なかよし2021年5月号感想

第一印象は「薄い」。
表紙は、相変わらずずるいとしか言いようがないぐらいの威力。
付録はとにかく豪華ですが、なぜジャンプ作品が…と違和感があるのはどうしようもないです。

カードキャプターさくら(CLAMP)新婚だけど片想い(雪森さくら)シャーマンキングアンドアガーデン(鵺澤京/武井宏之/ジェット草村)蝶か犯か(鳥海ペドロ)アンライバルドNAOMI天下一(上北ふたご)ヴァンパイア男子寮(遠山えま)東京ミュウミュウオーレ!(青月まどか)どうせ、恋してしまうんだ。(満井春香)開廷!こども裁判(伊藤みんご/山崎聡一郎/飯田亮真)恋のイチゲキ(花園豪華)王子が私をあきらめない!(アサダニッキ)魔女怪盗LIP☆S(壱コトコ/鏡はな)予告

カードキャプターさくら
いろいろ抑えた笑顔、実に高い表現力。
自分の心の動き…逆に、権力はそれには価値はない無視しろ、というメッセージをまず…
そう考えると、魔法が実際に発動しなかったのは人類にとってむしろ幸運でした。ファンタジーで語られる魔法と、人間の権力構造の歴史を現実的に合わせたら地獄を通り越したことになります。
逆にこちらも、相手の不調に気づけるだけの思いはある…
やはり『鏡』がメインヒロインw

新婚だけど片想い
両想いと思ったら…相変わらず。
デートプラン、そりゃ考えますよね。…囲碁に関係するものなら?ハマグリ(碁石の材料)とか木材(碁盤の材料)とか日本刀とかでも関係しますよ?(碁盤の正確な直線を引くのに、刀の刃に塗料をつけるというのがあるそうです)
スーパーが思い出の場所というのも面白いです。しっかりした子ですね、しつけとしても水準が高いようで。
そしてはっきり「ほかの人とは結婚できない」宣言、やってくれました。溶けました。
これからはどんどん極甘でも僕はいいですよ。

シャーマンキングアンドアガーデン
自首と言っても霊による犯罪は裁きようがないですね。
さらに上の存在、という主張がうまい。工夫されぬいた構図です。
支えてくれた三人の霊…さてそれで、殺すか殺さないか…
ハエもまとめて殺したのか、それとも人は殺さず動産だけを灰にしたのか…といっても貴族財産は実際には不動産権利などが大半で、相続権さえ確定すればすべてが灰でもどうにでもなりますが。紙幣や宝石の多くは火に弱いですが、ゴールドそのものは溶けるだけですし。
それから第二部?かなり規模が大きい作品ですね。

蝶か犯か
割とあっさりとノーサイド?
「報連相の基本は先のばしにするな」…多くの人に激痛が走る言葉ですね。といっても、だからって飲食店で客がいるのに怒鳴るのはとっても不快です。
さらに頭まで下げて…

アンライバルドNAOMI天下一
今の敵を見るべきか、それとも遠い目標を見るべきか…
闇は晴れた、というのもうまく描かています。
子供の喜ぶ顔があるなら…というのもよく伝わってきます。
パーティーで上流に入ってしまう…大金も入ったでしょうし、どうしてもそういう面でも変わっていくでしょう。
スポーツのスターが身を持ち崩す話はあまりにも多すぎ、そして悲惨すぎるものがあります。
弱いところを攻めてきましたか…これは手ごわい。ちゃんと試合ができるかどうか…

ヴァンパイア男子寮
助けにいく、というのは完全に罠で…味方はいないんでしょうか。
…というか逆ハーレムのメンバーをそのまま…
こんな指輪が入った箱が落ちてるってどんな世界でしょう。
女の子に変身ってそれはそれで…大サービスですねえ。

東京ミュウミュウオーレ!
目覚まし時計を壊すのなら数歩歩かないと届かないところに置けばいいのに。
美形が集まってしまいました…
思いがけない女の子の登場、どう動くのやら。
「どんだけ男はべらせて」…これだけじゃないんですよね。そっち側も見たら火を吐きそう。
この顔の角度は素晴らしい。
「いまから」のカッコよさは素晴らしい。
本気の告白も素晴らしいです。こういう総合力の高さがあるから人気あるんですよね、この作品。

どうせ、恋してしまうんだ。
海辺での激しい抱擁、これはたまらないシーン。映画としても決まるシーンです。
誰にドキドキしているのやら…もどかしくなります。
しっかり女らしくした彼女の魅力がまたたまりません。
「自分の気持ちがわからない」「ちょっと怖いから」ここもうまい。
思いがけず自分の気持ちを見てしまった…ここもショッキングなシーンです。
どこかに行くのでしょうか?それとも…
息をのむような緊迫感と色気。

