なかよし2012年12月号感想
このまんが手帳というのは前例が思い出せません。
カードダスというのもいいですね。
表紙のラインナップで、本格的に若い作家が表に出てきているな、とすごく嬉しくなりました。
「なかよし団」を利用した、二月号の安藤先生の新連載の情報解禁もうまいですね。
それにしても、なんてため息が出るほど贅沢なんでしょう。新人読みきり三本…去年の僕に言ったら絶対信じませんよ。
AKB0048(美麻りん)王子とヒーロー(山田デイジー)かみかみかえし(遠山えま)出口ゼロ(瀬田ハルヒ)スマイルプリキュア!(上北ふたご/東堂いづみ)1年5組いきものがかり(フクシマハルカ)恋と軍艦(西炯子)空気とトロンボーン(瑞樹しずか)クギ子ちゃん(PEACH-PIT)キミが好きとかありえない(あおいみつ)わたしに××しなさい!(遠山えま)さばげぶっ!(松本ひで吉)アイドル様のおもちゃ(日向きょう)理科室のふたり(立樹まや)予告
AKB0048
毒のある言葉って本当に人を蝕んでいきますね…強酸を垂らしたように。それも、溶けていくもの自体に強酸のカプセルがあるように、どんどん酸が増えながら。言葉をかける側も蝕み、互いに毒を増幅して。
いろいろと抱えすぎてパンクする、というのもリーダーによくある罠です。
そしてかかる、「それでも前を向ける人間だけが」…本当に言葉って、毒にも薬にもなります。なぜそれほど、と思えるほど。
赤チーム、壮絶ですね。なんでもできるように見える乃愛ちゃんも厳しく叱られ、素直に必死でついていく…
ゆずったほうがいいか、迷っているところに「ゆずれば?」という、楽にしてくれる言葉。でも、楽にしてくれる言葉ほど、傷つけるものはない…
「できてないけど…っ」…この涙には圧倒されました。
それで、川に飛び込んで泳いでしまう、という行動もびっくりしました。
そしてひたすら練習。たった一つできることを、思い出せる強さ…個々からの描写はただただ圧倒されました。
みんながついていくのも。
舞ちゃんも、目標を思い出したようです…今彼女がやるべきことは、単純に「優子チームに勝つ」それだけ、そして今もう一度、もっと完璧に…
毒がある言葉に対抗できるのは、ただ一つ。今できる、一つのことを全力ですること…
王子とヒーロー
罪悪感が恋心のスパイスになる、というのはたまりませんね。ページから沸き立ってくる、甘く濃い花の香りにむせそうです。
ずっとお姫さま抱っこ、というのもいろいろとすごい…
ドアを開けるときのめぐみさんの迫力がまたすごいです。
神さま…なんてことをするんでしょう。
クリスマスパーティ、といっても次元が違っては困りますね。
「王子のいうふつうはもう信じない」これがとても面白い言葉になってしまいました。
「なにか…あったんですか」と察することができるの、強みですよね。
「ぶじでよかったじゃないですか」…それだけを見抜けるのも。すごい子ですよ。
パーティでの花ちゃん、またなんてきれいでしょう。
そして転ぶのを抱きとめて、なんというか…笑うしかないです。
そこに、いきなりとんでもない行動に…急展開とか以前に、多分ここにいたらパーティの余興にしか見えないでしょう。
かみかみかえし
指斬り…なんかこの呪符、単純ですがそれだけに怖いです。
人間を全て穢れている、と思うその単純さが、逆に一人だけは完全にきれいだと思ってしまう…怖いですね、その一人にも裏切られたら、勝手に思い込んでるだけなのに破壊に回ります。
さくや姫との会話は楽しいです。
そして、いわなが姫…恐ろしい言葉が出てきましたね。そういえば、彼女がそれからどうしたのか僕は覚えてませんし。
「美しい方」で話をそらすのは笑えますが、まあ…どれだけ描けるか、楽しみにしていましょう。
火?火力発電という絶大な意味がありますが?
さて、どんな罠があるのやら…誰がどう助けに来てくれるやら。
出口ゼロ
先月号の感想を書き終えてから思いついたことなのですが、前回の話は実際には誰も怪我をしても死んでもいなくても、先生・早百合・弟切・感電したカルロの四人が、特殊効果も含め完璧に演じていたのなら成立します。
多少特殊効果がいいかげんであっても、人の演技空間は人間の認知を大きくねじまげますから、だますことは簡単です。
まあそんなオチは、ないでしょうけど。
それにしても、この歪んで化け物のようになった人の表情、うまいなんてものじゃないです。
九時間も動きっぱなし…トイレや水はどうしているのでしょう。
というより、その疲労が危険なのです。人は疲労と睡眠不足で、狂気レベルで判断能力が低下し、幻覚や被害妄想に容易に屈します。
入ったらデビューするまで、というかデビューした生き残りは何人かいるんでしょう?
