なかよし2018年9月号感想

表紙はとても少女漫画誌らしい、じわっと目を引いてきます。
小さいけれど本格派のイヤリング…ただ、これは対象年齢がかなり高いのでは?幼児には誤飲などの危険があるのでは?

シーク様とハーレムで(美麻りん)かりんちゃんねるはじめてみた!(中江みかよ)キスしたいってねだってみろよ(三月トモコ)HUGっと!プリキュア(上北ふたご/東堂いづみ)ねこ色保健室(松本ひで吉)王子が私をあきらめない!(アサダニッキ)ミラクルニキ(壱コトコ/Nikki. Inc.)黒豹と16歳(鳥海ペドロ)先輩!今から告ります(慎本真)ブラッド・ハントちゅっ(山田デイジー)フェチなあたしを許してください!(菊本さや)ゆずのどうぶつカルテ(伊藤みんご)スイーツの束縛(かえで)予告

シーク様とハーレムで
ウェディングベル、花嫁姿…だが、花嫁は笑顔ではない。知りもしない人と結婚するのだから…
少し金銭的に苦労しているが、普通の女子高生である沙凪ちゃんは恋にも興味がない。学費タダの特待生としてでなければ学校にも行けないほど。
ホテルでのバイトの最中、奇妙な青年に人に見つからないところに連れ出してくれ、といわれる。
そして自殺しようと言い出す彼を止めた翌日、学校の前にすごい高級車、王子様の求婚…

ありがちなストーリーですが、基本をかっちりと押さえているうえに細かい部分がとてもしっかりしています。
最高の素材、最高の技術で作ったチキン南蛮定食、といえばいいのでしょうか。…中東料理の定番定食が思い浮かびませんでした。
冒頭の家族それぞれの表情が実に見事。妹の表情が読み返すとものすごく雄弁です。悲しさ、無力、演技、素直にすごいのを見ている感動…
「恋はお金になりません」というきっぱりした言葉、それでとてもわかりやすく彼女の何かが伝わってきます。
特待生に頼っている、どれほど困っているかもすぐ伝わります。
ボロアパートもとても丁寧で、錆の質感やそう言う地域の雰囲気も余計な描写なしに伝わります。
この年で節約飯を作れる妹…実にしっかりしていますね。
こいいう話だと父親はクズであることが多いのですが、普通に善良な感じもしますね。
顔を隠した青年の雰囲気もさすがです。もう読者には全部みえみえですが、それは面白さを損なってません。
「礼ははずむ」であっさり承知する…
ゴミはうまく力を抜いてくれました。
そして顔を出した時の王子様の、想像以上の美しさに圧倒されます。
自殺、慰謝料として札束、突き返す…母親の保険金のことがあって命と金の関係に怒る、ものすごくしっかり心を組み立てている…だから定番中の定番でも、高い説得力がある。圧倒的な実力。
泣いてくれる女の子…そりゃ惚れますよ。
翌日の見事にパターン通り、パターン通りってすごく安心感がある展開ですよね。
雰囲気はアラブ産油国、でもイスラム教の臭いがないというのも丁寧に作られています。
全部知られている…有能ですねえ。
心臓の音「トゥンク」に護衛たちの視線が矢印で集中しているのが実に芸が細かい。
追加の借金でピンチ、それも父親がクズなのではなく騙された、としているのが、安易な方向に走らなくてひと手間かけているな、と。しっかり根菜が面取りされているような丁寧さ。
ボディーガードたちの迫力、男の顔をしっかり描けるのも強力な武器ですね。
まさに少女漫画のお手本というべき完成度。ここから何をしてくれるか…安心感がものすごいです。
本当になんという圧倒的な実力でしょう。

かりんちゃんねるはじめてみた!
頭から圧倒的な明るさとパワー。
そして真ちゃんの哀れさ…
どんどん条件が厳しくなる、さて今回は…
「一人でなにかするぶんには」十字を切るほかないぐらいのフラグです。
無謀で当たり前…本来ならそのはずですよね。現実にはどんな低金利でも…
「おまえ柿崎が好きなのか」…殺されても文句言えませんねえ…
恋がかなう料理、ってどんなのでしょう。
「恋したことある?」のシーンの色気のすさまじさ!こりゃ心臓はねますよ。
吉田さんを少しずつ人間として肉づけしていくのがまた素晴らしくうまい。
優しい、繊細で臆病すぎるのが激しい怒りとして出てしまう…
そして、クッキーにペンで…オブラートというのはうまい手です。
ものすごく正統派、圧倒的なパワーと熱さ…本当に高い実力と面白さ。すごい作品になりそうです。

