なかよし2015年11月号感想
また二人表紙…ほかに二誌がある、ということを忘れてませんか?
付録の高級感はすごいです。
本屋に昔の傑作のコミックスがずらっと並んでいるのは壮観です。
願わくば新規ファンも…
LINEで立樹まや先生の連載、というのはうれしい知らせです。
*9/14、「キミについた嘘」を先月号の感想に追加しましたが、周知されていない可能性もあるのでここにも再掲します。*
花と忍び(長谷垣なるみ)嘘つき王子とニセモノ彼女(美麻りん)探偵チームKZ事件ノート(藤本ひとみ・住滝良/桜倉メグ)小学生のヒミツ(中江みかよ)出口ゼロ(瀬田ハルヒ)きぐるみ防衛隊(星野リリィ)伯爵さまは甘い夜がお好き(フクシマハルカ)先パイ、教えてください(桜沢きゆ)さばげぶっ!(松本ひで吉)プリンセスプリキュア!(上北ふたご/東堂いづみ)初恋はじめました。(山田デイジー)黒豹と16歳(鳥海ペドロ)FAIRY TAILブルー・ミストラル(渡辺留衣)ピンポンドライブ!(吉田はるゆき)ナイトと王子と秘密のジョーカー(木ノ下奈央)予告 キミについた嘘(花風あられ)
花と忍び
いやーますますスタイルよくなりましたねえ…それにこのドヤ顔。
お嬢さまっていうのもないしょ、って無理なんじゃ?…今まですべての取材をはねのけてきたんですか?
しかし体の柔らかさがよく伝わるお姫さま抱っこです。
男女二人の転校生、という時点でいろいろおかしい気もします。
自動販売機の使い方がわからない、ってテレビも見ていないようですね。
「部活→青春→友達いっぱいできる」というのも苦笑する発想です。繰り返しが面白い。
結局邪魔している…まあそれもスポンサーの命令だったと。
一応ちゃんとやれているようでほっとしました。
…で、はぐれ忍び…笑うしかありませんでした。
「わたしを守りなさい」というのはもう生粋のお嬢様らしいです。
まあなんとか学校生活が始まったようで…さて、次は何があるやら。
すごく平凡な作品、だからこそうまくいけば大きいし、失敗したらただの凡作…リスクは大きいですが、リスクのある賭けは嫌いじゃないです。それに作家自身の実力は折り紙付きですしね。
嘘つき王子とニセモノ彼女
天使が二人、ということは彼女も中身は…?
…妹?
あの父親も痛みを知る人間?
なのになぜこんな冷酷なことを…?
全寮制…彼女の生活をちゃんと配慮してくれる人は初めてですね。
「会えなければそれでおわる」って説得力ないんですが…自分はあきらめずに押し通したくせに。まあその悔恨があるからこんなこと言っているのかもしれませんが。
「オレだけ信じてろ」って、それはそう言える行動をしてきた人間でなければ。今までの自分の所業を振り返ってから言ってください。
演技が本気になっている…ここの雰囲気はさすがに切れます。
そしてこれをしでかすとは。さて…理事長はこれで納得するでしょうか?
どんなクライマックスになるのやら。
探偵チームKZ事件ノート
運動も勉強もできる、秀明ゼミナールのエリート集団KZ…
同じ秀明ゼミナールに通っている立花彩ちゃんはある日、自転車で走るKZのメンバーにぶつかりかけた。その時のメンバーの対応に、ちょっとイメージが崩れたが…
ある日、国語だけが優れている彩ちゃんはクラスを変わることに。そこはKZメンバーがいた…
男の子ばかりの中に女の子一人というだけでかなりつらいんですけど。
でも、彼らの心を開いたあり方に影響され、少し態度を変えたら友達もできそう…
そんなとき、奇妙な事件が起きて「探偵チームKZといっしょに大事件を解決してくれ」といわれる。
運動も勉強もできる…欧米では文武両道は当たり前、日本でもイチロー選手などは東大に入ることもできたはずといわれています。
…これ、彩ちゃんのほうが責任重いと思いますよ?まあ法律では歩行者はほぼ無敵ですが。
顔を合わせたシーンの印象はさすがに強烈です。
でも、彩ちゃんを責めてはいない…十分紳士的だと思いますが?…結局自分が悪かったとはかけらも思っていない、と。
真ん中が辛い…長男も辛いし末っ子も辛いですよ。
一つだけが優れている子をうまく使う、いい塾ですね。…なぜKZ。
「おまえ新入りだろ」って完璧に男の子のノリですね。
こう返すとは、かなり大物ですね。
男の子の世界に感動するのも、ふわっとですがすごくしっかり描かれています。
ものすごく心の動きを丁寧に描いていますね。
それで、自分の態度を変える…これもすごくわかりやすく、読者にはいいメッセージです。まあ、自分が変わるのは邪悪な人間がいると危険ですが。
丁寧な心の動き、柔らかく完成度の高い絵、そして以外な展開…ものすごく面白くなりそうです。
小学生のヒミツ
「とくべつ」とか…女の子って恐ろしい。「すげーかわい…」ってなっちゃいますよね。
小学校の頃の僕の心の動きそのままです。
両想い、と思ってすぐに「つきあえ」…やらかしたな、と思ったら、え?
