なかよし2013年2月号感想

面白い構成の表紙ですね。それほど人物は強くしていません。

シリコン型とは、本格的な付録ですね。レシピ本もとてもありがたいものです。

そして何より、この豪華な読みきりの存在!
W新連載があるのに読みきりもあるなんて、クリスマスと正月が一緒に来ているようなものです。

そして、「スーパーノヴァ賞」という発想が素晴らしいです。
ファンタジー、ヒストリー、オールジャンル。すごく素敵な選択です…僕ならサイエンスとノンフィクションを入れたと思いますが、それならオールジャンルに入れればいいんですし。
ファンタジーは今までも常にありました。だから今までの投稿生が乗り換えるのも楽でしょう。ヒストリーもその応用ですし、先行作品も多いからやる気さえあればできると思います。
これが次代の素晴らしい作品に結実してくれることを、心から祈っています。
大賛成!心から支持します。

百鬼恋乱(鳥海ペドロ)王子とヒーロー(山田デイジー)ワルツのお時間(安藤なつみ)スマイルプリキュア!(上北ふたご/東堂いづみ)キミが好きとかありえない(あおいみつ)クギ子ちゃん(PEACH-PIT)わたしに××しなさい!(遠山えま)さばげぶっ!(松本ひで吉)出口ゼロ(瀬田ハルヒ)恋と軍艦(西炯子)AKB0048(美麻りん)1年5組いきものがかり(フクシマハルカ)小学生のヒミツ(中江みかよ)ドロボー猫の5時間(立樹まや)予告

百鬼恋乱
卯の花ココちゃん、15歳は犬が大好き。もう一つ人と違うのは、人ではないものが見えてしまうこと…
その魔物を、「朝からうっとーしんだよ」と殴りつけた、和服で街灯のうえに飛び乗る黒髪の男子、零(れお)と白い男子、十(とあ)。
その、零のほうがいきなり、ココちゃんの首筋にキスしてきた。
さらに学校に着いたら、朝見た黒犬はいるわ、さらに零と十が転校してくるわ…
そしてその、誰か運命の人を探しているらしい二人は、悪霊化した犬の妖怪に襲われたココちゃんを助けてくれる。
だがココちゃんはあくまで犬に同情し、そしてひきずりこまれるが、そのまま闇を浄化する…「まさかこいつが唯一無二の?」


僕も犬好きですがここまで見境なしでは…というかなんで尻に頬すりつけてるんですか。
魔物の描写はすごいですね。人の体から、巨大な首だけが…ここまでの造形は水準をはるかに越えています。
兄弟の登場シーンもものすごいインパクト。さすがです。書き文字の演出から波じゃないです。
首にキスするのは普通ならぶっ飛びますが、不思議なほど違和感のない行動なんですよね。
黒犬はどう見ても零だろ、と思いますが、そう思わせながらひっぱるのもうまいですね。
零の、ポケットの鎖がついた財布がまた強いファッション主張をしてます。
犬を、だめだっていいながら抱いてるのもすごく気持ちはわかります。
え、あれ?黒犬と零が同時にいる…ってことは変身じゃない?じゃあこの黒犬は何なんでしょう。
で、その犬は死んでいる…これにはびっくりしました。
アクションシーンも素晴らしいですが、犬の回想が辛いですね。
そして、「闇にひきずりこまれる」という概念の、漫画による描写も凄まじいほどです。
さらに、浄化した犬の妖怪をそのまま飼うって…いろいろな意味で、今の学校という名の強制収容所に存在していられるのが不思議なほどいい子ですね。