キスしたいってねだってみろよ
アイスは落とさなかったようですね。でも投げたようですね。
バイトで相手役って…顔出しはなしでよかったですね。
しかも女の子も一人じゃないようで…
また人気者、楽しくなりそうです。
同じ作者が描いたんだろうか、というぐらい対照的な明るいタッチ、幅が広いですね。
有さんのやさしさもうまく出している、基本に忠実というか。
それで「そんなこといってる場合じゃない」、ここも実にうまい。
嫉妬の表現も実にうまいですね。
三人それぞれしっかり描いて、「皇生くんじゃなくぼくにしてくれませんか」!
これからどうなるか楽しみにさせる、組み立てのうまさは一級品です。

HUGっと!プリキュア
海…大丈夫でしょうか?日焼けも怖いです。
男の背中でここまで表現できる少女漫画作家はそうはいませんね。
すごく準備はしたようですね…
全身防水加工といっても、海水は腐食のデパート。極微量ながら水銀すら含まれています。どんな防錆加工も酸化被膜も最終的には侵していく地獄液。帰ったらしっかり洗浄しましょう。
泳げない…ネズミ、カッコよさとカッコ悪さのバランスがうまい。

ねこ色保健室
指名手配…笑うほかないですねえ。
言い逃れできないぐらい…はは。
ハクビシン…なるほど。関西出身って…

王子が私をあきらめない!
犬が来なかったらどうなっていたやら。しっかり「どれだけ本気か」とダメ押しまで。
みんな知っているのが大笑い。
理性で考えれば全員幸せになれる…
「この柿彦めが」と重さのあるギャグからきれいなドレス、緩急がしっかりしています。
「布も僕が織った」は爆笑しました。
リフトの華やかさも素晴らしい。
嵐、というだけの静かな回。さてどうなる作品なのやら。

ミラクルニキ
すごい設備。今更ですが文明水準がえらく高い。
陛下…はは。
いろいろな国のコーデバトルは実に華やかです。
どう見ても現在、いやSFアニメのレベルになってる国も多いですが。
古代のファッションの根本は、まず馬に乗るかどうかですよね。それから、一枚布か加工するか。
ぶつかったことからトラブル…さてどうなるんでしょう。
というかどちらが悪かったとかは吹っ飛びましたね。
思いがけない感じですが…
気持ちを、心を操る危険な魔術ですね。と思ったら「衣装の魔力」とストレートな言葉。
なぜ渡せるだけの力があるのか…暴力や権力がある?

黒豹と16歳
最終目標が決まっているのがいいですね。戦争で大事なのは目的です。
会議ではわかりやすく冷酷で強い大人を表現しています。
そして、杏璃くんがこれだけ家族に対する感情をあらわにするとは…
丁寧に気持ちを積み上げて、ここで黒鉄サイドに…
作戦の方がなんかいいかげんに進んでいるのが苦笑。
武力行使で、銃ではなく特殊警棒が甘いと思う人もいるでしょうが…特殊警棒は使えれば簡単に人を殺せます。
徹底的にしてやられ、心の中まで暴かれ、さてここから…

先輩!今から告ります
「今日はもうやめた」っておい。
一週間後…いやページめくったら救急車になりそうで。
問題は中身…どれだけ知らせているんでしょう。
「綾以外もれなく…おまえなみに頭おかしいから」は大爆笑。
そしてお互い受け入れすぎ。
で、DVD…ドン引き以上ですがこの家族なら大丈夫ですか。
ホームシアターって…もう笑いが止まりません。
もう、神崎先輩は旅に出てしまってもおかしくないでしょう…
というか演技までさせて、どれだけのマンアワーをつぎ込むのやら。
これで次回に続くのかよ、なんかもうあまりにもとんでもない人々で…

娘のほうが恥ずかしがっているのが苦笑。

ブラット・ハントちゅっ
断言するのを避ける、というのが実に賢明。強く言うのではなく日常の言葉で言っているのも、子供たちの感情には負担が少ないでしょう。
いろいろとややこしいさわぎが起きていますが…
いや通信なら普通に電話でもできるじゃないですか。
また感染源、本当に小さいことから…
「きらわれる覚悟のある人だけが」これが実に重い言葉です。
それをやるかと思ったら、網で実力行使…
でも、よくしたいという気持ちの怖さを語ってくれる、伝えたいメッセージはしっかりわかります。
そしてお互いに誉め言葉を…すごく素敵な気持ちを一杯くれる、心がとても温まります。
さて、信頼関係を深めたコンビ…何が次に待っているのやら。

