パターン分類10-6

んちゃ、講義を始めます。出席カードを回してください。以前の宿題、そろそろ回収しなければ困ります・・・まだ当分講義は続きますから、慌てる必要はないですが。さて通年ですむかどうか・・・。

いつも通り補足。忘れていました、友人間の嫉妬についての分析がまだでした。友人間の嫉妬とは友人の能力などに関する嫉妬と、友人Aと別の(同性であることが普通だが特殊な構造も多い)友人Aの友達Bの仲に対して抱く嫉妬に大別できます。他に友人をとられるかも知らない、と嫉妬を抱くものには既述の恋愛に対する嫉妬と、様々な趣味などに対する嫉妬もあります。そして最も深刻なのが人格そのものに対する嫉妬でしょう。

友情においての嫉妬ですが、恋愛のみならず友情にも独占欲はあります。特に人間関係にまつわる能力が低く、新しく受け入れてくれた友人に対する依存度が高い場合には顕著です。こういった場合、転校生など新しくグループに入ってきた友人に対して受け入れることができず、拒否を示すことがあります。また特定の友人に対する依存度が高いまま固定されてしまった状態には{疑似姉妹}的な関係があります。このの関係で崩壊していないときには姉、妹とも嫉妬が強く、恋愛の相手にも新しい友達にも嫉妬を抱きます。この嫉妬が関係の欺瞞性を顕在化させるケースも多く見られます。その場合には自分と新しい友人との二者択一を迫る理由が理解できず、見捨てることが多いです。

それ以外の、趣味などと友情とどちらが大切かという嫉妬もまた独占欲の変形です。恋愛のところでも同様なものがありました。特に一方がスポーツなどで転向を考えたり、進学で別の学校に行こうとしたりしたときにそのトラブルが発生します。この場合には寄りかかろうとするほうが友人の意味を間違えた、といった状態になっています。互いに独立した人格として認めあい、高めあうのではなく非人格的に依存しあう関係を欲している状態で、これは安定していればいいのですが何かで狂いが出ると大変です。

人格そのものに対する嫉妬ですが、これは友人のみならず恋人同志でもありえます。既述の通り意地悪役の精神の深いところにはそれが見られますね。相手の人格が非常に高いとき、それがまぶしくて逆に自分が醜く見え、存在自体が不快になっていく訳です。これは対等の友人の場合、互いに対するそこはかとない不快感になっていきます。それが高じると重大なトラブルになりますね。

さて、本題として恋愛もの以外のジャンル、友情の次は家族をテーマにした作品について始めていこうと思います。

家族は実際の生活においては最重要の要素です。時間的には部活を含めると学校のほうが上回っているように見えますが、経済的には家族(保護者)によって全面的に支えられ、食事も3食のうち朝と晩の二つは家庭でというのイメージがあります。睡眠や入浴も普通家でとり、個人生活も特に個室がある場合家に帰ってからが中心です。また人間関係としても特別です。

家族というものについて具体的に再検討していこうと思います。

家族の定義がまた難しいです。法的な定義ですが、民法の条文上明確な定義はないです。その理由は家族に関する条項、つまり家族法と言うのが戦前の旧法にあり、それは旧法の封建的な部分の代表格として戦後の改正で抹消されているからでしょう。法学においては家族という言葉自体がある意味、戦前における封建的な家制度と同じ響きを持つようです。戦後間なしには身分法を家族法と呼んでいたようで、今参考にしている本では混同を避けるために家族法という呼び方を避けています。現在の法学については知りません。憲法は教養で受けましたが、それ以上の法学の講義は他学科受講不可。とりあえず法学部卒の父の蔵書(参考文献;新六法;三省堂;永井ら編;1980、民法総則;岩波書店;我妻栄;昭和34、親族法・相続法教材;敬文堂書店;外岡茂十郎;昭和34、親族法(1);外岡茂十郎;敬文堂書店;昭和37年、民法;敬文堂書店;中村宗雄;昭和34)から調べてみました。親族法などから考えていきますと、戸籍によって身分を定められており、それによって関係づけられている集団(戸籍法6条「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとにこれを編成する。ただし、配偶者がない者について新たに戸籍を編成するときは、そのもの及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編成する」とあります。法律用語としては家庭と言う言葉で表現されるようです)が最も普通の、戦後における家族の概念には近いようです。核家族、すなわち夫婦と未婚(未成年)の子供によって構成されるのはほぼそれに一致します。大家族の場合、子供が結婚した時点で新しい戸籍ができるため、実体と法的状態の乖離が起きますが、大家族の概念自体旧法の性格が強いものです。旧法上における家族とは”祖先教”を原理とし、戸主の圧倒的権限と長子相続を基本としたものです。具体的には世襲的な家長の統率下、複数の同一血統の夫婦とその直径卑属によって共同体を作り、それに財産や地位などが付属して家を構成します。個人がそれに隷属する事は言うまでもありません。その点、戦後の新法においては憲法24条1項「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により維持されなければならない」同条2項「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族(ここのみに家族という言葉が出てくる、注意したのは僕です)に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」とある通り、本質的に平等な個人の(原理的には、特に夫婦に関しては契約による・・・これは西洋的な発想で日本には余りなじまない・・・子供の地位がやや問題だが日本国憲法は児童憲章以前)契約、結合関係によって成立しなければならない、とされています。少し話がずれましたが、戦後法の理念から言って家族はこういった理念を中心にしているようです。旧法における家族法原理と更にその背景にあった社会通念及び制度ですが、それはもう専門家の領域でしょう。結構重要なので、必要に応じて調べる事もあるかと思います。専門家の方、もしいらっしゃいましたら間違いなど突っ込みお願いします。僕は専門家ではないので、ここで言っていることを間違っても鵜呑みにしないでください。