王子とヒーロー
おしあわせに、としか言いようがないですが…
それに、「元気で」と返すのも、むしろ残酷ですね。
でも、それで終わらせず王子に知らせようとするのが、彼女らしいですね。
しかしなんて身長差でしょう。
とうとうひっぱたいて引きずって…すごいです。
病院は…あまりの修羅場に、いろいろと呆然としました。
なにしろ「オレはきみを心から愛している」…すごい。
で、ヒーローもなんてあっさりと身を引く…あっさりと握手して、って男ってそんなさっぱりした生き物じゃないですよ?さっぱりを演じようとする執念は強いですが内面は、女子には想像もできないほどドロドロのベタベタです。あ、僕だけかもしれませんけどね。
「友だちの彼女を守っていただけ」って…ええと、やることはやってたんですよね?
花ちゃんの百面相と告白もすごいですね。
「おまえが泣くと胃が痛くなるんだよ」というのも面白い告白です。
なんというか、あれほどどうしようもなかったのがここまですっきりするとは…ふと、恐ろしいことを思ってしまいました。全部計算済みだったら…ってりっちゃんの妄想じゃないんですから。
次の連載は、「いつものパターン」一切なしで、ひたすらさわやかに口当たりのいい話でお願いします。すごく実力があることは確かなのに、同工異曲ばかりってのはもったいないですよ。お疲れさまでした。

ワルツのお時間
じいさんの代から続いているダンススクール。その看板息子、たんご…Jr期待の星である勇誠・菫コンビと、ずいぶん差はついているが…
でも、たんごはなぜか、競技ダンスは踊らない、と決めている。
中学生でもある彼は、学校で…告白をひどい言葉で断っている男を見て、その女の子を助けるが、彼女がクラスメートだということも知らなかった。
その女の子、姫愛(ひめ)ちゃんは、たんごの母親であるダンス教師に誘われて体験入学することになり、たんごと踊ることになるが、ふしぎなほどやりやすい…「運命のパートナーに出会うと、手をとった瞬間わかる」?

このまっすぐなタイトル、多くの読者は「ARISA」以外知らないでしょうが、こちらが本当の安藤なつみワールドなんだ、と叫びたくなるほど。
ダンスをしてる人は、僕の周囲では聞きませんが、結構ダンススクールはよく見かけます。宝塚予備校も兼ねているのでしょうか…?
そして女性を落とす魅力的なホスト性、そこから「こづかいアップ決定」と叫ぶお調子者…この母親のキャラが素晴らしいです。以前の作品での聖母マリア様といい、そういうキャラの面白さも実は安藤先生の強みなんですよ。
花形カップルのダンス…ダンスを描くのは、それこそ肉体デッサンとしては馬同様にものすごく難しいと思いますが、さすがに素晴らしい。
この三人の関係もすごくよくわかりますよね。残念と軽蔑が半々の菫、そして素直に「待ってる」といえる勇誠…いいですね。
あ、昔の陰謀とか、人間の最悪の醜さを目の当たりにしたとかじゃなくて、「時代はヒップポップダンスだろ」だけ?さあどちらやら。
そして告白シーン、と思ったら…よくもまあこんな残酷なことを。
そして、ヒロインの初登場…すごくむずかしい造形だったでしょうね。
女の子を見ると本能的に優しくしてしまうたんごくんの性格が見ていて楽しいです。
同じクラスとも知らない…おいおい。
生徒手帳を落とす、というのも、こういうパターンがいいんですよ。
彼女の言葉、すごくわかる女子も多いでしょう。今は学校は、すごく回想が露骨になっているという話ですし…下九割の子は、日々彼女と同じように思って暮らしているでしょう。…そう考えると、キリスト教の教義って、どんなに悪質なホストみたいなもんだかよくわかりますね。
そして…ダンスのポスターを見ていて、このたんご母の強引な勧誘、いい性格してます。こういうのなんだか好きですよ。
「だれでもお姫さまみたいになれる」は女の子には殺し文句です。
食事もバランスいいですね。
父親との会話も、胸が痛くなりますね。父親にとって、どんなに可愛い一人娘なのかも伝わってきます。
さりげなく、「自分ではなにもしないで」と、反省して自分から立ち上がる強さも描いているのがいいです。
「すごく化けるかもしれないからさ」という、この母親の目の鋭さ…勧誘したのも、見抜いてかもしれませんね。
同じ中学とばれたくないから、と電気消してメガネ、ってこの小細工。
素直についていくことができる…それが最大の才能ですよね。それほど難しいことはないんです。だから、まだ素直なうち、幼児のうちから教えたりとか、完全に疲れきるまで基礎やらせるとか、人格が壊れるまでいじめてから叩きなおすとかしないと、特に人の肉体にものを教える、というのは困難なんです。
そして…笑顔になったときの彼女の魅力、すごいです。
「しんじきってすべてをゆだねてる」その、かすかな喜びの微笑。
そして勇誠くんの視点からの、客観的な評価。
とても丁寧に、奇跡的な相性のよさと、両方が感じている純粋な喜びを描き上げています。
菫さんの態度も奇妙ですね。嫉妬、でしょうか?
そして、正体がばれてしまって…
すごく胸を熱くする、深い共感から優しく盛り上げる圧倒的な喜び、迫力…もう、今から最高傑作の予感がひしひしとあります。
楽しみで楽しみで…

