パターン分類10-11
んちゃ、講義を始めます。出席カードを回してください。
今回は非行が絡むパターンの分析をやっていきます。
非行はやはり学校生活、家庭生活の両面に大きな影響があります。話が大きくなりすぎるからか、最近の幼年少女誌では余り見かけませんが、ストーリーの上では大切なものです。最近の、学級崩壊などの言葉によって表現される新しい形の荒れについてはまだ余り扱われないようですが。
非行の具体的な定義ですが、「犯罪及び虞犯(ぐはん)行為(犯罪に陥りかねない行為で、学校を無断欠席しての徘徊、深夜の徘徊等が代表的、極めて広範な概念)」とするのが法的には正式です。でも、ここのような包括的な分析ではもっと色々取り込んでいいと思います。薬物を始め犯罪と、単に校則で認められていないだけの男女交際を同一視するのは乱暴です。非行の具体的な状態について、大きくはに分けられます。まずは古典的なもので、生活が不安定で遅刻が常態化し、成績も大幅に低下しており、万引きや飲酒、喫煙等の犯罪にも手を染めている状態です。これがより深刻になりますと薬物依存や性非行等、さらに深刻になった場合集団での恐喝や暴行などの犯罪行為も見られます。他、特に良家の男子によく見られるケースで、トップクラスの成績を維持しているがバイクを乗り回したり遅刻したり喫煙や飲酒が見られたりと態度が崩れているケースです。他、集団に依存しているものとしては幼年少女誌にはあまり見られませんが、古典的なもので暴走族の類、より新しい形では小さくて組織化されていない集団での街の徘徊を主とするものがあります。それと上述の、社会常識と本人の良心にとってそれほど深刻な罪でないが、校則などが禁止しているものを意識的に破っているケースもあります。また、上の意味での非行ではないのですが、学校生活での問題としては無気力やそれが発展した登校拒否なども重要でしょう。
非行について、大きく分けるといつ誰がを考えるべきでしょう。
いつは話が始まった時点で既にぐれていたのと、話の中でぐれるのとがあります。誰がは、まず(女子である)主人公、ヒーロー、その他に大別され、その他には友人、三角関係のサブヒーローやサブヒロイン、家族、それ以外のやられ役キャラがあります。家族は無論兄弟姉妹や同居相手ですね。大人では非行という言葉は使いません。
話が始まった時点でぐれていた、という場合には非行が一種のキャラクターとして設定されていると言っていいでしょう。この場合、(重要なキャラクターの場合)ぐれた理由が始め謎で、どのうちに回想の形で告白される事が大半です。
話の中でぐれるのは、長期連載での一時的なエピソードと読み切りや短期連載での話の中心テーマの両方があります。この場合にはぐれる過程全体が明白に見えます。
非行の原因ですが、根本的には絶望によるものであることが大半です。
それ以外の原因には、幼年少女誌では余り見られませんが、サブカルチャーとしての非行に対する単純な憧れによるものがあります。
絶望について具体的に分けますと、まず家庭的なもの、学校によるもの、それ以外の個人的なものに分かれます。
急性のものは両親の急な離婚、何か重大なことでの無理解、養子だったことの発覚、どちらかの不倫の発覚などで、強い喪失感を伴い、また不良化も急で極端です。
慢性のものは家族そのものの機能不全です。両親の長年の不仲など崩壊状態にあって、双方に愛情を求めても得られなくてもう諦めている状態、長期間の虐待にさらされている状態、両親とも子供に関心が無いと確信している状態などです。他に、親に追いつけない事や親の期待に応え切れない事に関する絶望も見られます。基本的には愛されていない、との感じが絶望感になり、振り向いて欲しいので心配を期待して滅茶苦茶する場合が一番多いですが、これは急性なものです。慢性の場合にはそんなことをしても無駄、とよく理解しており、その分絶望もより深い状態です。家族については考えることも止め、触れられることも好みません。特に親が有名人などであった場合、それは顕著です。そして理解不能な、自他を傷つける言動を取ることが多いです。
非行の話に対する影響についてですが、キャラクター論と深く関わるのは避けられません。これは誰がを加えて考えることでやっていくべきでしょう。
その解決ですが、絶望によるものはその絶望が解消された時に更正できます。
解消の手段には直接的なものと代償的なもの、そして成長によるものがあり、どちらかというと代償的な解決が多いです。
個々のケースについての分析は次回とします。何か質問は?御静聴深謝。