそれは親自身も気づいていないレベルであることが多く、それがダブルバインドになることも多いです。
演出・演奏形態を自由に…これも逆にきついですね。
でも決まった形だとしても、その形そのものをどう解釈するかまで深読みしてしまえばそんな違わないですか。
おんたまたちが楽しく響きあう…こんな幸せなことってないです。もしもこの世に愛がなくて歌がなければ…生きてる意味も望みも無い、明日の日もない…
自然に手をつないで二人で帰り、そしてキス…たまりませんね。
帰りたい帰れない帰りたくない、って古い歌をずっと歌ってたんでしょうか。
十年間もその気おくれ、というのも悲惨です。
「お父さんといっしょにくらしたいもん」で復縁という言葉が出ないのが大人なんですよね。
全国大会に向けて頑張っていて、それえとつぜん母親が倒れ…ここからの動きはすごく激しかったです。
倒れたのも、「お父さんとくらしなさい」とそればかり考えてしまって、そのストレスを仕事に向けてしまったんでしょうね…
部活まで辞めてしまう、それをお辞儀一つで表現するのも凄まじいほどです。
テープにおんたまが出てしまう…
「わらってる方がずっとうれしいわ」そういえる親がいっぱいいてくれればいいんですが。あまりに多くの親が、本当は…自分の思い通りであって欲しいしかない…
舞台から降りて客席と一体化する、これも宝塚でたまに見る手ですがすごいパワー出ますよね。
届いてこの歌、歌が大好き…その想いだけがいっぱいに、いっぱいにこの紙から吹き出してきます。
僕自身今すぐ、外に飛び出して好きな曲を全力で歌いたくなるぐらいに。
金賞なんてついでですよ。
復縁…になるんでしょうかね。
まあそんなことより…泣きながら「大好き…」…何この可愛すぎる生き物。
泣くな、ってキスするのも強烈でした。
もろ見られてましたか…おんたまがニヤニヤしているのが楽しいです。
とにかく本当に素晴らしい作品でした。本誌連載よりも高い質をこれだけ保って、それこそ来月号から本誌連載が始まらなかったらおかしいです。
絶対すぐにでも本誌連載を!万難を排して!

先生とあたし
「ねえ先生おぼえてる?」サチちゃんは若くハンサムで女子に人気の加地先生を嫌っているように見える。
 実は、彼女は昔先生と会ったことがある…姉の彼氏として。和歌の話などで、実は初恋だったのだが、彼も忘れているようで腹が立つ。
 でも服が濡れて送ってもらったことがきっかけで、実は先生も覚えていてくれたことが分かったが、それでもしかして姉と彼のやけぼっくいに火が?

お久しぶりです!なんとなくエロい…
和歌の風雅な話を中心にしているのがすごくいいです。驚くぐらい雰囲気を盛り上げてくれます。
もっと和歌が若い子の生活にも入っていればいいんですけどね。百人一首ぐらいみんな当然覚えてて。
男の切れ味は相変わらずすごい。
姉の彼氏、というのも複雑ですね。
初対面なのにこのえらそうな態度、何を考えてでしょう。僕だったら礼儀以外の接触はしないでしょう。
きれい、と美的感覚で通じる恋、そりゃ強いですよね。
姉と彼がつきあっていた間について、そしてなぜ別れたのかとかもそれ以上描かないのもいろいろ想像させられます。
部屋でのラブラブに聞き耳立ててしまって泣き寝入りしたり、いろいろ想像してしまったりもあったでしょうし、別れ話で絶望して怒りながら感情を封じたり、さらにそれから都合のいい再会を妄想したり…
忘れられているのが悔しい、という苛立ちに落ち着くまでも大変だったでしょうね。
水でブラが透けてエロ、このシーンはかなり色気あります。
目が目が、って…というか下手すりゃ失明ですよ。
「着かえてこい」ってあいかわらずえらそう。
ジャージも友だちのもない、と反抗して困らせるぐらいしかできない、というのも苦笑します。子供が大人にできることはそれぐらいですか…
車で送ってくれる、さらにあの和歌をキーワード!さらにタバコの煙、これはしびれました。
抱きしめると見せてただシートベルとかけただけ、というのもエロ。
彼のほうも忘れられてたことが結構ショックだったんでしょうか?
ちゃんとお礼を言うのにこんな苦労して、もう可愛い。
タバコの臭いに溺れるシーンもすごく素敵。なんともいえない色気がにじんでます。
姉に謝る必要はないですよ?もう別れているんですし。
コンビニにたむろする女の子たち…楽しい眺めですね。
先生とサナ姉が…この美男美女にはびっくりしました。そりゃ誤解しますよね。
車の上に座って、そこからの…多分彼女としては本能だけで暴走したんでしょうけど、男にとってはあまりに強烈。所詮男など女の食い物です。
「だったら先生がおとなにしてよ」…かないません。やられた…としか言いようがないです。
ビッグニュース、で…別の人との結婚?ここはびっくりしましたが、「このくされ教師!」はめちゃくちゃカッコよかったです。
というかこのことで、結婚相手ともめなければいいんですが…ご愁傷様。いやこの迫力見ちゃってまだ結婚する気があるって…よほど大物なんですね。
そのまま飛んで行って後ろから抱きしめて…かないません。
大人の象徴だったタバコも捨てさせられて、これでチェックメイトですね。
なんというかもう…やられた、としかいいようがないです。
とにかくすごく楽しかったです。これからの作品も期待してます!