スマイルプリキュア!
スリルのある始まり方です。そして小さい迷子の子?この子がラスボス?
そして昔の回想、すごくいい話…
で、最終決戦なしに、この一番幸せな状態でおわり。うまいやられた最高!
笑いが止まりません。いや、いい意味で。すごく素敵だと思いますよ。
次からの作品も楽しみです。
しかし、これが単行本になっていないって、本当だとしたらおかしいですよ。

キミが好きとかありえない
…今回もまたとんでもない暴走で。
いきなりもうとんでもないのが走ってきました…
ええと、イケメン設定はどこに行ったのでしょう。
かなでセーターが引き伸ばされる、というのもすげえ。
で、かなでちゃん…これがありって…なんてマニアックな…
逆に避けられている、というのもえらいことに。
尾行したら…って、「後ろ姿もポチャ」って彼女のデブ好きは筋金入り?
で、美女と会っている…まあここで、考えるべきでしたね。こんな太ってる男がこんな美女と浮気できるはずがない、って。
で、この変態妄想…恋も知らない乙女だったかなでちゃんが…まあ、当然今の少女漫画雑誌にはそういう描写ばかりですからね。というか今このページが読者を汚してますが、「なかよし」が自主規制しても他の多くの情報源からもっとすごい情報がガンガン流れてますのでムダです。
そして…公園で美女と抱き合っている…なんかものすごいながめなんですが。
笑い出してしまうほど…こういう感情描写の強いところは、政党は少女漫画トップクラスの実力を爆発させるのがこの作品の恐ろしいところで。
さらに泣いているところの美女に抱きしめられ、そして「ジョリッ」という悪魔の音…
まあ、わかってみればそりゃ全部納得。しかし、男にしても美女すぎますが。
しかし一年でいちばん忙しい時にコーチを引き受ける、っていい人すぎます、このパティシエ。
「大好きな人に気持ちをおくるのは」…こういう心情描写も、ずるいぐらいのうまさです。
で、残っているのは…
それからの、警察沙汰までのギャグが大笑いでした。
かなでちゃん、太ってたままでも良かったんですね…
もう何もいうことがない、ってレベルの安定感。

クギ子ちゃん
とことんひたすらいい話。こういうのすごく好きですよ。
磁石って、いちばん安く手に入るのはどこでしょう?
クギ子ちゃんが抵抗しないのが悲しいですね。
そのクギ子ちゃんをかばう、黒くなったトモちゃん…
自分の意志さえあれば、妖怪にならずにいられた、と。
さて、それからどうなるのか…

わたしに××しなさい!
ひとことも、言わせなかったのは…弟の前だから?それとも…単なる感情の爆発?
「親父の病院継ぐんだもんな?」…それはそれで大変ですよね。
言っても止められない人間…どうすればいいのでしょうね。
いきなり晶ちゃんを呼び出すマミ…さあて、どうなるでしょう。
彼女がいるのに当然のように「守るから」というのもすごい話ですが。
結局連れ出されて…ボディーガード、間に合いませんでしたか。
結構楽しそうにやってますけど。
そして、人ごみに放置され…怯えているのを助ける晶、なんというかヒーロー過ぎます。
いきなり目を覆う、というのがこいつの常套手段?というか誰かこいつ止められないんでしょうかね。

