なかよし2025年3月号感想
とことんシンプルな表紙。
男の子ばかりのフォトカードは少し苦笑。
先月に続き出張掲載…多いですね。
魔王メイドは女王の秘密を知っている。(遠山えま)花に噛みぐせ(壱コトコ)しゅごキャラ!(PEACH-PIT)どうせ、恋してしまうんだ。(満井春香)俺ともう一度、初恋。(長谷垣なるみ)キミとアイドルvプリキュア(上北ふたご)僕らが春を告げる頃(アメノ)プロミスオブスターシード(小麦なぎさ/立原翠)お金のコンパス(伊藤みんご)ギフテッド(雨宮理真/天樹征丸)ぴちぴちピッチ(花森ぴんく)内海くんの恋のうた(花芽宮るる)次号予告
魔王メイドは女王の秘密を知っている。
父親の復活、でも愛を貫く、と…今はそれを選んで…
父親が偽物、というのも上手い展開です。
父親の尊厳を守るため、というのもいいですね。
復活シーンの美しさがお見事。
影武者と王子両方、調整する人たちが大変そう。
世継ぎ、…魔法で何とかならないでしょうか?
ものすごい規模と言うか作画コストの作品でしたねえ…お疲れさまです。
花に噛みぐせ
ぼーっと、風邪か何かでしょうか?
というか嘘ついて男とデートって。
心配するのは当然ですよ。男だからこそ。
帰ることを言ってくれたのも男の優しさですね。
あ…入場券が…
おかゆ…炊飯器任せ、いやレトルトが一番利口です。レトルトおかゆとゼリードリンク、スポーツドリンクの三点セットはいざというときあるとないで大違い。
医者も呼んだんですね。こういうところが丁寧。
添い寝はえらいことになったもので…
キスしようとして思いとどまるのがお見事。
しゅごキャラ!
前作熟読してる読者ばかりじゃない、というか覚えてるのが無理な年月がありますから、紹介は必要ですよね。
猫になってしまった、これは膨大な人たちがはまりますね。
めしつかいでOKと言うのが面白い。
外でならネットも使える、と。
ふたりの…転入早々重要な役をやる羽目に。
ガーディアン再集合、派手に決めてくれます。
同室…はは、男と女やぞ…
今の会話、盗聴されてない保証はあるでしょうか?
今回ふと、「トランプに大アルカナはあるのか」が気になってしまいました。トランプとタロットカードの類似。トランプの普通の数字カードはタロットの小アルカナ(剣・杯などと数字)に対応。なら、普通にタロットカードと言われて思い浮かぶ大アルカナは?キングやジョーカーがその名残に見えますが、足りません。
どうせ、恋してしまうんだ。
悲しみも深く分かち合っている…
受験をやめる、というのも大きい決断でしょう。
「オレしかいない」というのがどういうことか、大人にしかわからない話です。
ただ、実際問題として、人類という動物のオスの脳は、20台後半で大きく変わります。だから年齢だけでも信頼する理由になるんです。
母親に大声で…これは素晴らしいシーンでした。
一分間だけ…それでじゃなく、声が聞こえるか、で涙が決壊する…ここの贅沢な一ページとメガネなどの細かさがまたお見事。
日本の同性婚、無理そうですね…自民党、そして日本国憲法、という壁が。日本国憲法を書いた人は同性婚の事は考えていなかったと思いますが…
逆に同性婚のために憲法を改正したい、という左派がいてもいいのに。
世界各国の、同性愛嫌いの現代史。これ自体重大なものです。なぜ今も日本の、政府自民党・保守・最上層はこれほど同性愛を嫌うのか。キリスト教やイスラム教なら旧約聖書・コーランに書かれているから…でも日本はどちらでもない。のに、なぜか「日本の保守」は「同性愛は悪だ、その手の法改正には反対」と決まっている。
とはいえ、日本での官民問わぬ暴力は、報道を見る限りそれほど激しくはない。1980年代に何十人も警察や自衛隊と民の共同で拷問虐殺があり、それが何十年も社会的非難も受けない、ということが思い出せない…むしろ珍しい。
中国では清までは寛容で清律で重罰。文化大革命で罰則。現在も中華人民共和国は同性婚などがなく、事実上犯罪扱い。
共産主義という共通点があるソ連はスターリンのある時期から徹底して同性愛を禁じ、ソ連崩壊後も強く攻撃する。今のロシアの反西側アイデンティティの相当大きい部分に同性愛に対する憎悪があるし、ロシア刑務所のカーストは同性愛を基準にしていることが知られる。
韓国はキリスト教の影響で、軍を中心に不寛容。
他にもフィリピン、インドネシアからインドに至るアジア各国について考えるべきでしょう。
共産主義、反共、独裁、民主主義、キリスト教、イスラム教…どうであっても国家は同性愛を嫌ったことは確かです。
俺ともう一度、初恋。
絵の感じがさらに柔らかくなった、なんというか書道でやや草書によせたような感じです。
こういうのも美術館とかの楽しさなのかも。
人と絵を出会わせる、そういう仕事も、これは面白い視点です。
「俺より年上」ってうわあ。
詐欺師だってことを事実上告白…「私の見た」で、『箱根の坂(司馬遼太郎)』の、人を身分家柄ではなくこの目玉でじかに見る、を思い出しました。
眠らせて…え?記憶まで?