ミリオンガール
なんか本編の全てがこれ読むと一変します。そういう番外編最終回とかってたまにありますよね…りぼんの話ですが「なでしこハニー」の単行本書下ろしとか。
ミルキーサワーの思い出も実にうまく組み立てられてます。
このいじめ描写も見ていて辛いです。「ふしぎといじめもなくなったの」が読み返すと真相がすごすぎますね…
同じころリムジンってスケールがすごいんですが
この圧倒的な独裁権力、他者の権利を一切認めない権力の圧力には僕自身が押しつぶされたような痛みを感じます。
言わずじまいというのもちょっと肩透かしでしたが先を想像させますね。いつか…っていつになるんでしょうね。
うまく話をまとめて返ししてくれました。
次回作はどんな作品になるか…この圧倒的なパワーを、もっと楽しい方向に活かして欲しいです。バカエロ路線でもいいから。

不器用フレーバー
 早く夏休みにならないかな…前の席で幼なじみの渉くんが好きなあずみちゃんは、彼が今隣の席の子とつきあい始めてから辛い。
 そんな彼女に、今となりの席のナツくんがばかじゃね?とかいってきてとにかく早く席替えしたい…そんな彼は時にアイスを食べた後の紙を捨てさせたり、またアイスをくれたりする。

すごく甘いタッチはすごく安心感があって、しっかりした組み立てに驚かされました。
一見重くて荒く感じるんですけど、慣れるとすごく甘くて現実感強くて入りやすいんですよ。
夏休み前の教室のくそ暑さ、たまの風のありがたささえそのまま思い出してしまいます。
あ、今は教室にもクーラーありが当たり前ですか?
前の席がこれだったら…想像しただけで死にます。
はっきりと「うざいだけで」と言ってしまえるのがある意味すごい。
運命かも、と運命に頼っちゃうのも嫌というほど分かります。
「ばかじゃね?」の一言も、彼の立場で読み返すと強烈な自嘲ですよね。
あげたのも結局間接キスのため…わはは。
ぎゅう、と胸の前で握ってしまうのも、読み返すとうまい伏線です。
散れ、なんて乱暴に言われるとびっくりしますね。
溶けかけたアイスのまずさもよく伝わってきます。
二人席をくっつけて、それで凹むのを隣で見て自分も…ナツくんのカバンの中を見てみたいものです。
というかさらに、この二人の後ろからこの二人を観察できたらさぞ楽しいでしょう。
机をくっつけないように教科書を見せるテクニックがまたいいですね。
乱暴に前向け、とやってしまう、ちょっとなにか言うのにもとにかく乱暴にしてしまうのもよくわかります。
ずいっとアイスをくれたりするのもびっくりしました。この行動だけで気持ちを出してくるのがまたいいですね。
この町並みの丁寧な表現も、すごくいろいろ表現してくれています。
何もしなかったから…始めてそう反省して…
いきなりアイスを奪い返しながら「おまえが渉を好きだったって」はびっくりしました。
冷たくて甘い、アイスクリーム…触覚や味覚から思いを伝えてくるのも実にうまい。
前と違って机をくっつけ、机に落書きで会話するのが実に楽しい。それこそこの二人の後ろの席から眺めているような気分になります。
席が替わるのが、あれほど楽しみだった夏休みがなんだか淋しくなる、その気持ちもすごく丁寧に描いてます。
ふと「ナツくんの好きな人って」と気持ちの変化を丁寧に丁寧に描いていて、たまらないです。
これまでほとんど描かれなかった「渉の彼女」…彼女が急に表情豊かに動いてナツくんと話して、それで突然ナツくんの気持ちを察して、ここからの気持ちの盛り上がりが、今まで丁寧に組み上げていたからこそ見事でした。
教室の椅子と机も魔法みたいな効果になります。
また無造作にアイスをくれる、それが彼の愛情表現というか。
苦しいのを隠してるしぐさの伏線、そしてまた机の文字をなでて、そして…彼のほうがどこで、共感と怒りが混じるような感情が恋心に変わっていたのでしょう。
一気に「おれはおまえのことが好きだから」…それも、彼女と同じ反省をしたからこそでしょうね。すぐ言わなきゃ、と。
だまってアイスを食べている…席をくっつけるのが返事、というかアイスの紙のハートマーク!
だまれば、でキスで黙らせてしまうのも…いや、手を開かせるのがすごくドキドキします。
何でアイスになるのやら、とも思いますけど、キーアイテムの使い方といい気持ちの動きといい、非常にうまくできたパズルを見るような心地よい面白さ、まっすぐに伝わってくるテーマの力強さ、何もかもが本当に素晴らしいです。
これからの作品に大いに期待したいところです。

