中江みかよ (なかえ みかよ)

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公式サイトあり、リンク


作風概説

 柔らかく深みがある、やや濃厚で甘味のある酒精強化ワインの香りと味わい。
 頭身が低いキャラクター、強烈な表情などを用いた多彩な表現力もある。
 男の表情や繊細な心理も得意。
 細かな背景小物や服の描写が非常に精緻。

 新作では爆発的なまでの、圧倒されるような甘さに強烈な色香を隠している。甘さを事実上暴走させる表現もあり、その強烈さときたらない。
 最近は「なかよし」正統派の伝統を受け継ぐ、柔らかく甘いさらりとしたタッチも身につけた。

 表情がとても豊か。強引にとても印象的なシーンを作るのにも長けている。
 読み返さなければわからない細かさで、ドタバタの影に重要な心情を入れる丁寧さもある。

 とことんまっすぐ、一番醜い部分も何一つ隠さずリアルを描き切れる勇気がある。


代表作

2011「わたしから見たキミの話」
 進級早々…学級委員が超長身で超無愛想の大山田くん&すごく小さいいち子ちゃん。
 いち子ちゃんは背が小さくて、そのことも回りにからかわれ、ゆるキャラシリーズのねこ星人に話しかけたりし…ながら携帯電話でブログを巡っていると、「あんなのと学級委員なんていやすぎる」と、自分を半ば名指しで…大山田くん?
 翌日、そのブログで得た情報から嫌がらせしたり、重いものを持って潰れて逆さ吊りに引っ張り上げられたり…
 それでブログに文句書こうとしたら、「小さくてかわいいからよけい緊張してうまく接することができない」などと。

2012〜16「小学生のヒミツ」単行本全10冊。
 小学五年生、月経の授業も始まっている。もこちゃんはもらったナプキンを興奮気味に見ている。
 でも幼い外見から、生理なんてならないといわれるけれど、ある朝シーツにもパジャマにも血が…
 恐怖で誰にも言えず、トイレでうなっているのを、大人っぽい水嶋さんにトイレの花子さんと間違えられ、それからナプキンをもらう。
 そして姉のように頼るが、激しすぎる恥ずかしさ、苦しみに泣きつき、水嶋さんも怒らせてしまう。
 女の子の悩みと成長を、何一つ隠さずまっすぐ叩きつける、力作の名にふさわしい作品。

2017〜「キミと最後の恋をする」
 千堂メイ14歳、毎朝隣の家の幼なじみ…響真・蒼真の男の双子を起こすのが日課。
 でもその日々ももうすぐ終わる。月末には引越し…
 蒼真くんのことが好きなんだけれどなかなか言えない、でもある日ひょんなことから蒼真くんとキスしてしまい…
 そして引越しをやめて、一年間双子の家に世話になることにする。でも彼女には秘密が…


今までの実績、現在の地位

「小学生のヒミツ」がそのまま本誌連載に。「なかよし」の重要な柱の一つとなる。


個人的な感じ、思い出

 素晴らしいパワーと構成力。
 このパワーがどう活かされるか楽しみ。とにかく立ち止まらず、思い切り暴走して欲しい…と思っていたら、想像以上にすごい作品をぶつけてくれた。
 読者層の少女達への深い思いやり、子供の心理を再現する底なしのパワー、難しいテーマにまっすぐぶつかる勇気、何もかも感動した。

「小学生のヒミツ」の連載はとても嬉しい。そして人気のある連載を終了させ、次を出すのはすごい決断だったと思う。

 今後も、他の作品もこの勇気で、タブーと言えるような大胆な作品をどんどん描いて欲しい。
 太平洋戦争や東日本大震災など、極限状態を子供の目からまっすぐ描くことすらもできると思う。

「キミと最後の恋をする」の、大上段の迫力はすさまじいまで。
 これだけの賭けができる精神力が何よりすごい。