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んちゃ、講義を始めます。出席カードを回してください。
もうつきあっている状況での小見出しも何だったかも忘れているでしょうし、ここで確認しておきます。つきあい始めた理由、具体的な関係、周囲の干渉、スキンシップ、デート、プレゼントとここまではやりました。でもって浮気、お互いの秘密、倦怠期、結婚又は別離となります。今回は流れから言って浮気についてですね。
浮気はつきあっている状況下では最も重要な要素の一つです。直接破局の原因になり、少なくともきわめて深刻なトラブルを巻き起こします。ばれた場合一応は周辺からも非難を浴びることになりますが、極端に荒れた集団の中では当然のことと見なされ、逆に貞節のほうが非難されることもあります。
浮気とはここでは法律用語などは無視し、単純に「つきあっている状態にあるカップルを巻き込む形の三角関係」と定義します。この場合には肉体関係の有無等は関係なくなり、誤解でしかないものや交際関係を変えないで一方の気持ちだけで推移したものも含めます。つきあっている状態には無論秘密交際でしかない状態も含みます。考えてみますと「きまぐれオレンジ*ロード」はそのまんまこの定義に当てはまりますね。
浮気の具体的な状況ですが、まず当事者は何をしたかです。当事者とはここではつきあっている相手(裏切られるほう)がいるにもかかわらず他の異性と浮気をしたり、他の異性に一方的に想われたり、浮気を疑われたり、心の中だけでも他の異性に気持ちを向けたり、つきあうふりをしたり、幼年少女誌範囲外ですが気持ちと関係なしに他の異性と関係したりした者の全てを言うことにします。つまり他の異性と恋愛感情がらみの交渉をしてしまった方です。これはついでに浮気の諸ケースがどのようなものかも言ってしまっていすね。次いで当事者が男子か女子か。それについてつきあいの具体的な状況も結構重要ですが、これはケースバイケースですね。そこから各メンバーの関係と感情などについて考えていきますが、本質的には三角関係ですのでそちらを参考にしてください。あらゆる場合について考えますと言うまでもなく膨大になりますので概論にしかならないでしょう。
真性の浮気はつきあっている相手との恋愛感情を無くすか変質させ、別の異性にも恋愛感情をもって何らかの関係を持つことです。ここでややこしいのは恋愛感情について、本当の恋愛感情は一人の相手にしか向かないものかどうかですが、やはりそれは短期的には正しくとも長期的には一般に(つまり全ての場合において。数学用語として。数学では一つの例外があっても一般性は否定でき、事実上定理などとしての意味はなくなる。条件が満たされていれば全てその命題が成立する場合のみ一般性が主張できる)そうであるとは言えないでしょう。だから浮気をしたからといって別に本来つきあっている相手に対する恋愛感情が無くなったとは一般には言えないのではないでしょうか。これは議論あるところですが。「きまぐれオレンジ☆ロード」ではひかるに対する想いは妹に対するそれの延長であり、「でも鮎川のことはあいしてる」それを巧みにLike or Love?で表現していましたね。でも、そう割り切ることには正直疑問があります。これについては本当に難しいですね。例えば伊勢、源氏のようなのでは全部1対1でないから偽物である、とは言えないと思います。正直、どちらが正しいのか判りません。よってここで分類し、恋愛とはただ一人に対するものだと言う意味を込めた恋愛感情をLove,そうとは限らない、もっと広いものと言う意味での恋愛感情をLikeと定義することにします。それによって分類しますとつきあっている相手に対するLoveが無くなって別の異性にLoveを持つようになった、始めからつきあったのはLikeだった、始めから恋愛感情などなかった、つきあっている相手に対するLoveは変わらないまま別の相手にLikeを抱いたとなります。浮気の動機ですが、直接浮気相手と出会いもしくは恋愛感情が芽生えて顕在化したから、(誤解を含む)つきあっている相手とのトラブルがきっかけ、そして偽装があります。直接浮気相手と出会い、そのまま恋愛感情が育っていった場合にはそれは普通の恋愛と変わりません。現在のつきあいは単なる特殊で強固な障害です。トラブルがきっかけと言うのは何らかのトラブルで相談した結果というのが多いです。偽装はトラブルに付随する交際相手に対する当て付けや秘密交際を隠すため等です。
