なかよし2014年11月号感想

表紙は他とは全く違う空気を出しています。
標準…要するに「おとなしめ萌え増強の種村コピー」とは全く違う作風がある幅の広さが、「なかよし」の強みです。

化粧品の付録も大胆で高級感があります。安全性が少し心配ですが、まあ大丈夫でしょう。

今月号は何度も読み返したくなるいい作品が多くありました。やはり一つ一つの作品の質が高いのが、雑誌にとっては基本ですよね。
それができる作家陣こそ、雑誌にとって、出版社にとっての最大の宝です。どうか大切に…

マガジンからの出張は驚きました、「ちゃお」でコナンがゲストになる前例はありますが。
そのうち「はじめの一歩」が掲載されたりして…想像すると大笑いしますが。子供時代、真柴兄妹・宮田・千堂・一歩が実は出会っていたとか。

百鬼恋乱(鳥海ペドロ)FAIRY TAILブルー・ミストラル(渡辺留衣)きぐるみ防衛隊(星野リリィ)恋するふたごとメガネのブルー(山田デイジー)わたしに××しなさい!(遠山えま)出口ゼロ(瀬田ハルヒ)恋と軍艦(西炯子)七つの大罪(鈴木央)ハピネスチャージプリキュア!(上北ふたご/東堂いづみ)嘘つき王子とニセモノ彼女(美麻りん)さばげぶっ!(松本ひで吉)利根川りりかの実験室(長谷垣なるみ)少女結晶ココロジカル(高岡しゆ)クギ子ちゃんがいる!(Peach-Pit)かみかみかえし(遠山えま)小学生のヒミツ(中江みかよ)寂しがりやのご先祖様(八木原こと)予告

百鬼恋乱
ハロウィンの文化祭、というのはいいセンス。
迫力がものすごいです。
チョコレートを食べているときのこの幸せ顔ときたら…だらしなすぎますね。
ゆのんちゃん、寒くないですか?すごい露出度。
死者がよみがえる…ろくなことになりそうにないです。
そして文化祭ジャック…ココちゃん以外のみんなも、愛する死者との会話を体験しているのでしょうか。
あ、そうなんですね…「クローあいたかったよ」ってなんてうれしいサービスでしょう。
ヘラの武器は弓矢でしたっけ?割と何でも使う女神です。
「好きな女くらい抱けばわかる」は強烈でしたね。
さて、タイムリミットと見せて、何がカギになるでしょう。
このままクライマックスか、それともまた引き延ばすか…

FAIRY TAILブルー・ミストラル
やっぱりはじめてのおつかいでした。
後ろから抱きついて手を握る、というのがすごい構図ですね。
そして、この雰囲気でも「あなたが…村にきたことです」と、感情に惑わされず深層に肉薄できるぬけめのなさ、さすがフェアリーテイル。
ただ、それ以上の証拠はないのですが。
…と思っていたら、偽者だった?これは実にうまくだましてくれました。
妙に緊迫感のない黒幕が出てきましたね。
ひたすら数と人質で押す、というのが妙にリアルです。
みんなの登場は笑うしかありませんでした。過保護ですねえ。

きぐるみ防衛隊
この会話、いろいろな伏線をはらんでいそうです。
乙女ゲームを意識してしまうのは大笑いしました。
デートなんだから、って妙にこだわりますね。
でもそれも、あくまでのばらちゃんを心配しているから…
「彼女ならできるかもしれない」って、でもよほどの代償があるから言わないんでしょうね。
相手のことを知る…やっと頭を使い始めましたか。
穏やかな緊迫感、実にうまいですね。

