パターン分類9-1
んちゃ、講義を始めます。出席カードを回してください。
今回からつきあって後の話についてです。少女マンガの読み切りもしくは短期連載では多くが告白で終わりになりますが、特に長編の連載ではほとんどその後まで進みます。ただ、それだと話としては終わっているのに無理に引き伸ばしている印象があります。少年誌ですとより強い敵が登場するところでつきあい始めた後の話をやる訳です。くっつく前なら新展開転校生もしくは急な転校決定という手もあるのですが、くっついてしまった後ではそうはいきません(といってもくっついた後でも新展開転校生は有効な手段です)。また、読み切りでも告白でくっついた時から始めてつきあう事を主題に据えることがあります。その意味で今までの講義内容とはたして連続性があるか微妙です(つきあっているのから引っこ抜く{略奪愛型三角関係}の場合には間違いなく連続性があります。が、それ以外の普通につきあっているパターンについてかなり違和感と言いますか、断絶感があります)。
まあ男女交際というもの自体が・・・その歴史に踏み込むのは避けましょう。底が知れません。が、簡単に定義しておきますと男女が恋愛感情をもって交際している状態として差し支えないでしょう。一般に学校などが同じ場合には(公認の場合)一緒に帰ることになります。又休日等はデートしますね。幼年少女誌では一般に性交渉には至りませんが、お互い普通意識はしています。普通の生活態度を保っているならまずマンツーマンが原則です。
付き合い初めて後について考えるべきことはつきあい始めた理由(本当の感情含む)、具体的な関係、周囲の干渉、スキンシップ、デート、プレゼント、浮気、倦怠期、結婚又は別離といったふうになります。
つきあい始めた理由についてですが、普通は好き合っており、確かめ合ったからです。が、それが全てとは限りません。そうでないケースですが、認識については一方は本当につきあっていると思っているが、そうではない(つまり騙している)事と双方共に納得の上で嘘の付き合いをしている事があります。結果的にくっつくケースでは一度破綻することが多いです。この状況だと相手をどんどん知ることになり、それにつれて気持ちが育ち、嘘の付き合いのような高度な感情の制御が難しくなってきますから。何より気持ちが育っていくにつれて恋愛の一面である独占欲が大きくなります。それをさとられまいと。この変形として対外的につきあうことを宣言するわけではなく、家に帰るまで送っていって(守って)やるとかリゾートなどで一時的であることを双方納得の上でつきあうとかもあります。
気持ちにおいて分けますと両思い、両片思い、片思い、全く恋愛感情無しに分けられます。
- 両思いの場合は問題ありません。
- 両片思いで互いに告白していないのにつきあうのは理由としては片思いでと共通です。違いは内面のものだけです。この場合両方が幸せなのですが、双方とも相手も自分のことが好きだと確信していないため、相手への思いやりから過度に遠慮してかえってトラブルの元になることが多くあります。特にスキンシップがあった際、余計に謝ってかえって傷つける事に。そのまま結果的には告白してつきあうことになりますが、それまでにトラブルが起きるか理由が解消されるかで一度は別れる事になります。片方は本当につきあっていると思っており、もう片方は騙していることを自覚しているというのはなさそうに見えます。騙しているほうもすぐ本気で嬉しがっている相手の様子に気付き、両思いだと判って真実を話して謝り、改めてきちんとつきあう事になりますので。
- 片思いで告白していないのにつきあうというのは、何らかの理由があって偽装としてつきあう事です。周囲は事情を知らないものは本当につきあっていると思っていますが本人達は本当のつきあいとは違うと分かっています。具体に何故付き合いを装わなければならないかですが(個々のケースについて両片思いなども含めてまとめてやります)、友人との賭け、見栄、用心棒の対外的な口実、カップル以外入れない何かに入るための口実、噂やしつこい異性の求愛を躱すため、死にそうな肉親を安心させるため、見合いを逃れるため、三角関係でごまかすため、当て付け等があります。
- 友人との賭けは男の子がした場合には単純にトランプなどのゲームでとかの罰ゲームとして、一種のその男の子に対する嫌がらせとして行われます。これは普通相手にそれと告げることなく、騙しているに等しいです。この場合当然それについて後で告白したりばれたりのトラブルがあり、女の子を傷つけることになります。女の子の場合には見栄と同じです。
