なかよし2019年7月号感想

とても不思議な美しさの表紙。
付録も安定していて華やかです。問題は蝶番の強度ですが。

再デビュー賞は呆れるだけです。
…伝説的な大魚逃しで業界の物笑いであろう「なかよし」が?
三誌で唯一増刊を持たない「なかよし」が?
自分のところでデビューした作家もろくに育てる畑を持たないのに?それはカネを出さない上層部が悪いにしても、読者にとっても新人作家にとっても同じことです。
ブランド力だけで大物が来てくれたらいいですねえ…それにまたホームランを打たせる力が編集部にあれば…

シークレットシンデレラ(ぷりぷりろーず)千紘くんは、あたし中毒(伊藤里)ヴァンパイア男子寮(遠山えま)トゥインクルプリキュア(上北ふたご/東堂いづみ)星くんは恋を忘れてる(甘里シュガー)王子が私をあきらめない!(アサダニッキ)シーク様とハーレムで(美麻りん)かりんちゃんねるはじめてみた!(中江みかよ)大地先輩はズルすぎます!(雨玉さき)ゆずのどうぶつカルテ(伊藤みんご)ねこ色保健室(松本ひで吉)予告

シークレットシンデレラ
街角スカウトを受けた葵あかねちゃん。でも断った、彼氏ができないから。恋を楽しみたいから。
そしてスカウトから逃げてとびおり、受け止めてくれた美形男子…それは俳優で、妹役のオーディションに来い、と。
実はあかねちゃんの母親は人気女優。さらにあかねちゃんは有名俳優との隠し子。

パターン通りの冒頭。どう違うのか楽しみにページをめくり…
恋愛がしたいから、というのはわかりますが、でもツッコミたくなります。それだけ可愛いのに彼氏がいないのはなぜ?と。
なぜ追いかける…ちょっとこれは法律的にアウトじゃ。
まあそんなことを吹き飛ばす、実際にやったら絶対に骨折、いや死んでもおかしくない大高度からのダイブ。
いやーパターン通りっていいですね。
家庭の事情がまた…
というか今日の事態を防ぐように、母親や、この子を秘密にしておきたい立場の人々はガードしていなかったのでしょうか。
というか最初のスカウト番組自体、生放送なんて建前(放送禁止用語やわいせつ物陳列を防ぐため)なのですから、阻止できるでしょうに…
微妙な表情の幅がとても高い水準です。ここからは作家の実力がよく出ていました。
いや表に立てない理由、アイドルをやるのには保護者の同意が必要、でもその同意があり得ない、で済むのでは?
…あと「葵あかね」というのは、木緑姉妹を覚えている僕は大笑いしました。いやそんなシャレはなく偶然かもしれませんが。

千紘くんは、あたし中毒
頼まれた買い物、ケンカに遭遇した未知ちゃんに、ケンカの一方の男は言った。「ずっとさがしてた あんたがおれのミューズだ 脱いで」
その未知ちゃんは学校では、尽くしてくれる男子の気持ちに全然気づいていない。
そして学校で、「脱いで」とかました男子に再会。まあ彼はデザイナー志望で、モデルを求めていたという…

期待を圧倒的に上回るとんでもない作品。
男のケンカ自体がかなり目を引くもので、そこでいきなりの「脱いで」という爆発力の大きな言葉。
絆創膏という縁もお見事。そのおかげで再会でわかりやすくなる…といってもそれ、夜の風呂や朝の洗顔は、とも思いますが。
郷司くんの気の毒さも苦笑させます。これがどんなふうに話に関わるのやら。
予想通りの再会…つい触ってしまうのはびっくり。
「立ち姿芯が通っててまっすぐで」という言葉がすごく説得力があります。
そして採寸…もんのすごいエロ気の奔流に溺れました。陰影、外から漏れる声がまた…
女子のYシャツって犯罪的な色気…そして胸の見事にちょうどいいふくらみ。
ワンテンポ置いて、胸にメジャー…大量の清涼飲料水を一気飲みしたような色気。
罠にはまる、昔のトラウマもある…それがどう話に関わるのかも話をすごく深めますね。
誰かを連れて行く、という選択肢もあると思いますが。
「心ぜんぶ持ってかれてる」という情熱の激しさ…
それに応えるような服の華やかさ。
とんでもない世界…溺れる、というのがどんなことか恐ろしいほどわかります。
信じられない量の色気とパワー。すげえとしか言いようがない作品。

