次期Athlonが0.18μプロセスに移行する影響か、ローエンドAthlonに上位Athlonのコアが使われています。
39週以降のAthlon 500MHzには650MHzコアが載っているようで、ロットによりL2の質が違うという話。
42週を狙って500MHzリテールを購入しましたが、残念ながら41週の物でした。
話が前後しますが、事に至った経過を説明します。
最近ではEverQuestやNFSHSなど、450MHz+G400で不満が残るゲームが増えてきました。
M/Bを2枚駄目にして、OCであまり良いことがないのは十分分かったつもりですが、まともにハイエンドCPUを購入すると8万円前後の軍資金が要ります。
M/BもP3B-FになったのでCoppermineを待っていたのですが、800MHzは来年以降、1GHzはまだまだ先のようです。
OC耐性、しやすさで人気の600E(100*6)の133MHz動作も良いのですが、多くの人が狙っている上に品薄で来年まで入荷無しという話。売値もCPU単体で5万円以上します。
600Eも発熱で800動作に到達しない物もあり、メジャーなのでちょっと面白くありません。
そこでAthlonに目を向けますと、以上のようなおいしそうな話がありまして深く考えず購入。
Athlon+M/B購入で余っているケースに今のP2+P3B-Fを移行できるし、ASUSのM/BでOCも簡単だろうと思ったのですが・・
2.買い物
家に帰って箱を開け、ロット番号を確認してみると41週物のようです。
42週物には650MHzのコアと3.1nsのL2という、倍率以外650MHzと同等品があるらしいのですが、私のは41週。
まぁ650MHzコアなら700位行きそうだし良しとしましょう。
まずP3B-FをK7Mに交換。
K7Mの欠点(?)AMRスロットですが、USBを2ポートを引き出せるオプションカードがついているので、これで埋めればok。USBが計4ポートになります。
500MHz定格で起動して様子を見ます。
しばらく定格で動かして気づいた点は、
・PS/2マウスが使えない
・Win98起動時に画面が化け、一度セーフモードで立ち上げてディスプレイドライバを消し、Windows98を起動して再インストールさせて再起動が必要な場合がある
という2点です。
PS/2マウスの問題はマニュアルを確認してジャンパやBIOSをいじってみたのですが、さっぱり動きません。しょうがないのでシリアルに変換してシリアルポートに接続。(応急処置)
画面が化けるのはAthlonM/BだかAthlonで言われているグラフィックカードの相性問題て奴かもしれません。
一応直ることは直るのでひとまずおいとく。
3.そんな甘くないわけ
というわけで、定格動作を確認したので早速OCしてみます。
K7MはFSBが100〜150MHzまでBIOS設定が可能です。
しかも100〜133までは1MHz単位で変更可能。こいつぁすげえ。
と喜び勇んでFSBを上げてみましたが、106MHz以上では全く安定しません。106 x5 = 530MHz。
掲示板を漁ってみますと、K7MはFSBが全然伸びないという話が。
考えが甘かったというか、下調べが不十分でした。
BIOSでFSB上げて、そのうちPC133 SDRAM買って、最高133 x5 = 665MHzとかそこそこに使えればいいや、とか考えていた私にはかなりショックがでかい。
FSBが上げられないとなると、残る方法は倍率の変更のみ。
しかしAthlonの倍率解除には例の「基板上の抵抗移動」が必要不可欠なのです。
まぁ、FSBを上げるよりも(CPU以外OCにならないので)安定するのですが・・
4.倍率変更
Athlonは、CPU基板の特定の抵抗の位置を変えると、倍率変更が出来るのです。
これが倍率固定が未だ破られないPentiumVと違ってAthlonの強み?なのですが、いかんせん敷居が高い。
半田付けされている抵抗を移動するとなると、失敗すれば物理的破損の可能性大です。
抵抗移動した後で、この倍率じゃ駄目だからほいほいと変更、というわけにも行きません。(要再移動)
Athlonの外殻を割り、中から基板を取り出して半田ごてとかでなんかするってのは、一般人にとって非常に辛いでしょう。
物理的改造は、失敗=死 の確率が高いです。
私はこういう危険なことは絶対しまいと思っていたのですが、倍率解除を行わないと530MHzでしか動作させることは出来ません。
30MHzのOverClockなんてしない方がマシですが、500MHzじゃあ元のPentiumU450MHzと全然同じ。今回5万円という大金をかけた意味がないです。
とりあえず41週のコアとL2を見ようということで、外殻排除。(俗に言う石割)
原型をとどめるのは無理そうなので、サーマルプレートと基板には傷を付けないようにニッパーでプラスチック部分のみ破壊。
これでSEPP celeronみたいな状態になります。
5.抵抗移動する?