フェチなあたしを許してください!
大好きな加藤生徒会長に会いたくて生徒会をしている皆本ちゃんは、実は先輩の脱いだ上着などを盗みかぎする悪癖がある。変態という自覚はあるが止められない。
ついでにその会長も、部屋に飛びこんだら血のりをつけて座っていたりと結構お茶目。
そしてもう二度とやらないと決意して、マスクとサングラスで清掃の仕事。そうしたら風邪だと思われてお姫様抱っこされて、つい直接…

なんつー作品だ、と呆れかえるのが正直なところ。
下の名前がとことん出てこないのも記事を書くのに面倒。
いきなり胸が血だらけ…
純粋、という言葉を繰り返すのがまた面白いです。
…読み返すと、知ってて「汚れきってる」って言葉を受け止めているのがわかって苦笑。
変態っぷりが実にすがすがしい。
決意でサングラス…いや、サングラスが許可されているってそうとうゆるい学校ですよね…
お姫様抱っこは不思議なほど柔らかい感じが伝わります。
直接かいでしまうシーンがとてもうまい。
キスの激しさもすごい。結構長い時間してた、というのがよくわかります。
…よかったですね、両想いで…
なんてことをしてくれたんだ、と茫然とするしかない作品です。すごい。

ゆずのどうぶつカルテ
冒頭からは人の心を勝手に解釈するのが危険だ、と強く感じます。
どう思っていても、そのまま受け入れる誰かがいなければ…
まあ、「いいかえせなかった自分がイヤだったの」とまで自分を客観視できれば…
留守番でのトラブル、郁子ちゃんにすがるより「なにかあったら連絡してね」もあったと思いますが。
さらに逆子、深刻ですね。人間はもっと大変ですが。
すさまじい危機感と緊張感、生命そのもの…
より強い力を出すには、弱い握力に依存する綱引きじゃなくもやい結びで腰にかけて全身の力をかけたほうがいいと思います。
起き上がる生命の姿はまた実に素晴らしい。
…結局、誰も郁子ちゃんの気持ちをありのまま受け入れてはいないですね。この仕事は素晴らしい、という信念が強すぎて…
まあ、それにこだわりすぎるのが間違っているのでしょう。圧倒的な熱さとパワーは間違いないのですから。

スイーツの束縛
スイーツを食べている時が幸せ、なのにいきなり店から引きずり出された和葉ちゃん。
彼女の家は菓子店で、その新しく入ったパティシエをめざしている葛原響氏が「オレの女にしてやるよ」と…喫茶店から引きずり出したのも、「オレ以外のヤツがつくったスイーツ食ってんじゃねーよ」というとんでもない理由。
めちゃくちゃだが味はいい。

かなり完成度の高いタッチ。
そして冒頭、最初に華麗なスイーツ、それからあまりにもめちゃくちゃな展開。きっちりと計算し抜かれている、完成度の高さは驚くほど。
帰り道の強引さ、僕は正直かなりの反感を覚えますが、普通の読者はどうなんでしょうね…
指をなめたら徹底消毒してください。というか僕の母はパン屋の店員が髪に触れた手で商品を扱ったのを見た時点で一生その店には行かないと言いました。
菓子家の父親が誕生日パーティー、そりゃもう…といっても親戚?…宣伝と、腕を鍛えなおすのを兼ねてますよねえ。
押しに弱い父親ですね。
必死の姿はしっかり出ています。
ケーキを倒して台無し、これは…言葉が出ません。まあしっかり子供のフォローをするのはいいですね。
毎日徹夜…徹夜するとミスしやすくなる、ケーキでもフルーツカットに包丁、それに高熱になるオーブンや機械も…
むしろゆったりとした終わり方は意表を突かれました。
とにかく実力はすこぶる高い、それがこれからどう変わっていくか楽しみです。

月号は遠山先生、でも読み切り…どうなっていくんでしょうね。てっきりすぐに新連載かと。
まあ、トップレギュラーが出そろった状態で、今は遠山先生の連載準備が事実上すべてなんでしょう。

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