さばげぶっ!
納豆…もし、アレだったらかなりすごいんですが。
でもまあ、僕も納豆嫌いは筋金入りなのでとてもよくわかります。
そして特訓を断る、って二人とも…なんというか、心が狭いというか…
最高級の納豆…わかります。無理です。
そして、半ば復讐のために真剣に特訓する…これが「友情」というものの実相ですよ。
これを一万回かき混ぜる…僕には拷問です。生爪はぐ、でも真剣に迷います。顔を斬られるだったら迷わず刃を選びます。
「さすが園川…最低だ!!」に全力で賛同します。
納豆風呂…絶叫するしかありません。
僕もダメになります。間違いなく。
そして皮膚からの吸収だけで…納豆恐るべし。
それを、全部善意だと感謝してくれる、これは潰れますよね。
そして、まさかと思わされる「モモカ…かわりに」…さあCM出演、と思ったら…もう顔もスタイルも関係なし…
ざまーみろ、と心から叫べます。

四コマも相変わらず極上。
豆を遺伝子改造…そりゃまあ、豆の遺伝子改良は世界中がありとあらゆる金をかけてますからね、間違ってBB弾サイズになったのぐらい、ちょっとコネと金があればいくらでも手に入るでしょう。

出口ゼロ
ちゃんと演劇学校らしい授業もやるんですね。
何も仕掛けてこない…逆にそのほうが怖いですね。
ゆみかの傷も、関係して?
そして、タブレットを確認したときの、突然の恐怖…
一人を集中攻撃し、さらにペナルティで…厄介なルールです。というか、寮が個室であることが、分断にもなってしまうと。
自我との決別…それがこの作品のテーマですか。
さらに調教、とそこまで…でも、それが非常に普遍的なテーマ、この現実世界の深い構造なのも事実です。
そう、自我を完全に破壊し、残虐さだけのロボットになる、それが人間社会に順応する唯一の方法だ、と信じている人はたくさんいて、多くの組織がその論理で動いています。厳然たる事実として。
さて、それをどこまで描けるか…そしてどんな結末が待っているのか。
作家と編集両方の、凄まじい勇気は買いますよ。

恋と軍艦
叫ぶだけで影響力のない子と、無関心…ぼくもこの状態は経験してます。動かない状態に集団がロックされてます。
まあ、晶ちゃんに押しつける形…しかも「文句いわないから」と言質つき。
石を蹴りあって、なんとなく一緒に帰ることになって一緒におやつ…仲良くなるフラグが見えます。
そして、このアレクサンドルと晶ちゃんのやり取り、相変わらず楽しいです。
ひたすら感情をぶちまけるのに、「おいバカ」。
そしてキャスター蹴りを迎撃し、パンツネタで一騒ぎ。
アドバイスの後シャワーネタでまた蹴り。楽しいですし、そのアドバイスも的確ですね。
で…つい、ピアスに手が出てしまったと。さあて、どれだけ苦しむことになるやら…いっそ「罪と罰」でもやりますか?
子の親の無責任な暴露話って、子同士の関係にはいい触媒になるんだな、とちょっと目を開かれるような感じです。
どちらも悩んでいる、というのも見ていて楽しいです。
そして陽くんと会って…「となりの住人がだれかわからんような都会とはちがうから」逆に何かあったとき、失うものも大きいし村八分という悪夢の刑罰が機能してしまうと。何事もメリットとデメリット…
ここの、「なにかあったのか?」という、雰囲気がうまいですね。
と思ったら、男同士のベッドシーンというえらいことに。
陽くんが、あえて誠実に答えることを選んだ…彼も男ですね。
さて、みんなどこに着地するのやら。

AKB0048
すごいことになりましたね。
いつもどおりの先輩…そしてなんかすごいドラマなんですが。
ふれあちゃんにこの演技、かなり辛いものがありますね。
撮影での、大島先輩と乃愛ちゃんのアクションシーンの激しさもさすがです。
致命傷を…過激なこといいますね。
まだ役に入っていない…D・Aアカデミーじゃ減点の嵐ですよ?
で、殴られてやっと…まったくわかりやすくて楽しい作品です。
ナイフのデザインも、鋼鉄と真鍮の質感も完璧。僕はフィンガーグルーブには否定的ですが、手に合えば一番過酷な場でももっとも選択順位が高い品です。
やればできる、にもほどがあります…
そして、ついに乃愛ちゃんがダークサイドに?そして…それがどこに行くのか、なんかすごい緊迫感になってきました。