Loveがつきあっている相手から別の異性に移るのが最も深い浮気です。修復は不可能です。ただこれが完全に起きることはあまりなく、普通今までのがLikeか何か、本当の恋ではなかった事をほのめかす形になります。これが起きたら難しいのはその新しい恋をどう育てるかです。また恋愛感情が移ると言うより元からあったものが顕在化したというケースもあります。その顕在化の段階で(特に親友関係が絡むとき)浮気しているほうは両方とも裏切られている者に対する深い罪悪感からまず恋愛感情自体を封じ込めようとし、逆効果ではあるのですが顕在化を遅らせます。この場合には特に浮気関係のほうの(普通成り行き)デートに関する嘘や噂によってつきあっているほうの関係が悪化し、それについて罪悪感が激しくなります。そして恋愛感情が顕在化してもなかなかそれを告白するには至らず、その段階でどうしようもなく苦しむことに。最後には普通きちんと清算し、全てを告白してとなります。その後も社会的な非難や罪悪感はあります。当事者が男子か女子かについてですが、当事者が女子の場合友情を大切にする心理が強いため厄介なことになります。最悪の場合互いに譲り合い、どうにもならなくなります。男子が当事者であっても問題は本質的には変わりません。対処法の微妙な違い(男子の場合拳で解決という手がある)ぐらいでしょう。
始めからつきあっていたのがLikeだったと言うのは単に憧れだった等、本当の恋愛=Loveを知らないままつきあっていたということです。このパターンが一番よく見られますね。そこでLove(このパターンは本当の恋はLoveであり、Likeとは決定的な質的差異があるという恋愛観のもとで構成されています)が生まれ、もしくは気付いていく事によって展開します。修復は不可能で、loveを知ってしまったら人間的にさえ大きく変わってしまいます。この場合裏切られたほうは悲惨で、今まで好きだったと思っていたのは本当の恋を知らなかっただけ、と言われたらたまらないです。年上の場合そのことを承知で見守っていると言うのもありますが。まして「きまぐれオレンジ*ロード」のように自分(ひかる)は本気だったのにその状態(しかもあれでは恭助もまどかも現状にとっくに気付いている!!)で長期間つきあっていたりしたら。恋愛感情がLikeでしかなかった恋が具体的にどのようなものかは恋愛についての分類を参照してください。もっと強い、相手を真実見ている恋愛感情がLikeであるのも定義上はありますが、このパターン自体がそれを排除しています。そのlikeの相手は年上や優等生等外的な要素が優れている者が憧れという意味で多く、また友達関係であったものを恋愛と勘違いするというケースも見られます。つきあいの具体的な状態についてですが、秘密交際ということはあまりないですね。少なくとも浮気の相手は知っているか気持ちが顕在化してきたあたりで知らされます。また、likeでしかない恋の場合性的な要素が全くないことが多い(「きまぐれオレンジ☆ロード」では恭助はひかるに対し、ある程度性欲はあったがそれは表にはあまり出さず、性的なエピソードの大半はまどかと。むしろ保護欲が優先していた)です。互いに相手を異性として見ることができない、それ自体Likeだともなります。
当事者が女子の場合は{青い鳥は近くに}の形をとることが多いです。前述の通り年上の裏切られる相手はそれを見越していることもあります。その場合後腐れは全くないですね。またつきあっている相手に対する幻滅(外見等だけや虚像の恋で本当の姿を見ていなかった)がきっかけである場合もあります。幻滅の具体的なものには単純な過剰な理想像の崩壊(極端になると相手がトイレに行ったりする事さえ受け入れられない)や性的な段階ギャップ等が多く見られます。またここでは浮気相手である同級もしくは年下の男子のことをどうしても考えてしまう自分に気付くということもよくあります。浮気相手との関係についてですが、既述の通り出会ってすぐ、行きずりや電車の顔見知り、ただのクラス(塾)メートや部活仲間、友達、天敵、幼なじみ、先輩後輩、(家庭)教師、特殊事情等があります。
