なかよし2020年11月号感想

今月号の表紙は三誌ともおとなしめ。顔をあえて小さくしたさくらの品の良さ。
レターセットも品があってよいものです。

カードキャプターさくら(CLAMP)新婚だけど片想い(雪森さくら)ヴァンパイア男子寮(遠山えま)シーク様とハーレムで(美麻りん)魔女怪盗LIP☆S(壱コトコ/鏡はな)東京ミュウミュウオーレ!(青月まどか)蝶か犯か(鳥海ペドロ)パンケーキメルト(春兎ちろ)シークレットシンデレラ(ぷりぷりろーず)王子が私をあきらめない!(アサダニッキ)ヒーリングっとプリキュア(上北ふたご/東堂いづみ)もしもし、キミに恋をしています。(梅缶もも)予告

カードキャプターさくら
小狼くんのところがすっかりにぎやかに…
小さい子供たち、目の前で見てる、身長を超えるジャンプを連発して木を駆け上る中学生女子は絶対人間の限界を超えてるんですよ…
算数と数学は質が違いますからね。というか算数という科目にこだわるのやめて最初からちゃんとやってほしい。
残された時間、また厄介な爆弾が。

新婚だけど片想い
目を合わせないって人間は普通目を合わせるのは嫌うでしょう。
漏らしてしまった「2人っきりですごしたい」、どう応えてくれるのやら。
いや、「寝る前に二時間ほど指導碁してください」といえば間違いなく釣れると思いますけど。どれほど疲れていようと。
このカラオケでのパーティという楽しみも、コロナで崩壊したんですね。これほど大量の飲食物を短時間で提供できる膨大な設備投資も。
いちいち段位を言う打ち上げってなんかいや…
と思ったら来てくれた、というかどうやって場所を突き止めたのやら。
くじを奪って唇にもろ…ここは溶けました。
これで次号休みって鬼ですね。

ヴァンパイア男子寮
実は女とかはどうでもいいんでしょうかね…
声が出ない、ここは基本通りしっかりやるのがどれほど大切かよくわかります。ベテラン作家の実力を堪能した、と。
そして甘々、これからどうなるのやら…と思ったらまた一波乱ありそうで。
なんか権力構造がぶっ壊れてますね。単純に、順番ができていないだけでしょう。
たとえば軍人や宝塚の生徒は、任意の人数を抜き出して「並べ」といえば、文句も対立もなく、一意的に(答えが一つしかない問題だ、ということ)並べることができます。

シーク様とハーレムで
読者は苦笑するしかないです、これは。
「いやだ」と、感情だけ素直に出す言葉。いいですねえ。
でも行動する。…そういう子だといい加減読め…
強引にラブシーンに持って行くのは苦笑します。いや…少しぐらい信じてあげなよ…
ナイフのデザインが完璧。少女漫画ではたいてい非現実的になるものですが、本当に一流メーカーのフラグシップモデルで違和感がないです。細部まで理解しているのがはっきりわかります。ここでよくあるミスをしたら台無しになる、というポイントを全部クリアしています。
彼女をかばって意外な人が…死ぬでしょうか?
誰の命令で?
さてどこに話が動くのか…

魔女怪盗LIP☆S
さすがにここまでの事態だと国が動きそうですね。
力がない、でもみんなを守る…と思ったら「自己犠牲など意味がない」、これは効きますね。
やっぱりお約束はいいものです。
自尊…権威主義、階層構造が徹底的に否定すること。自分には価値がない、絶対服従せよというメッセージ…どちらを選ぶか、それが人間の一番の選択なんですよね。一方を選ぶ代償が、自分だけでなく家族まで地獄に落とすこともあるとしても。
それが咲いた時の美しさはすさまじいものがあります。
まあ男の修行は容赦する必要なし。…むしろ柔道着を着せなかっただけ良心的ですね。

東京ミュウミュウオーレ!
生きているだけでも抵抗、というのはうまい切り口かもしれません。
激しく自分を否定する言葉をぶちまけている、もうこの時点でほぼ落ちてますね。
かなりあっさりしてはいますがしっかり味わえる仲間集合。しびれます。
冬毛…なんという魅惑的な言葉か。
…こういうかわいがりってひとつ間違えるといじめ…

蝶か犯か
リベンジ…うん、まず情報収集、次は重武装…
まあ情報を集めること、不都合な真実も直視することは大事ですよね。
大型客船の歴史はそれ自体面白いんですよね。…今コロナでいくつも廃船になるそうですがもったいない、係留するだけで都市になるのに…逆に利権層から見ればやられたらたまったもんじゃないと。