- その見栄ですが、この場合以前議論した恋愛の分類とは区別する必要があるでしょう。ここでは一時的で、緊急性が高いです。見栄をはる相手は大抵友人です(祖父母を含む家人なら見合いを逃れるため)。これは男子と女子、どちらのほうから頼むにしても両片思いか単に頼んだほうが顕在化していないだけ(友達と見込んで頼む)です。ある程度好意を持っていないのに偽装とはいえつきあうことを頼むと言うのは不自然です。ただ、この場合は違います。見栄を張らなければならなくなって誰か(友人、先輩等が多い)に相談し、そこで相談された者の推薦及び仲介で話がまとまる・・・この場合には一般に相談された者は仲介した相手が相談者のことを好きと知って紹介します。そして相談者の気持ちはこの場合には考える必要はありません。普通は相談者もそうなればいいなと思っており、実質両片思いなのですが。見栄でつきあっている時には結果的には一悶着の後にくっつきますが、それ以前に当初の目的は大抵恋愛感情を変に意識し、偽りの状態に耐えられなくなったために破綻します。
- 用心棒の対外的な口実ですが、要は男の子が女の子を何かから守ることになり、そばにいる口実としてつきあうことを対外的に宣言することです。状況としては女の子が男の子に頼むか、男の子のほうから買って出るか、間に人が入るかに分かれます。女の子が頼む場合はその相手が好きだからという場合とそうでない場合に分けられます。好きだから頼む、という場合にはその頼むこと自体がかなり勇気が要ります。状況としては緊急避難的に、つまり道を歩いている最中に尾行されたり悪意や視線を感じたりなどしてとっさに頼り、そのままとかになりますね。そうでない場合には友人として頼りにしているが恋愛感情はなく、男の子のほうの片思いとなります。男の子のほうから買って出るとしたらよほどヒーロー願望の強い馬鹿でなければその女の子が(態度はともかく)好きだからです。他人の仲介には幼なじみの場合には家族、クラスメートの場合には教師や友人等が仲介します。この場合には主人公達の恋愛感情を察してのお節介とそうでない場合の両方が考えられますね。このパターンの経緯としてはやはり犯罪などに巻き込まれて・・という風になることが多いです。又変則的にこの関係がサブヒロインとヒーローの間で発生し、ヒロインがやきもちを焼くはめになることもあります。
- カップル以外は入れないところにはディスコ等の遊び場があります。規則としてカップル以外お断りでなくても夏の海水浴場など独り者には恥ずかしい場所もありますね。この場合は見栄と同じ事ですが、合意でカップルを装っている場合には原則として双方にナンパの自由があります。それが分かっていながら嫉妬すると言うのがのパターンのポイントです。
- 噂を躱すためと言うのは噂を否定するために他の誰かとつきあうふりをすることです。一見意味がないように見えます。周りは他の誰かとつきあっていると思い込むわけで、誰かとつきあっていること(分かりやすく言うと独身ではない事)には変わりないわけですから。何故そんなことをする必要があるかには例えば噂になった相手と自分の友人をくっつけようとしており(この場合にはその相手に本当は恋愛感情を持っている場合とそうでない場合に分けられます)、それに迷惑を掛けないため自分を切り離そうとして等があります。この場合には依頼された側の片思いか全く恋愛感情無しです。多いケースとして主人公は本当は噂になった相手に恋愛感情を持っており、それで自分に片思いしている相手に気付かずに頼んで付き合いを偽装、結局は偽装が本物になるか偽装の相手の橋渡しで本命とくっつくかというものが挙げられます。