恐ろしい。女の子って恐ろしい。
矢傷って痛いですよね。釣り針みたいにかえしがついてますものね。
こまらせたくない、と思える思いやり…すごい心が豊かな男の子ですね。
そして気持ちを抑えようとしているときに、「はい」…わざとやってるのかと叫びたくなるレベルです。女の子って怖い。
「なかよしの友だちみたいだね」じゃなくて恋人同士みたいだねですって…
つい抱き寄せてしまう…この写真、学校の壁に貼られるのでしょうか。それを考えると大笑いします。教師も卒業アルバム関係者も頭を抱えるでしょうね。
そしてついに「友だちでいるのムリだ」「おまえが好きなんだよ」…許す。そりゃしょうがない、これだけ拷問されたら。
人間はある程度以上の拷問には耐えられないんです。
また力つきる…お気の毒に。
おばあちゃん、すごく強い人ですね…みんなとことん家族に恵まれているのがこの作品のすごいところです。
とことん男の子の気持ちを描く、というのもすごくいいです!
何というかものすごい幸福感。これで次ページから胸糞作品四連発も耐えられます。
出口ゼロ
うまい…マンネリ、繰り返しをぶっ飛ばしてまったく新しいことを…これだけ新しいことを思いつけるって間違いなく天才です。
この作品はもっともっと評価されるべきですよ。
きぐるみ防衛隊
ここまで画面が真っ白で直線ばかり、それがとことん効果的…たいしたもんです。
なんかいろいろとややこしいことになってきましたね。
自分の隠された真実の姿…見たくないものでしょうね、たぶん。
ええ、たぶん誰であれ、昨日のある時刻の自分の動画を見せられたら発狂すると思います。
…離れて大丈夫でしょうか?その状態で襲われたら?
この作品に山や意味やオチを期待するのは間違ってますね。超絶技巧練習曲、ひたすら技巧と音色を楽しみましょう。
伯爵さまは甘い夜がお好き
お金を返しに行くだけで大冒険ですね…
お菓子で人を殺そうとする?…アレルギーじゃ。
爪を使うんじゃなくてちょっととがった石を拾ってくればいいんですが…
結婚のことよりお菓子、まあ彼女らしいですね。
さて、何が真相だったか…というか、口に入れることが許されなければどうしようもないんですが。
…いやー豪快に家の恥をさらしてしまいましたねえ。
先パイ、教えてください
さて、それでどうするか…あくまで誓いを守り通す、と。
今度は華道…また大変そうです。
「いまのままのわたしじゃ見捨てられても」と反省できる強さ…どこで手に入れたんでしょう。
しぶとく食い下がるとか…
そして拉致とか、やりすぎてますよね。よっぽど実力で勝てる自信がないんでしょうか。
あ、110のワンハンドオープンはやり方が違います。ブレードをつまんでグリップを振り、慣性で開けて握り直すのが基本です。バネを弱めるか外すかすれば、スパイダルコのように押し出すことも不可能じゃないですが、この手つきじゃ無理です。
鏡夜先輩の登場はカッコいいですね。
気品ある美と…世界に一つだけ…両方正統な華道からは離れすぎてる気がしますが。
いやー王道、パターンって本当にいいですねえ。
さばげぶっ!
この人なら魔法ぐらい使ってても何も違和感はありませんが?
魔法庁…あ、省じゃなくて。どんな人でしょうねえ、長官は。ファッジさんのように現実を見ないことにするような人じゃないですよね?
うーん、上を見たらパンツが見えそう。というか実際にはホウキに乗るって不可能に近い芸当ですよね。…鉄棒に乗ってみて痛感した人は多くいるはずです。
ややこしい説明話をばっさりとカットしましたね。鮮やかなまでに。
「魔法のない世界にいきてぇ」と言って本当にやるとは…ものすごい魔法使いですね。
引き出し…Dのタイムマシンは大爆笑しました。いろんな意味でぎりぎりじゃなくてセフトでしょこれ。
排ガスや電機による大気汚染は、今の日本ではものすごくましになってます。日本の空での問題は光害ですよ。
戻ろうと思ったら机がない…うあああ。
ええと、魔法側の彼女はどう過ごしたんでしょう。
まあすごくよかったです、しっとりした甘みがあって。
ナンパされたい…なんか力が抜けます。
へんなのが寄ってくる…
「あんたが一番こわいわ」は大笑いしました。
「顔なんか見ちゃいない」…でもまあ、後ろ姿でも人間はかなりの情報はとれます。尻や腰の線で出産能力を、システム1が瞬時に計算してくれます…システム2とは連絡してくれませんが。
プリンセスプリキュア!