うわああ、これはどうなっちゃうのと叫んでしまいます。
キミとアイドルvプリキュア
楽しみな新シリーズ。アイドル、なら歌もたっぷりのはず。
冒頭部、結構丁寧に異様な何かとの出会いを描きますね。
珍しく敵も出てきてバトルもある…
僕らが春を告げる頃
うわあ綺麗なシュートフォーム。
「妹みたい」に「手ぇ出したらコロス」とサブ文字があるのは大笑いしました。
「良かったね」…ああ残酷な…
自分が、好きでもない相手に告白されても困る、から…繊細に男側の気持ちも描きますね。
目黒くん、本当に親友なんですねえこんなこと聞けるって。
ここで「お前の相手は」…お見事。
他人の気持ちを想像する、というのも人間の重要な精神アイテムなんですけどね。
決意して、誘う…この流れと間がまた素晴らしい。そしてはっきりと「俺が好きなのは」と。
思いがけずすごく質が高いマンガです。
プロミスオブスターシード
企画書、にこの返しは笑いました。
わけがわからない、という感じの四人…「暴れまーす」という意外性!
短期間で一気に作り上げてしまった、というのも伝わります。
さらにメイク・照明・音響も、とことんめちゃくちゃにして…
それから、ロミオとジュリエットを思わせる演出も緊張感ありますね。
思いがけない、意外なほど静謐なラスト…変わった作品でした。こういう試みも必要だと思います。
お金のコンパス
単行本は「マンガでわかる行動経済学」タイトル…今海外では行動経済学そのものを、実験の再現性の低さで批判する声もあるそうで…
片づけ、大変ですよねえ…
昔の交換、でも交換と言うとグレーバーが突撃してきそうです。わらしべ長者、それを体験させる…また面白い切り口。和装なのも魅力的です。
わらと折り紙でこんな…といっても近代以前だと「折り紙」なんてとんでもない価値あるんじゃ…
付加価値、これはマルクス主義の話題でもよく聞く話ですね。また近代経済でもよく聞きます。
搾取ではなく、両方が得をしている…こちらは常に工夫して、価値があるものにしている…
正当な経済活動、という言葉も重要ですね。特に平等を求めたり、環境を守りたがったりする人たちは、経済活動を非難したがります。
それは古代では洋の東西を問わず普遍的と言えるでしょう。秦は工業や商業を禁じて農業と従軍だけをさせたがりました。秦が滅びても『塩鉄論』などがあります。旧約聖書では利子を禁じ、それは後のキリスト教・イスラム教にも伝播します。ほかにも商業や工業を嫌い、農業だけにしろ、いや原始時代の生活が善だ、遊牧がいい、というような声は常にあります。
グレーバーの『負債論』は物々交換などなかった、から始まりますけど…
善行で金儲け…あああ、長い冬休みに読んだ『資本とイデオロギー(トマ・ピケティ)』『奴隷制の歴史(ブレンダ・スティーブンソン)』は、残忍であればあるほど奴隷農場・植民地での略奪搾取がどれほどとんでもなく儲かるかをとことん…それをやるな、ということでもあるし…『倫理資本主義(マルクス・ガブリエル)』にもつなげたいかも。
また、「誰かが喜ぶことを一生懸命〜お金をたくさん稼ぐ」は、『人新世の「資本論」(斎藤幸平)』も、それ以外のマルクス主義者も、絶対に認めないでしょうね…金を稼ぐ、資本主義である限りすべての人は不幸になり環境は破壊される…
金稼ぎは徹頭徹尾悪なのか。悪でなければ金は稼げないのか。奴隷を残酷に酷使する以外の経済はないのか。…今の日本も、スマホの蓄電池のコバルトやタグに東南アジアの国名が書かれた安いファストファッションの服、安いアブラヤシ油の洗剤など、遠い外国で奴隷を酷使している…ただ、今東南アジアの搾取工場で悲惨に働く人は、故郷の農村ではもっと悲惨だった、日本がそうだったように村から飛び出した女性は自分は死ぬまで鞭打たれる重労働でも子が学校に行って屋根の下で生きられる希望がある…
これもとことん重い問題です。
…だからこそ徹底的に、光の側のメッセージに徹するこの作品の今回の最後のほうは、僕は正しいと思います。
実際には、本当に僕にも何が正しいのか、誰が正しいのか何もわからない…『万物の黎明(グレーバー)』などで、正しいと思っていたことが何もかもぶっ壊れましたし…
奴隷残酷農業こそが儲かるのか、『国家はなぜ衰退するのか(アセモグル&ロビンソン)』の包括的制度=少数の偉い人が権力使ってすべての富を集める収奪的制度と違って工業化できる国が儲かるのか…それともそれは『アメリカ経済
