なかよし2012年3月号感想

表紙はとことんはっきりしてますね。まさに「とおやまつり」。遠山先生のタッチは、普通のコンビニでも四コマ誌を通じて顔なじみので、その点でも目を引きます。

付録はえらい高級感がありますが…本体価格もとんでもない高級感です。これでうまくいっているのでしょうか。

美麻りん先生、あおいみつ先生…増刊でじっくり育った作家の作品は予想以上にとてつもないほど素晴らしい質です。
これがラブリーの実力なんだ、と叫びたいぐらいに。

わたしに××しなさい!(遠山えま)AKB0048(美麻りん)キミがスキとかありえない(あおいみつ)クギ子ちゃん(PEACH-PIT)王子とヒーロー(山田デイジー)甘い悪魔が笑う(鳥海ペドロ)かみかみかえし(遠山えま)荒野の恋(タカハシマコ/桜庭一樹)1年5組いきものがかり(フクシマハルカ)スマイルプリキュア!(上北ふたご/東堂いづみ)さばげぶっ!(松本ひで吉)AEISA(安藤なつみ)ミスプリ!(青月まどか/Ruby Party)予告

わたしに××しなさい!
自転車で二人乗りだと余計遅くなります。
「あとは用済み」ひでえ。
いきなり話が飛びすぎの雪菜ちゃん、なんというかちょろいというか高感度高すぎもう落ちてると言うか。
「好きでつくってんじゃねーんだよ」ってやっと男の子らしくなりましたね。
家がきれい過ぎるのが怖いんですが。
先生の、この謝罪自体は誠実に見えるんですが。というか、先入観なしに見れば、一方的に恋心が暴走して発情してるだけの雪菜ちゃん、というだけにも…いや、家に誘ってる時点でアウトでしょ。
さてどうなるのやら。というか時雨がこんなことするとは、連載初期には想像もつかないことでしたね。

AKB0048
夢、でよかったようですね。
えらいことになってます。
否定されるのは、えっへんと威張られるより百倍傷つきます。ほっといてあげてください。
「にげてれば?」は強烈ですね。
できて当然、そりゃそうですね。
みんなフレンドリーですね。でも頑張るところは頑張っている、と言うのを見て、という王道が実にいいです。
硬直したのがリハーサルでよかったですね。
みんな、「あっちゃん」になりたい…小さい子の言葉から、というこれまた王道。
客席から来る、というのもそれが演出になってしまう、ココからの輝きはさすがです…それも王道の積み重ねだからこそ。
ライバルにする、というのも…
なんというか設定でびっくりしていましたが、驚くほど徹底的に王道を積み上げた正統派アイドル漫画。これなら安心して読めます。

キミが好きとかありえない
恋に恋する小町かなでちゃん。特に「はちみつベイベ」というマンガに憧れてるけど、友達はとことんリアリティのないそれをギャグマンガ扱いしてる。
恋には憧れるけど、男の子と会話自体ができないのは…そんな時、転校生が。彼、宮原日向くんはものすごい美形で運動神経抜群、女子の憧れの的に。
そして落ちたマンガを拾ってくれた宮原くんに、これが恋?
必死でラブレターを書いたりして、でもそこを美形菜女の子たちに馬鹿にされたりしたけど、飛んだラブレターを拾った宮原くんは…逆に好きだ、と言ってくれた。
でも幸せな彼女に宮原くんが、「はちみつベイベ」を手に一言。「コレかいてるのオレ」
それどころか、彼女を尾行していろいろ写真集めたりまでしてる、変態!?