アニ×カレ
 むかしから人を見かけで判断するなと言われていたかおりちゃんは、容姿端麗スポーツ万能なだけじゃなくとても優しい白石くんが大好き。ついでになんか濃いシスコン兄の翔太がいる。
 白石くんと翔太が頭をぶつけて、二人の人格が入れ替わってしまった。
やっぱりこの路線はいいです。
冒頭のまともさが読み返しているとなんだか脱力します。
とんだハンカチをとってくれる…かっこよすぎます。
女の子たちがいっせいにハンカチを放るのは笑うほかありません。この大汗…女の子って怖い。
ゴリラという感じはあまりしないですね。ゴリラというなら赤木…いえなんでも。むしろこの髪型は鳥山キャラっぽいです。
顔がゴリラだったら…確かにいろいろすごい。
人は見かけじゃない、というのは想像以上に難しいですよね。
普通なら人格交換は男女なのに…男同士という時点で大笑いしてしまいます。
いきなり白石くんに抱きしめられるのは、そりゃ…
ガンガン頭突きしまくるのはなんというかそういうギャグもあったなと…
白石くんの姿で鼻をほじるのは恐ろしい。
一緒に入るか、って普段入ることがあるのでしょうか?それとも入ろうとして半殺しにされるのがいつものギャグ?
男のフルヌードは素晴らしく見たくない眺めです。本来の読者にはサービスになるでしょうか?いえならないですね、「男の裸は女が金を持つようになっても売れない」は定説です。
全裸って…もろ、フル、全部ですね。ちゃんと…自粛。
どかなかったのはわざと…どっちが安全でしょう。
「白石くんはやさしいね」の笑顔がすごく素敵でした。
朝「愛してるぞかおりv」これは強烈すぎます。
呼び出されて…これだけ身長が違うと圧迫感ありますね。
噂があっという間に…というか兄自重しろ。いや、いつもこういうことはあの兄、普通に言ってる言葉なのでは?なら人格交換を察する人がいても…
外見だけで誠意があってもボコられる、というのも悲惨な現実ですね。
「どんな姿でも」…こういう、決めるところの絵のきれいさはすごいですよねこの作品。
好きだった、と思わず言ってしまって…「ごめん」はショッキングでした。
「この姿のまま兄として」…よくまあ…主将にしてもすごすぎます。
困らせると思ったから…思いやりの過剰も困ったものです。
結局階段から落ちて、これで三人の入れ替わりになったら面白かった気もしますが、それだと誰かは現状のまま、または元の体のままなんですよ。
数学的に考えると面白いです。単純に3ぐらいは全部書き出せるので(abc,acb,bac,bca,cab,cba。123,132,213,231,312,321でも同じこと)、その中で「a,b,cどれも元の体にいない」「b,cはどちらも最初の入れ替わり(acb)と違う体」を満たすものが存在しないことは見れば分かります。
さらにそれをより高い数で一般化したらどうなるんでしょう…
ちなみに僕は群論の基礎を集合演算論・線形代数学で置換群・壁紙論の三方向から学んでいますがどうしてもわかりません。
「かなりはずかしい」…今更のような気もしますけど。中身兄では散々いろいろ、というか魂白石くんでも抱き合ってるのに。
とにかくすごく楽しかった、それだけで大満足です。
このまま次も楽しませてください。

