なかよし2023年2月号感想

むしろ新連載を表紙にした方がいいと思いますが…やはりさくらには勝てない。
今年最終巻という予告ニュースを見ましたが、それからどうするんでしょう本当に。

付録は手堅くまとめたという感じです。

最近の新人は当たりが多い。もっと本誌でも紹介してほしいですよ。

俺ともう一度、初恋(長谷垣なるみ)千紘くんは、あたし中毒。(伊藤里)カードキャプターさくら(CLAMP)どうせ、恋してしまうんだ(満井春香)デリシャスパーティvプリキュア(上北ふたご)魔王メイドは女王の秘密を知っている(遠山えま)ひとりじめしたい恋なんだ(夏園豪華)偽り姫の内緒ごと(桜倉メグ/雨川透子)新婚だけど片想い(雪森さくら)ギフテッド(雨宮理真/天樹征丸)香るわたしにキスをして。(壱コトコ)キス夢みる恋はじまる(松本彩)次号予告

俺ともう一度、初恋
横断歩道で倒れている少女…目が覚めた時に手を握っている男。
なにも思い出せない…手を握っていた、浅海一星という男は「君の婚約者だよ」と。
さらに何人も若い男が病室に…彼氏とか、許嫁とか、いろいろ名乗ってくる…
彼女は大富豪の一人娘で文武両道才色兼備だとも教えられる。
そして最初の男は、誰も知らない。ただの不審者、詐欺師…?

衝撃的な冒頭。トラックの前のほう、事故?
目覚めるシーンの構図もすごいとしか言いようがないです。
涙を流す男の圧倒的な心情…
それがなんでこうなるという、ケーキ、いやホイップクリームを口金袋から口に流し込むがごとき所業。
「つまり不審者です」が爆笑。
贅沢な生活。
そして過去をつかもうと行ったところでも…監視されてますね。
男の掛け合いも面白い。
父親も本当に父親なのか…
いやキャッシュカードがあっても暗証番号…クレジットカードなら、カードだけでもネット買い物とか一部の買い物はできますけどね…それに預金は一千万以上は普通はない(上限以上でも保障される預金もありますがデメリットも)し、おろすのに制限がある口座も…
「俺にだまされて金を横取りされた」がお見事。というかこの事件、関わる人数と計画が周到すぎるでしょう…
「俺の家だぞ」ってすっかり仲良くなってしまっていますね。
なんというか、すごい作品を作り上げただけのことはある…圧倒的な実力。
…なんでこれだけの実力の持ち主をずっと本誌から離してたんだ…

千紘くんは、あたし中毒。
男の正式な服って未来永劫変わらないんでしょうか。ナポレオン戦争時代の米粉・鬘とストッキングから背広の変化はこれほど大きいのに。
激しいラブシーンをじっくり描くのはいい。
言葉を利用した緩急が実にうまい。
リップを塗り直す…誰かにつかまるに決まってますねえ。
「かわいいって理由だけで誰か一人のことそんな血相変えて」こちらも動いてきました。
これが初恋、なんでしょうか…メモ用紙と回想を用いるのがお見事。
今回の、余白がとても多い表現力の高さは「ちゃお」のトップクラスにも負けていないと思います。
「なかよし」も正統派少女漫画の技術を高めている人たちもいるのがうれしい。

カードキャプターさくら
激しい空中戦…
新しいカードをどれだけ使いこなせるか。
時計からの脱出…
そして「かわればよかった」多分これは致命的な、自分を破壊する魔法の言葉…
とことん詰んでいる、という感じですが…
魔術としての質が非常に高い。

どうせ、恋してしまうんだ
うわ…本当にきつい世界。
感染症があったから青春がなかった、そんな恐ろしい時代でもある…
「少女漫画家めざしてる人が恋愛能力皆無」…ホラー専科で行けばいいじゃないですか(失礼な偏見)
すごい暴力の経験も…
恋じゃないけど、一生味方…すごいことを言いますね。
いや小学校から五年って…デビュー年齢を注目すれば…
一生味方、を返す…
居場所、でも苦しすぎる…厄介なものです。

デリシャスパーティvプリキュア
華やかな和服姿。
着替えてまで…将来糖尿にならないでくださいね…
色々な意味も面白いですけど、それもどれほど最近に作られたものか。文化の人工性や、さらに文明自体が悪と判定されたらその文化は残すべきじゃない、とか(ポーランドユダヤ人の建築を破壊したナチスを責める、ならナチスの建築は破壊すべきか)…
何度も何度もちょっと待って、になる天丼が面白いです。
今回も相変わらず素晴らしい。そして次も楽しみです。

魔王メイドは女王の秘密を知っている
本物もいるんですね…
これを拒むっておい。
剣のデザインもお見事。
…それも?かもしれないし、本人は裏切る気がなくても「王子」というのは集団ですからね、集団が裏切ると決めたら頭など…裏切ってなくても粛清される、裏切らざるを得ないよう追い込まれるのもよくある…
メイド自体が側室候補、という意味がある…
「陛下の信頼にたる人物かどうか」っておい。
ここで予知から毒蛇、お見事。