- しつこい異性の求愛を躱すために付き合いを偽装するケースですが、これはその求愛してきている相手に顕在化していない恋愛感情があるかどうかに分けられます。それがある時には偽装する相手はそれを(遅かれ早かれ)察し、橋渡しに回ります。これはその偽装する相手が恋愛感情を持っているかどうかに関係ありません。この場合には(変形として求愛されているほうは本気でつきあっているつもりであるケースもあります)スキンシップを強要、彼女が嫌がるのと彼が怒るのとを利用して素直にさせる手などがあります。偽装でも嘘で告白しながらというやり方があります。求愛している相手に全く恋愛感情が無い場合、特にそれが生理的嫌悪感になっている場合にはもう恋愛どころか相手の想いに対する同情心もないです。女の子から見てそういった相手はもう人間ですらない、害虫同然の存在です。これを非難してはいけません。思春期の女の子、いや女性一般の当然の心理です。これですとある意味用心棒も兼ねますね。本当にストーカーである場合も含めて恐怖感もありますから。この場合には偽装がそのまま本物になります。しつこく求愛された男の子が偽装を頼む、という場合には頼む相手は友人です。友人の紹介でということもあります。大抵偽装相手は彼に片思いしており、嘘でもそばにいられるのが嬉しいです。そうなりますと無論求愛している側は修羅。
- 死にそうな肉親を安心させるためとしましたが、これには仮病の落ちがつくことが多いです。「一目花嫁姿が見たかった」とかそんな感じで。これは片思いしている(両片思いも含む)相手に気持ちを言わずに頼むか友人の仲介でです。
- 見合いを逃れるためですが、中高生(小学生はいくら何でも)で見合いときたら無論デフォルメされた上流階級です。依頼については両片思いの場合には友人の仲介です。見合いする人に片思いしている場合志願することもあります。また見ず知らずに近い(無論顔がいいだけで恋愛感情も糞もない)ケースがあることに注意してください。大抵はマナーの問題かコメディー気味なら色々な勝負になり、そのままかばってくっつくかそれともその依頼した相手も見合い相手以上の身分だったかです。
- 三角関係でごまかすためですが、これは友人との三角関係でライバルである友人に自分も同じ異性が好きである事を告白できず、ばれかけるか怪しまれたかして隠し通すための方便として別の人とつきあうふりをする事です。つまりその恋に関しては諦めることに。またこことは違いますが、こういうときに好きでない人の告白を渡りに船と受け入れたり更にそれを無意識でやってしまう(三角関係のほうが顕在化していない)と言うことも。ここでその嘘の付き合いをしている人(元から好きだったかどうかがあります)の想いを告白されるか偶然気付くかして、それが逆効果になって本命に対する想いを確かめることが多いです。無論変形としてそのまま嘘が本当になっていったという形もあります。
- 当て付けですが、その動機はメインカップルがつきあっているかどうかで微妙に異なります。つきあっている状態では誤解もしくは単なる妄想も含む浮気に対しての腹いせ兼取り戻すための当て付けです。つきあっていない状態では同じようなことですがトラブルが直接原因になります。どのみち目的と言いますか心理は相手の気持ちを確かめたいと言うのと自分自身が不安で誰かといないとどうかなっちゃいそうなのとの両方です。相手の捕まえ方は友人に事情を話して、自分を想っている異性(タイミングよく告白してきた、前からしつこくの両方がある)にOKを出す等。結果は泥沼になります。最終的にはうまくいくのですが、それ以前に嘘でつきあった相手を傷つけ、自分も苦しむはめに。無論本来の相手も怒ります。
片思いの場合片思いしているほうは本当につきあっていると思っていますが本当は違うという場合もあります。これは完全に嘘ですね。許し難いことです。そうでなく、片思いしている方がそれを言わずに納得ずくで偽りと知りながらつきあっているケースもあります。この場合には結果(くっつくべき相手とくっつく。実は両片思いであると言うことを知っていると言うことも)が読めており、そう上手くいくよう行動します。途中から気付いてそうなることもありますが。個々のケースについては上を参照してください。
お互い完全に恋愛感情無しでつきあうのには見栄、見合い対策など上で議論したものの他遊びとして、など色々なパターンがあります。結果的にはそのまま恋愛感情が芽生えていき、偽りに耐えかねてのトラブルの後にくっつくことになります。
ふと気付いたのですが、一般にあるパターンができたらその裏のパターンもできていくようです。今回頻出したAとBがくっつくために(B,C両方がそのために動いている)CがいったんBとつきあうパターンに対して結局そのままBとCがくっついてしまうパターンが派生するように。
以下次回とします。何か質問は?御静聴深謝。
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