パターン分類3-2

さて、とこんにちは。講義を始めます。出席カードを回してください。

えー、前回説明不足でしたが幼なじみの場合恋の始まりは互いの変化に気づくことです。そのために後半の説明があったのです。相手が今まで知っている子ではなく、一人の異性だと気づくのがきっかけになりますが、幼年少女誌ではそれを象徴的に表現します。尚、これは幼なじみのパターン以外でも当てはまることです。再会パターンで特に強調できます。ま、幼年少女誌でのラブロマンスは身も蓋もなくいえば第二次性徴をいかにオブラートで包んで表現するかですね。このパターン分析もそのオブラートのブランドを調べているようなものです。尚、誤解があるといけませんので申し上げておきますが僕の言う成熟とは肉体のみでなく精神的にも、特に前回の講義では男女両性を理解し、受け入れる事が出来ることを意味しています。それこそ夢物語ですね。それが一番問題なのですが。ここまで男子と女子の夢が違い、互いに異なる仮想世界に閉じこもる・・か全てをあきらめ町で享楽に耽るか・・何か違う気がします。そう、今少女誌が売れていないのはもはや夢ももてない世の中だからと言われていますね。だからこそマンガに夢をもう一度探して欲しいです。パターンを分析しているのは、越えて欲しいと言う祈りを込めてでもあるんですよ。現実を探るのみではなく、人類が生き延びるためにあるべき姿を探って欲しいと。

前置きが暴走しました。では本題に入ります。今回は少しそれて周囲の状況について。そりゃ二人の世界だけじゃ・・ですし。

まず小中学生の周りの関係の或る人間は家族、教師(学校&塾)、クラスメート(これも学校&塾)、先輩後輩、隣近所ぐらいです。考えてみますと少ないですね。彼等やそれ以外の偶発的な人がサブキャラと状況を構成します。まず母親。子供にとって一般に最も重要な人物でしょう。正常に機能している家庭では作中の役割に両面があります。女の子にとっては管理者で、うるさい存在で有ると同時に得難いアドバイザーでもあります。女児の恋愛に関しては抑制と応援の両方があります。抑制の場合どうくぐり抜けるかがポイントで、面白いエピソードが作れます。正常でない家庭での母親は放任か極端な抑圧で、それ自体が重いテーマになります。父親は存在感があり機能している家庭では抑制者になることが多いですね。最近のなかよしでは理解のある父親像が多いですが。機能していない家庭では暴力的虐待者もしくは存在していないと同じです。パターンとして子供の気持ちを考えずに婚約者を押しつけることもあります。姉はまあライバル・・{先生の婚約者はお姉さん}パターンに使われたり年が離れていると有益なアドバイザーになったりします。兄は保護者に近い存在としてでてくることが多いですね。半ばギャグのパターンで「つきあいたかったら俺を倒してから」とかもあります。またからかって気持ちに気付かせるとか、また相手役を紹介する(兄の友達)こともあります。尚兄姉ともに親の代行を務めることもあります。妹は女の子にとってうっとうしいライバルです。よくボーイッシュな主人公が可愛い(PHな)妹にコンプレックスを抱く、というのがあります。からかい役としても重要で、トリックスターを務めることも。弟は話の上で重要になることはあまりないです。強いていえば年の離れた弟を子守ねたに使うとか。教師は男性教師、抑制的な女教師、いい先生、その他にわけられますね。男性教師は恋愛の相手として、抑制的な女教師は恋の重要な障害として活躍します。いい先生は難しいですが上手く使うとよき相談相手(恋愛に限らず)として使えます。塾の先生は余り重要ではありませんが、現在の子供たちにとっては学校教師に匹敵する存在です。使いようはあると思います。家庭教師はそれ自体一ジャンルです。年上、大人の男がずっと自分の部屋にいる、それだけでも十分刺激的ですね。大体が{辞めるのをきっかけに告白したら向こうも女の子として見ててくれた}か{青い鳥はすぐ近くに}です。クラスメートの重要性はいうまでもありません。最も近い同年代の人間ですし一緒にいる時間も家族以上です。女生徒と男子生徒、女生徒は友達(親友)、普通、敵対的な存在に、男子は恋愛の対象、(男子それ自体としての)敵、普通、仲のいい友達と分けられます。友達については別に一章を設けます。普通は背景にしか過ぎませんが、噂の媒体としての働きは無視できません。敵対的な存在は昔のいじわる役とその取り巻き、あこがれの先輩(が主人公へ告白してる)のファン、成績などでのライバル、いじめの加害者などが考えられます。男子そのものが敵となること・・クラスで男子と女子が敵対することは少なくとも僕も体験しています。ま、これも第二次性徴の一過程・・男性という存在自体受け入れられない時期がありますから。特に{男嫌い}のパターンも考えていいでしょう。普通の男子に対しての少女マンガの目は面白いです。少し講義からずれますが、乱暴で嫌だけど眩しいとかただのすけべとか作家の男性観がでてます。仲のいい友達は最近でてきた形です。ジェンダーが弱くなってきたのか、当たり前のように混合グループがありますね。少女マンガでは大抵恋愛になりますけど。先輩は憧れであり同時に体育会系では恐怖の的です。微妙な女子同士の疑似恋愛を構成したり、最も恐ろしいライバルとして立ちふさがったりします。男子の先輩は恋愛の対象としてが多いですね。後輩は女子の場合恋愛における最強のライバルとなります。妹同様、可愛らしい場合にはコンプレックスの対象にもなります。男子の後輩は恋愛の対象でなければからかい役ですね。隣近所は今は地域社会が機能していることは稀です。が、例えば噂の主体とかで出てくることもあります。特に「大きくなって」と言うことでキャラクターの成長を表現する技法がありますね。

ではここらで。御静聴感謝。

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