瀬崎ちか (せざき ちか)
作風概説
元気で安定感がある。固い感じが最初あったが、とても柔らかく色気豊かできれいな絵になってきた。最新作での柔らかい感じはそれこそふんわり甘いホイップクリームのよう。
表情は豊かで、表現も多様で楽しい感じがする。かなり激しく暴走したシーンもいける。
背景描写などもかなりしっかりしているし、バスケシーンもうまいほう。料理の緻密な描写もすばらしい。
ほわっとした可愛らしさもあるし、必要があれば女子の体型も強調できる。
ストーリーは無駄なく核心に切り込むのもあり、また叙述ミステリのように細かな仕掛けを無数に散らしたどんでん返しもできる。わかりやすさとテンポのよさは肩がこらずに楽しく読める。わかりやすい繰り返しギャグもいい。
キャラクターもはっきりしているし、ちびキャラもバランスよくとてもかわいらしい。
代表作
2004「だって 好きだから」
中学校時代、バスケばかりでつまらないからとふられた千葉翔子ちゃんが、高校に入ってから少数精鋭バスケ部のマネージャーを強引にやらされることに。
ほめても振り向きもしない九条くんに少し腹が立ったけど、ダンクシュートを決めた彼の反応は…照れ屋?
などと考える間もなく多忙なまま試合が迫り、ふっと階段から落ちたのを九条くんが助けてくれて…彼は足を捻挫。
責任を感じるなどで髪を切って男子として出場しようとしてしまう翔子ちゃんに、みんなは「そこまで背負い込まなくていいんだよ おれたちを 九条を信じて―」と笑いかけた。そして怪我を押して出場した九条くんの活躍で…
とても熱い心が伝わってくる、さわやかなデビュー作。
2004「雪うさぎ」
大雪の日、今日こそ告白する決意をして元気に家を出た楓ちゃん。
その日は大雪で実は休校、好きな和泉くん以外誰も来ておらず二人きりになり、自習したりトランプしたり…
まるで別の世界のような二人きりの教室。抑えられない思い、でも吹雪の中かすかな違和感も…
先生が和泉くんを車で送ろうとするが、楓ちゃんはつい和泉くんといっしょに隠れてしまった。
見事などんでん返しと深い心理描写が光る傑作。
2007「ラブ×ダイエット」
愛佳ちゃんは思い切り太ってしまったことを、水泳シーズンが始まって去年の水着がきつく腹も出てしまっていることで自覚してしまった。ちょうどそのとき、隣の部屋の同級生、新之助に見られてしまって最悪!
大好きな雅和くんが細い子が好きだと聞いて、ダイエットを決意するけど方法がめちゃくちゃでぜんぜんやせない。
それで倒れたとき、新之助がわざわざダイエットについて調べていろいろ忠告してくれた。
でもある日、愛佳ちゃんを太っていると雅和くんが言って、それに新之助が怒って大喧嘩…
2008「ナイショのお姫さま」
この学校には姫と王子が存在する…緑地みちると鷹取くん。ある日鷹取くんがみちるちゃんに告白してきたけど、断った…スーパーの特売にいけないから。そう、みちるちゃんは実はお嬢様ではなくやりくり上手の超貧乏だったのだ。逆に鷹取くんは大金持ちの御曹司だったりする。
翌日、断ろうとしたら写真を見せて脅迫してきた!告白も、単に女に言い寄られるのがウザい、誰もが認める彼女がいれば、というだけ。
それからなぜか彼が貧乏ライフを見学しについてきて、卵かけご飯をごちそうしたり、結構楽しくもなる。
だが他の女子からの意地悪と脅迫が…
2009「ゴースト・キッチン」
食べることが大好きな愛ちゃんがある日、家庭科室の噂の幽霊を友達に誘われて見に行き、一人だけ空腹で倒れてしまった。
気がついたら素晴らしい料理が並んでいて、食べたらおいしい。そこにいたのは雑誌で見たことがある三ツ星最年少獲得有力候補の天才少年シェフ、生瀬久留米くん…の幽霊だった。
彼に取りつかれた愛ちゃんが帰ると、そこには冷たい感じの小さい女の子がいる。愛ちゃんの姪の由真ちゃんで、その両親が忙しいので預かっている…そしてお菓子しか食べない彼女を心配するけど、由真ちゃんの母親は手作りの料理に込められる愛情を骨の髄までわかってない…
それでクリスマス、前もそうだったけど久留米くんが愛ちゃんの体にのりうつって料理を作ることに。
ふわっとした絵柄と不思議な面白さ。
今までの実績、現在の地位
作品数が少なく、しばらく登場しなかったが久々に登場。その後結構登場頻度が多く、「地獄少女 激こわストーリー 罪」で単行本初登場。
個人的な感じ、思い出
この熱さはいい!
デビュー後第一作では少し華を入れようとしすぎたのかな、と少し違和感を感じたが、ストーリーと構成はすばらしかった。絵もこれからどんどん成長して、いいところに安定すると信じている。
あまりにも出てこない期間が長く、半ばあきらめかけていたので再登場がとても嬉しい。少し絵柄が不思議な方向に変わっていたが話自体はとても面白かった。
これからもっと出てきて、いろいろな変化を見せて欲しい。