当事者が男子だと厄介です。女子から見ると裏切られたに他ならないですから。この場合むしろ奪うほうの女の子を主人公にし、親友である裏切られるほうと友情との葛藤と罪悪感を軸に展開することが多いですね。ヒロインとヒーロー、サブヒロインそれぞれの関係と状況については大体が上と共通です。経過としては基本的に恋愛感情が育ち、浮気相手のほうが顕在化に至った段階でそれが辛くなって(裏切られるほうの非難もある)諦めようとし、結局成り行きデートか何かがあって押さえ切れなくなって裏切られるほうにも告白し、その時にはlikeだと気付いていた裏切られるほうが素直に身を引いておさまる、これが基本パターンでしょう。その裏としてとことん諦めないというのもあるかも知れませんが。
始めから恋愛感情などなかった状態はつきあい自体が(自覚的に)偽装と言うことです。偽装(もしくは嘘)でのつきあいについて詳しくは既述。この場合、まず偽装であることを裏切られるほうは知っていたか、知っていたなら浮気相手は偽装であることを知っていたか、それ以前から当事者と浮気相手の間に恋愛感情があったかどうかが問題になります。
裏切られるほうは偽装だと知らなかった場合には最悪の裏切りになります。ただ、この場合には偽装のつもりが恋愛感情が育っていたとなることが多いです。結局は偽装でもつきあっているほうとくっつくことになり、浮気自体が顕在化を助けるためのトラブルでしかないと言うわけです。浮気相手との恋愛は大抵ごく軽いものです。
裏切られるほうが偽装でつきあっていることを知っていた場合には、その状態での浮気には文句を言う筋合いではないです。でもこの場合偽装と知りつつもしばしば相手に対する恋愛感情がありますから厄介です。感情のほうが納得できず、押さえてはいますが剥きだしにしてしまうと。そうなりますと単純な三角関係に戻るわけです。ただ、原理的には対等な三角関係なのですが、相手とすでにつきあっているほうはそれを利用できるのがややこしいところです。最終的にくっつくのがどちらかは一般には言えません。偽装が本物になって、とかなわぬ恋と思ってたけど本当は偽装だったから遠慮しなくてもよかった、の両方のパターンがあります。浮気相手が偽装であるということを知っていた場合には始めから遠慮する理由はないですけど。普通は知らないです。
当事者と浮気相手の間にもともと恋愛感情があったというのには大喧嘩して仲直りする暇無くそのまま転校などで別れたというのと何らかの事情のせいでつきあうことができず、やむを得ずと強引に割り込み、賭けや脅迫によってつきあいを強制されるのがあります。仲直りする暇が無かった場合は当事者と浮気相手が両片思いであることが多く、多く見られるのが{同居同情つきあい割り込み型三角関係}です。この場合は少なくともつきあっている相手に対してlikeに近い感情は持っているためここで扱うのは微妙なのですが。また当事者のほうが別れてから告白され、好きな相手がいると断った上で、それでもどうせ多分二度と会えないんだから試しにつきあって、というのもあります。又全てを承知で一時的に慰めのためと割り切ってつきあうケースもありますが、これはあまりにも犠牲的です。事情があってつきあえないと言うのは両想いにもかかわらず親の禁止等の障害によって一時的に好きな相手とつきあうことを断念し、親の決めた相手とつきあうふりをするといったケースです。この場合には障害が無くなるまでの単なる時間稼ぎですね。互いに不安はありますが。この場合には説明不足で偽装であると言うことを浮気相手が知らないことが多いです。強引に割り込んでくるのは両片思いに近かったカップルにむりやり賭け、脅迫、何らかの取り引きで割り込み、期限つきや形だけでもつきあうことを強制するものです。この時は浮気相手の想いは一方的なものですが、そのうちに恋愛感情が生まれてきてしまう事もあり(Likeにとどまることも)要注意です。
当事者と浮気相手の間にもともと恋愛感情が無かったというのは、要するに偽装でのつきあいがある状態で浮気相手との恋愛が始まったと言うわけです。この場合には浮気相手が強引にちょっかいをかけてきて、その後元から偽装だったと気付き、ますます遠慮が無くなって、結果的にはやぶ蛇になって偽装が本物になるケースが多いです。