開廷!こども裁判
子供の犯罪…これまた厄介なテーマです。
子供が少年法を中途半端に理解している…ただし親に賠償責任がかかることもありますし…怖いです。
逆にそれで、感情的な層は子供を厳罰にすべき怪物だと思っていることも。
本来の少年法の意味も知るべきです。戦後、ものすごい貧困と多数の孤児、盗まなければ餓死する子供も多くいたし、国も大人も面倒を見切れなかった。だからといってただ大人と同じ刑罰ということもできず、それで少年法が…
こども法廷で出てきた「虞犯(ぐはん)」の概念。本来は大人では許されない考え方です、犯罪を犯しそうだから取り締まる、というのは。
それは日本も、他の世界各国も昔、特に第二次世界大戦の時期には、政府に反対するだけでも逮捕され拷問されたり死刑にされたりした歴史があるから。でも、子供についてはその特殊な保護は認められない…
以前も出たと思いますが、子供は「強く保護されている」と同時に、「法的に平等ではない・保護されていない」のです。昔の「原住民」の扱いにも似ています。ある意味動物扱いとすら言える。
少年審判、確かにそれは甘く扱っているように見えますが、「公平な裁判を受ける権利」という近代国家共通の、人間としての権利を認められていないということでもあります。
確か間違いで少年院に送られて、「(刑務所と違って特殊な学校だから)不利益ではないので国家賠償はなし」となったことがあったことがあると思います。
それで反省させるのは甘すぎますが…子供でもサイコパスはいますから。
チャンスを与える、というのも少年法の根本精神。逆を言うと大人の刑法は、チャンスを与えない…その究極が死刑。
本当にとんでもない作品です。これがどれほど、子供たちを変えていくか。そしてどれほど危険か…日本人で、法と道徳の区別がつく人がどれだけいるのか。

恋のイチゲキ
空手道場に通う椿生(つばき)くんと舞彩(まいさ)ちゃんは、稽古が終わってからも秘密の稽古をしている。
昔は弱かった、家庭内暴力で傷ついていた時に彼が道場に誘ってくれて、それ以来「戦友」の仲。
最近、彼にアプローチしてくる可愛い女の子もいて…
単に舞彩ちゃんが、むかし「つきあってくれ」を練習相手と勘違いして以来こじれているだけだが。

とにかく熱量がものすごい。どこもかしこも、触っただけで炭化して蒸発しそうなぐらい熱すぎる液が詰まってる。肉汁で口を火傷する小籠包。
秘密の稽古、それ自体あらぬことを考えそうな言葉です。というか別の、怪我する危険もあるのでは…
小さいころの、虐待シーンの残酷さが脂分が多い分強烈で。
ただしちょっとわかりにくいかも。「両親が離婚し」たのになぜこんなことに、母の新しい恋人が?だとしたらどう解決したのか、と。思い出しているだけ、と。
痴漢も読み返すといい伏線です。
「好きな人いる?」というのが、読み返すと彼が気の毒です。
抱き寄せたシーンの激しさ、さらに後ろから抱くのがまたものすごい情熱。
街並みの、ブロック塀などの古い雰囲気もいいムードです。
「おれは舞彩がいれば」がとことん本気だということ…
空手の型がじつにきれいで、しっかり描かれています。
ここで彼の立場に切り替わるのも面白いです。昔は…まあお気の毒で。
稽古している彼の姿に顔が熱くなる舞彩ちゃん、これがまた素晴らしい。
戦友をやめる…見事にパターン通り。強烈な熱さが、少しだけ静かな見開きで溜めになっているのが面白いところです。
パターン通りに痴漢…空手有段者の女性が殺害された事件もあります。経験者でも、犯罪者の迫力に抵抗できない場合もあるようで…どうすればそれを克服できるのかは知られていません。
一応外してはいますが、強烈というかばれたら椿生くんのほうが失うものは多いでしょうね。
すさまじい、少女漫画離れしたと言っていいほどの迫力の濃度。
ものすごい熱さで口をやけどしっぱなしです。
もう本誌連載してくれとしか言いようがないです。

王子が私をあきらめない!
桜の花びら以上のバラの花びら…
忙しそう、それも身分が高いから…
今度は家庭の事情で小梅ちゃんが忙しく。…ちょっと心配です。
日本人の給与が伸びてないのはあんたらの親や祖父たちの政策のせいじゃないんですかねえ?
責任、しっかり自覚したのがうまく伝わります。
あーんの甘さときたら…
そして婚約、うれしいのか我慢してるのかどっちなんでしょうねえ。

魔女怪盗LIP☆S
欲望のままに、って人には欲望もあることは事実なんですけどね。それを否定するのはかえって傷つけるでしょう。
断りながら、称賛し続ける…残酷ですね。
結構あっさりした反転ですが、とにかく華やかです。
額にキスして「ぼくを選ばなかったこと」はカッコよすぎ。
やっと再会、この激しさ…そしてどこに続くのやら。

月号はやっと新人賞受賞者…状態がひどすぎて息も出ないほど。

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