ひとりじめしたい恋なんだ
うわあきつい扉絵…
800m…それも女子…うわあ。どういう意味があるのかわかるほど陸上に詳しくありません。
すごいストレッチ…えぐい色気です。
みんなより多く走る、でも無理をして体を壊す可能性も…
背中を叩かれる、というのがなんともいい。
実力通りの結果、容赦ない…
対照的に男の筋肉がすごい。
家族の攻撃を出さないのもうれしいです。これからやるかもしれませんが。

偽り姫の内緒ごと
弓道ではないのでそちらのツッコミは必要ない…はずですけど矢羽根の位置が弓道寄りに…というかそこから放ったら頬切れますよ。
公表する、それができればいいんですが…絶対誰かが裏切ってます。
「すべてが丸く収まる」自分の犠牲でですねわかります。
何をしても足りない、もっともっと求められる…超能力がある王室って地獄通り越してますね。まあ本来王室は超能力を求められるんですが。
さらに喀血、とことんこの国は終わってますね。
オイディプス、王が正統でないからならともかく。と言ってもあの国は何をどうやっても最悪を通り越しますが。

新婚だけど片想い
忙しい…両想いでも大変ですね。
相手が喜ぶことをしてますね。…うまい。
師弟対決…帰ってきた、その表情を見ると負けたかと思いましたが…
彼の回想が出てきたのも面白い構成です。
さらに裸まで…
裏ではかなり大きく動いているようですが。
どこに行くんでしょうね、この作品。

ギフテッド
舞踊と武術の関係というのも隆慶一郎ファンにとっては…
いやそれを言うなら江戸川コナンさんや金田一一さんなんてどこに行こうと大量殺人事件。エルキュール・ポアロさんも…
四柱推命って膨大な金稼いでますけど理解してる人少ないのでは。まあ八卦や西洋占星術だって理解してる人は少ないですが。
今はこういう舞台も…一つおきにしたり…何年も…地獄。
「男だし」は吹きました。
モブ観客の青筋はそりゃごもっとも。
…男です…
色々と面白いキャラですね。
日本のトップ3に入る演出家?宝塚のトップ演出家は何位?
やはりありましたか…
トップクラスの演出家が殺されるなんて大きい損失ですよね。

香るわたしにキスをして。
すごい逆ハーレム…
なぜ調香師志望者にイケメンが多いのか、というか調香師ってすごく少人数しか必要とされない狭き門でしょうに…
うれしそうにしてますけど…
「仲よくなれたら」ってのんきですねえ。
においをかがれて、立て耳と垂れ耳の犬なのが…
香りがわからない世界…目が見えないのと同じような…
「俺は君に焦がれてしまった」っておい。
で、この二人の告白…なんでこうなるんだと…うわお。

キス夢みる恋はじまる
美大に行って画家になる夢が破れた永野逢ちゃん。飛ばされた絵を拾ってくれた桜くん、彼女はよく彼の絵を描いていた…
「推してくれるの?」桜くんはモデルをしている。
そして文集に絵を使わせて、と頼まれ、それでクラスメートと会話できるように…

すごい、の一言。
落ちた、夢が破れた…その状態でもやることがある…
表紙原稿、それを任されるほどの実力もある…
紙を拾ってもらう、普通なら見られたら死んでしまう、不気味がられる、そこを「推し」、彼が芸能活動をしていることで受け入れられる、読み返すとそこを自然に処理するのが実にうまいとわかります。
ずっとひとりぼっち、そこをだらだら描かないのも想像させてくれます。
絵について桜くんが話題にしてくれたことで、皆の話題にもなる、この流れも面白いです。
卒業も近い、あまり時間がないのに…切ない。
夢の会話もすごく丁寧に作られています。表情も。マフラーの温かさも。
思い出が浮かばない、「失うものもある」…そして手を握ってカイロを…読み返すと、彼が前から彼女が好きだったんだろうなとも伝わってきます。
絵を通じて色々記録してきた…それが熟成していくところを言葉を使わずに表現する力がまたすごい。
教師もしっかり描いている、本当に丁寧。
彼が出てからのゆったりした流れ、コントラバスソロのような丁寧な重さ…
彼の側から、思い出を書き換えてもらえた喜びも丁寧に伝えてきている…
彼のほうからの柔らかな告白、静かなキスシーン…
ものすごくいい音楽を感じます。とんでもない作家になったものです。
電子でのシリーズも当然のとんでもない実力。また本誌でも活躍してほしいです。

月合は伊藤みんご先生、前も圧倒的な実力でしたしテーマも面白く、ものすごく期待できます。
また別の新連載…そういう活躍をされていた…実力はあるでしょうし、作品が面白ければ読者は得なので。

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