りぼん2005年8月号感想

また元の…種村、槙、春田、酒井体制に戻っていきそうな気もしますが、でも新しい正統派もすごく増えていますし武内先生も中心に入っているし、でまあ期待もできます。

101番目の○○○ちゃん(亜月亮)Ya-Ya-Yahがやってくる!(北沢薫)アゲハ100%(武内こずえ)保育園へ行こう!(樫の木ちゃん)HIGH SCORE(津山ちなみ)紳士同盟+(種村有菜)STAR BLACKS(槙ようこ)スマッシュ1(藤原ゆか)ピーターパン症候群(酒井まゆ)聖vドラゴンガールみらくる(松本夏実)だって好きなんだもん(吉住渉)ちよりの毎日(萩わら子)なでしこハニー(松野美佳)恋の一秒後(小桜池なつみ)次号予告

101番目の○○○ちゃん
どうせならとことん血が凍るような、後味最悪で夜眠れなくなるホラーのほうがよかった気がします。その気であればできたはずです。
結構裏表紙の絵は強烈で、夜寝る前に見たら…まあ間違えて暖房をつけたこともありますが、眠れませんでした。
冒頭部の能天気な雰囲気はさすがにうまいです。
レイカちゃんの明るさも、読み返してみるとうまく盛り上がってきますね。
怪談一つ一つは有名というか知られた話ですね。
それぞれの反応が、読み返してみると実にうまい。
「やっぱり変だ」と思ったらもう遅い、どきどきしましたね。
もう変な世界に全員引き込まれたときは、全員死ぬことすら覚悟していました。
煙の中に浮かぶ邪眼、そして浮び上がってくる影…あっけなく終わったかと思ったらもう…「集団催眠」という指摘もあながち間違いではないです。
実際に、悪意をもってこれを企画すれば魔女裁判状態を作り出して人を自殺させることも難しくはないでしょう。それがこの話怖いです。
忘れようとすればするほど抑圧した罪悪感がでてくる、しかもそれが未来の夢になって…どこからが夢だったのか、この構成の複雑さもいいです。
「あなたを責めるためにこんな会を開いたんじゃない」といいますが、確かに成田先生本人は罪悪感の中彼女が一生苦しむよりいいと判断してでしょうが…
しかし小学五年生とは思えない綺麗な字ですな。
「誰にもチカを責める資格なんてない」というのもまあぬるいですがいい結論です。
ただの「怖い話」好きでちょっとめだちたがりや…この後味のよさは亜月先生らしいです。

Ya-Ya-Yahがやってくる!
まず無茶だと叫びました。大正時代の女の子の心情を再現するのは相当困難ですが…ましてそれをタイアップで…いい度胸というか正気かというか…
歌がだめな理由は簡単、そういう芸能は元々、売春と不可避な関係があったから身分が低いと思われたからです。
お互いに「ヘンな服」なのは当然です。ただ、そういうギャップは単に現代は自由でよくて昔は間違っている、またはその逆とせず、どちらにもメリットとデメリットがあるという柔軟な眼で見て欲しいです。相手側から見ればこっちが狂っているのですから。

アゲハ100%
緊迫しますね。
フィルムもうまい効果です。
正体をばらすことには興味がない、では…まあ同業者としての興味か、それとも…
スワロウテイル自体のライバルでもある、というのが面白くなりそうです。
アゲハの評判が落ちていく事に対するショック…でも、まあ流行や栄枯盛衰は余の常でもあります…
凛ちゃんもやってもらえばいいのに。それである程度相手の腕はわかります。
確かに、誰もアゲハを求めなければ…それはこれまで考えたことがなかったようですね。でもちゃんと競争相手がいるほうが自分の腕も上がるのでは?
比べてみて地味に見える、「あなたの心の鏡にそう映るのなら」…態度の違いなのでしょう、流行を活かして客が望むメイクをする飛鳥くんと、相手の内面を引き出すことに集中するアゲハと。
如月くんを攻撃するのもまたうまい。
目的はパートナーになって…なるほど。でもそれも真実でしょうか。

保育園へ行こう!
期待以上に面白いです。
柔らかい雰囲気もうまく活きていますし。これまでの話も読みたくなってきます。
クラスの女の子たちと同じようなことを幼児が話しているのは笑えました!そうそう、こういうませたとこ、わかります。
ずいぶんバイトがくる保育園ですね。現実にそんなものでしょうか?
で、ああ…わかりやすい…。
あくびから泣くのがおむつだ、とそこまでわかっているのはさすがにすごい。
童話を暗記しているというのはすごいですね…こども関係だと天才、というのも面白いです。
で、この強引な口説き…今まではそれで通用していたのか…
回想と電話はすごくほっとしました。
「じゃあいいです あなた2度とこどもにご飯食べさせないでください」という迫力、そして本気でこどもをなめている言葉に対する怒り…ここはぼくもぞわっと来るほど共感できました。
「私はこどもたちのためにうごく」というのはしびれるほどかっこいいです。
それで反省しているのも、まあお約束ですがほっとしました。
で、真広くんが帰ってきた…と思ったらいきなり!うわ、楽しくなりそうです。