パンケーキメルト
文化祭はパンケーキ喫茶、ただクラスのみんなは無関心。というわけで実行委員会のふたりが頑張らないと。
ただし、みのりちゃんは好きな藤咲くんと一緒でうれしい。
買い物で藤咲くんに会い、家で手本として作る練習をして見る、という彼を、特訓で誘ってしまった。

柔らかく温かいタッチ。無駄な力を使っていないという感じがあります。
何とも言えない甘さが全体に広がっています。
恐ろしいほど波がない、トラブル皆無の甘いだけ話。これでそれだけ読ませるのは並みの実力じゃない。
とにかくどこもかしこも実力が非常に高い。
シャツも女の髪も全弾手抜きなしなのもすごいところです。
ゆっくりと、どんな話なのかと思わせる…会話などが自然で、本当に普通の学校生活の感じで…
ため息が出るほど雰囲気がどこもいいです。
当日も自然に、本当にいろいろな角度から描いている…
男の側から読み返しても、何気なく気持ちが育っているのが伝わってきます。
告白もごく自然で…
ここまでストーリーらしいストーリーがない話を描くのは本当に大胆。それをやりきれる実力はすさまじいほど。
まさにホットケーキのような深い満腹感。
次回作が楽しみで仕方ないです。…この雑誌では期待できないにせよ、どこであっても。

シークレットシンデレラ
あまりにも重すぎる…普通の生活に戻れない、地獄ですね。
で、血のつながり自体が勘違いって…なんか全部吹っ飛ばしましたね。というか片膝じゃ足りん土下座しろ。
ここでみんなのコール、これこそタイトルロール。
とべって死にますからそれ。
ここでシークレットライブになる…誰かがあちこちに頭を下げることになるんですがね。
歌い踊ることは、兵器。魔法。宗教・政治・戦争の一部。だから法律で厳しく規制される…
なんというか最後のどんでん返しに何も言えません。
やってくれたとしか言いようがない作品…この作品の、客観的な評価ってどうなんでしょうね。
実力はあったと思います。お疲れさまでした。

王子が私をあきらめない!
「元愛人のところに正妻」…なんて正確な。
「私は今お友達ゼロよ」が爆笑しました。…何があったか調べて、と頼めばいいのに。
会いに行ってしまい…決して言えない、どれほど強大な力なのか…
学園を去る、それも…やせ衰えて死ななければいいですね、とシティーハンターのとある話を思い出します。
絶対に、どんな手を使っても逆転の可能性を見いだせないほど強大な力。…本当に直接の明確な勅命としか…

ヒーリングっとプリキュア
夢が実は攻撃だった…?
やりたいという欲もそれはそれで大変です。

もしもし、キミに恋をしています。
隣同士で窓も向かい、糸電話で話す仲の陽(はる)くんとあかりちゃん。
ある日、陽くんが告白された、という…実は彼はかなりモテる。
そのストレスもあり、バスケの試合中にあかりちゃんは倒れて陽くんに運ばれた。

これまた温かく口当たりのいい作品。
扉絵からめちゃくちゃいいな、という感じで…
奇妙な違和感はありますが、手も服もすごくうまくて質感がいい。
糸電話というテーマアイテムも実に面白いです。…糸電話の有効距離は、とも思ってしまいますが。
読み返すと、最初から彼は糸電話より距離を詰めたいと思っている…
布団や縫いぐるみの柔らかそうな質感もとてもいい、それらが作品の雰囲気づくりをじゃましていません。
「糸電話なし」というごく小さなすれ違い、強い感情表現がまたうまい。
男の気持ちも丁寧に描かれているのがまた読み返しに耐えます。
メモのやさしさ…
糸電話のよさは、ひとつしかないから、聞きながら話すことができない…話すこと、聞くことそれぞれに集中しなければならない、だから話を聞いていない、ということがない、ちゃんと丁寧にキャッチボールできる…小さいことをすごく丁寧に扱っています。
告白シーンも迫力があります。
キスの前に鼻を触れ合わせるのも素晴らしい。
とにかく圧倒的な質の高さ。…これだけの素材が、今の育てる姿勢がない「なかよし」なのはもったいないほどです。どこかに移るなら早めに、としか言いようがないですよ。

藤みんご先生の新作だけでもうれしいですが、法律というのもすごく面白いテーマです。
それと他誌で活躍してきた作家…まあ作品に罪はないので楽しむつもりですが、それでもこれほど実力のある作家がデビューしたのに育てる気皆無だとはよーくわかります。

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