恋するふたごとメガネのブルー
繰り返しの冒頭、なかなかいいです。有永くんの立場から見ているような感じで。
あえて身を引かない、というのもすごいですよね。
普通なら「おまたせ」はかわいいところですが、ダッシュしてるのが彼女らしいですね。
それをこうして優しく受け止めるのが有永クオリティ。
さらに「本気だよ?」…こっちのほうがヒーローとしてはふさわしいですよ、絶対。
もう女の子が言ってほしいセリフ全部乗せでぶちこんだような豪華さです。読者が何人、きゃーきゃーうらやましいこいつにしとけ、って叫んでることやら。
送ってくれて、手を離さない…これまたたまらないことをしますね。さらに手にキスまで。
そしてももちゃん…なんというメガンテを。まあそれも、さくらちゃんに後悔してほしくないという善意なんでしょうが。
同じ人が好き、とわかっても対立しなかったこの姉妹がこうして対立する、というのもうまいです。深刻にはなっていないですし…深刻になったら、話が過剰に重くなりますからね。
「フラれたって青くんが好き」という、これがももちゃんの強さなんでしょうね。
そのあとで悩むのも彼女らしいです。すごく丁寧に考える子なんですね、とことん。
青くんも、ちゃんと心配してくれる人ではある…
「いまはわたしのこと好きじゃなくていいです」とまでやるとは。
そしてさくらちゃんの決意…ラストの表情が本当に素晴らしい。梯子段が二段ベッドという関係をうまく表現していますし。
大人気のまま最終回へ、というのは素晴らしい英断だと思います。
今回は、どうやら「いつものデイジー」にならずに名作といえるものになるのはまず間違いないでしょう。…ここから最終回だけで「いつもの」にできたら逆にすごいですけどね。
ただただ楽しみにしていましょう。

わたしに××しなさい!
この路線、けっこううまくいってしまったようですね。まだかなり続くようですが…
無理な引き伸ばしでないことを祈ります。
「どちらかを選ぶ必要がない」と言えるのはさすが、人間を支配する技術には詳しいようですね。
「ラブさえあれば」…うまくテーマを決めてきましたね。
「新しい思い出の場所をつくるまで」というのはうまいですね。
「もっとたくさん知ってもらいたいと」と、この体で言われたら男は下半身が反応しますよ。そう言う意味だとしか思いません。
一つ一つ自分の好き嫌いを教えていく、というのがかわいいです。
絵本コーナーはおすすめです。本当に素晴らしい本がそろっています。
いとこ、って晶くんのことを考える、あたりまえですがずれてますねえ。
絵本の陰でキスするのもうまい。
で、マミちゃんと晶くんの進展は?増刊があれば、ひたすらその二人の甘々いちゃいちゃだけの番外編も読めたかもしれないのに…とっても読みたいです。

出口ゼロ
「みんなでいっしょに舞台に立ちたい」という夢がどんな形で動くか…
なかなか共闘はできませんね。しかもゴールにも罠がある…
「自分でも見ないようにする」というのはうまいですね。
読まれてる、と分ったらはっきり公開して選ばせる…次々と即興で考えられる、まさしくこの学園が求めているのはそれなんでしょうね。
少し希望が出てきましたが、それがどう動いていくのか…この作品のこと、想像を絶する絶望が待っているんでしょう。

恋と軍艦
恵方巻き、豪快な絵面で一気に目を引きました。
筆談はありなんですね…
陽くんの不憫さときたら。
猫がいる役場というのも楽しいですね。
友チョコ禁止で本命はいい、というのも面白い学校ですね。
「山下さんは町長さんのこと守ろうとしてる人だと」、敵味方思考がないってのはすごい強みです。恐ろしい子。
でも、そんな善意からDVDのことを話してしまい、それがどんなことを引き起こすのか…
今度こそ、彼女の無垢も破れて罪悪感を知ってしまうのでしょうか。
陽くんがモテるので焦る、というのはさすがに頭にきますけどね。
しかも「あしたさ」と約束までして…さすがあの母親の娘、この年齢で悪魔です。
陽くんの喜びよう、本当に気の毒になります。心の底から。手を合わせてしまうほど。
大変なことになりそうですが…

七つの大罪
まあ「ちゃお」でコナンの感想書いたりしてますし…そのうち一歩が出てきたりしないよな…
ライパクは何度か見たと思います。
もう十年以上少年誌はほとんど読んでいない、というかサンデーで唯一読んでた作品が終わり、一歩が負けたのを機に、完全にやめることにしました。どうせ立ち読みしてメロンパンでも買うだけでしたし、半年後にブクオフで読めばいいや。
絶体絶命なのにのんきすぎる世間知らず、それで次々と…単なるキャラ紹介でここまでインパクトがある作品にするとは。
欄外の説明も面白いです。これを書いたのはマガジンの担当編集者でしょうか。
すごく豪快でいろいろ面白そうな作品だというのは伝わってきます。

