用語集
これは僕の、私的用語集です。他では通用しない、僕の独り言や講義の中で出てくる用語です。講義の中では新しい言葉は極力定義するようにしていますが、分らない事も多いでしょうし。
- 13×3
=39産休のことです。
- 読者エゴ
読者が本質的に、特に作家に対して持つ、「**の作品が読みたい!」というエゴイズムの事です。例えば作家が病気になった際には、もし私的にも親しくて本心から、作家本人を思いやっているのなら、一時連載を休んででも作家の健康を優先させるはずですが、単なるファンはそうはならず、ペンやキーボードでは何と言っても内心は作家が体を壊そうとどうなろうと、面白い作品が毎月手元に届けばいい、その本音が読者エゴです。
- からかい役
少女マンガでよく見られる、主人公に恋愛についてからかって、その結果恋愛感情を顕在化させる助けをしたり、告白するきっかけを作ったりする役です。
- 91年組
91年前後に新人賞デビューしたレギュラーメンバー。立川恵先生、野村あきこ先生、川村美香先生、小坂理絵先生らです。
- 97年組は、僕はえぬえけい先生、征海未亜先生、月原早紀先生、恵月ひまわり先生らを指しています。
- 86年組は武内直子先生、猫部ねこ先生、あゆみゆい先生、片岡みちる先生、高瀬綾先生らが特に有名です。空前絶後の、まぎれもなく最強のメンバーでしょう。
- ちなみに91年組と97年組に挟まれた年代にも、毎年素晴らしい絵と表現力を兼ね備えた多くメンバーが出ています。でも・・・この代が一番割を食っていますね。失われた世代と、どうしても呼んでしまいます。
- 時代区分;なかよしについて、その全員サービスや巻頭カラーのローテーションより、
- 92年〜93年後半;第一次二巨頭時代。
「ミラクル★ガールズ」と「美少女戦士セーラームーン」が他を寄せ付けない人気と巻頭カラー占有率を誇っていました。
- 94年10月〜95年11月;第一次四頭体制。
「セーラームーン」、「魔法騎士レイアース」、「怪盗セイントテール」、「ようこそ!微笑寮へ」の四作品がしっかり読者を引き付けていました。
アニメの本数も多く、91年組の台頭も感じられ、なかよしの未来が楽しみな時期でした。
- 95年12月〜96年10月頃;第一次六頭制。
上記四作品に明確にレギュラー入りした91年組の「タイホしてみーな」と「プライベートアイズ」を加え、一層広がりのある時代でした。大きいお友達には一番受けた時代かも?
- 96年12月〜97年2月;第二次四頭体制。
「セーラームーン」「カードキャプターさくら」「デリシャス!」「あわせて一本!」の四作品が中心になっていました。
- 97年3月〜6月頃;第二次六頭制。
セーラームーン完結という大事件から、激しい混乱が起きています。「カードキャプターさくら」「デリシャス!」「あわせて一本!」「夢幻伝説タカマガハラ」「すてきにディッシュアップ!」「とんでもナイト」が中心的でしたが、はっきり言って混乱が激しくてどう考えていいかわからない時代です。
- 97年6月〜12月;第三次四頭制。
「カードキャプターさくら」「デリシャス!」「ミル・フルール」「夢幻伝説タカマガハラ」を中心にしています。
でもアニメ化できる人気作に恵まれず、求心力が無い時期です。苦しい事に若手の登用も停滞し、本誌に登場した桜井明子先生や森下津嵩先生も連載は始まらないし、辛うじて安藤なつみ先生に可能性があるか・・・?といった所でした。
- 98年〜99年10月;第二次二巨頭体制。
「カードキャプターさくら」「だあ!だあ!だあ!」この二作品が絶対的に巻頭カラーを独占しています。
若手が出てきた時期でもあります。安藤なつみ先生、神崎裕先生、桜井明子先生、えぬえけい先生、征海未亜先生らがレギュラーに加わり、高瀬綾先生、猫部ねこ先生、秋元奈美先生が作風をがらっと変えて復活したこともあって、一層混乱が激しくなってきています。さてこれからどうなるのか・・・。
- 99年10月〜2000年8月