冒頭部から抜群にうまい!
ほんわかした絵で進めておいて、鉛筆の削ったところだけ超高解像度。
一気に男の子からの視点で…これ、読み返したらぶっ飛ぶネタが隠されてますが。
そして、最後まで読んだときの桁外れのショック!呆然としてます。
花が舞う中登場して告白、というのは少女漫画定番ですが、そりゃリアルに考えたら笑うしかないでしょう。
女の子たちの表情豊かな会話がまた素晴らしいです。
いきなりの転校生、この甘さに、まさに「はちみつベイベ」のようなありえない世界…
バスケシーンもすごく力強いです。こういう、ふわふわとリアルなタッチの使い分けが絶妙です。
男子が苦手、というのもすごく丁寧に描かれています。
無口、なにかかんがえてるような…読み返すと吹きます。
地味、というのがなぜ悪口なんでしょう?
水を鏡にし、そして単行本を見て自分を励ます、というのもすごく印象の強いシーンですね。
そこを見た宮原くん、それで真相に気づいた読者はいるでしょうか?
髪から花びらをとって微笑む、というのもどれだけ少女漫画なんだ…と目一杯酔ってました。読み返せば全て策略、ありえないほど徹底的に王道少女漫画の世界を作り上げて…
恋した、ということが目的になってしまう…思えば僕もそうでしたね。なんというか、恋をするのは人は…というかアニメやマンガの主人公はみんなやってるからしなくちゃ、そんな感じでした。周囲の生徒ではなく、アニメやマンガ、本や伝記の主人公たちに合わせて。
恋、と意識してからの、世界が全然変わってしまう、ものすごいぐらいに徹底した少女漫画!
…今は、こういう少女漫画ってこういう形でしかできないんですね。あ、「りぼん」では『流れ星レンズ』でやってますけど…少なくとも「なかよし」では。
恋して満足、というのもよくありますよね。
友だちがとても真摯に彼女のことを思ってくれている、というのも伝わってきて胸が温かくなります。
好きな花が店頭に、って読み返すとかなりの時間が経ってますよねこれ。
そして必死で手紙を書いて…緊張してのボロボロもすごいぐらいです。
あ、読み返さなければわかりませんでした。「ひとつの手紙をかくために毎日夜中三時まで起きていたり」…なんでそんなこと知っているううううううううううううう!
酔いしれた最強の少女漫画表現が、読み返すと極悪非道なギャグと化す。
そう、このシーンは…マンガの演出ではなく、本当に花が舞っているんです。実写で想像してみましょう。
そして彼の方からのストレートな告白、ご都合主義少女漫画にもほどがある…と思う間もなく酔いしれてましたよ。ええ。
それでこの、圧倒されるような笑顔で「はいっ!」
…ページをめくった瞬間から、すべてが。
いやー…呆然としてます。
これ以上ありえない事態、ってどんな事態なんでしょう。楽しみすぎて鼻血でそうです。
いや…あおい先生の実力がここまでとてつもないものだったとは。

クギ子ちゃん
池照くん…災難にもほどがあります。
というか今回はいい話でしたね。
ただし、人間はともかく妖怪の類との約束違反は大抵致命的です。人外との約束は何があっても絶対に守ること。
運良くか悪くか人外と関わったら、ですが。

王子とヒーロー
長所を聞かれてただけ、って…どうだったんでしょうね。
「アイツが理事長室から」…またいじめ展開か、とため息。今までの連載作品で、とことん…元野良犬みたいに怯えてるんです。
ダンスパーティも、どんなことになるのやら。
卒業式の後のパーティーってプロムみたいな?
いきなり出会い頭に失礼な男の子、彼も…こう言っていながら、本当は必死で誘ってるんでしょうね。
さっきの女性…かぐや?結構重要になりそうですね。
「王子がいいの」というの、もう本気でしょうか?
そして参加申し込みを、王子が書いておく…なるほど。本を通じて渡す、「本人もまだ気づいてない」がまたお見事。
「おめかししてきてね」がすごい。
そして…一言で、何が事実か全部変わってしまう…何が本当の事かは、別の何かが決めてしまう…そして、「何が事実かを決める力」こそ、権力。
ここでヒーローの登場、というのがほっとしますが。
さて、王子がどう行動するやら。
今までから、今回こそは地獄に落とされずに読める楽しい作品になるかな、と思っていましたが…次回以降が怖くて仕方ありません。
どちらになってもおかしくない気がします。というか、「やはり暗くないと」と変更することにした、としか思えないような…

甘い悪魔が笑う
おまえだろ、で何かと思ったら、「あきらめねーから」…まさか、『星の瞳のシルエット』男版とか?そっちに行ってくれたら神です。
なかよし…いえ何も。
しかし、「お姫さまのお相手には王子さまが」と爆弾投下して、この強烈な横顔で、平然と笑っている…香月さんの大人パワーがすごすぎます。
おみやげに囲まれているのもかわいいです。
一心くんにも…さらにベッドに引きこむ、なんというか、天然悪女。
というか車で寝たまま、着替えさせたんですか?
そして香月さんが、こっちの家に…えらく豪華なことになりましたね。
で、このトランクの中には大量の武器弾薬でしょうか?

