なかよし2020年12月号感想
今月号の表紙は三誌ともかなり大人っぽい。
付録もかなり大人っぽい上品なものです。
どうせ、恋してしまうんだ。(満井春香)ヴァンパイア男子寮(遠山えま)カードキャプターさくら(CLAMP)千紘くんは、あたし中毒。(伊藤里)東京ミュウミュウオーレ!(青月まどか)開廷!こども裁判(伊藤みんご/山崎聡一郎/飯田亮真)シーク様とハーレムで(美麻りん)ヒーリングっどvプリキュア(上北ふたご/東堂いづみ)JSのトリセツ(雨玉さき)魔女怪盗LIP☆S(壱コトコ/鏡はな)ぼくらのスタア☆ガール(那波マオ)王子が私をあきらめない!(アサダニッキ)蝶か犯か(鳥海ペドロ)予告
どうせ、恋してしまうんだ。
7/1/2030、最悪な誕生日、連載打ち切りの知らせ…そんな彼女はふと、十年前の自分を思い出す。
四人の男の幼なじみとともに漫画家を目指していた。同時にあこがれの先輩に恋もしていた。
疫病によるインターハイの中止にショックを受けている先輩に、告白もしたけれど…
「なかよし」とはかなり異質な大人の空気。
最悪の誕生日、そりゃ漫画家にとってこれはきつい…そしてまぶしい青春、と引き込む、上手すぎます。
いきなり男の裸と絡みあう女の足、そりゃ想像することは一つですが…こりゃ父親には、といってもやってないことは見ればわかります。
男の幼なじみが四人という逆ハーレムぶり、それぞれどんな子なのやら。
プールのシーンでは何度も男の裸を使うなあ、というのが正直なところ。
で、目当ての斎藤先輩は…インターハイがなくなるとか、コロナがちゃんと三誌の中に入ってくるのは珍しい。「ちゃお」のやぶうち優作品に少しありましたが…これから多くなってくるのでしょうか。
ついてない…確かに。「好きでした」と気持ちを…若いなあ、としか言いようがないですが正解はない…
告白から、「自分のために泳いでください」と気持ちを盛り上げる、ここは音楽的なほど、体全部を使って情熱をぶつけているのがわかります。とてつもなく高い実力。
「水帆は女です」がまたカッコよすぎ。
そしてサプライズパーティーからのキス…
めちゃくちゃなまでの実力。衝撃的なほど。
ヴァンパイア男子寮
由緒正しい朝チュンですね。
結婚するまで…無理しちゃって。
油断するな、どれだけ敵や陰謀が多いのやら。
とんでもない等身の転校生、これは強そう。
服まで変身するのも苦笑します。
「勉強教えましょうか」といいながらしっかりアゴに触れている…彼女が無防備すぎるんですよね。
いきなり催眠術から、両親の死…相当重いことがありそうですね。意外と言えば意外。
カードキャプターさくら
救えるなら与えてもいい…さくらちゃんにとって、魔法はどの程度大切なのでしょう。
雰囲気の違いがうまい。
ミシンの事故は危険ですのでしっかり寝ましょう…
何が起きたのか、一話一話が短いと…
千紘くんは、あたし中毒。
足りないもの…モデルとしての正規の訓練特に基礎体力、語学力や教養でしょうねえ…
化粧一つでずいぶん雰囲気が違いますね。
そして思いがけずすれ違ってしまう…
あ、腹筋とかもやっていたんですね。
スマホの充電は切実ですね。
そしてここで声をかけてきた…さてどうなるのやら。楽しみな回です。
東京ミュウミュウオーレ!