全員そろって、というのがまた危険ですね。集団の中の弱い要員が出ることもあります。
「集団がまとまっていなければならない」という思考硬直も危険です。
まあ人間は群れる動物ですから、何かあれば群れますが…群れると思考能力を失います。
逆から出てくる、化物の描写が凄まじいですね。
穴を掘ろうとするのも、壁が簡単に崩せるのも…時間と体力を浪費させる罠、ですか。
もうだめ、と思わせて、本当に全部ただの演技、と思わせて…それを通り越した絶望と悪夢。
どこまでやるんでしょうね、この作品は。
…僕が生まれる前の宝塚音楽学校は、ここよりずっと恐ろしいところだろうな、という気がするのが正直怖いです。
スマイルプリキュア
また振り出しに戻る?どれだけ続くのやら。大変ですね。
静養する側も大変ですね。
そして…笑えば治る、って単純な病気もあったものです。
笑いの力というのも恐ろしいですね。
1年5組いきものがかり
お祭りデートを女の子のほうから…この幸せ者め。
よっちゃんの彼、こんなことを話されているとは思ってもいないでしょう…ご愁傷様。
制服できたことに怒る、というのも理不尽です。というわけで今回、僕は徹底的に彼の立場から読みます。
…いきなり突き落とされて、もうその時点で脳みそパンク。発狂するほかありません。
いきなり妙なのが出てきて、…金の斧…
笑うしかありませんでした。
「ぜんぶ!」…おひ。それ以上のツッコミが不可能。
台にくっついてる、というのもずるいですが、まあなんというかそれを…というか変なことをしたら裏にまるやな人々がいないでしょうか?
で、なにこのどうしようもない逆ハーレム。
よっぱらったえるちゃんに振り回され、不要なけんかをさせられ…とても疲れます。
金と銀の、偽のイチロー…この二人の気持ちも切ないですね。
なんという欲張りでしょう。というか次回以降も、イチローは三人…?
恋と軍艦
東京で友だちと会う…僕も、東京を初めてみたらすごいギャップでしょう。
父親…すげえ。若い。
離婚の話、というのも子供にはきついですよね。「どっちについていく」という言葉も、子供はすごく傷つきます…わたしはいらないの、と。でも、なんと言っても傷つけるんですよね。
そして、父親は…「新しいお母さん」と紹介でもするつもりだったのでしょうか?
男同士のキス、って唇じゃないじゃないですか。
大人に頼るのはやめる、自分でできることを考える…それは想像以上に難しいですよ。大人は、子供が自分で考えることを決して許しません。大人に対しても、考えることは許しません。「所属」「空気読み」「服従」「前例踏襲」「学閥・閨閥…」でできてるんですよ、徹底的に。
空気とトロンボーン
みおりちゃんは、「空気が読めない」という理由で鳴海くんにふられ、「空気な人ってだれ」と…で、空木(そらき)くんの名前が出た。
空木くんを訪ねてブラスバンド部に入部。空気が振動する感激で、みんなの合奏中に吹いてしまって個人練習…でも、ちょっと自信がないけれど…
扉から、もう印象のパワーだけがパアっと伝わってきます。まるで誌面が光り輝いているようです。
冒頭から思いっきりボケてずれまくった話にびっくりさせ、脳みそが停止します。
空気な人、ってそれこそ…先月号までやってた『スーパーダーリン』の空気女とか…
ま、確かに空気が読めれば溶けこめますよね。うん、間違ってはいない…必要十分条件ではないだけで。
それで空木くん、これはツッコミのいれようもありません。
いきなり「かっこいい」…ふられたばかりでしょ?