ヴァンパイア男子寮
石畳に押し倒すのは普通に殺人未遂だと思います。ナイフで腹を刺すより。
こいつが外を歩くのは危険すぎると思います。すごく。
人を抱えて塀を跳びあがるってどれだけの運動能力が必要でしょう。人間には絶対無理。
ハーフというのも…といっても今の世の中、人口の三割は確実に、かなり高い確率で八割が不要になりますがね。

トゥインクルプリキュア
漢字がある日本は本当に参入障壁が厳しい。まあ英語も変スペルがあるので似たようなものですが。
もっとも習得が楽な言語は何でしょう。論理的に完璧でも覚えることが死ぬほど多い言語もありますし…
テクノロジーでトレーニングが無意味になる、確かに可能性はありますね。
火を起こす、それで…ここはとても胸を打つ話でした。

星くんは恋を忘れてる
長蛇の列は爆笑。
それからの苦労はかなり頭痛がしますね…
完全に忘れてる、と言われても「会えたことがうれしいの」、ここは突き抜けるような感じです。
食べてもらうを勘違い…はは。
泣いているのを、支えてくれる男がいるので引っこむ…
で、本当に記憶喪失とは。…冷たい対応も仕方ない、と理由をくれるのがまた…
完成度が高い、しっかり基礎が組み立てられている感じがします。

王子が私をあきらめない!
「愚かな勇気には敬意を」ああなんという負けフラグ。
「オレ達には絶対だ」「コーチとしては」と全部札を出す誠意…
そしてこの過去、この説得力ときたら。
今の現実世界も、これほど資金も食料も生産力も余っているのにどれだけの…

シーク様とハーレムで
もうとんでもないカッコよさ。
鷹の描写が見事ですね。家に親が気まぐれに買ってしまった猛禽のはく製があったのでどういうものか知ってます。
…砂漠の騎馬民族らしい短弓なら弓道の経験者チェックはない、というのがうまい発想。
王妃様まで敵に回したとは…そして王の意図は?
「まきこむ覚悟」「結婚してほしい」…このストレートな言葉…
思ったより大変なことですが、この二人ならと確信できます。
こういう正統派ストーリーをしっかりきっちりやってのけるのが実力の高さ…

かりんちゃんねるはじめてみた!
扉絵とその裏の美形が同一人物というのは笑うしかない…
そして喜んでいる、彼の父親も…どんどん盛り上げていきますね。
父親の面影、…ここの表現力は本当に素晴らしい。
みんなと話して材料を調達する行動力…それが父親と同じ。母親の苦労がしのばれます。
真ちゃんの笑顔がすごくうれしいです。それが父親に届いていることも。
ぼん、と無数の…ここにいる一人一人の好きなもの、なんてことを!
そして彼の言葉、これもまた…
罪滅ぼし、という真ちゃんの父親の表情、すっかり憑き物が落ちたようでほっとします。
本当にありったけのパワーを叩きつけてくる傑作。いっぱいのあふれかえる笑顔。お疲れさまでした!こんなの描いたらどれだけ消耗することか。
圧倒的な、桁外れの実力も読者全員胸に刻んでいるでしょう…次も楽しみにしています!

大地先輩はズルすぎます!
体育館に行ったら、バンド…これはすごい。
「忘れられない文化祭」という言葉も…
即抱きつく…とんでもないラブラブの強さ。
そして海里くんの耳に入る、遊び人の噂。面白くなりそうです。
ほしい、が思い切りキス…頭が煮えてきますね。

ゆずのどうぶつカルテ
大変ですねほんと…なんで医療系ってこう忙しいのやら。
入院中預かる、これは高齢化が進む日本ではものすごく他人事ではない人が多いでしょう。
そして思いもかけない真相、これは辛すぎる…
病気…ストレス…
動物にとって、胸が痛みます。
「もうきっと会えることはない」が辛すぎますよ。
犬がいたから人類は栄えた、でも人類は何というむごいことをしてしまったのか…愛情を遺伝子に植え込まれた家畜を作り出してしまうなんて。
…人類ができる償いは?生命を別の星まで広げるという、人類にしかできないこと…

ねこ色保健室
宇宙人がバイト…歓迎会は爆笑。
なんて話をついでにやるんだこの作品は。

月号はとことんさくら…雨宮先生の作品は実に楽しみ。

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