なかよし2016年1月号感想

桜倉先生の端正なタッチを見ると、これが女一人表紙だったらどんなに素晴らしかったか、とため息が出る思いです。
何が中心なんだろう…としか言いようがない表紙です。
付録は、相手が悪かったとしか言いようがありません。
表紙も付録も、埋もれることが目的なんじゃないだろうかとしか…

年賀イラストはうれしい企画です。

わんころべえ40周年!つくづくすごい作品です。
この作品があったから「なかよし」は続いてきたんですよ。
僕も25年…どれほど支えられてきたことか。
やはり文庫か何かで全話手に取れるようにしてほしいものです。

新人賞でデビュー者がいないのは、むしろ健全です。畑が小さく痩せているのに種をたくさんまいたら、間引き菜が大量に出るだけで気の毒です。

「鬼灯の冷徹」スピンオフは単なる四コマ…ちょっと小さすぎますので感想は一々書きませんが、割と楽しいです。
ただ、本誌の作家にもそれぐらいできる作家は何人もいるだろう、なんでまた…という思いもありますがね。

*「キミについた嘘」の感想は2015年10月号感想に掲載されています。

探偵チームKZ事件ノート(藤本ひとみ・住滝良/桜倉メグ)黒豹と16歳(鳥海ペドロ)さばげぶっ!(松本ひで吉)小学生のヒミツ(中江みかよ)青葉くんに聞きたいこと(遠山えま)初恋はじめました。(山田デイジー)プリンセスプリキュア!(上北ふたご/東堂いづみ)ピンポンドライブ!(吉田はるゆき)花と忍び(長谷垣なるみ)出口ゼロ(瀬田ハルヒ)きぐるみ防衛隊(星野リリィ)先パイ、教えてください(桜沢きゆ)伯爵さまは甘い夜がお好き(フクシマハルカ)FAIRY TAILブルー・ミストラル(渡辺留衣)予告

探偵チームKZ事件ノート
ひどい状態ですね。
傷に深緑色、考えてみると車の塗料というものがなければどれだけの犯罪が未解決でしょう。鉄がこれほど酸化しやすくなかった、またはクロムがもっと豊富なら、塗料など必要なかったのです。
…逆に車の塗料の証拠としての強さは、どれほどの冤罪を生み出したかともいえますね。容疑者の車に傷をつけて犯行現場に塗料を落とせばそれで誰も疑いません。
チェーン…ワイヤーをちぎったのも人間の力ではなく車だと考えれば理解できます。というかほかに考えられないものでした。
警察はダメ、ってまあ子供用雑誌の掟ですね…ただし、現実社会では警察を第一選択肢にすべきだ、とどこかで示さないと、現実の読者も警察を選択肢に入れず自力で解決しようとして間違えることが多くなると思います。確かに警察は欠点が多いですが、道具として割り切ればかなり使えることも事実です。少なくとも夜に強盗になることも賄賂を請求することもありません…それだけでも世界的にはものすごいことです。
若武くんが警察を否定する理由に、子供の目で見ても正義と認められることは一つもありません。禁じられていた自転車利用がばれるのはいやだから、かっこいいから…どちらも道徳的にどんな価値がありますか?私利私欲を正義と主張することはとんでもない悪の始まりです。
犯人を脅す…ますます危険ですね。というより、自力で金を取ろうとする時点で犯罪です。私的な賠償請求がどの程度脅迫罪を構成するかはよく知りませんが…犯人側から考えると正当な金額を払えば終わりになるとは限らない以上、暴力がエスカレートする以外先の見通しがありません。相互確証破壊状態を作り、かつ双方が信頼できるという不可能といえる状態にならなければ。
国家は「これは正義だ」と私的な探偵チームが考えること自体を、事実上犯罪…国家に対する反逆として、殺人以上の悪とみなします。
正義と暴力の独占、それが近代国家の本質なのです。近代日本の始まりは仇討ち禁止でした。それはどこの先進国でも変わりません。
今は治安維持法も不敬罪も条文にはありません。しかし内乱罪や外患誘致罪は刑法に残っていますし、反逆に対する強烈な憎悪は、警察・検察・裁判官の全員に骨の髄まで教えられ続けています。
確か、自宅に凶器を持って押し入り家族を傷つけた強盗をゴルフクラブで殴り殺したら、正当防衛どころか普通の殺人初犯より重くなる…自力救済は絶対悪だ、が日本国家の思想だとどこかで聞きました。
「だから女って」…それが男だというなら男などくそくらえ、というだけです。
「殺されたりしたら」は正しいんですよ。
彼女にできる正しいことはただ一つ…警察に通報すること。同時に親と弁護士に相談し、高い国語力…説明能力を活かして、全員の親に説明すること。「私利私欲を正義と強弁し、自力救済を決意して国家に反逆し、良心に欠ける有力者を脅迫して、自らと家族を危険にさらそうとしている犯罪集団です。私たちを私たち自身の愚かさから守ってください」と。
それだけです。
仲間だ、といっても危険だという言葉に耳を貸すつもりはないんですね。
国語だけでなく、語学そのものの天才…ですか。そっちを活かせばいいのに。
というか、こいつらを説得できない時点で国語の天才なんて嘘ですよ。それは正義じゃない、といえないんですか?
どんな形であろうが、警察に頼らず自力救済をしている時点で、日本国家に対する反逆です。それは現実には、絶対悪なのです。日本国家には現実に絶対権力があります…趙高が馬だと言えば鹿も馬になったように何が善で何が悪かを決め、心の中で逆らう者さえ絶対に許さない、事実上神に等しい権力が。
その国家に反逆するほどの正義は、誰が見ても正当なものでなければ。
そして大人、力に慣れた金持ちの暴力と権力は、子供の想像を超えるものです。現実の、年齢が上の男の暴力に直面して平常心を保てる子供はまずいません。
この馬鹿どもがそれを見ないで済めば幸せですがね。
何一つ彼らは現実を見ていないのです。
警察に訴えないでくれるなんて、犯人にとってはなんてうれしいことでしょう。

