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作風概説
元がややラフ、もさふわっとしてデフォルメがうまく自然な感じ。キャラクターの頭身調整が結構細かい。全身像のスタイルなどは意外としっかりしており、体全体での表現がとても上手い。
丸みのあるコロコロした可愛らしさがとても読んでいて心地いい。
独特の暖かなリズムが非常に心地いい。
背景は少なめだがいいかげんではない。
ギャグが多くモブキャラ、動物が非常に単純。
ストーリーは意外と正統派で、心理分析もしっかりしている。
最近はかなり重い、思春期ならではの複雑な心情をマイナス面の多い主人公を通じて間接的な鋭さで描いた作品が多い。
非常に容赦のない面があり、独特のやや幼いがまっすぐな言葉で心情を直接ぶつけてくる。
代表作
2002「Vs.ボクシング」
いきなり幼なじみの京介を殴った空手黒帯の彩那ちゃんは、彼がボクシング部に入ったことが気に入らない。内緒というのも嫌だし、彼が痛い目にあうのもいや。だってカワイイ京介が大好きだから!
どうしても子供扱いしてしまう、したい、一生守っていくと決めた彩那は、京介が本気で頑張っているもなんだか嫌。
その理由に気がついた時、寂しさが押し寄せるが先輩が女といちゃついている京介をしめようと…ラブラブだが爆笑の鮮やかなデビュー作。
2003「ちゃいこ」
千佳ちゃんは大輝くんのタイプがロングへあの美人と聞いてショック。毎日頑張って髪もセットしているのに…
そして大輝の部活の先輩がものすごい美人だと知ってまたショック。バラのような先輩と、しろつめ草のような自分…せめて髪が早く伸びるシャンプーでも買おうか、と迷っているとき、大輝が白いボンボンがついた髪飾りを買ってくれた。
それは告白の時まで取っておきたいけど、大輝が先輩に告白しようかな、と言って…暖かく成長を見守る佳作。
2004「ジャンク」
犬、うさぎ、カメ、ハムスターなど動物大好きなあかねちゃんの家に、突然いとこの佐助くんがくることに。二人で暮らしているおばあちゃんが体の不調を訴え、きちんと病院で検査したい、とのこと。
昔いじめられたり、ついていって迷ったりいい思い出がないし、第一あの野蛮な男子である佐助くんとうまくやっていけるか不安…再開してみると相変わらず強引だし、おばあちゃんに抱きついたらいきなり叩くし。
でも、色々はなしてみたら昔の記憶も実は自分に都合よく改編していて、本当は彼は自分をいつも守ってくれていたし、自分がいつもついていっていたことを思い出す…
幼い頃の思い出と、ほんわかのんびりした空気の絶妙のハーモニー。極端にデフォルメされた動物、特にハムスターへの愛がひしひし伝わってくるのがまたいい。
2006「しょんぼりキック」
自分流行語が「だるい」「めんどい」「うざい」の里桜ちゃん。逆にちょっとおだてられただけで学級委員を引き受けてしまうような、明るい隆也くんのような人は苦手。なのに、なぜか学級委員女子を引き受ける羽目に…
自分が嫌いでがり勉扱いされるのも嫌い、昔いじめられていたことが辛くて仕方ない彼女を、強引に光の中に連れ出してくれる彼。
でも、少しずつ皆の評価も変わってきたとき、隆也くんが友達との会話で、「里桜ってすげーうしろむきだし」と悪口を…
重い痛みをありのままぶつけてきた強烈な傑作。
2006〜「虹色パレット」
噂か陰口ばかりの毎日、つまらない…そんな雅ちゃんがふと、絵ばかり描いていて女子のグループにも入らない木花さんが気になった。彼女といつも一緒にいる国本颯くんも、特にその双子の兄の昴くんは優しくて女子にも人気なのに。
雅ちゃんも国本兄が好きなんだけど、そのことは絶対いえない…
ある日、たまたま蹴った空き缶が木花さんにぶつかったのがきっかけで彼女や颯くん、そして昴くんとも仲良くなってきて…この人たちはちがう、本当に仲がいいんだ…
現代の子供たちの嘘に満ちた人間関係を冷徹に暴きつつ、熱く本当の世界もしっかり描く期待のシリーズ。
2007〜8「プチっと!てのりくま」
サンリオのキャラクターコミック。
いくつもの、身長四センチだけど動いて話すてのりくまさんたちといっしょに、父の夢だったコーヒーショップがやっと開店!
ちびキャラの魅力が縦横に弾ける、最高に楽しい作品。
2009「あずきパティシエ」
洋風の可愛いのが大好きな和菓子屋の娘、愛菓ちゃんはいつも頑固オヤジとケンカしている。
そんなとき、隣のケーキ屋の大洋が弟子入りに押しかけてきて、交換するように家出する。
互いに相手の家を手伝いながらいろいろ学んでいくけれど、どちらも自分の親が大好きで、子供なりの理想を持っていることが…
待望の新シリーズ!
2011「すろーらいふ」
双子の姉・樹と弟・聖(こうき)。朝起きたら「旅に出る。強く生きろ!父&母 PS.数年は帰ってこない」と…それで田舎のおじいちゃんのところへ。
口下手だけれど優しいおじいちゃん、小さい田舎学校の、年齢混合学級の子供たちと、のんびりゆったり四コマ。
2014「4時44分のしおりさん」
悪い子が大好物のお化け、「しおりさん」の絵本を久々に読んでいる舞桜ちゃん。彼女ももう中学生になる。
むろん小さいころに読んでいた絵本とバカにしていたが、その夜突然「しおりさん」が出て、怯えて甘やかしてくれるおばさんのところに泊まるが…
今までの実績、現在の地位
じっくりと実力をつけ、「ネクスト☆ジェネレーションで本誌にも登場するなどとても人気があり、単行本も出たし増刊での連載もあり。
「なかよし」公式サイト・オンラインファンクラブのマスコット(極度にデフォルメされたリス)も担当。
かなり長いこと「てのりくま」だったが、またオリジナルの新作が出て増刊連載も。
2011年、いきなり増刊で四コマ。
2013年末、ホラーオムニバスにも参加。
個人的な感じ、思い出
デビュー作はとにかく笑えた!終盤の先輩たちが追いつめられるシーンは腹筋を硬直させて爆笑していた。
さらにラストシーンで、ラブラブ少女マンガでありつつその下では…文句無しに面白かった。
今そのリズムの魔術が評価されているのはうれしい。
非常に繊細な作風だと思うが、意外な方向に伸びているのがとても嬉しい。
増刊でのシリーズも楽しみ。
この作風をどう本誌で活かすかは難しいと思うが、うまく使えればすばらしい力になると思う。
オリジナルの待望の新作はすさまじかった…なんとも評価できないほどに。
そして増刊連載だけれど久々の人間大作品、涙が出そうなほど嬉しかった。もっと活躍していい作家だと思っている。