立樹まや (たちきまや)
公式サイトあり、リンクへ
作風概説
とても柔らかい、質感のあるタッチ。表情が豊かで画面がすっきりし見やすい。必要なところでは、細部に印象を惹きつけ強烈な色気を出すこともできる。
ギャグに近い表現も巧みで、話に自然に入る。空間の使い方もうまい。
温かい笑顔がとてもほっとする。
かわいい雰囲気でのんびりいくところも読んでいて心地いい。
印象的なシーンを作るのもうまく、話の組み立てや感情表現もしっかりしている。光の使い方がうまく、映画的な印象も。
ストーリーが大胆で力強く、丁寧に心の動きを作り上げる。細かな伏線の組み方も実にうまい。
代表作
2011「色づくハート・ヒート」
小宮映優、中三、生活委員の委員長…でもかなりのドジ。対照的にしっかりしているのが一組の委員、木和田くん。
ある日、荷物を運んでいる最中ぶつかりそうになった上手伝ってもらって、少し近づいた感じがした。
ただ、それ以来すぐに謝る癖を、彼が責めてくるようで…
2011「センチメンタル×センチメートル」
168cmとクラス一長身の美濃部みのり(中二)ちゃん。
最近、クラスメートの佐竹武蔵がよく自分を見ている気がするが…と思ったら予想以上に情熱的な告白。だが彼のほうが身長が低いことなどから、その言葉を信じられず「からかわないでよね」と返してしまう。
2012「理科室のふたり」
安見ミキ、中学二年生。とにかく人気者なのは、家が芸能プロでサインもチケットも朝飯前だから。
唯ちゃんだけは、そのことを叱ってくれるけれど…
ミキちゃんがある日まかされた、カッコいい男子中学生の企画。唯ちゃんがよく理科室に、カッコいい人といるという話が出る。
彼をエントリーさせたいと思うけれど、唯ちゃんはそれを拒むので、いじめ行動さえしてしまうが…
2013「ドロボー猫の5分間」
明るい髪色と派手な美貌で、「泥棒ネコ」と怒鳴られるのももう慣れた霜田絢ちゃん。保健室の常連でもあり、野球部によく来る男の子の手当てをしてやることもある。
ちゃらい男に絡まれそうになったところを、また来たその子…葉山くんに助けられる。
それからよくテーピングをするようになり、閉じこもっていた保健室から、「外」…グランドに引き出されて、野球部のみんなのテーピングもしてやり、見直される。
そして、テーピングを習いに来た野球部のマネージャーが、葉山くんとつきあっている、と聞かされて…本当に盗みたくなる。
「内」「外」と明白なテーマがあり、タイトルもうまく絡み、精緻な心理描写の積み重ねから鮮やかなラストにつなぐ、とても真っすぐで切ない最高傑作。
2013〜14「塾セン」単行本全二巻。
(大学までエスカレーター)花菱女子学園バスケ部キャプテン、原口莉彩、中学三年生。超弱小。
負けた帰りにふと見かけたバスケゴール、そこに座っていたスーツ姿の男性が少し気になる。
そう思ったら、そこは「唐草寺子塾」で、体験入塾と勘ちがいされて誘われた。
まったくやる気も無かったが、なりゆきで一週間に延長されてしまう…
そこが、成績だけでなくバスケも強い麻葉高校への高い受験実績があることを知って…
「雨空のち君のそら」
熱心な女子ソフトボール部員の剛田そらちゃんは、泣いていたとき見ず知らずなのに無言で助けてくれた北高の制服の男の子が気になっている。
でも女らしさとは程遠い自分を思えば、とてもアタックなんてできない。
ある日友達が、別の学校の制服やウイッグを持ってきて変身させてくれた。さらにバスで例の彼の隣に座ってしまい、寝て寄りかかってしまった彼は謝った上に自己紹介して家まで送ってくれることに…
今までの実績、現在の地位
「地獄少女 激こわストーリー」で単行本デビュー決定。むしろホラー方面で活躍しているが、非ホラーでも本誌に登場した。
2013年、ついに本誌連載。
ニコニコ静画での競作企画でも一位で本誌掲載と高い実力を誇る。
個人的な感じ、思い出
完成度の高さは驚くほど。
後はどっち方面でも、思い切りはじけて欲しい。
じっくりと手記コミックスで実力を高め、素晴らしいオリジナル作品を発表した。もう何も心配はない、思う存分実力を発揮しつくしてほしい。
それができる、いい作品…天の時・地の理・人の縁に恵まれるよう、祈る思いだ。
本誌連載はとても嬉しいし期待以上だった。表現力の高さは圧倒的で、ここ何年の最高傑作と言い切れる。
次の作品がすごく楽しみ。