来海らん (くるみ らん)
作風概説
第一印象はとにかく古い少女漫画。全体をぼかしたような柔らかなタッチで、セピア色の非常に古いモノクロ映画・古本、木炭スケッチの匂いが強くする。
肌や服の質感も暖かく、ごく弱い色香を静かに漂わせている。
表情の魅力も高い。
手やカメラの描写は精密で、画面のバランスもストーリーも優れる。
ぼやけていない小さいコマをよく見ると、現代スタンダードの非常に高い画力がわかる。
陰影、光の使い方が異様にうまい。
ストーリーの積み上げが非常に丁寧。どこに転ぶかわからない。
決める時の表現力が圧巻と言っていいほど。
画面作りが大胆で、徹底的に無駄を省くことも。
大人人物をしっかり話に参加させるというとんでもない勇気も。
男の目から読み返しても、それどころか大人人物の目から読み返しても耐えるほど心象の精度、さりげない行動の表現力が高い。
代表作
2022「約束のスノーフィルム」
ひよちゃんにカメラを向けているのは、もうすぐ卒業してしまう幼馴染のシンくん。
卒業式までに、雪が降ったら告白すると決意しているけど。
でも彼が、別の女の先輩を撮影しているのを見てしまって…
2023「描けない恋をしよう」
美術塾夏合宿。ペアを組んで互いを描く。
星木風馬くんが好きな卯月れいなちゃん、組みたいけど…くじははずれ。
ただ合宿の中、何度も星木と触れ合って…
ふと目が覚めると、隣で星木くんが絵を描いていた。つい「星木くんのわたしを描いてほしかった」と言ってしまう…夢?
今までの実績、現在の地位
デビューして間がない。登場している。
個人的な感じ、思い出
衝撃的な、圧倒的な実力。
これからが楽しみでならないし、「なかよし」がやせた畑なのだから別に植え替えて育ってくれても大歓迎。
それこそ『春にして君を離れ』『アルジャーノンに花束を』などオールタイムベスト級の小説をコミック化するなど、限りなく高い目標に挑み続けてほしい。
ホラーにも挑戦してほしい。この作家なら大歓迎。
「なかよし」に残るのならば一刻も早い本誌連載を。
再登場でもすさまじい実力は想像以上。…早く本誌連載か、他誌へ…どこでこのとんでもない資質が活かせるというんだと叫びたいほど。