黒豹と16歳
ペット…まあいいですけどね。
って全裸で仁王立ち、サービス精神旺盛ですねえ。
ココアの温かさはいい表現です…僕まで飲みたくなります。
この状態で好きな男ができた、ってすごい話ですよねえ。
で、全力で…ああ、月で地図を見ながら頭をかいているのが見える。
なんだって全力…で、パネル係がどうしたというのでしょう。
重い、という表現も見事ですね。げ、ペンキ!…そりゃ重いわ。
ペットってもう公然の話なんですねえ。
そして二人きり…ちゃんと協力してくれる、いいペットですね。
「黒金のヒミツ」で壁ドン、なんてちょろい話でしょう。
とんでもない服で追いかけっことか…楽しすぎる状況を作ってますね。
ひどいめ?客観的に見ればとってもいい目です。黒金くんを好きな女の子百人に聞けば全員そういいますよ。

さばげぶっ!
誕生日を忘れる…恋人同士でも重罪ですが、女の子の間でやったら死刑ではすみませんね。
サイン色紙、それも…気の毒に。
これで胸が痛くならない、ということは真正サイコパスの可能性が…
水も火も通じない鉄壁ガード、ついに心の壁が破れましたか。
さらに十字架が増えるのは大笑いしました。ただしこの十字架では磔刑は無理ですね。

肩こり…マヤさんって、ひょっとして(自分の巨乳をみんながねたんでるって)わかってやってます?だとしたらかなり見直しますが。
肥満のツボ…ならどんな痛みでも耐えますね。
石抱きは、骨を破壊し生涯歩行不能になる水準の拷問です。絶対に真似しないように。
…本当にわかってやってません?

小学生のヒミツ
女子が一人だけというのはつらいですね…まだ女子の方が体力が優れているからついていけてるのでしょうか。
なでしこを目標とするのに、これがいいルートなのかどうか。
そういう実力者が一人でもいればいい宣伝になりますよね。
「いっしょに着がえんな」…そういう時期にもなってますね。
憧れの方が来て、さて…
この悩みをストレートに言えるの、今まで言える相手もいなかったのでしょうね。
指導者がちゃんと、「これから男子は不公平にも、理不尽なぐらい大きく強くなっていく。だがあくまで実力主義だ、三倍頑張れ」とでも言うべき?
…年上の男、そりゃ意識もしてしまいますよ。彼も不用意でしたね、李下に冠を正さぬ配慮が求められている…
女の子だから不利…でも、それは自分より大きい男子を吹っ飛ばせる体力か、軽々と抜き去る技術を見せつけなかった以上、実力の問題です。ここで自分を責めているのは間違っていないでしょう…今から昨日までの倍走るだけです。
本当に、実力ではなく不公平、でしょうか?
サッカーのシーンの迫力もかなりのものですね。
希望がなさそうな片思い…そして同い年の子もいるかもしれません。
さて、今回の話はどうなるのやら。

青葉くんに聞きたいこと
次の試合までに…どういうつもりでしょう?しかも一週間。
その一週間は来て、って金払えということ…いい営業ですねえ。三千五百円も稼いじゃいましたよ。
彼がクラスまで来てくれた、と思ったら後ろの席の…
いろいろな本で勉強して、やっと普通の客の相手が。これはいい修業です。
外回り…ものは言いようですね。
相手の立場…で、バスケをやってみる?それならいいですね。
いくつか、何が好きかを話してくる。これはかなり心を開くチャンスですよね。
丁寧に返事をするシーンの色香と美しさ、生気の深さは素晴らしいです。
そしてマネージャー…自分からとにかく踏み出す、ってもう「聞き屋」はどこかに行ってしまってますが、まあ楽しければよし。