ハピネスチャージプリキュア!
「そんなワケで」の一言も三週間分ぐらいなんでしょうね。
ずるい、とか楽屋裏を見ているようで楽しいです。
本当の愛、って結構重いテーマに入ってますね。
さらにミュージカルの練習と、これまた楽しそうです。
そこにわざわざ出てくるとは、ミュージカルを盛り上げてくれてありがたい話です。

嘘つき王子とニセモノ彼女
聞きたくて仕方ないのに「かってにきくのよくない」といえるの、いい子ですよね。
と思ったら「すごくおこられそう」「なに順調に調教されてんねん」…
こんな真っ赤になって「いやいやいや」…そらいらつきますわ。
それでも「かわいい」は笑うしかありません。
「見かけだけで近づかれたって」…すごい迫力。
理事長でこの目、よくあるパターンが待っていそうです。
いきなり「カゼひけ」といわれても。
「ぜーぜーするまで走ってこい」…寒くなってから運動すると、本当に喉ぜーぜーになります。
それでこのいちゃいちゃ看病とか、どこまでやるのやら。
熱で寝ぼけて甘えまくるのがかわいくて仕方ないです。
それで「好き…」とか、もう何というかわいらしさ。殺す気かレベル。
「いらねーから」には殺意湧きますが、さてそれがどんなことに…

さばげぶっ!
アニメ大成功おめでとうございます。
男子登場…それがかよちゃんに、イヤホンでちょっかい…
幼馴染!さらに小さいころからの話を聞いたら「めちゃくちゃ愛されてない」…
ゲームを語ってる目が本当に愛に満ちているのが大笑いです。
それを見て誤解、ってそんなシチュ幼馴染なら今まで何度もあったでしょう。
すごく真剣に男心を描いているのがすごい。これだけ実力あるなら正統派ラブコメ描いても相当面白いのできると思うんですが。
木の下で読書する彼もすごい表現力。
で、彼がちょっかい出さないと気になるというパターン…これが「さばげぶっ!」じゃなければ…
本で話が弾み、女の子の嫌味に…とんでもない告白…
いやまさか、タイトル間違えてないか、と思ってページをめくったら見事に外してくれました。やはり「さばげぶっ!」ですね。

四コマは先生回。もううざさを極めてます。
部長の「気づかず四年もこのまんがやってたんですか?」が大笑いしました。
ミランのエアガンバージョンがあるなんて、五誌とも大特集しますよ。
回して乱射、ってむしろ無理だと思います。
お箸を持つ、というのは僕もわかります。僕も言語と左右がつながってません。
ですから、車で道案内するときは何度も間違えてから、指さして指示しました。正確にできました。
手りゅう弾の「落としましたよ」はミリタリ系ギャグとしては極めて秀逸。

利根川りりかの実験室
ライターとかガスコンロとか、本当に昔の人には奇跡か魔術か…
「原始的にいくわよ」が大笑い。
紫色の炎で炎色反応…それに興味持てるだけの感性はあるんですね、いくら科学嫌いでも。
ニトロセルロース、って危険なことをしますね。
これがカラーだったらさぞ華麗だろう、と思われてなりません。
そして幽霊の正体…なるほど。
なんかすごく暖かくて、たまらない気持になります。
結構いい作品ですよ、これ。

少女結晶ココロジカル
残念ながら、典型的な打ち切り展開。
もう少し早くから、完結に向けて話を動かしていればよかったのですが。
のんちゃんも英雄に…「つらいたたかいだったわ」だけとわ。
次々と仲間たちが犠牲になっていくのは見ていて辛いです。
まだ五つだけ…十二英雄で、登場している人数が少なすぎるんですよね。
三月エリアをじっくりやりすぎた、もっと足早にいろいろなエリアを回っておくべきでした。
その話自体はよかったのですが、結果的に作品全体を見ると…打ち切り告知のタイミングが悪かったのでしょうか。もう二回余裕があれば残りメンバーを全部出してきれいに終わらせることもできたでしょうに。
ムツキの謎もあまり解けていないですね。
立ち上がる時の意志の強さの描写はさすがにすごい。ただ、ここにハルトくんがいないのは…
泣いても笑っても最終回、棺を覆ってはじめて定まる…どんな作品になることか。

クギ子ちゃんがいる!
敵サイドからですか…結構温情のある敵のようですね。
「チワワ感…時々わかっててヤッテる気がスル」ははは…
息をするのと同じぐらい媚態は男女問わずあたりまえのことですよ?「わかってて」と「わかってなくて」の違いなんてありません。
アメ子さんが黒幕?
心のデスクトップ、ってWindowsですか?
最後のヒミツがこの小さい姿?