リーダーをあみだくじって…
で、向こうからご招待にのこのこ出向くと。
そうなると素晴らしい服…でも女の子はオードブル、メインは…うわあ二ページ見開きがそれだけ。なぜか大笑い。
さらに五人ともが誉め言葉の嵐…うわお。
「口は出しても責任はとりたくないんだ」がまた大爆笑。
で、今度はあんずちゃんから誉め言葉のゲリラ豪雨。そして猫にマタタビ、まさかキスしてしまうとは。
おーいラテさーん早く来てくださーい。
今回もまた面白い面白い。
連載が続いてるわけです。単に面白いから。
開廷!こども裁判
小学校の全校集会で、「この春わが校が「こども裁判制度」のモデル校に選ばれました」と校長先生。
小学生も利用できるバーチャル裁判。六法の法律を適用し、本物の裁判を模して解決する。
教室に、スクールロイヤー、弁護士もやってきた。そしてもう一人の相談員、小学校高学年の藤間くんもやってきた。法律を完全にマスターした天才児とのこと。
それがどう関係するのかもわからないまま、未織ちゃんの小学生生活は続く…ドジをして西宮さんに「死んでほしい」と毎日のように言われることも。
でもある日、それを見た藤間くんが、こども裁判を開廷しようと言った…
これは面白そう。というか少女漫画の世界は守護不入、法律は入らないと思ってましたがね。
というか、中学を卒業するまでの義務教育で、僕はわずかな国制度=憲法の一部以外の法律は学んでいません。この社会で生きるのに必要な法律のほとんどを。
スクールロイヤー、それも結構大きな変革かもしれませんが、どの程度学校の根幹を変えられるか…
鳥と思ったら普通の男の子、面白い構成ですがなかなか話が始まらない…
転ぶのは仕方ない、といっても実はラジオ体操を毎日やるぐらいでもかなり改善できるんですがね。本質的には筋力の問題でもあるので。
日記にどの程度の証拠能力があるか…第三者の日記でも…
これで裁判を起こそう、と。実際にはかなり困難な決断です。これがいじめなのか、いじめはこども裁判の管轄なのか、という問題になってきます…まあ、いじめはどこの管轄でもない、として対処しないことで、「(教師という)少ない人数で(生徒という)多人数を支配する」のを容易にしているだけですけど。
設備をバーチャルに用意する…裁判の設備というのもかなり重要な要素です。
自分の最寄りの裁判所を見てみてください。やたらと立派な建物でしょう?
イギリス帝国は世界のどこも、領土にしたところには裁判所を作ったそうです。それは昔の帝国が古い神殿を破壊し新しい神殿を作るのと同じく、権威を見せつけるための巨大建物でもある、と。イギリス法という神をまつる神殿でもある、ということです。
警察や裁判、刑務所…支配は常に魔術・宗教でもあります。服を変えるのも、魔術というか「俺は偉い従え」というメッセージをぶつけています。
刑法に侮辱、傷害がある…中学生でもどれだけが知っているでしょうか?授業で習うでしょうか?テレビドラマで知るでしょうか、でも六法全書は読むでしょうか?
子供から法律を遠ざける。学校を、法律・警察が入れない場所にする…アジール。神殿に逃げ込んだ犯罪者に、官憲は手を出せなかった。寺などの守護不入もそう。
学校は独自の、宗教団体・独立国に等しい神聖な存在。だからそこには、世俗の法律は入れない。
ひどい部活や企業、暴走族なども、「シャバの法律や道徳はこの門の中には入れねえ、ここからは俺が/伝統が法だ」とするのもよくある。そしてその中での、殴ったりひどい命令をしたり、どんなひどいことも警察に言ったら、密告という最大の罪。
学校内、たとえば部活内で先輩が後輩を殴り殺しても、事故として穏便に済ませる。家族が警察に告発したりしたら、その家族を地域全体で村八分。それが人間の極めて一般的な姿です。
江戸時代の剣術道場では、師匠や先輩が弟子に切腹を命じても当たり前。それは当然、つい最近までの学校の部活や、極めて厳しい企業・公務員でも同じ。相撲部屋や機動隊で死亡事件が近年ありますが、昔は事件にならなかっただけ、と。
だからこそ、学校に弁護士を入れるというスクールロイヤーはとんでもない話ですし、この作品も大胆なんです。
「いまのはたんなるケンカで」という言葉がどういう意味か?