神社のわきの階段をぬけて
大石アイちゃんは一見明るいけど、内面は人見知りで誰にも心を開いていない。
小さい頃から近所の、学年トップで神社の息子、沖田ユースケとは会話すらしない。
ある日夕立に降られて鍵を持っておらず、沖田くんの家に行ったのをきっかけに昔の朝顔の宿題や成績の話になり、勉強を教えてもらうことに。

ものすごく絵が強くなりました。
階段が空に続いている…それがまたすごいイメージですね。
ついホラを吹いてしまうというのも覚えがあるのでわかります。
近所で顔見知り…それは幼なじみといいませんか?まあ近所で他人というのはよくわかります。
誰かの家に避難したいけど、それほど仲のいい人がいない…それって親も関係していますよね。近所づきあいが事実上ないということですから…
「ほっといてよ!」「あっそ」という会話も、ある意味いつもの話だったのでしょうね。
でもこれは想像すると気まずい…
朝顔ってよっぽど育てやすいんですね。雑草でもいいのでは?それだとやる気でないですか。
でも雑草を品種改良して食べられる作物やきれいな花にするのは、子供でも十年もあればかなりの結果が出る最高の実験になるのでは?
授業でなければ花を育てたりはしない、というのも子供らしい行動ですよね。子供は自分で勝手に何かするのは全て悪いことだと決めつけられていますから。
通知表見られて勉強教えて、という話になるのも面白い動きです。
いきなりスパルタ状態になっているのが面白いです。
「がんばってるじゃん」という笑顔がすごく素敵でした。
でもこれ、沖田くんも得してますよ…人に教えるよりいい復習はありません。
手が大きいとか意識してしまうのもうまい。
「おまえ友だちいないだろ」と、この指摘も鋭すぎる…というか友だちがいるなら夏休みにこうして勉強のために近所に入り浸るのは普通ないですよね。
夏休みがまだあるのに宿題全部終わった…そりゃ感動でしょうね。
家族ともすっかり馴染んでいるようで。
こういう関係の人には内面を出せる…そういう相手がいるかどうか、人にはすごく大きいと思います。こういうところを開いて拒絶されたりしたらすごく危険ですし。
構えないで受け入れる…そう思ったとき、ふと階段を登りたくなるのもすごくわかります。
それで拒まれたと思って、それからノートを見て励まされて友だちに自分を出す勇気が…ここはすごく熱いシーンでした。
こういう泥臭いことをやれてしまうのが春瀬先生のすごさです。
堂々と「もう一度ユースケとなかよくなりたいんだもん!」といえてしまうのもすごいですし。圧倒されます。
いっぱいの朝顔もすごく感動的なシーンでした。
最後の二人の、元気で幸せな感じもすごくエネルギーもらえます。
とにかくものすごいエネルギーに満ちた作品でした。
これだけのエネルギーが…何で本誌連載がないのか不思議な作家の一人です。