1年5組いきものがかり
イチローが、消滅?
この塊が、どうなるんでしょう?
あちこちのモンスターに聞いて回る、本当に顔の広い部です。
で、「バンパイアがいたー」と生徒会長にしがみつくって、事実だからこそやばすぎる行動ですね。笑うしかないです。
玉になってしまっているのを見て笑っている会長、なんだか楽しそうですね。
というか周囲にはなんと言って抜け出したのやら。ま、記憶を抜くという常套手段が使えるなら…
「オレがおしえると思う?」ま、そうなりますよね。
みんなの、一度えるちゃんを試すように意地悪するのも見ていて楽しいです。
いい友情ですね、これも。
落ちながら玉を飲みこんで…まあお約束だからこそ威力のある展開でした。
会長、この解説役はいい仕事してます。
面白い始まり方から本誌昇格、そしてずっと…すごく安定感のある作品でした。
次回作はどんな風に変わってくれるのか楽しみです。お疲れさまでした!

小学生のヒミツ
相変わらずの可愛らしさ…
いい夢ですね、うらやましい。…今朝の僕は昔やってたファミレスバイトでむちゃくちゃな客のクレームにひたすら頭を下げている夢…色気がないにもほどがある…
家が近い幼なじみでも、仲がいいとは限りません。部活とかで年に数回も顔を合わせないこともありますしね。
そして、彼が…「あゆみ」というときのぱあっとした表情。これは切ないですね…
保健のDVDがつまらない、なら保険のDVDは?ロイズや頼母子講の歴史から壮大に。
まあ冗談は措いて、むしろ「保健体育」が間違いであって、「医学・生理学・疫学・公衆衛生」としてしまえばいいんですよ。医学ならみんな関心ありますからね。特に男子は別の意味で。介護・育児も医学との関係も深いですし、あと理科でやっている生物生理・人体生理は全部医学と関係が深いですし…
あちこちに分散していますが、「子に最低限の医学知識を教える」と目的を明白にして再編すれば…
その話になると、一気に緊迫するよい子たち…ふふふ。
その授業をやった直後に男の子のおうちにお泊り、ってなんてうらやましすぎる状況でしょうか…笑うしかありません。
そしていきなり、風呂の全裸を見てしまう、と。さらに抱かれるように倒れて…ははは、なんというToLoveる…。
緊張しすぎて逆に冷静になり、授業を復習し始める、というのはもう笑い通り越してます。
これ、男の子のほうがショックは大きいです。絶対に。
そしてピーマンでの親切もたまりませんね。
それに恋心がすごくふくらんでいく…ここの描写もすごくうまい、直接強い気持ちが真っすぐ伝わってきます。
タイミングの悪さもお約束だからこそ素晴らしいです。あゆちゃんからのチョコ、こんなぱっと素直な笑顔で「うん!ほしい」って…すごい男の子ですね。
支えてくれる友達がいる、というのもいいですね。
すごく素敵な言葉でした…片思いでも無意味じゃない、って、その言葉を言ってほしい読者がどれだけいるか…どれだけの読者が救われたか。
そして、めいっぱいチョコを作ることで気持ちを表現できる…いいですね。
しかも、「すきです」入りチョコ!もう爆発しそうなぐらい心が熱くなってます。
後ろから抱きついて、「好きになってもらえるように」…僕までドキドキしましたよ。
なんというか、女の子のほうがずっと先に成長している…男の子は、どうやってもかないません。
四月号にも続いてくれるのがすごく嬉しいです!楽しみなシリーズです。

ドロボー猫の5分間
 明るい髪色と派手な美貌で、「泥棒ネコ」と怒鳴られるのももう慣れた霜田絢ちゃん。保健室の常連でもあり、野球部によく来る男の子の手当てをしてやることもある。
 ちゃらい男に絡まれそうになったところを、また来たその子…葉山くんに助けられる。
 それからよくテーピングをするようになり、閉じこもっていた保健室から、「外」…グランドに引き出されて、野球部のみんなのテーピングもしてやり、見直される。
 そして、テーピングを習いに来た野球部のマネージャーが、葉山くんとつきあっている、と聞かされて…盗みたくなる。
「内」「外」と明白なテーマがあり、タイトルもうまく絡み、丁寧な心の積み上げから意外なラストにつなげる、とても真っすぐで切ない最高傑作。