かみかみかえし
冒頭からサービス過剰ですね。
この学校の制服も見事なまでにエロゲ制服…
ロリコンに宗教、そりゃもう爆発的ですね。まあ僕も大学入学時には「危険ですので近づかないで下さい」と自己紹介しましたが。単に事実ですし。
漢数字しか知らない、筆しか知らない…よくそれで教育水準…保ててねえ。というかちゃんと試験して、その範囲の教育にする制度は日本にはないんですか…
願うことができない、心に色がついていない…なるほど、それがメインテーマ?結構難しいことを選んでますね。
…エロゲ制服と思ったら乳袋も標準装備ですか…
木花開耶姫ってしゃれにならない大物なんですけどね。まあ今までも散々大物は出てますか。
おしおき、ってとんでもない台詞を出してしまいましたね。こんな言葉を出すからには、並大抵のすばらしさじゃ許されませんよ?「なかよし」の代名詞なんですから、今に至るも。
というかましろちゃん、いつ着替えたんですか?ま、今更ですね。

荒野の恋
レコードというのがすごい趣味ですね。
聞こえてくる、という言葉…気にしている、という意味でもある…
ハングリー・アートについての話もすごく重さがあります。
小さい子に、この言葉に触れて欲しいという二人の作者の熱い思いが伝わってくるようです。
人間じゃない、言葉に憑かれた…それも作家二人の実感かもしれませんね。
娘のことは書けない、彼女だけは犠牲にはできない…激しい人間としての姿、これだけで人間でいられる…ここはじーんとしました。
やってきての、突然の告白…同性愛。
女の子の行動の一つ一つが、自然に心にしみるようです。
蓉子さんの暖かな受容がまた素晴らしいです。
胸が痛い…ただそれだけ。それも、成長している乳房と合わない下着の圧迫感ですらあるのかも…
鬼気迫るほど。それほどに、今このときだけと、二人の素晴らしい作家が命を賭して、少女たちに伝えたいことを全力で叩きつけていることがはっきりと伝わってきます。
この作品だけはあってよかった、この作品に壊され、救われる少女はきっと何万人もいる。それだけ信じられます。

1年5組いきものがかり
これだけ男手がいたら大変ですね。
同じことを、しましたね。
なんというか…いいドタバタですよねこれはこれで。
女のバンパイアはそりゃ美しいですよね。
300歳ってバンパイアにとっては誤差じゃ?
女の子にこんな話しちゃいけませんよね。
かまれる寸前、というのも苦笑します。
協力して…それを振り切れるというのもすごいですね。
で、血を…そして女装っておいこら。まあ前に連載された作品もそっちでしたし。

スマイルプリキュア!
今回は可愛らしさが爆発してますね。
こういうキラキラタイプの輝きもさすが上北先生。
ガラスの靴を脱ぎ捨て、自分からイバラの森をかきわける…それが今の女の子。
冒頭からメンバーがそろっている感じなのが楽しそうです。
ハッピーエンドとバッドエンド…その二つだけじゃないですよ。『くるみと七人のこびとたち(高瀬綾)』なんて…
なんか最初から仲間がそろってて変身できるんですね。まあいつものことですが。
しかしこの華やかさと可愛らしさ、無敵ですね。
なんというか、いつもどおりとても楽しくなりそうです。
もう、ガンダム・ウルトラマン・仮面ライダーに並ぶ女児最強コンテンツでは…まあ、そういえるかどうかはもう十年しないとわかりませんか。