かみかみかえし
早寝早起きからとは…まあある意味当然です。
冷水とか、結構本格的ですね。
神のことを知る、って結構難しいですよね。普通の本屋にはあまりちゃんとした資料はないです。
図書館になら何とかある古事記も、それほど多くの神は網羅していません。
クライマックスは相当先ですね、このペースで修業していくと…ザ・引き伸ばし。

小学生のヒミツ
元気で楽しそうな扉絵です。
ちょっと絵の感じが変わりつつあるでしょうか?連載だとどうしても変わっていきますね。
モテテクを見て、読者みんな「あるよねー」とまゆをひそめつつ、実は自分も結構使ってると冷や汗垂らしてるでしょう。
「ほんとうはこういうやつだよ」…いいですねえ、本当の自分も受け入れてもらえていて。
「好きな人に好きになってもらえたら」こっちのほうがモテテクとしては強烈でしょう。
で、ゆうあちゃんに好きな人が?
「兄は中二病」とか、「田中くんはたなじゅんの兄です」とかが面白いです。
「あんたアホでっしゃろ?」とか、こういう激しさは今まであまりなかったですね。どんどん冒険して表現の幅を増やしているのがわかります。
タイプ別攻略法とか…それ、実戦で検証されてますか?
本当にドジをやるとは…
ジュニア用よせてあげるブラに「ふつうにきけ」は大笑いしました。でもいい子ですよね、友達のためにここまで真剣に…
翼くんが「ゆうあのいいところは人の話をちゃんときくとこだし」とか、ちゃんと見ているのがすごく大人だな、とうれしくなりました。
すぐ知らない、と感情的になったりするのも子供ですね。
そして、モテるのが虚しくなってしまう…
ノートを見つけて、こういうことを言えるゆうあ兄…中二病というか中身小学生…
女の子たちのパニック心理がすごいしっかり描かれてます。
そして真剣に怒ってくれるひめこちゃん、こういういいところがあるからゆうあちゃんも翼くんも彼女につきあってるんでしょうね。
そして…うん、本当にこれすごくいい話です。読み切りとしても最高傑作。

寂しがりやのご先祖様
お盆にご先祖さまが返ってくる…ひいおばあちゃんが大切にしている、絵が描かれた石…
お墓の前で一族車座。
でも、あかりちゃんだけ同世代がいないので、ちょっと寂しい…そこで出会った、キツネの面をつけた変な少女。
彼女と祭りに行くことにしたけれど、行った先が少し違う。ご先祖さま?
そして妖怪だらけの祭り、奇妙な一時が始まる…
彼女がふと、「ミヨちゃん元気?」と言う。それはひいおばあちゃんの名前、それで「つれていったりしないよね」と少し不安になるけれど…

山名沢子、という第一印象。
そしてページをめくった時、大胆な構成にびっくりしました。漫画のセオリーを一気に切り捨てるような。
Pixiv出身なら、見開きでなく一ページずつめくる漫画に適応しているのかも、とも思えます。
「夕方の青さが増す気がする」「空気がぬるい」など、言葉のセンスの高さも驚くほどです。
妖怪たちの造形は子供の落書きのようですが温かみがありますね。丁寧に描くところは描いてますし。
暖かな楽しさも伝わってきます。
ひいおばあちゃんの名前で不安になり、それからの話もすごく暖かいです。
「新しい命も生まれてきてつながりを感じるの」という言葉もすごく重みがあります。
送り犬、転びそうになるのも結構スリルがあります。
結構すごい作品です。ですが、今の「なかよし」には、事実上ホラーといじめ以外新人が活躍する場がない…これほど高い実力を持った作家が…
どうか無駄にしないでくれ、と祈るほかありません。

お、あおいみつ先生の新連載…楽しそうです。

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