やはり「カードキャプターさくら」「だあ!だあ!だあ!」が中心になっていますが、「B-ウオンテッド」「うるきゅー」「電脳少女Mink」「ぜんまいじかけのティナ」も人気があります。また、従来の顔見せ読み切りの慣習がなくなり、新人、若手作家のいきなり連載が普通になっています。
- 2000年9月〜2001年8月ごろ
ポスト「カードキャプターさくら」時代で、長期連載を中心にした時代です。
えぬえけい先生「B-ウオンテッド」、征海未亜先生「東京ミュウミュウ」、川村美香先生「だぁ!だぁ!だぁ!」が中心になり、それをフクシマハルカ先生「おとなにナッツ」立川恵先生「電脳少女Mink」秋本奈美先生「うるきゅー」などが支える形になっています。どれも非常に長期で、作家陣が類を見ない安定度を示していました。どの作品も基本的にアニメ化を狙える構成ですが、結局アニメとして成功しているのは「だぁ!」だけだったのも印象的です。
- 2001年秋〜2003年夏
「娘。物語」と「東京ミュウミュウ」が中心です。個々の連載期間は比較的短いですが、安定感もありました。
- 2003年夏〜2004年春;帝政。
表紙、巻頭カラーなどでは「ぴちぴちピッチ」が非常に強いのが特徴です。
これまでのように、二枚以上の看板になれる作品が見当たりません。コゲどんぼ先生、安野モヨコ先生の連載など混迷が深まっています。新編集長になったことも注目です。
アニメが「ナージャ」と「ピッチ」に変わり、次々にレギュラーが交代しており、菊田みちよ先生の「まもって!ロリポップ」が強くなっています。
- 2004年夏〜2006年春
2005年の「ピッチ」終了で混迷しましたが、安定した長期連載となったコゲどんぼ先生「かみちゃまかりん」、安野モヨコ先生「シュガシュガルーン」が強く、外部企画ですが小鷹ナヲ先生の「きららプリンセス」が加わった外三頭体制といいましょうか。他も長期連載が多いです。
別冊付録や増刊の増加で新人が急速に伸びています。
- 2006年春〜
PEACH-PIT先生「しゅごキャラ!」が圧倒的な支配力を持った時期でした。
また「地獄少女」のヒットの影響が非常に大きいです。
新人の活躍はせいぜい「小川とゆかいな斎藤たち」程度でしょうか。結局はメンバーががっちり固定化されて入る余地はなくなりました。本誌連載枠より多い固定レギュラー層があり、毎号どれかを休載させて回しているし、連載終了新連載も結局は同じ作家です。
「地獄少女」「キッチンのお姫さま」も外部原作、それにコゲどんぼ先生、安野モヨコ先生、PEACH-PIT先生がいるので生え抜き作家のオリジナル作品がほとんどない状態が続いてしまっています。
- 2008年春〜2010年春
「しゅごキャラ!」の独占、「サファイア」はありますが徐々に「妖界ナビ・ルナ」「わたしに××しなさい!」「ARISA」の三作品の人気が強まり、ご病気による安野先生の事実上の撤退、「かみちゃま」シリーズの終了がどんな影響をもたらすでしょうか。
そして2010年、「しゅごキャラ!」の連載終了がどんな結果につながるでしょう。
- 2010年冬〜2015年夏:とおやまつり+外部作家
柱は「わたしに××しなさい!」。
遠山えま先生の作品が、「わたしに〜」のみならず「かみかみかえし」など複数使っており、ちょくちょく一号に複数の遠山作品が掲載される「とおやまつり」が行われています。
大量の、外部作家を主とする新連載を投入しています。何がしたいのかわからないレベルの無差別無節操。ただし増刊で連載などして実績を積んでいる作家はほとんど本誌連載がない状態です。ベテラン作家がすぐに連載に復帰するのも変わらず。
- 2016〜2023年末:「さくら」+とおやまつり
「カードキャプターさくら
クリアカード編」という衝撃。そして十年近く、それに徹底的に頼り切る。
さくら表紙の圧倒的なインパクト。それ以外に事実上何もない。
遠山えま先生の力も相変わらず大きいです。
それ以外に大人気になる作品が一切ないのが特徴でしょうか。ただし、やたらと長期連載は多いです。
- 恋愛感情の顕在化
パターン分類でよく使われる用語です。「自分は・・・の事が好き」と、自分の中の恋愛感情を言葉で認識できる状態になることです。
- 卒F
なかよしで書いていた作家さんがフレ0ドに移る事・・・です。