扉絵の、ちょっとクールな感じの美貌とアリスファッションのギャップが不思議な印象の食前酒。靴がチョコレートのようにとろけて野球ボール、というのも面白い発想です。
とても鋭い印象…泥棒ネコ、という叫びにびくっとします。
保険医の先生との会話、理解者との暖かい会話に、胸がとても温かくなります。
肘のテーピングとか、結構なことができるんですね。
そして真っすぐ見られて、真っすぐさっきの修羅場まで…そう、真っすぐのマイナス面から出してくるのがうまいところです。
早く卒業したい…それぐらいやさぐれている心理から始まるの、読み返すとうまいです。そしてタイムリミットがあるのも。
この不良らしい男子二人、霜田さんと普段はどんな関係なのでしょう?ま、迷惑がっているのはわかりますし、だからこそ葉山くんの助けが嬉しいです。
言ってから失礼に気がついて反省するとか、そういう単純でキレイな心がしっかり描かれているのも、すごく共感できます。
ここで飛び込んでくるマネージャー…彼女はどこで嫉妬を見せるかな、と正直ワクワクしました。
ふと、窓をぬぐって「保健室と外ではまるで別世界だ」と、世界の違いを強調する…テーマがしっかりしているのも、すごく共感できます。
外の世界から毎日来る少年…いつ恋愛になるかな、とワクワクしました。
非常食でチョコチップパン…あれ、すごくコストパフォーマンスが高いし、ホットミルクに漬けたら実にうまい。昼食代わりにも十分なります。
楽しい生き物の世話を楽しんでいる、と気持ちの変化をしっかり、一里塚みたいに明白化するのがうまい組み立てです。
そこにマネージャーの子…
飛び出して、噂を聞いてムカッとして素早くテーピング…それで野球部のみんなに認められる、というのも、テーマの「外側は別世界」と、とてもよく響いて素敵な展開になっています。
それを受け止める絢ちゃんの表情がまた素晴らしいんです。
そしてそれまで、単なるライバルかな、と思えたマネージャー…香坂さんが人格的に一気に深いキャラになる。
真面目に学び、偏見ではなくまっすぐ絢ちゃんを見てくれる、素敵な子に。
その対照もうまいです。
さらに、葉山くんがどれだけ絢ちゃんを深く認めているかも描いて、絢ちゃんの恋心も強める…
さらに野球肘。それから、二人がつきあっていることも知らせる…
よくまあ、これほどうまくいくつもの梁を集めて絶妙にほぞ組みしたものです。
それで心が傷ついて、それが恋心の自覚の始まり…それは、内心の言葉ではなく、避けるような行動で表現される…
さらに、「肘くらいでやめんの」と、強烈に葉山くんの魅力を爆発させて。本当につくづくうまい。
まずい、と思って避けようとする、そこに葉山くんが困った男から彼女を助けてくれて…
ロジン煙幕はたまりませんよね。
「盗まれてよ」…本当に泥棒ネコになりたいぐらい強い思い…なんて切ない叫びでしょう。胸がすごく痛くなるぐらい。
そして、せめて気持ちをバレンタインチョコに…葉山くん、何も知らずに「自分用なら一個くださいよ」というのんきさ。
しかも、口に直接入れてあげるという、ここの色気とドキドキがもう、今までの積み重ねがある分たまりませんでした。
ここで「香坂さんとつきあってるってほんと?」というのが、どれほど覚悟のある言葉だったか。
そして、…奪うのではなく…「五分間だけ彼の時間をわたしに盗ませてください」…なんという…ささやかな…
涙が出てきそうです。
恋が叶うのではなく…もう、言葉が出ません。なんて作品でしょう…
デビュー作から実力はずば抜けていましたし、ホラーでの修行も結実したんでしょう。
もう、今すぐ本誌連載を始めてほしいです。すごい…としか言いようがない。
すごい作品にめぐり会えて、ただただ嬉しいです。

来月号…蜘蛛女本誌進出!やった、と叫びたいですね。実力的には最高のシリーズですから。
そして、木ノ下先生と、佳作の新人デビュー作…まったく、本誌は毎号毎号ごちそう攻めですね。
増刊が復活できないという与件の中では、最善を尽くしていると思います。素直にあるものを一口一口、じっくり味わい楽しみます。

目次へ

ホームへ

もえるごみへ