成長の終焉(ロバート・ゴードン)』『大停滞(タイラー・コーエン)』『劣化国家(ニーアル・ファーガソン)』が言うように、ほんの一時の、二度と戻らぬ科学技術進歩史の奇跡なのか…大戦後の平等、1970年代以降の再不平等は、科学技術なのか、それとも『資本とイデオロギー』などがいうように言葉での説得の結果なのか…それどころか、水野和夫・広井良典ら日本の大半の本が言うように、進歩はないし間違っているのか…あるいは『シンギュラリティは近い(レイ・カーツワイル)』やミチオ・カクのように科学技術の進歩を信じるか…さらにマット・リドレーやヨハン・ノルベリが繰り返し書くように、進歩はあるが国は絶対にカネを出してはいけないのか、それとも国が金を出すべきか…
なぜ新自由主義はこれほど説得力が高く、極右でない代案を封じることができているのか…未訳本もいくつも…
本当にわからないこと、本の世界だけでも違う意見が多すぎます。
それでも、僕も善の側でいたいです。正義だと言って虐殺や焚書に加担する側ではなく。
経済と道徳。これは本当に巨大なテーマです。
ギフテッド
スマホの情報を会社から…恐ろしいことを。
資料…ええと、刀って倉の奥で四十年ほったらかして大丈夫でしょうか?ちゃんと油やってあっても?
イチジクと聖書は関係深いですよね…中東の重要産物ですし、イエスとイチジクの話もありますし。
夕食が済むと眠くなる、眠り薬でしょうね。
疫、面白い造形で。
スパコンまで使うというのも変な話です。
ぴちぴちピッチ
「おまえの愛はたしかか」となるのは面白いです。
内海くんの恋のうた
中学から高校、でもぼっちのままの栞ちゃん。彼女の支えはカナデという歌手の歌と、ぼっち仲間と勝手に思っている内海くん。彼はイヤホンで何か聞くか寝るか。
落としたワイヤレスイヤホンの取り違えから、彼もカナデの曲を聞いている…どころか「それ今日投稿予定の新曲」と…問い詰めて認めた彼は、「俺の彼女になってくれない?」と、でもそれはラブソングを作りたいから…
またお姉さん雑誌から、というのを考えずに読むとすごくいい作品。
今はどうかわかりませんが、少し柔らかく華もあるタッチもかなり好み。
どうしてぼっちになる人はなるのか、人間というのもへんなものです。
トゥルーワイヤレスイヤホン、というのも生活を大きく変えていますね。
ぼっち仲間と勝手に思っている、からの変化、さらに後にわかる相手側の気持ち、も見事に組み立てられています。
頑張っているけれど踏み出せない、これも共感する子は多そうです。本当にどうしてこれほど、ぼっちになる子をぼっちのままにする力は強いのか。
空回りして落ち込む、というのもすごくわかります。
充電切れ…うわあ。…なんで共通電池にしなかったんでしょう、モバイル世界…
膨大な教室内の会話もすごく面白い。
イヤホンの取り違え、というのも今の技術だからこそできる話の展開ですね。…超不潔なことなんですけど。
「今日投稿予定の新曲」…それだけで確定なんですけど、そこに頭が回るまで時間がかかるのもうまい。
走るところの足の曲線が素晴らしい。
まず「大好きです」とやらかした…ストレートに「俺のこと好きなんだ」から「俺の彼女に」となる、本当はかなりいかれた世界なんですがそう感じさせない絵柄の柔らかさ。
考えるのに時間がかかっている、それで断られたと思って諦めようとする、こういうところも丁寧でうまい。
今までの感想が全部恥ずかしく…はは。こういう心情の繊細さが面白い。
映画を見ている彼女の横顔を見ている、ここもよく男側の心情を出してます。二人とその座席以外を略す画面の無駄のなさもいい。
「好きな人が楽しんでる」…ここも意味深長ですねえ。歌詞の一部、ただ素直に思った事を書いているだけだと読者にはわかる…
ここから、彼には学校の外で仲間がいるし、と劣等感になって、彼のほうも支えられてきたと出すのもいい上げ下げです。
ファンのほうが何万分の一、というなら、クリエイターのほうも何十万分の一なんですよね。ましてネットという特殊自由競争。
このモニタースピーカー心当たりあるんですが…
お願いしたほうも、それこそ俺頭がおかしいんじゃないか、というぐらいで悩んでたんでしょうね。
「この続きはコミックスで」が凶悪な誘惑。
来月は新人読み切り二本、これはとてもうれしい。