『子供集団は法律の外にある独立国だ、法律・官憲は入ってくるな。密告という究極の罪を犯すつもりはない、子供集団の、沈黙の掟(部族やマフィア内でかばい合い、誰の命令で殺人をしたかなどを警察に吐かない)を国の法律より優先する。たとえ子供集団内部の裁きで死刑になっても、子供集団に対する忠誠は変わらない』というメッセージです。
そうとは未織ちゃん本人も思っていません。しかしそういうことであり、『国ではなく子供集団に忠実である』ように厳しく洗脳されているんです。
またこの告発は、この事態では絶対正義でしょう。しかし、法律は凶器にもなることはお忘れなく…警官が取り囲み、邪魔だと押しのけようとした瞬間に公務執行妨害・障害未遂で逮捕する「転び公妨」のように。
このこども裁判には批判も多いはずです。
子供同士穏便に仲直りすべきであり、こんなことをしたら決定的な敵対関係になる、と。
ですが実際には穏便な仲直りを演じて、「密告禁止を破ったな」と責める…子供のいじめ集団は、半ば本能で掟のある呪術的な群れをつくります。その最大の罪は密告であり、破った者は死刑でも飽き足らない。
それで常にいじめはエスカレートする…
こうして謝っていても、サイコパスだったら演技だけ、密告に対する憎悪をあおって孤立させるでしょう。
「法律はおれたちの味方になってくれる」…でも凶器にもなります。特に国が、民主主義によるコントロールを失ったときには。また子供でも常に買い物のたびに払う消費税も、法律です。
本当に、学校に法律が入るなら…少なくとも恐喝、写真のネット拡散・売春強要を含む性的搾取、傷害を警察が抑止できたら、いじめられる子供にどれほど救いになるか。でも…馬と狼の寓話、馬と人が協力して狼を倒し、もう降りろと馬が言ったら人はバカめと拍車を入れた…
学校がアジール、法の外であることも必要ではないか、本当は必要な臓器を切除する愚ではないかという保守的な疑いも。
とんでもない作品。そして…ろくな報道もなく、スクールロイヤーというとんでもない変化が起きていたとは…
シーク様とハーレムで
いろいろと謎が出てきましたね。
というかハレムの人は信じられるでしょうか?誰が信じられるでしょう?
歩き去る時の殺気に満ちた表情はお見事。
あの能力を尋問に使われたらたまったものじゃないですね。もっとえぐい使い方はいくらでも…
それでアイラに頼むとは…危なっかしいにもほどがある。
…こういう行動をするときには、次の行動で殺されても、それまで知ったことが全部上に伝わるように手配するのを徹底すべきだと思います。結構知ったままそれを伝えず捕まるヒロインがいかに多いことか。
そしてアディール…見事な登場です。
あと二回、特に母親の死の真相…楽しみなものです。
ヒーリングっどvプリキュア
ずっとタイトル間違えてました…すみません。
いろいろと楽しそうです。
反科学の風潮が強い今、このメッセージはとてもうれしいです。
JSのトリセツ
今度は水着…ムダ毛、これまた切実な話で。
濃くなる、ということについての修正もありがたい。
みんなそれぞれ体に悩みがある…ファインマンのエッセイにありましたが、絵を描いていた時に元プレイメイトのモデルが、超絶美女にしか出ない身体のくぼみを欠点だと気に病んでいた、と。
それが仲間外れ感になってしまう、女の子って本当に難しい。
じっくりと時間をかけるのも丁寧。
「有村たちも忘れ物あるんじゃねーの」はやってくれました。
「心がすり減りそう」というのもものすごくリアル。
さらに「友だちとちゃんと仲直りできるまっすぐな子」…やってくれます。
たまらない。本当によくもまあこのクオリティを維持しているものです。
魔女怪盗LIP☆S
耳そんな穴だらけにして免疫大丈夫…?
今度はそれぞれに恋の話、余裕ありますね。
「だれが?」これは重い一言。そう、誰が許さないのか?
たとえば法律でも、それがそのまま善悪なのか?ならなぜ、法改正というものがある?また、法律を決める国は、神なのか?という問題が出てきます。
さてここで襲われて…吊り橋効果、あと男魔女(ウォーロック)も増えそうですね。
ぼくらのスタア☆ガール
「結局どーしたいの」…車の故障と同じ、聞いてほしい、では?
「かわいそうなことするな」…笑うしかない。
この戦法、確かに責任は持つべきではないですね。
と思ったらまさかの成功。
…で、こういう母親ねえ…すぐ保護者に連絡しましょう。というか結構ヤバい…
察しがいい、そして踏み込んでくれる…踏み込む勇気もある…
そして抱きしめる腕…気の毒ながら、彼でなければこうして受け止めることはできないでしょう。嘉次郎くんではどれほど思いが強くても無理…
王子が私をあきらめない!
誰が拾ったのか…
「いったろゆっくりでいいって」、このシーンはつくづくいい男。
探ろうとしてもまったく相手にならない、敵の強大さ…
どれほどの存在なんでしょうね。
蝶か犯か
楽しいのは二人だけ…お気の毒に、と思ったらみんなとんでもない楽しみ方を。そしてしっかり報復を…
ナンパ男には口説く手本、うんやめよう考えるな感じるんだ。
で、あれを落とすと…いつみうみちゃんも極道になったんでしょう。
来月号はシャーマンキング?確かジャンプでしたよね?で、描く漫画家は?
…ざけんな、というのが正直なところ。増刊ないんだから枠一つでも今度デビューした新人に使うべきなのに。