で、いきなり入部して、とえらいことになってますね。空木くんからみたらそれこそ意味不明にもほどがあります。
わがままで暴走しまくる野生児…なるほど、それが「空気」ですか。
「空気が読めないって短所でいらないことだと思ってる」…僕は、確かに空気が読めないので不幸と言えるでしょう。僕に迷惑をかけられた人も含めて。でも、今神さまに空気を読めるようにしてやる、と言われたら断ります。空気を読んで魔女狩りや虐殺に手を染め、非国民を村八分にして一家心中させ、ハンセン病患者や水俣病患者を差別し追い詰めた連中の同類になるぐらいなら、死んだほうがましなのです。
ブラスバンドで、全員の演奏。このシーンの印象、空気そのものが震えているのを伝える力はすごいです。
そして、合奏中に吹いてしまう…これはこれですごい子です。
もう、彼女がふだんどうで、どう鳴海くんにふられたのか目に見えます…それこそ描かずに描いてます。
きこえない、とそりに乗せて引っ張っていくのも笑えました。空木くんが吹くシーンの、勇者パースのように大胆なパースも力強いです。
基本の音ができるまでの努力も少し見てみたかったです。
そして、「ムリして空気読まなくていい」と、彼女に合わせることを選んでくれる空木くん…優しすぎますね。
「ふたりでトロンボーンなんだから」といわれたときの表情もすごく柔らかくて、ただ素敵です。
順調なときの事故はびっくりしました。楽器は重量物ですからね…
「そんな空気の読み方するんだ」…痛い言葉です。僕も、空気を読もうとするといつもそっち側に行きます。
そして、この屋上での…告白大会。さすがKY、こういう大胆な行動に走ったら無敵ですよね。
圧倒的な表現力と、シンプルでわかりやすいメッセージ。
無理に恋愛方向を進展させないのも、ある意味すごい度胸です。
ひたすら圧倒、素晴らしい実力…もっともっと、欲張りになってしまいます。次にどんな素晴らしいのが来るか!次回作が楽しみで叫びだしそうです。
クギ子ちゃん
なんか、やっとホラーになったような…
食事が置いてあるのがすごく悲しいです。これ以上悲しいことはないです…食べるだけの存在…「ある自分」でいい、という、逆に「する自分」の存在価値を全否定…自分で全否定してしまった状態…そりゃ自分が蝕まれていきますよ。
おばけの国の食べ物を食べる…アリアドネもそうですね。
真っ黒のオバケ…これはかなり怖いかも。
闇の誘惑に、友達の手が届くかどうか…楽しみです。
でも、友達の手が届いたら…今度は、魔法からの卒業になってしまうのでしょうね。
キミが好きとかありえない
冒頭から死ねとしか言いようがない…でも男女逆なら男子は喜ぶんですが。いかに違う生物だかよくわかります。
そして燃えすぎてます。豪快に。
バーベルまで、でも畳痛めますよ?
リサーチ…なんというか、底のないばかばかしい世界、って感じですね。
というかそれもわからないで、よく漫画家やってられるもんです。
夢のイベント、まだチケットとってない…これは笑うしかないです。
ゴルゴ顔からの筋肉漫画は大笑いしました。
というか腕力で取れるプラチナチケットって何でしょう。
逆さ向きに彼女の部屋に…ただの夜這いですね。
両親もそんなプラチナチケットが取れる、って何があったのでしょう。
妄想の結果電源が…その後の展開がまたすげえの一言。
結果的には裸で「愛してるよ」…ここまでやられたら何もいえません。
さらに全裸…
すげえ、としか言いようがないです。なんて作品でしょう。ただただすげえ。
わたしに××しなさい!
小説で挑発されるとあっさり乗ってしまう、困った性分です。
晶に伯爵役もやってもらう、確かにそれが一番簡単な解決です。まあ、可能かどうかは知りませんが。
やっぱり無理でしたか。首甘噛みしただけ晶は得しましたが。
「おまえを恋人にしたのは小説のためではなかったようだ」これ涙ものに嬉しい言葉ですよね。
そして今度は、彼女が自分で伯爵を…これは怖い。
で、時雨と他の女の子で嫉妬したら、すぐにそれもまた小説ネタ…大変な子です。
で、晶ちゃん…今度は姫ですか。
さらにウサギを可愛がって、そこまでやるかという以外に何もいえません。
心を伝えたい、で時雨を見てしまう、もう運命のようなものですね、これは。
初恋で相手を見るなんて無理です。自分の中の感情が激しすぎます。
相手を見る恋なんて、一生できないままの人もたくさんいますよ。
完全に彼を失った、それは…どうなるのでしょうね。どこに暴走するかわからない、すごくスリルのある話です。
さばげぶっ!
廃部?一隊何が…というか、「はいぶ」という発音の別の言葉?