というわけでほぼ650MHzと同じな事が判明。少なくとも650MHzでは安定して動くでしょう。
Webの情報では650コア、L2 3.1ns、アルファ製ヒートシンクで空冷850MHz達成と言う話ですので、ノーマルヒートシンクを使うのと常用することを考えて700MHz動作辺りが無難かと思われます。
しかし、500MHzはFSB200 x2.5で動いているので、700MHzは200 x3.5に倍率の変更が必要です。
で、問題は抵抗の移動。
チップの大きさ2ミリ位しかないのにどうするねん、て感じですが、ピンセットをコンロで熱してつまみ、素早く移動すると簡単らしいです。簡単ってもねぇ・・
Web上の抵抗と倍率の関係表を参照して、どのように移動するのか見てみますと、3個の抵抗をすぐ隣に移動すればx2.5→x3.5に出来る様子。
3回ならなんとかなるんじゃあ・・ というわけで実行を決意。胃が痛い。
6.抵抗移動する
準備はステンレス製のピンセット1個。先が細めのじゃないとチップが掴めません。グラスファイバー製は燃えてしまうので却下。
ピンセットにティッシュペーパーを巻いてガムテープで留めます。(手をやけどしないように)
ピンセット先をガスコンロで熱します。赤くなったらgo。
熱で半田が溶けて、余熱で移動先にくっつきます。失敗しても何度か挑戦すればなんとかくっつきます。
というわけで緊張しながらなんとか3つ移動。ふう。くっついてるぽいし。
これで動かなかったら何も買わなかったことになっていましたが、700MHzで起動。
次の問題は「本当に700MHzで安定するのか」です。駄目だとまた抵抗移動かも。
7.Athlon 700MHz(L2 1/2) 動作検証 99.11.16
前環境から持ち越した為かWindowsが不調になったので(起動が異常に遅い、プライマリIDEマスタのCDが見えない)、再インストールを行いました。
IntelliMouse explorerも買ってきました。英語版で税込\8000でしたが、付属ドライバも日本語で立ち上がり何の問題もなし。
format>Windows98インストール>Windows98SEインストール>環境再構築
という最初からの手順を踏んでみましたが、700MHzで問題なく通りました。
セットアップ最初のマウスカーソルが出るところで固まりましたが、これはBIOSのUSB Legacy Supportをoffで回避。
再インストール後の700MHz動作でのWindowsは体感で軽いのが分かります。かなり満足。
L2キャッシュは1/2動作しています。
ベンチマークは一通り取ることが出来、しばらく使用して動作を確認してみたところ色々と不具合が発覚してきました。
・IEで特定のページを見ると、おかしなアクセスが起きハング気味になる(以前他のOC環境でも体験済み)
・WinDVDでの再生が不可能(頻繁にハングアップ、読み込みに異常に時間がかかる)
・ゲーム(EQ,NFSHS)が途中で固まったりブルーバックになる
これでは常用マシンとは到底呼べません。どうにかしないと。
8.L2倍率変更 (1/2→1/3化)
CPUの発熱は問題なさそうなので(ベンチを2時間取った後でもヒートシンクの温度はそれほどでもない)、恐らくL2が350MHzの動作についていかないのかと思われます。
となると、再び手を入れてL2倍率の変更を行うのが吉。
早速実行。今度は慣れたせいか胃も大丈夫。
抵抗2つをずらしてL2倍率を1/2から1/3に変更。
これでL2キャッシュは700 x 1/3 =233MHzで動作していることになります。
700 x 1/2 =350MHzよりもパフォーマンスは落ちますが、これで問題ないはず。
と思いきや不具合続出。
エクスプローラは落ちるわ、EQは落ちるわ、マウス動作はおかしくなるわでもう大変。前より不具合多いのは何故。
もう駄目かと思ったのですが、よくよく検証してみるとどうもSonicImpactのドライバが悪さをしている事が発覚。
同環境でサウンドドライバ未導入ならば、問題なくNFSHSのリプレイが動き続けたので(寝てる間5時間程)、やはりサウンド関係だろうと確信。