名探偵夢水清志郎事件ノート
あまりにも長かった…
とうとう謎が解ける日が。
拳銃のスライドを引く音がさりげなくするのが面白いです。名探偵ほど人をムカつかせる人はいない…殺せるものなら、と思う人は多いでしょうね。これ以上もったいぶったら被害者が一人増えますよ、どんな陪審員だって無罪出すでしょうし刑事だって私を支持してくれるに決まってる、という言葉を思い出します。
ポアロも何度か、ヘイスティングズやジャップに殺されかけましたっけ。
四十五年前で動く?誰かがメンテナンスをしていたのでしょうか。
ボルトとナット、ってそんな大質量を支えられるものでしょうか。
この絵は想像以上に難しかったはずです。微妙な曲線ですから。
地下の遊園地がクリスマスプレゼント…
そりゃこれで停電したらどうしようもないですね。
非常口を設けていないのが間違いでした…
地下水路に、これほど人の愚かしさを思い知らせるものはないでしょう。世界最高のプレゼントが…
自分を責めすぎてもう一人の子供にも向き合えなくなってしまった…どうあれ、とにかく「あなたを愛していました」という言葉は大きな救いです。
レーチが推理し、夢水に「そのとおり」といってもらってほっとする、ここは小さいですがすごくほっとするシーンでした。あれだけやらかしたらそりゃ自信喪失するでしょうから。
たった一つの盲点がヒイアカさんの部屋…なるほど。
「ぼくを守ってください」という依頼はこなした、それが見事でした。
「はじめから負けが決まってたんじゃん」という失恋の表情がすごく可愛い。
よかれと思って…あの遊園地のプレゼントもそうですね。
親が子供に与えるのは大抵それです。だから僕は親になること自体諦めています。
クリスマスパーティの豪華さは素晴らしい喜びでした。
レーチと亜衣ちゃんの関係が又見ていて楽しいです。
パーティをしめた右京さんの声、全身での感情表現がすごく素敵でした。
最後の、名探偵の会話はぞっとします。それこそもしポアロとマープルが出会っていたらこんな会話をするのではないか、と…
足跡の違和感、その表現がまた見事です。
地下の遊園地で、どんな時間を過ごしたのでしょう。
贖罪と復讐を勘違いして、闇の中地下水をすすり、狂気が自らを蝕むのに身を任せたのでしょうか?
そしてそれを葬ったのは…
ハワイではワインさえできる、その含蓄の深さは驚くほどです。
神になりたい…それこそ名探偵の不遜なのかもしれません。
夢水が、これほど深く自分の底をさらけだしたことはありませんでした。
圧電効果というのも面白いですね。
レーチと教授、どちらが好きなのかはっきりしない…自信がない。レーチはレーチで、どう背伸びをしても夢水みたいにはなれない…
今そのまま、ありのまま伝えてもいいんですけど。明日生きているとは限らない、という教訓をこの事件から学ばなかったのでしょうか?
遊園地を買うというのも豪快な話です。それが可能だと思わせるのがアメリカという国のおそろしいところですね…
…ハワイが日本領でなくアメリカ領になったのはよかったのでしょうか。
まあ独立を守るのが最上だったでしょうが、あまりに難しい…
次はどんな話が待っているのでしょうか。あまりにもすごい。

若おかみは小学生!
…びっくりしました。こんな超美少女だったとは!
この子じゃない、って占い師は言いにくい言葉だと思います。逆に、占い師が配慮を捨てて能力を暴走させたら…
占いができるようにもなってきた、それはありがたいことですね。
気晴らし…。女性はこういうの好きですね。僕は自分の衣類には完全に興味がないです。
おっこちゃんのワンピース姿にはびっくりしました!あまりの可愛らしさとふわっとした感じ…アゴが地面まで落ちそうです。
こんな子供を真面目に友達として恋愛相談したり、そういうのもあるんですよね。
励ましちゃダメ、と思いながら励ましてしまうのも子供の素敵なところですね。
だからこんなにエネルギーもらえるんでしょう。
「客に何か買ってもらってしまう」というのは客商売では最も難しい部分だと思います。
ここでのおばあちゃん、そんな難しいことを今やらなくてもって本当は思ってるでしょうね。
本当の理由…旅館の経営の仕方を知りたいから…
どうしてこんなけんかになっちゃうんでしょうね。それが子供だから…いや、大人でもそういうケンカはよくやります。
「そんなかわいいかっこしてるからドキドキ」…可愛い真相ですね。
幽霊に見張られたらプライバシーも何もありませんね。逆に幽霊には他に楽しみがないと。
水晶に好きな人を教えられて…そこはちょっと疑問です。好き嫌いだけは魂の底が選ぶものだと神聖視している部分があるので。
さて、追いつけるでしょうか…いろいろ大変です。