家族について、歴史的な事を少し旧法の法源を考えて探ってみますと、根源的には祭祀(祖先崇拝等)の最小単位(一神教の聖典レベルの解釈を除く・・・キリスト教プロテスタントやイスラムは基本的に個人と神の直接契約)として、付随する財産(特に不動産=土地、住居)、地位(氏姓、職業等)を相続していく一体性のある血族集団と考えていいでしょう。

最も単純に見える定義(法学的にどうなるのかはもう知りません)は同居している親族なのですが、同居人を家族に入れられないです。それ以上に同居しつつ家計経済における一体性がある集団、という面が一番大きいかも知れません。他には同じ家に住んでいる、ですと寮生活が混じりますし。戸籍を定義にいれると同居ものがかなりややこしく、戸籍及び家計が別々で生活しており、屋根のみが同じである場合もあります。これも最終的には家族に収斂するので複雑なのですが。人数を使った定義は大家族に合いません。

とにかくその、家族とはなんぞやという問題そのものが家族、家庭ものの根本ですので、簡単に定義するのは不可能です。親族関係、経済的関係、情、住所等様々な面がありますが、話の中で結局重要になっていくのは情ですね。「家族の情で結ばれている集団」という、同語反復的な定義が最も適切でしょう。同語反復である以上、意味はないのですが・・・これがこのジャンルのややこしさと御理解下さい。

家族の具体的な構成員ですが、これについても一般論とそうでないものに相当ややこしい問題があることをご理解ください。既述のように通常は核家族、すなわち両親とその未婚の子で、両親の親権下にある主人公、また同様の兄弟姉妹が基本になります。加えて祖父母、年の離れた兄や姉が結婚している場合、その配偶者と子供、そして別章詳述の同居人が考えられます。ペットも広い意味で家族の一員です。まして、ファンタジーなどで心と言葉を持つペットの場合には

家族ものの基本モチーフは{家庭の崩壊、再構成}です。嘘と習慣、社会的立場などの外的なもので固められていた家庭が、その嘘が顕在化することによって感情的に一度崩壊し、その上でまた互いに情で結ばれ直す構造です。結ばれ損ねて解体に合意することもありますが。

舞台ごとに考えていきますと、ファンタジーでは家族はそれほどの意味を持ちません。持つとすれば歴史ものにおける家族と同様でしょう。歴史で詳しく検討する古い家族制度や、純粋な母権制を始めより自由度の高いオリジナルの設定としての家族制度の中で話を作っていけます。

学校はですが、関係があるとすれば理事長などのいる寄宿学校の類でしょう。それは多分に上流階級に関わります。学校での家族との関係には先輩後輩である姉妹兄弟、そして教師、もしくは理事長の類としての両親ですね。その関係は封建制が見られ、複雑な跡目相続のトラブルになる事が多いです。

家庭は再重要、というよりそのままですので後述。

部活動や芸能界については既述ですが、後ほど細かく再検討していきます。

上流階級、外国ですが、やや封建的な制度を使うことができます。パターンとしては古いものですが、昔は基本でした。

歴史的時間においては上述のように、昔の厳しい封建的な家族制度を利用できます。また事件の幅も広く、歴史そのものとの組み合わせで効果を出すことができます。また、昔の風俗や生活習慣、宗教等も味があるものです。

長くなりましたので今回はこの辺で。何か質問は?御静聴深謝。

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