その後SonicImpactのドライバをインストールしなおしてみましたが、途中で必ずブルーバックになるという症状に陥る。前もなったよなぁ、これ。
L2 1/2動作中にWindowsがどこかおかしくなったのかもしれません。また再インストールか。
9.ようやく安定? 99.11.17
これを機にLive!を購入。Live! X-GAMERは12500円程度でゲームが3つ付いているのですが、持っているゲームばかりなのでリーズナブルなSB Live! value bulkを購入。
Live!とSonicImpactを換装し、L2を1/3に落とした700MHz稼働でWindows98SEを再再インストールします。
環境設定を再び行い動作をテストしてみると、L2 1/2動作時の不具合は全て解消しました。
L2とソフトDVDデコードが関係あるのかどうか知りませんが、まともに再生出来るようになりました。
動作も今のところ安定しているように見えます。
3DMarkのスコアに注目(ベンチマーク参照)。低解像度でのパフォーマンスやCPU3DMarksは逆に向上しています。
650コアに+50MHz OCでFSBは100に据え置いてますし、熱・L2動作クロック共に余裕があるので大丈夫だと思いますが油断は禁物。しばらく様子を見ます。
残るは起動時にWin98画面が化ける問題。定格時に出ていた症状なのでなんとか解決しないと。
どうも初起動時に症状が出るのですが、K7Mでそういう話は聞かないし再現性もありません。
M/B,G400のBIOSを最新のものに差し替えたり、G400のドライバをCertainedに変えたりしましたが相変わらずです。
10.コールドスタートの問題 99.11.20
今度はハードウェア自体の問題。
MICROSTARのM/Bが一度回収されたり、リビジョンで大幅にレイアウト等が変更されるように、Athlonのシステムは未だ不安定なようです。
FW-K7VMのBIOSの変更点を見ていたところ、K7VMにもコールドスタート出来ないという不具合が残っている模様。つまり同じK7Mにも有り得るということです。
電源を入れ、Windows98が起動したあと画面が化けて止まる症状がそれっぽいです。
Win起動 | 電源投入時刻 | 備考 |
○ | 07:45 | 電源:Seventeam ST-301HR |
× | 08:03 | |
× | 09:28 | G400 BIOS 1.5-22,certained driver |
○ | 09:51 | |
○ | 10:12 | |
× | 10:30 | |
○ | 11:11 | |
○ | 11:27 | |
× | 12:08 | MaxtorのHDD外す |
○ | 13:30 | K7VM 1007 BIOS入れる |
○ | 13:42 | |
○ | 13:58 | |
× | 14:16 | |
○ | 15:08 | 電源をSeventeam300WからENERMAX250Wに |
○ | 15:25 | |
○ | 15:42 | |
○ | 16:00 | |
○ | 16:17 | |
○ | 16:34 |
一日かけて試した結果、電源を変えることで一応安定しました。
SevenTeamの300W電源では高確率で失敗が起きるので、これをENERMAXの250W電源に換装。
700MHzで安定し、FSB105の735MHz動作でも安定しているように見えます。
FSB106からはK7Mのせいか安定しませんが、FSB100に押さえればまだまだいけそうな雰囲気。
ということで更に高クロックでの常用を目指すことにしました。
650コアAthlon500は800MHz overで動いている例もあるようなので、一気にx4の800MHzを狙ってみることにします。
抵抗移動を終え、CPUをセットして電源を入れてみるが起動しません。BIOS画面すら拝めない状態。コアも熱くなってないし、こりゃやばいかも。
