結翔 (ゆ か)

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作風概説

 ごく薄い、隙間の多いレースに白黒で映写しているような、さわやかな炭酸感。
 略した背景に妙に現実感があり、しなやかな印象を与える。むしろ水墨画の印象もある。

 人物は表情豊かで体も、オーバーアクションは少ないが表現力が高い。
 言葉がたくさんあり、的確に使いこなしている。 
 話の波が丁寧で、とてもしなやか。キャラクターの心理が恐ろしく深く丁寧に描きこまれている。
 ストーリーの深さが普通じゃない。とにかく切れすぎる。


代表作

2010「桜前線」
 ami…学生兼小説家、椎名亜美(16)、デビューしたばかりで今デビュー後第一作に苦慮している。
 そんなとき、いつもの公園で、「ami好きなの?」と聞いてくる作家志望の少年、篠原千爽(ちあき)に出会う。本人だといえないまま彼と話し、彼の純粋な姿にスランプを脱するが、逆に彼が執筆意欲をなくし…

2010「少年ブルー」
 ああいうのを見ると心底同情する…那音くんにとって、髪色で教師に目をつけられている吉成ちゃんは心にさざ波を立てる存在。
 友だちとの会話では相手に合わせ、教師の言葉には是非を問わず服従する…とにかく波風立てない生き方をゆるがせるから。
 男の子の立場から、学校生活の根幹まで深く深く底なしに切りこんだ衝撃的な最高傑作。


今までの実績、現在の地位

 デビュー作本誌掲載の注目株。


個人的な感じ、思い出

 あっさりした線だが不思議とスケールが大きい感じがする。
 いっそコーマック・マッカーシー作品のコミカライズぐらいやって欲しい。
 オリジナルでもとことん大きい話を!できると思う、小さくまとまってはもったいない!

 とにかくデビュー後第一作の深さとスケールはすごかった。