ものすごい求婚者たち…なんかばかばかしいコンテストになってしまっていますね。
ちなみに「愛を教えてくれた」って、キリスト教徒に聞いたらえらい答えが帰ってきます。
修行の旅に出る求婚者は立派なものです。…あなた、キントレスキーという御親戚はいらっしゃいませんか?
初恋はじめました。
この扉は素晴らしく面白い!
自分の言葉に動揺する…やっと受け入れるときが来たのでしょうか、自分が少女漫画のヒロインだということを。
やっと終わったと思ったらいきなり堂々と告白…
教室の空気がぴきんと凍りついて、その下で猛烈な熱気が湧き上がってくるのがはっきりわかります。
「あなたが十ページしか読まなかったことだけはよくわかったわ」がまた楽しいです。
うん、二人が教室を出た次の瞬間の教室がどうなったか、目に見えます。
そして学校全体に伝わるまで、スマホの力もあるので十秒かからないでしょう。
答え…すごく正確な箇条書きですね。
ただし、「スクールカーストトップの人間って」という時点で、偏見で人を見ているんです。それに彼が不快な表情をするのも当然ですよ。
それは素直に謝る…ここはすごいですね。
そして全校生徒に宣言…いや、そんなことしなくてもとっくに全校生徒は知ってると思いますよ?
でもまあ…いや、こんな愉快な話もないです。
トイレしか安らげる場がないのはさすがに笑えました。
木の下でやっと安らかに本を読んでいたら、ハルキくん…ここの優しい雰囲気すごいですね。
「あせらなくていいですよ」という思いやりとか…
そして「集中できないとケガをします」、三カ月マネージャーをやって、彼女も成長している…それを描くのがまたすごい。
みんなのほしい答え、みんなというプレイヤーがいることも理解している…
そして全校放送でつきあう…負担って、利益しかないですけどハルキくんには。
この学校、読者みんなすごく転校したいと思います。ホグワーツ魔法学校よりも楽しいでしょう…そういう人には。
黒豹と16歳
クローゼットの中身はどこに行ったのでしょうか?
…この容積で人間暮らせるでしょうか。和室に住んでいた時は時々押し入れで寝るを実行したこともありますが。
何の問題もなさげに風呂に入っている…本当に男のサービスシーンは豊富ですねえ。
黒塗りの車の強烈なリアリティがなんだか違和感があります。家もすごくきれいに描いているのに。
事態はいったいどこに暴走するんでしょう。
そして三人で服を着たまま風呂、パフェ付き…
人間を投げるというのもすごいですね。というか人間って、何メートルからの落下に耐えられるんでしょう。
腕の中とか…これまた面白いことになってきました。
「わたしのペットになるんでしょう」…やっちゃいましたねえ。
ここまでわけのわからない作品は「なかよし」史上でも初めてかもしれませんね。これはこれでいろいろな意味ですごい。
FAIRY TAILブルー・ミストラル
いきなりえらい迫力でえらいことを…
で、なにこの超絶羞恥プレイ。天使さまのお通りとか。笑うしかありませんでした。
殺気の視線、これにぞくっとするのもすごい迫力です。
エメリちゃんの母親がそんな人…
植木鉢が落ちるところの迫力はすごいです。
サラマンダー、ナツたちとも関係している?
…ずいぶんと遅効性の毒ですね。まあ、その間にエメリちゃんをどこかに隠せば、ウェンディは死んでもエメリちゃんは助かるんですが…
ピンポンドライブ!