さて、どんな誤解やら…
遊園地、って結構大変らしいですね。
着ぐるみ…製鉄所に次ぐダイエット仕事と言われる…
口元とか、悪ガキの奇襲とか、ムダにリアルなのが読んでいて楽しいです。
子供たちと楽しく遊んでいるのは見ていてすごく楽しいです。これは楽しい。
それで、まあそういう誤解でしたか…
四コマがついてきたのも楽しいです。
特に「いくら食べても太らない」「戦争の時間だ」が爆笑でした。
部活漫画…南国アイスホッ…
アイドル様のおもちゃ
木村まほろちゃんがボロいやまだ音楽堂で奇跡的に入手したのは、人気アイドルBLAUのクリスマスライブチケット。
そこに突然、BLAUの一ノ瀬詩音本人が店に入ってきた。そして「見つけたぞっ」と彼の腕をつかむ男がいたので、まほろちゃんは空手二段で蹴り倒してしまった…が、マネージャーだったので責任とって荷物運びをするハメに。
とんでもない量のお菓子を食べさせられ感想まで書かされて参っていたら、その理由…ファンからのプレゼントに、少しでも応えたいという思いを知る。
突然二人きりの状態で停電になり、彼が小さい頃の虐待で暗闇恐怖症になっていることを聞かされる。それで稽古中、演出で暗闇があるのを止めようとするが、彼は逆に怒って彼女を解雇する。
だが、直後彼が倉庫に閉じ込められたのでは、と聞いて…
冒頭のチケットを掲げる表情、すごく強い喜びがうまく伝わってきます。
蹴りの迫力も華麗ですね。
お菓子をくれて、それで王子さまだと思ったら悪魔…でもこの状態、どう見ても天国ですよね?何万人も、替わってくれと叫びますよね?
お菓子の理由、ファンのことをできる限り思ってくれている、というのがうまいですね。
それに、自発的に飲み物で…彼女もいい人だな、とほっこりします。
突然の、彼の暗所恐怖症…キスかと思わせるシーンは色気がありました。しかしそこまで普通の子に打ち明ける、そこまで信頼するのも恐ろしいですね。彼女がその情報を利用しないか、疑わないのでしょうか?
その、虐待とトラウマレベルの話を学芸会のパンツと…笑うしかないですね。そう、どんな傷があろうと、とても高い目から見ればたいしたことじゃない、それより今できることを…
その傷のことをフォローしようとして、逆に…ここはすごく胸が痛みました。
「音楽堂」の女性が祖母だったと知って、いい思い出にしよう、と思ったときの笑顔…そこから急展開はありましたが、この笑顔自体もすごく素敵でした。
そして暗闇と思った瞬間の、強烈な行動がまた迫力ありますね。
そのお礼のプレゼントが、着ぐるみ状態のキス…うわ、なんという幸せでしょう。
素晴らしくスピード感があり、一気にノンストップで読める素敵な作品でした。
次回作もすごく楽しみです!
理科室のふたり
安見ミキ、中学二年生。とにかく人気者なのは、家が芸能プロでサインもチケットも朝飯前だから。
唯ちゃんだけは、そのことを叱ってくれるけれど…
ミキちゃんがある日まかされた、カッコいい男子中学生の企画。唯ちゃんがよく理科室に、カッコいい人といるという話が出る。
彼をエントリーさせたいと思うけれど、唯ちゃんはそれを拒むので、いじめ行動さえしてしまうが…
扉で、ぞっとするほどの画力に圧倒されました。
それでめくってみたら、意外と普通の、それでいてくっきりした絵にちょっと意外な…
この作品、できれば「ホラー」だと知らずに読みたかったですね。メンズオーディションの話から、徐々に違和感と恐怖がたまっていくのは見事です。
チェックしてやる、というのも…人間の闇ってどこから顔を出すかわかりませんね。
イケメンの登場はかなりの迫力と色気です。
「あーわかった」…この、責める状態になるのは見ていてすごく心苦しいですね。心の毒がはっきり伝わってきます。
いきなりゴミまでエスカレートする、というのはかなり衝撃的でした。
理科準備室で、人体模型を使う激しい脅し…これが彼女の本性でしたか。強烈な悪意に、読んでるほうまで攻撃されるような感じがします。
彼、の言葉に、静かに恐怖がたまっていく…一部だけ、ほんのわずかな、でも皮をはぐという最大の恐怖の一つをクライマックスに…
かなり強烈です。
実力はとても高いですね。次にはホラーでない作品もできたら、楽しみにしています。
来月号も新人読みきり三つ…なんてクリスマスプレゼント。いや、これ以上の夢なんてありませんよ。
高い実力のあった長谷垣先生、すごく素敵だった中江先生の「小学生のヒミツ」シリーズ化、そして面白さには定評のある紺のんこ先生…
12月1日、発売日までは死なないように火事や交通事故に気をつけないと。