ひやひやしながら700MHzに戻してみるとまだ動くようです。
やはり650コアで800は無理か、ということで懲りずにx3.75設定で750MHzにチャレンジ。
200x3.75=750MHzでWindows起動。
デフォルトのVcore 1.65VではWindows起動後のNortonAntiVirusでブルーバックになるので、K7Mのジャンパで1.75Vに昇圧。
昇圧後は安定しているように見え、Vcore 1.75V,750MHzでSuperπ3355万桁が通ったので(4時間39分06秒)、BIOSでのFSB調整で限界を探ります。
Athlon 500MHz retail (650core,L2 3.6ns)
設定: Vcore1.75V,倍率3.75,L2speed=1/3
FSB | 動作 | 備考 |
105MHz | 788MHz | Windows98ブート画面でハング |
104MHz | 780MHz | Windows98起動。Superπ104万桁初期値計算後エラー |
103MHz | 772MHz | Windows98起動 |
100MHz | 750MHz | Superπ3355万桁、3DMark99MAX、3Dゲーム連続動作等一通りok |
しばらく750MHzで使用してみることにします。
12.700 or 733MHz常用が無難か 99.12.7
750MHz動作で普通に使用していて(EQ等でも)問題はないのですが、Vcore昇圧を行っているので発熱が気になってきました。(室温28℃でCPU 50℃まで確認)
他「ピッ」と一瞬だけビープ音が鳴る現象も起きます(Vcore昇圧が原因)。気にしなければいいんですが、やはり不安です。
Vcoreはデフォルトの1.65v、FSB210 x3.5 = 735MHzで使用してみることにしました。
ベンチマークの結果でも、FSB100の750動作とFSB105の735動作はそれほど変わらず、昇圧を行わない分こちらのが安全という考えです。
EQで負荷をかけた後3DMark99連続運転をして、室温28℃でCPU温度が45℃前後とそれなりです。
13.3DMark2000 99.12.10
落ち着いたと思った矢先に3DMark2000がリリースされました。
これは今までのアプリケーション(最も高負荷と考えていたEverQuest)よりも更に負荷がかかるベンチらしく、735MHz動作で計測中に3回のハングアップが起こったため、安定性に疑問が出てきました。
750MHz(FSB100) 1.75v
735MHz(FSB105) 1.65v
700MHz(FSB100) 1.75v
700MHz(FSB100) 1.65v
665MHz(FSB95) 1.65v
650MHz(FSB100) 1.75v
630MHz(FSB90) 1.65v
以上の組み合わせを試したのですが、全て1.5〜2時間でハングアップ(DDhelpエラー)または強制落ち(3DMarkのみ、Windowsは生きている)が起こりました。
熱伝導シートでサーマルプレートとの隙間を埋めるL2キャッシュの熱対策も試みたのですが大差ありません。
死んだ後即座にループしても更に1.5hは動き続けるので、熱の問題は考えづらいです。
14.再度750MHz over 99.12.11
倍率をx3.75に戻したのでFSB換えて再テストしてみました。
FSB | 動作 | 備考 |
107MHz | 802MHz | Windows98起動後ブルーバック。fasttrak関係エラーメッセージ |
106MHz | 795MHz | Windows98起動。Superπエラー |
105MHz | 788MHz | Windows98起動。Superπエラー |
昇圧後は800MHzでも起動までこぎ着けるようです。前は一度ハングであきらめたのですが、今回はWindows起動まで通りました。
あと1v上げてVcore 1.85V,800MHzでベンチ位取れるか?ということでやってみましたが、1.85vにすると警告音が鳴るのであきらめました。