女の子の格好で練習できるのはリラックスできるでしょうね。
「どうせおれが勝つ」って、新しく天才が出てくる可能性とかは?それに日本でどんなにすごくても、世界にはもっとすごい人が…
そして才能が開花しつつある…すごい迫力とキレです。
弱虫、と自覚しているからこその強さもあるでしょうね。
このおじいさん…まあお約束ですね。
ダブルスで勝ちたいなら、パートナーに勝つつもりで…当然ですよね。
「卓球をやめるために卓球をしているな」という言葉の伝え方もすごいです。
今回の、とことんまで簡素なタッチ…事情は問いません、読者にとっては手にした作品そのものがすべてです。この簡素すぎるほどの表現が何につながるか、楽しみにしています。実るのはずっと先かもしれませんが。
ナイトと王子と秘密のジョーカー
通称ナイト、内藤凛と、通称王子、白雪杏樹…学園で有名なイケメン三年生コンビ。…凛は女子ですけど。
いつも通りにある日助けたのは、霞なずな子ちゃんというすごくかわいい女の子。
そして凛ちゃんはなずな子ちゃんに、恋を手助けしてほしい、とも頼まれた。でもその相手、白雪くんを、凛ちゃんも好きなんですが…
いやー冒頭からのすっきりした力強さと美しさ、すごい魅力ですね。
こんなところを見られた女子はいろいろな意味で終わりでしょう。
…実は女子だった、というのもうまいです。
そしてものすごくかわいい子…
「クラスのリーダーの子と」とか、女の子の群れって恐ろしいことになりますね。
そして見事に三角関係で協力の約束、祈るしかないです。
「だれより女の子らしい」といわれて慌てて股を閉じるとかは苦笑させられますね。
そして腹をくくって…って、なぜ「おこっていーい」と?あんな可愛い子と。
あ、「僕の好きな人はぼくが決める」…まあそりゃそうですよね。
で、これが正体でしたか…
ここまでの邪悪さ、でもまあ相手が悪かったと。
これで全然あきらめていないしぶとさとか、予想を外すラストも面白いです。
ものすごい実力をストレートに出してますね。
これからの作品もすごく楽しみです。
来月号は遠山先生の新連載、さてまた大黒柱になってくれるか…それ以前に面白いかどうか、ですよね。
キミについた嘘
いつも琴音ちゃんに、気軽に呼びかけてくる片岡くん…
一緒に帰ることも多いし、意識してぼーっとして事故に遭いそうになったら助けてくれた。つかまれた腕が熱い。
それで呼び出され、告白かと思って応じたら、琴音ちゃんの友達、優里香ちゃんが好きだからとりもって欲しい、だった。
いい意味で「なかよし」らしくないタッチですね。といっても「なかよし」にはいつも、こういう大人っぽく抽象性の高いタッチの作家が華を添えていました。
キャラの名前をここまで説明朝にするのはむしろ大胆かも。
そしてひたすらセリフを詰め込む、これまた大胆な構成にびっくりしました。
読み返すと、この時点で女の子たちに一礼している…本命には礼儀正しくなってしまう、うまくやっています。そしてこりゃ誤解するよな、とも。
「絶対琴のこと好きだよね」といわれた時の表情もすごい。
あ、「ねー優里香」といわれた時の優里香ちゃんの反応も、さりげない伏線でしたか…お見事。
さりげない放課後下校風景もすごく印象がいいです。
抱きしめられた時の反応も鮮烈で、読み返すとまさかああなるとは、とびっくりしています。
「片岡がふれた所が…」の表情もすごくしっかり気持ちが伝わってきます。
そして告白か、と…ここでの優里香ちゃんの反応も、最初に読んだ時には気づかないほど。見事です。
「好きなヤツとかいる?」とまでやって、それでこれはないだろうと叫びたくもなります。
琴音ちゃんが必死で繕おうとして、笑顔のまま涙を流している…抑えようのない辛さがあふれてくるようです。
そして優里香ちゃんが責められるの、最初に読んだ時にはこのままいじめ話に向かうのではないか、とおびえていました。
無言で優里香ちゃんが去る時の三人の、沈黙の演技がまた絶妙です。
で、こんな形で話を動かすとは。由宇ちゃんというキャラが、読み返すとすごく面白いですね。
とことん恋バナ好きで、琴音ちゃんをばーっと暴走するように応援し、優里香ちゃんを攻めるかと思ったら、がーっと片岡くんを責める…いい意味でも悪い意味でもとことん欲望衝動に忠実なんでしょう。
泣き出す優里香ちゃんに、彼女のことも思いやれる琴音ちゃん…思いやりの強さがすごくよく見えてきます。
恋愛でここまで理性的になれる、ってとんでもないですよね。
「片岡のことべつに好きじゃないし」の表情もすごいですよね。
ここまで軽いコメディのペースで、でも本当の内心を思うとたまらないですよ。
「また明日ね」の笑顔…そして母親の言葉、家族や家そのものに支えられていることも…
この泣き方がすごい…目から上だけを見せているのがとんでもないです。
なんて、なんて強い子でしょう。
ため息しか出ない…ものすごい作品です。
ある意味問題作でもあるでしょう。
…次作以降どうなるか、可能性の幅が極端に大きいです。とんでもない傑作を出してくる可能性がある…