HIGH SCORE
なんじゃこれ。でもこれでも優勝はできるのでは?えみかちゃんは…楽勝でしょうが。
でも実際、アメリカでは女性ボディビルダーもいますから、こういうコンテストも(バトルロワイヤルはなしで)あるかもしれませんね。
「ピアニストとか女形とか」は爆笑。
さりげなく最後の戦い、それも薬…気がつかなかった。身内のほうが怖いとは。

紳士同盟+
本物と偽物はあまり仲良くない…まあ当然ですが。とっても仲良くしていたらすごくいやです。
というか「高等部を出るまで」って、高等部を卒業したらどうなるのでしょう。クローンならば予備臓器として生涯幽閉、そうでないなら抹殺でしょうか?
「た…」彼の本名がこれからのキーになりそうです。なぜ名を捨て、影としての人生を選んだのか…
「灰音は閑雅のものだ」といっても、閑雅は彼女を必要としていないのですが…
「草芽の好きな子も来るのかなぁ」その鈍さは犯罪です。抱きしめようとしたらしっかり小さい子が邪魔に入る…いいなあ。
部屋割りはどうなるか…妄想は爆笑でした。
花火が全部燃やされている…閑雅様のツッコミに少しほっとします。こういう雰囲気もいいです。
どちらも自分を仕方ないと思っている、それが大切かも。誰にでも…長所と短所は背中合わせ、なるほど。
いきなり婚約者の登場…むしろ今更?という感じです。中等部生徒会長なら、とっくの昔に知れていてよかったのでは。
最強コンビね…最強バカコンビになりそう、というか灰音と真栗もけっこういいカップルになりそう…そっち応援しようかな…

STAR BLACKS
えらく美形の鬼ですね。
会話できるということは、交渉の余地もあるのでしょうか。
「出口があるかわからない場所を裸で歩くような今より出口のない薄暗い闇に佇むほうがまし」この言葉にはすごく説得力があります。相当多くの…今は大人も含めて共感できるでしょう。もちろん子供はごく一部の熱血以外ほとんど全員。
戦いの妙なスピード感はそれはそれで素晴らしいです。本格的に「ベルセルク」のような作品でもよかったかもしれません。
砕けた十字架から雨、絶望…
夢が語る真相には、わかってはいましたが力が抜けます。
「まだ人間がいるのに」って、少なくともカール・バルトにいわせればどうにもならない絶望です。
これが三人の解決なのでしょうか?鬼の気配が消えていないのはなぜ?
不安と絶望が静かに体を浸してくる…小学生女子読者に耐えられるでしょうか。いや、彼女たちにとってはそれは携帯電話と同じくらいあたりまえのものなのかもしれません。
なら、神が死ぬというのがどれほど深い絶望なのか描ききるのも悪くないかもしれませんね。

スマッシュ1
うんかっこいい。
ランニングはやっていた、というのはなぜでしょう。日課でやめられなかったのでしょうか?
対戦相手が、どうなっているのでしょうこの試合。色々な大物がいるのはまあお約束といえばお約束ですが。
監禁って…まあ過去もお約束で熱くていいです。
で、昔の悪仲間…この展開もお約束で素敵です。
ボールでカギを壊すのは見事!いいですねこういうお約束のきわみ。

ピーターパン症候群
いきなり一気に緊迫展開に…
「どこが育ってるというのか」というさりげない伏線は読み返してみるとうまい。
研究者の登場は肩をすくめましたが、おだやかな雰囲気は期待通り。
「ほめられ人生だからわからない」という言葉、結構重みがありました。何も悩みがないような空を飛ぶシーンと比べると…
「今の物理学は根底からひっくり返る」って、今の物理学というのをなめてませんか?そう簡単にひっくり返るような代物なら、誰も苦労しませんよ。
標準理論の予測は相対論も量子論も嫌になるほどどこまで実験精度上げてもエネルギーレベル上げても精密で、太陽ニュートリノと暗黒物質以外いくら探しても粗がなくて、各定数や指数(力を逆二乗から逆三乗にするとか)、係数、法則の構造をどんなにわずかに変えても現在のような宇宙は絶対存在できないから人間原理で排除され…ため息。
今物理学への関心が下がっているのは、本質的には核時代が終わって…冷戦が終わって核融合発電は誰が見ても不可能、核分裂原発も批判のほうが強い…SSCの中止など予算が減っているだけでなく、物理学がひっくり返る可能性はまずないことが、学び始めた人には見えてしまうから、というのもありますね。
大人にはなれない、とあまりにも残酷な一言をぐさっと…父親や母親の謎多い態度とも関係しているのでしょうか。

