桜井明子(さくらい あきこ)

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作風概説

 最近は絵の感じがとてもきれいになり、とても単純だがそれだけに鮮烈な感じになっている。厚みの強い唇、簡潔な線などがとても印象的。極端な表現、行動、強烈なデフォルメ、感じる毒は相変わらずだが。

 昔は単純化な絵で大袈裟な決めポーズを昔の少女マンガな修飾をし、固めたような抽象性が高くシュールな感じだった。ヘタウマ(意図的なギャグ)という感じだったが完成度は光っていた。

 ストーリーが非常にうまく、いじめなど重い問題を鋭く描く力もあるし、さりげない成長を的確に描ける。
 一癖あるいい男の造形がうまい。

 昔の少女マンガにあったような極端に星の多い目をギャグとして使う事も多い。
 他にも人間の悪い面をデフォルメする、意味不明に熱く爆発するなどかなり下品で多彩なギャグがとても切れる。


代表作

95「フコウをぶっとばせ」
 男の子を好きになったりしたら不良として村八分と言うルールに縛られている美和ちゃん。あるきっかけで標的になり、散々いじめ抜かれるけど、彼の励ましで勇気を出す。ありそうで誰も正面から描く勇気が無かったいじめと言う重いテーマを真正面から描いた。

95〜96「天才ことばちゃん」
 自称天才(本当は乳児期の知能が高かっただけで、知識レベルや受験問題回答能力が極端に高いわけではない)のことばちゃんがお受験に挑戦。そんなもの天才には楽勝、とうそぶくがテスト結果は無情。
 でも天才の意地に賭けて開青(開成は男子校だが)挑戦!お受験をテーマにした暴走ギャグだが、大きく見ると深い。

99「マリジュン」単行本全一巻。
一卵性の五つ子で、男の好みも同じなため彼氏なし、しかもその中でも抜けている麻里。かっこよくておぼっちゃまな5つ子の男子と出会い、麻理以外は相手を見つけたけど、麻理の相手になるはずの淳吾は下品で髪は緑色、女子にも平気で暴力を振るうしとんでもないヤツ。でも、お互いに始めて自分を他の4人から見分けてくれた。

2000「セ☆ブ☆ン」単行本全一巻。
 久里浜あんじ、天才的少女エッセイストにして大アクセスホームページの持ち主、そして人気小説家、藤巻耳丸の娘。ある人に会いたくて、芸術学科のある代官山中学に入学!
 でも、そこでは親が有名人の生徒を対象にした、激しいいじめが行われていた。誇張された、そしてとてもストレートな情熱にあふれている。
 絵も大幅に洗練されており、感動をストレートに伝える事もできている。特にサニーという失語の男の子の、純粋な魂の美しさを絵だけで伝えたのは見事。


今までの実績、現在の地位

 デビュー当初非常に注目されており、「るんるん」では連載レギュラー。
 「なかよし」本誌にも繰り返し読み切りが掲載されていた。もう少し運がよければ95年頃にはレギュラーになっていてよかった。

 少し遅れて本誌連載にも入ったが、連載は最近やっていない。増刊では非常に質の高い読み切りを描いていたが、そちらの出番は最近少ない。

 また「なかよし」の読者ページ「なかよしっこパラダイス」のカットも担当(だからレギュラーに入れた)しており、「キッズステーション」の「ビバ!アミーゴ」の「なかよし」コーナーにも。
 ほとんど単行本化されていないが、読み切りを含めると作品量がかなり多い。

「なかよし」に出なくなってからは各所で活躍、ついに「CAとお呼びっ!」(ビッグコミックスピリッツ掲載)はテレビドラマにもなった。


個人的な感じ、思い出

 大胆に抽象化された絵と乱暴なギャグでかなりついていけなかったが、本誌連載をきっかけに絵が洗練されてきて、大幅に読みやすくなった気がするし、そうして虚心に読むと分かる、高い力に驚いている。

 昔の作品も読み返してみると名作ぞろいで、こんないい表現があったんだ、昔はわかってなかったと驚かされている。
 特に「なかよし」で描いていた最後のほうの読み切りは素晴らしい名作ばかりで感動している。

 その後の活躍もすばらしく、ドラマ化には驚きつつ素直に祝福している。
 やはり才能は本物だった…