初恋はじめました。
「センパイのことだから天然なんだろうなぁ」…わかってきましたね、彼も。天然の悪魔。
いきなり放送室は大笑いしました。メタネタと思ったら夢…さいっこう。
作戦会議…客観的に見れば、それは逢引といいます。
というか完璧にやぶへび、言質取られた…アーメン。
で、何この玉座。なんという楽しい学校。
ずっとけんかしてるのが「意外とアイツらお似合い」…ときましたか。
気にしないわけないじゃないですか?
「なんか…もうありがとう…ございます」が爆笑。幸せな学校もあったもんです。
横から見るとすごくいい笑顔をしている…彼には見えてしまう、と。こういう繊細さがまたすごい。
そして、隣の学校の女の子を傷つけたことを聞いて…さて、どう動くでしょうか。
「一つ大切なことをわすれてませんか」…本当に年下?とすら思えますね。
…なんというか対空ミサイルにロックオンされた警報が鳴り響いてる、という感じが実によく出てます。
ハンターの素質もあるかもしれませんね、彼。

プリンセスプリキュア!
サンタ女子会…楽しそうです。
…なんというかこのアトラクション、手が込みすぎてません?
こんなことを経験したら結束は固まるでしょうね。
…でも立場わかってるでしょうか?これが罠だったら…

ピンポンドライブ!
いきなり準決勝…大胆に略しますね。
もうスポーツマンガとして、非現実の境界を踏み越えかけているようなパワー…すげえ。
ラケットごと人を飛ばす運動量をあの軽いボール…人間の腕先が動く限界速度は時速150キロですよね?
しっかりラブラブも入れて…
ラケットが折れるのはさすがに笑うしかないです。
鉄刀木…すごいことを。
敵も追い詰められているのに、ひたすらパワーのスタイルはぶれてませんね。
ここまでまっすぐに少年マンガをやられたら何の文句もありません。…何をしようが文句は言いませんよ、ええ背後に銀河が出て会場がクレーターになろうが聖遺物のラケットで宇宙魔王を吹き飛ばそうが…

花と忍び
両想いで浮かれてる女の子には何を言っても無駄でしょうね。
文化祭デートも楽しそうですね。
…やっぱり騙された?
のんきな会話から、妙に迫力のある戦闘シーン。面白いギャップです。
自ら死を選ぶ、それぐらい忍びなら当然ですよね。
…まあ、忍者に毒を使う時点で間違ってる、と。
「おまえにつりあうような」ってどう突っ込んでいいやら…そうきましたか。
ひっぱたいて許す、ずいぶんと心の広い女ですね。
さて、妙な伏線も転がってますが…
実にしっかり王道を踏んでいて面白いです。

出口ゼロ
名もないモブとしての生活…
完全な暗闇、退学者になり替わるのが唯一の希望…なるほど。
舞台裏を暴く、って何があるんでしょうね。
…鍵を預けるとか、完璧にわかってやってますよねこれ。
咲良くんはブラックミラーを通して反対側を知ることができる?
名もないモブを、この舞台で徹底的に演じる…やっと完全復活ですね。
ゆみかちゃんも、もっと前につぶされていて、今の彼女は別の誰か?それとも…
面白い謎を持ってきますね。

きぐるみ防衛隊
かなり苦戦していますが…複雑なことになってます。

先パイ、教えてください
いやー王道って本当にいいですね、という以外に何を言えと。
ドレスが切り刻まれている…まあよくあることなんでしょう。
「やましいことでもあるのか?」…たぶん、警察がちゃんと調べればDNA証拠はあるでしょうね。フケ一つ落とさないなんて不可能です。
ひたすらぬっている…それを見ているエリカさん、どんな変化になるでしょうか?
一人でも努力して作った服は訴える力がある…男一人だと圧倒的ですね。
そしてここで昴流先輩…やってくれました。
笑顔で、それができる…この顔つきにこれは恐ろしく似合います。
「白雪さんが昴流さまに見えて」…実は兄妹とか?
エリカさんもかなり変わったと見ていいでしょうか。
本当に王道って素敵です。

伯爵さまは甘い夜がお好き
血がつながってる…それがどうなるのやら。
子供を人質に取るとは…
もう、どうすれば戻れるか、に専念しているようですね。
父殺しのパラドックスまで理解するとは頭のいいことです。
でも、さらにバタフライ効果を入れれば…彼女の活動は多くの人の寿命を伸ばしているはずです。歴史は一変していますよ。
最後が、彼の母からの秘伝のカップケーキ…そして本当に元のタイミングに…タイムパラドックスもない、元の歴史に戻れたようですね。多世界解釈も加わっている、と。
そしてノートに手紙…そして本当にこの時代に来てくれるとは。
…戸籍法とか彼の生活費はとか現実的に考え始めてしまうのはある意味病気です。
いやもう理屈なんてどうでもいいのがフクシマハルカワールドなのはよーくわかってます。
さて次回作は何をやってくれるのか…今回の作品は圧倒的な面白さでした。

FAIRY TAILブルー・ミストラル
出番をもぎ取ったぞ、とばかりの暴れよう。
海底火山は、たいていは寿命はごく短いものです。
解毒剤がない…竪琴の中、ここもうまく進めてくれます。
鳳凰座…すごい性格の星霊ですが、力を使うシーンは圧巻です。
今回で最終回なのは残念です。この圧倒的な実力が次回作で活かされることを強く願います。…たとえ「なかよし」でなくても。

来月号は雪森先生…それに美麻りん先生、あおいみつ先生と実力派がどんどん集まってますね。すごく楽しみです。

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