ごくゆめ
 家族の死で親戚に引き取られることになり、服のデザイン科がある高校を諦めろといわれたさつきちゃんの前に、突然迎えが来た。
 その行った先はなんと(ボロい)暴力団組事務所…親戚にはそちらに近づくなといわれたけれど、夢を捨てきれないさつきちゃんは…

この作品に、増刊発売日以降毒矢が刺さり内臓が腐るように苦しみ続けています。
この親戚の、静かではあっても圧倒的な圧迫感。
子供の言葉など聞くつもりが毛頭ない。一切言葉は無駄。
いや、子供がどんな夢を持っていても、努力していても、心を持っていても、どんなに痛くても嫌でも、そんなのぜんぶ「存在しない」。
実験動物と同じ。どんな苦痛も望みも存在しない。
暴力とかじゃない、だからこそ絶対的な圧迫感。
結局悪いのは親族扶養義務ですよ。福祉の余裕が全くない貧乏国の制度をそのまま続けてしまっているからの親族扶養義務。福祉や教育が義務であったキリスト教国の伝統を引き継ぐ欧米近代国家と違い、一切福祉を考える必要がないただ支配するだけの国家の延長。
後半、受け入れてくれる家族ができても…その圧倒的な圧迫感、深い心の傷はどうしようもないものでした、僕には。
この何日か、時場所選ばずこの作品のことを思い出しては悪夢のような圧迫感におびえて叫びだしたくなることが続いています。
これほど凄まじい表現力…逆に明るく、光の方向で出ていたらどれほどいい作品になるでしょう。
最後にいきなりヤクザの血が出てしまうのはちょっと苦笑しました。
そして「つづく」に「かも!?」を入れるのも楽しいいたずらです。
とにかく次回作は明るく楽しい作品であることを期待しましょう。

蜘蛛女
ある意味意外な終わり方です。
人を愛することを知るほうに行くわけでもなく、種族そのものの秘密に踏みこむこともなく。
いきなり問題…僕の場合3は「彼女」になりますか、で?なんというか「これからの「正義」の話をしよう」みたいですね。
僕はその場の感覚に従います、どれにしてもいやな思いはするんですから。あ、強制収容所で看守に言われたらその看守を殺します、その結果自分だけでなく親も仲間も恋人も殺されるとしても。
そして生物としての僕は、「自分の遺伝子を残す可能性を最大化する」ことが「正しい」ことだとわかっています。だから子供・妊娠初期の妻・今後子供を産む可能性のある兄弟姉妹のを優先するのでしょうか。
こういう最悪の女子に…ひっかかるのが男というものです。というかどちらもけっきょく、蜘蛛の糸同様「遺伝子が自分を複製し続けるため」「うまくいった遺伝子がより多く子孫を残した」だけのこと…より強い腕力の男同様、より魅力が強い女子の遺伝子も残る可能性は高い、それこそチンパンジーに近い外見の時代から、たくさんのライバルを押しのけて多くの男をひっかけて生き延びてきたのでしょう…彼女の遺伝子は。
男のほうから言い寄ってくる…そして飽きたらぱっと捨てる、男としての僕は逆に、彼女に引っかかる気持ちがとってもわかってしまいます。僕も引っかかってみたいぐらい。
ゴミ処理場…交尾後雄を食べてしまうことがある、ってそれを自覚してやるというのがまたすごい。
チェリーちゃんの可愛らしさは更にものすごくなってますね。
その二人を比べて噂している女子…それこそ立場ないとかのレベルじゃないです。
それで靴をどぶにほうりこんだり…
蜘蛛女が二人いると、そりゃまあ縄張り争いですね当然。
この廃屋にたどり着いた時点で…あまりに悲惨というか無謀。
男が吸い尽くされている…そうそう、蜘蛛はこっちの捕食法じゃなきゃ。
蜘蛛にとっては近づく者は全てエサ…社会性のあるクモは僕の知る限りいないはずですが、別にいても不思議じゃないです。
クモのことを話す少年たちってなんかすごいかも。
結局のところ、どんな手段をとろうと…「子孫を残し続ける」が遺伝子にとってすべてなんですよね。
最後にふわっと甘い感じにして、それから最悪の奈落に突き落とすのも秋本先生らしい大技です。
非常に力のある作品でした。それこそ来月号から本誌連載してくれていてもいいと思いますよ。
どんな次回作でも覚悟していますので楽しみにしています。

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