さばげぶっ!
偉い人は言いました。UFOキャッチャーは貯金箱である…
いきなり少女漫画にいてはいけないようなとんでもないのが。
DOT…HODみたいなタイプでしょうか?しゃがみペダルはないですね。
これと2ショットプリクラ、それはもう後悔処刑。
しかし初見殺しにもほどがありますね。弱点が角って…
二挺拳銃から、何をするかと思ったら…笑い転げました。
ただの暴行、というか傷害+殺人未遂罪では…
ま、フィリップ・マーロウとゆかいな仲間たちも、拳銃は棍棒としてしか使ってませんよね。
このゲームの拳銃は、この手のゲームによくある「グレネードランチャーつきマシンピストル」のようです。
そしてしっかりプリクラとって、後で死にたく…まあ、認めたくないものだな。若さゆえの…
いいや面白いから。

ARISA
人が暴走する心理は丁寧に描かれていますね。
あの、警察なにやってるんですか…
全てを打ち明けて、と思ったらまだ…
何もかも、「王様」の掌の上。
緑と言う一人の人間ではないですよ。人間が集団になった時に発生する、人間を超えたもの。誰にも止められない。
アドルフ・ヒトラーという一人の人間に、あんなことができたはずがありません。人の集団が、歴史の流れが。誰もヒトラーを止められず、ヒトラー自身も止めることができなかった…s
人間という生物の本質は、その力です。バッタが形すら変えて全てを食い荒らし突き進むように、人が集まると…
どこまで描けるか…止めません。無茶なテーマですがね。

ミスプリ!
無理な輝きをとっても、その中から湧き上がるようなきらめき…成長しました。
みんなにお礼をする、と考えられるのがまた素晴らしいです。
綾乃さんの目論見、そういうことですか。ただ、知りたい…
それが、過去でしたか。
そして「こころお嬢さまなら、かならずそうおっしゃると思います」…わかってるじゃないですか、こころちゃんのこと。
「あきらめないで前さえむいていれば」とカーテンを開けたときの圧倒的な輝きに、激しく息を呑みました。
なんて素晴らしい…
そして、リクエストされた音楽からお茶の種類を…
碧さんのツンデレぶりが素晴らしすぎますね。
四人とも、あと一つピースが…その言葉を聞くと思い出す絵本があります。パックマンのような存在が転がって、「自分の欠け」を探す話。
でも、どんなにぴったり合いそうな欠けとあわせても幸せになれない、不完全なまま転がっているのが幸せなんだ…という。
打ち切り、ではあるのでしょう。
これほど素晴らしい作品を…怒りと嘆きはもちろんあります。
でも、今回の全ての、一つ一つの心のこもったタッチが、そんなんじゃダメだと言っています。前を向いて、全力で…それが、メッセージのようにすら聞こえるのです。
そう、青月先生自身に返したいですよ。もう他誌でいい、これほど激しく咲いた素晴らしい実力を、もっともっと大きく開花させてください。
最高です!

来月号…僕は何を見ているのでしょう?そして「ミスプリ!」の露骨な打ち切りは?

いやもう、こんな時にいうことは何千回言ったかわからないので繰り返しません。
ただ二つだけ。

なかよしに投稿しても無駄ですし、デビューしてしまった人は他誌で再挑戦した方がいいです。まいた菜穂先生のように。
なかよしは、デビューした作家は最初から特別でなければ、使う気は事実上ないようです。どれほど優れた作品を描くことができても。
今のあなた方の若い才能は、編集方針が変わるのを待って浪費するにはもったいないです。若いときは、成長できる機会は一度しかないのですから。

そして、硝音先生の作品それ自体が、少しでも面白く、読者にプラスの何かを与えてくれる作品でありますよう。ボーイズラブでも全然かまいません。
新人賞でデビューした作家の、エロのかわりに邪悪・サドマゾ・いじめを餌とするポルノ、読んでいてひたすら吐き気がする代物より、他誌でデビューした作家の面白い作品のほうがよっぽどいいです。読者を思えば。

もう、二十年以上の片思いに疲れた…そんな感じです。心が冷え切ってしまったような。

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