聖vドラゴンガールみらくる
お疲れさまでした。純粋に子供が楽しむには最高の作品だったので、アニメ化できなかったのは本当に残念です。
隆司先輩の出生は…というか、もう杏ちゃんが十分強くなった時点で全ては蛇足といえば蛇足です。
「ここ天国?」というボケは最高です。
このキスはすごくさわやかで素敵です。
ドラゴンガールの姿に成長したのはどれぐらいの時間ででしょうか?
というか来夢ちゃんと再統合はされていない?
ま、エピローグ自体はほっとできます。
本当にお疲れさまでした。こういう作品はやはり必要ですよ。

だって好きなんだもん
暖かくすっきりとしたいい後味です。
人がいるのにいきなりキスとは、さすが。お見事。
これだけのことになってもまだ崩れない芳井くんっていったい…普通大人でも崩れるぞ…
桜さんを、着ぐるみ姿で尾行するのはうまい。笑えます。
なんというか、ばればれですね。
身振りで否定し続けるのがまたかわいい。
で…そういう想像をしていましたか、あの絵は過去じゃなくて今だ、と。
「おれが言うのもなんだけど女の人に関してはけっこうルーズ」…呆れてものも言えないというか笑えるというか…
絵を破るのはさすがにショックでしたが、それぐらい本気…
特別な騒ぎはなしで、二人を暖かく見守るみんなの笑顔、いいエピローグです。
なんというか…評価が難しい作品ですが、次回作はどうなるのでしょうか?大人向けに移籍するか、それともあくまで「りぼん」で…
まあとにかくお疲れさまでした。

ちよりの毎日
そーめんはめったに食べませんね。まあ僕が異常なほどご飯が好きで、決して食欲を失わないだけですが。
こんなところで爆発して、それを普通に…どうなっているのやら。
二人とも妙にハイテンションになっているのがかわいい。
僕にもこんな時代があったなあ、というか…。
意識しまくりでどうにもこうにも、最高。
「何かあったの?と、一気に核心に切り込む間はうまいです。猫を使ってワンクッション置くのもいいですね。
「それは向こうが考えることだし」というのはその通りです。どうしてもやってしまいがちですが。
かっこよく言い返そうとして、自分にぶつかるのもこの二人らしくて素敵ですね。
というか出番がなかった小田くんって…

なでしこハニー
立切り試合…昔は三日三晩、わずかに重湯をすするだけでやったそうですが…千日回峰行と同じく、死ぬぎりぎりまで心身を痛めつける荒行…だったらあんたもやれよ。
負けたときのリスクはびっくりしました。どういう意図でしょう。
三人で二時間はそっちのほうもきついのでは?
というか、作者もすごい冒険をしますね。極限状態をうまく描けるでしょうか。
信じている楓ちゃんの笑顔はやはり見てるほうが励まされるような凛とした強さ。
「稽古にやりすぎなんて文字ない」…スポーツはやりすぎに注意しなければなりませんが、稽古はそうなんですよ…根本的にスポーツとは違う…
それがなんとなくデートになるのは笑えます。
「途中で我にかえっても運動できまい」はうまい策略です。
確かにデートですね、これは。でも手錠デートって…
「なにがあってもそばにいるから」このシーンは心に残るかっこよさです。
口にひっかかった髪の毛をとって、ここでこういう邪魔が入るとは…
なんというかすごい。
迷いは消えたようですが、さてどうなるか、どこまで極限状態を描ききれるか…楽しみです。

恋の一秒後
少し散漫でしたが暖かくていい感じでした。
マーブルチョコでそこまで燃えるとは…単純というか可愛いというか。
「藤緒って実はすげー気ぃ強いだろ」というさりげないところがいいですね。
自分を偽ることができない、だから自分のまま必死で前に、ため息が出るほどかっこいいです。
帰り道の会話も素敵です。不器用というか大胆というか。
ドッヂボールが結構面白い形に盛り上がっていますね。藤緒ちゃんにはぶつけられない、で回してしまうのが可愛いし、その気持ちはわかります。
告白シーンは入り方はあっさりしていますが、すごく暖かい感じで胸がしっとりと切なくなります。
言葉にならない、そしてキスになる、これも贅沢なぐらい素敵です。
マーブルチョコ365コというオチもいいです。
藤緒&勇飛はちょっとあっけなさすぎますが、まあ後味をよくするには必要だったのかも。
この暖かな作風はもっといつも見ていたいです。

本和歌先生の連載は情報が少ない分すごく楽しみですね。
持田あき先生の読み切りは、前作とどう差別化するかが楽しみなところです。できるだけ色々な顔を見たいので。
そして春田先生…いつも通りにならなければいいのですが。

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