桜倉メグ (さくら めぐ)

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作風概説

 重みと肌の張りを強く感じる、高級磁器のような柔らかさと細やかさを兼ね備えた美しい絵。柔らかく温かい印象、柔らかな生命感が全体から伝わってくる。
 はかないまでに美しい印象も、柔らかな色気も柔軟に使いこなす。
 感情表現、心の組み立て全体も豊かで丁寧。
 体をどの角度から見ても素晴らしく美しく、目を奪う。
 背景などの書き込みも非常に細かい。猫の描写が非常に写実的で、動きの可愛らしさが細かく描かれている。

 すさまじいところも思いがけない表現で描き切る。

 話はスタンダードな印象で緻密に積み上げられ、とてもまっすぐ。
 読者の視点を操るのがうまく、画面構成や演出がとんでもなくうまい。


代表作

2009「5月の恋ひこうき」
 気が弱くて断ることができない宮田さんは応援団に憧れているが、自分には無理だと書きかけた入部届けも捨ててしまった。
 でも応援団の矢崎くんとぶつかった拍子にそれを見られてしまって、強引に入部させられてしまう。
 彼が紙飛行機の形でくれる励ましに支えられ、必死でついていくけれど、彼が先輩を好きだという噂を聞いて…
 スタンダードに徹した、それだけに高い力量を見せつけたデビュー作。

2009「スマイルアルバム」
 小学校の卒業アルバムに変な顔で移ってしまった紺野亜弥ちゃんは写真が大嫌い。蒼井くんがそんな彼女を撮りたいと迫ってくるけど…
 笑顔やフィルムカメラのすばらしさをまっすぐ語る彼がなんとなく気になるが、彼の転校を知って…

2012「夜色猫はキミだけにワガママに」
 遠野結衣ちゃんは小さい頃両親を亡くし、兄と二人暮し。
 その兄は変な発明家で、朝からネコ耳がどうこう興奮して叫びまわっている。
 そんなある日、ひどい状態の捨て猫を見つけた。
 翌日、あこがれの千架くんに、猫のことで興奮気味に話しかけられる。
 だが、帰ってみると、そこにはネコ耳尻尾の、裸の男の子が…兄の発明のせい、それも戻れないとか。
 千架くんと急接近し、何度かデートするようになる。三人で遊びたいとも思うけど、レンくんは外に出たがらない。
 そしてあるとき、デートを邪魔されて怒った弾みで、レンくんにマタタビ粉がかかってしまい…

2013〜14「170cm☆オトメチカ」
 170cmの長身、中学一年女子、姫野乙女ちゃん。
 彼女の家は弱小モデル事務所で、唯一の所属モデルの花村可憐さんに舞台の仕事が入った。
 町を歩いているとき、いきなり小さいパンダのぬいぐるみが動いているのを見てしまい、次の瞬間それが大きくなって襲いかかり、次の瞬間また小さく…
 そして落とした生徒手帳を、パンダのぬいぐるみをプリムローズと呼ぶ謎のイケメンに拾われた。
 そいつはとなりの高等部に突然転入した、天才画家の天宮七緒で、いきなり体育館にやってきて乙女ちゃんをさらっていってしまった。
 父親が倒れ、事務所はつぶれると決まる、だがそこで乙女ちゃんが奔走し、そこに天宮くんが強引に動き、乙女ちゃんをモデルとして舞台に立たせてしまう…

2015〜「探偵チームKZ事件ノート」(原作:藤本ひとみ/住滝良:講談社 青い鳥文庫)
 運動も勉強もできる、秀明ゼミナールのエリート集団KZ…
 同じ秀明ゼミナールに通っている立花彩ちゃんはある日、自転車で走るKZのメンバーにぶつかりかけた。その時のメンバーの対応に、ちょっとイメージが崩れたが…
 ある日、国語だけが優れている彩ちゃんはクラスを変わることに。そこはKZメンバーがいた…
 男の子ばかりの中に女の子一人というだけでかなりつらいんですけど。
 でも、彼らの心を開いたあり方に影響され、少し態度を変えたら友達もできそう…
 そんなとき、奇妙な事件が起きて「探偵チームKZといっしょに大事件を解決してくれ」といわれる。
 とても丁寧なアニメ化決定作のコミカライズ。

2018〜20「秘密のチャイハロ」(原作:鈴木おさむ)単行本全8巻。
 運動・勉強とも優れているが貧困層の愛川愛ちゃん。父親が女を作って逃げ、母は事故で激しい労働ができない…
 貧困はいじめにもつながり、心が砕かれていく。
 ある日、ある教師が「秘密のチャイハロ」…チャイルドハローワークに連れてきてくれるが…

2021〜「偽り姫の内緒ごと」(原作:雨川透子)
 (中華風異世界)凛翠国。国一番の劇場「翡翠座」のトップ女優、璃都はいろいろと課題をこなし成長を続いている。座は厳しいけれど…
 あるとき、お使いのはずが多分ライバルの刺客に襲われ、それを撃退した美形に眠らされ…従えでなければ殺す、死んだ人を演じるように、と…


今までの実績、現在の地位

「地獄少女 閻魔あいセレクション 激こわストーリー 悪」で単行本デビュー。

 2012年、前後編の大型読みきりで本誌登場、2013年本誌連載。外の原作作品でかなりの長期連載をこなし、また別の原作者で連載復帰。


個人的な感じ、思い出

 あまりにまっすぐな正統派ぶりにむしろ驚いた。
 このままとことんまっすぐやって欲しい。正統派はいいものなのだから…
 もちろん、何より自分が伝えたいことをまっすぐ、恐れずに出して欲しい。

 本誌登場作品の完成度の高さにあらためて驚いた。もう、どんな作品にも対応できる実力はあると思う。
 本誌連載は順当そのもの。どれほどの成功でも当然、というぐらいの実力の高さ、だからこそその実力でもきついぐらいの挑戦をして欲しい。
 連載後しばらく出番がなかったのは憤っていたが、アニメ関連で出てきたのがすごくうれしい。

 連載は、最も嫌いなパターンの作品なので…正直、これほどの作家をこんな形でしか活用できないのか、と絶叫したくなる。確かに資質のある部分(強さの表現)は合っているにせよ…

 作家としては最も高く評価しているので、作品に恵まれてほしいと思っている。