- 凶悪
僕の場合「大好き」を意味している、とあゆみゆい先生に指摘されました。その通りです。
- 三大指定暴力団
講談組、集英組、小学会の三つ。何回・・・ブラックエンジェルズに殲滅され、男塾の喧嘩のとばっちりを受けて代紋を奪われ、・・・・・・潰されても不死鳥のように甦ってくる、しぶとい組です。少女マンガにも場合によっては出てきます。
- しっとマスク
松沢夏樹「突撃!パッパラ隊」に登場する変態超人。バレンタインやクリスマスで嫉妬に駆られるとそれ自体生命を持つマスクに取り憑かれ、カップルに嫌がらせをして回る「しっと団」のリーダー。感想での僕もしっと団の一員で、現在試作段階の重火器をしばしば持ち出す(重火器は確か「行け!!南国アイスホッケー部(久米田庚治)」の三択老師の影響)。
- スタイル革命
なかよしにおいて90年代前半に起きた、作中の女子の体型の変化。それまではひたすら細く、胸の強調はなかったのですが、「きんぎょ注意報!」「美少女戦士セーラームーン」などをきっかけに、胸や腰の線の強調が激しくなってきました。
- 定冠詞つきネタバレ
「ゴーストハント」(悪霊シリーズ:小野不由美原作、いなだ誌穂マンガ)におけるとあるネタバレ。ファンサイトなど公的な場では厳禁されている、最も重要なネタバレです。
- 美少女コミックジレンマ
性的、暴力的描写を厳しく制限されている少女マンガ(や少年マンガ)で、それを破ることによって刺激やより生々しい表現を生むことです。手っ取り早く人気を得られますが、どうしても読者が馴れてしまうためエスカレートせざるを得ず、結局性描写の場合そのプロである美少女コミックにはかなわないので、自滅してしまう・・・そんなジレンマです。これは当然アクションにも言えます。
- クロスワールドパロディ
複数の作品を統合したパロディ。例えば「ドラゴンボール」の孫悟空を「美少女戦士セーラームーン」のセーラームーンらと戦わせたり共闘させたり、「キャプテン翼」のメンバーの精鋭、それも高校時代を集めたドリームチームと「シュート!」の掛川に試合をさせたりなど、想像だけで夢の対決を楽しんだりできます。欠点は出てくる作品全部に精通していないと楽しめず、読者を選ぶことと、キャラクターが確立されているため、全く作家としての修行にはならない事です。
- 初読時
僕は雑誌を大抵買ってすぐ一度読み、そして感想を書きながらゆっくり読み返します。その一度目を初読時と呼んでいます。もちろん初読時の感想と読み返す時の感想は異なります。読み返す時にはすべてネタバレされていますし、細かい部分の発見も多いです。
- 性を除去された
少女マンガの特にヒーロー格の男子キャラクターには、年齢的には第二次性徴の直後で現実には頭の中はHだけの年代のはずなのに、全く女子に興味を示さない、同居を始めどんなにおいしい状況でも冷然と女子を無視しており、無理に我慢している描写もないし同性愛者でもないのに異性に全く恋愛感情を抱いていない・・・そんなキャラクターがいます。それは我慢しているとか嫌われたくなくてカッコ付けているとかの解釈より、単純に性欲と恋愛欲両方、もしくは性欲のみを除去されたキャラクターと認識するのが正しいと思われます。
- 没
Dr.スランプより。だめだ、とかの意味でよく用いられます。
- 第一部完N
第一部完でも「なかよし」のほうです。なかよしでの第一部完は打ち切りを意味する週刊少年ジャンプと異なり、確実に再開されるものです。
- 脱皮
作家の絵柄が変わる事。デビュー作とデビュー後第一作の間の変化を孵化、最終的に絵柄が固まるのを羽化と呼んでいます。
- 公開告白
人前で告白する、特に学校の黒板に書かれた相合傘に名前を書きいれたり、放送室を使ったりと全クラスもしくは全校に聞かせる形の告白です。
- 同居、同棲、準同棲
同居は「同じ世帯の中で生活していること」と定義し、同棲は「同居状態でつきあっており、日常的にセックスもしている」、準同棲は「同居状態でつきあっているが、セックスはしていない」状態と定義しておきます。
- 男女交際
