おおうちえいこ

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作風概説

 強い線で迫力を感じさせる非常にきれいな絵。
 初期はやや硬い感じがあり、平板さを感じたこともあったが、今は独特のパワーがあり、服のしわなどにも生気を感じさせる絵に成長している。
 無理に感情を強調しないで状況から心の激しさを浮き彫りにするのがとてもうまい。

 特に小さいキャラクターの単純化がかなり極端に見える。
 動きはやや弱いが背景、きちんと描いたときの体のデッサンなどはかなりきちんとしている。料理の描写も現実感があり、食欲をそそった。

 ストーリーは正統派だが、ギャグ表現が極端。非常に熱く、情熱的。
 スポーツと、父娘の葛藤を描くのが得意。
 大胆に画面を大きく使った的確な表現も見られる。


代表作

99「お父ちゃんといっしょ」
 お母ちゃんの入院で特技ちゃぶ台返し、もとい「ぬい針畳返し」畳職人の親父と二人暮らしに。強烈に古風な親父に辟易しているタミが、突然学校一かっこいい遠山君に誘われた!
 だが、父は娘を心配するあまり、デートについていく。カッコよさとは何かを上手く語ったデビュー作。

2000「サカサマノナミダ」
 とにかく明るい生徒会長のふわりちゃんが告白したら、ふられた上にマイクの外し忘れで前項に失恋生中継!
 それでも笑いつづけるふわりちゃんに、写真部のカイくんは「笑ってんじゃねーよ」と言ってくれた。成長を優しく描いた佳作。

2002〜03「ほっぺにチューボー!」(原作 夏川涼風)単行本全三巻。
 ヤミーことレストランの娘、矢吹美味ちゃんは実は料理下手。だけど大好きな幼なじみ、剛においしい料理を作るのが夢。でもライバルの服辻料理学園のひとり娘、まいも剛くんの胃袋を狙っている。
 でもって剛くんが出るサッカーの試合で応援弁当対決になったけど、救いようのない惨状…絶望したヤミーちゃんの涙が亡くなったママの形見のエプロンに落ちたとき、料理の精、ホッペが現れた。生前のママも助けていたホッペの協力で「ほっぺがおちても知らないぜ!」と料理開始。剛の好物はチョコレートパフェと聞き、吹っ飛ぶその精霊、ホッペは面白いアイデアを思いついて、楽しく料理を始める。
 まいちゃんの弁当、冷製オードブルはとても豪華だけれど、試合前にはあまりにも重くて冷たく剛くんはかえって不調に。でもヤミーのアイスクリームをかけたクリームグラタンは心も体も温めて、おかげで剛は絶好調。
 栄養学の知識をうまく用い、意外で手軽なアイデアが輝く非常に簡単な料理が子供にはとてもいい。心も強調している。ストーリーもお約束で楽しめる。
 その後中学時代全体で、新キャラの登場や剛の怪我など波乱がありながら剛の深い愛情とヤミーの不安定さという基本は変わらなかった。

2004「ゼッタイオンナノコ」
 剣道部の王子様、桐生あきら…女子なんだけど女の子にもてまくりの虚しい青春。わたしだって好きな男の子がいるのに!でもやっぱり男の子は、小里ちゃんみたいな可愛い女の子が好きなのか…
 でもリボンをつけてみたり、いろいろやればやるほど空回りしてしまう。そのあげく、男呼ばわりに集中力を失って試合に負けてしまい、そのまま剣道をやめると…
 熱い青春をそのままぶつけた意欲作。

2005「お父さんなんて大キライ」
 田原つぐみちゃんは父親が大嫌い。父が仕事で失敗したせいで転校する羽目になり、それでいじめられているのだから…
 倉山くんという男の子が声をかけてくれたけれど、さらにそれでいじめはエスカレートする。
 そして、年下の営業相手に頭を下げている父親の姿を見てしまって、嫌悪感はますます募る。やり場のない怒りが爆発し、家を飛び出したところを倉山くんに助けてもらって…
 娘の父親に対する嫌悪感と、父親の愛の大きさを描いた感動作。

2006「若おかみは小学生!」(原作 令丈ヒロ子/講談社 青い鳥文庫)単行本二巻まで発売中。
 青い鳥文庫の人気シリーズのコミック化。
 十二歳の誕生日、両親が事故死したおっこは温泉旅館、春の屋の女将である祖母に引き取られた。
 なじめるか不安だけれど、そこにはちょっと不思議なウリ坊という少年やもう一人、美形だけれど心を閉ざしている少年、あかねくんとも出会う。
 突然祖母が心臓発作を起こし、そして買収の話も出る…勢いでおっこは自分が女将をする、と宣言してしまった。
 それで修行が始まるけれど実に大変で、役立たずだし…
 大人の厳しさを温かい目で描いた感動作。


今までの実績、現在の地位

 デビュー直後から注目され、増刊が厳しい状況でも登場が多かった。本誌別冊付録の読み切りがそのまま連載に。連載中の成長も著しく、結局は長期連載に。

 その後しばらく出番がなかったが、増刊に連続掲載されて実力をアピール、短編集や本誌別冊付録など活躍している。
 現在「若おかみは小学生!」が単行本描き下ろしで連載。


個人的な感じ、思い出

 連載中の成長には驚いた。
 そして近年の増刊の作品はさすがに素晴らしい。化けたというのが正直なところ。