つきあっている相手に対するLoveは変わらないまま他の異性にLikeを抱くと言うのが本来の意味での浮気に一番近いかも知れません。大人の世界では浮気のほうは肉体関係が中心の情事となります。少女マンガでは少ないのですが、旅先などで見られます。そしてそれを目撃され、修羅場にと。この場合その浮気相手が本気であるケースと両方遊びであるケースがあります。これは半ば大人の問題で、幼年少女誌ではきつすぎるテーマです。
移った想いがLoveかLikeかは結構ややこしいです。またつきあっている相手に対する想いも揺れる場合が多く、泥沼になります。
他の異性に一方的に想われるケースですが、この場合はつきあいが秘密かで大きく異なります。そして片思いを仕掛けてくる相手のキャラクターと言いますか、可能性がある感じかを考えるべきです。このケースでは当事者が浮気相手に対しlike程度の気持ちを抱いてしまうことも多く見られ、特に誤解がからむと厄介です。
つきあいが秘密のときには浮気相手と言いますか、一方に片思いをかけてくる異性はそのことを知らないことが多いです。知ってしまった時にはそのまま秘密の維持に協力する、ばらすもしくは密告して引き裂こうとする、それをネタに脅迫する等の反応があります。協力のときは相手が人格的にまともであることを意味し、その分当事者のほうの気持ちの揺れがあり得ます。ばらすなどして引き裂こうとするのは嫉妬から言って当然の行動なのですが、やはり人間として許されない行動でしょう。人の気持ちは結局どうすることもできない、と少女マンガでは一応なっています。それをネタに脅迫するのは有効な手段ですが、うまくいっても一時的につきあうことができる程度です。結局結束を強めるだけの結果に終わります。これと関連して、このタイプの浮気相手には大きく分けて三つのタイプがあります。一つがまともなキャラクターで、男子であれば容姿はそこそこかかなり高く、性格もよく誠実。女子ならとても可愛いかある程度(超絶美形ではない)の美人で、性格も優しいです。ヒロインより器用度が高いことが多く見られます。主人公をやってもそれほどおかしくないタイプです。この場合にははっきりと4つに組んだ三角関係になり、奪われそうになったほうは強い不安と嫉妬を感じることになります。当事者のほうも下手をすると気持ちが揺れることも。別のタイプにギャグキャラクターがあります。この場合は大抵男子で、容姿が極端に悪い事が多く、はっきりと戯画化された肥満体などです。恋愛の相手としてはどう見ても対象外で、うるさく強引に(自分の容姿についての自覚や相手の気持ちなどは考えない、かといってストーカーではなく行動は基本的に陽性)迫ったりする行為がギャグになります。ある意味話のアクセントです。最後のタイプが最悪で、性格の悪い美形です。大抵容姿だけでなく家柄、成績、スポーツなど万能です。この場合しばしば自分に酔っており、自分に振り向かない存在がいることが許せないです。女子の場合意地悪役の一種(単にいじめられる役がすでにヒーローとつきあっているだけ)ですね。この時には手段を選ばぬ妨害があり、地獄を見ます。この場合も恋愛面での可能性はありません。
つきあいが秘密でないときにはそれが浮気であり、相手を苦しめるだけである事は普通理解できます。だからすでに相手がいる人を好きになってしまった者は罪悪感と絶望で苦しいです。その分それを始めのうちは諦めようとしそして押さえ切れなくなってというどうしようもないプロセスを踏むことに。そこから結局くっつくケースも見られます。また大抵この場合取られそうになった者より容姿等の点で上回っており、不安があります。この場合にはまず三角関係で言うとライバルどうしになるのが友人(親友)かどうかです。親友のときには罪悪感との二重の苦しみになります。ただこの時には当事者のほうも気持ちが強く揺れることが多いため、一方的な想いでしかないこのパターンではあまり見られません。そうでないときには想われたのが男子と女子で大きく異なり、男子の場合にはその男子とつきあっている女子の不安を軸に展開します。相手の男子に片思いするのは運動部のマネージャーや先輩が多いですね。例えばそれを嗅ぎ付け、帰り道何らかの事情で3人で帰ることになったり告白を目撃したりして不安が暴走することもあります。女子のほうが想われたときには誤解で大変なことになったりします。男子の嫉妬が鬱陶しく、かと言って妬いて貰えないのも不安と言うジレンマです。
長くなりますので今回はこの辺で。何か質問は?御静聴深謝。