「男子と女子が、互いに恋愛感情を持っている事を宣言して交際すること」です。友人関係とは対外的、もしくは相互の意識の上で区別されます。必ずしも真実の恋愛感情を必要としないし、合意で肉体関係があっても男女交際ではない、ということもありえます。つきあう、と同義です。
- 秘密交際
周囲もしくは特定の人物に対して交際を秘密にした上で男女交際をすることです。
- 幼年少女誌範囲外
パターン分類で余りにもよく使われる用語。現在崩壊気味なのですが。
- 恋愛欲
恋愛をしたいという欲求。性欲と複雑に結びついています。
- 両片思い
男女が互いに恋愛感情を抱いているが、両方相手の気持ちが分らず、片思いだと思っている状態のことです。告白すればそれでOK、でもここからひっぱるのが楽しいです。
- 優先権
三角関係で、親友である二人が同じ人を好きになってしまった場合、先に友達で実はライバルである存在に、その人が好きと言ってしまったほうが優先権でもあるかのように、先に言われてしまったほうは実は自分も、と言えなくなります。
- キャッツのジレンマ
北条司「キャッツ・アイ」立川恵「怪盗セイントテール」などに共通する、本来の自分とかりそめの変身した自分が同じ恋愛の対象を取り合うような形になってしまい、しかも同一人物だと相手に告白できないジレンマです。「キャッツ・アイ」以前の作品にこの構造を持つ作品は思い出せないので・・・。
- 疑似姉妹
女子の親友で、非常に仲がいい、しかもどちらかが特にしっかりしていて社会的な精神年齢、成熟度等が高く、そっちに他方が強く依存している(現実には共依存関係)状態。一見仲睦まじいが両方コンプレックスや内心の恨みを押し隠している、三角関係などで不の感情が顕在化すると非常に危険な関係。
- 相手役
宝塚歌劇から採った用語です。あるキャラクターの恋愛の相手で、最終的に最も強い、両想いの恋愛感情で結ばれる相手を指します。
- 段階ギャップ
男と女の性的な成熟度が食い違い、男子が女子を求めるのを女子が拒絶するトラブルです。幼年少女誌では範囲外に近いですが、現実につきあっている中高生男女のトラブルとしては最重要です。
男子はもともと性欲の固まりであり、それを容易に意識できるし肉体的に成熟する以前にも周囲に対する見栄、背伸びなどで強く求める傾向があります。反面女子は性欲をはっきり意識することが難しく、又危険性が男子より大きいためと性差別やキリスト教的禁欲文化(何故ここにだけ定着したのか・・・)の名残によって性に対しては嫌悪を感じるよう教育されていることが多いですね。
求める心理になるのはかなり遅く、それも大抵は相手を思いやって、背伸び、見栄などずれています。そのずれが解決するには相当時間がかかるものです。
基本的には男子が一方的に求める事になり、それは当然女子の拒否にあい、その拒否を愛情の欠如と誤解すると最悪の事態になります。
- 絡まれ戦闘
女子が不良に絡まれ、男子がその不良と戦って救出する事態です。
- 浮気
誰かと交際関係にある者を巻き込む三角関係です。
- Like,Love
「気まぐれオレンジ☆ロード(まつもと泉)」からです。恋愛とはただ一人に対するものだと言う意味を込めた、情熱恋愛に当たる恋愛感情をLove,そうとは限らない、もっと広いもの、もしくは好意の延長と言う意味での恋愛感情をLikeと定義することにします。
- 家庭が機能している
家族の構成員相互の精神的な交流がある状態です。「相互の」ですから、お受験のために厳しいしつけや勉強を子供のためと称して(意識のレベルでは本気でそう思って)押し付ける、などは含みません。
- 四番打者
幼年少女誌で、正統派で一番絵が美しく、学園恋愛ものを中心に書いている作家。「なかよし」ではこれまで、あゆみゆいがあさぎり夕から引き継いでその地位にいました。「ちゃお」なら清水真澄か宮脇ゆきの、「りぼん」なら椎名あゆみから…?現在「なかよし」では安藤なつみがそれに近いですが、実力はともかく「正統派」自体の人気が衰退したためかつてのような人気はあるかどうか…
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