パターン分類9-5
話は変わりますが南総里見八犬伝、めちゃくちゃ面白いです!!少年マンガとして読んでいますともう、そこまでするかのパターンの連続で。そして言葉を失うほどあざといパロディも平気でしています。とても僕、いや神坂一でも真似できないでしょう。やるつもりないですが、もし少年誌のパターン分類をするならこれは再重要資料の一つです。基礎パターンのほとんどの原形がここに入っています。それまでの全て・・・民間伝承から語り物、講談、浄瑠璃や歌舞伎、中国大衆小説、それらのエッセンスがまるで湧き水が一つの川になるようにここでいったん集まっています。それ・・・里見八犬伝の分析を終えたら、といってもそれだけで博士論文ですが、あとはもう明治後紹介された西洋起源の児童文学の研究さえすれば・・・それも十分博士論文ですね。博士論文優に3つ分です。
んちゃ、講義を始めます。出席カードを回してください。
前回は本当に下品な内容で失礼いたしました。今回もそうならざるを得ないでしょうが。あと訂正、アメリカで飛び出しナイフは軍人や警察官以外禁止と言いましたが他にもハンディキャップ・・・つまり片方の手が使えず、片手だけで扱う人も許されているようです。多分州による違いもあるでしょう。前回忘れていました、肉体的接触に顔と顔の接触と膝枕がありました。
あと補足でキスのとき、相手が自虐的になっているのを止め、愛情を直接伝えて励ますために口を塞ぐためのキスがあります。
もう一つ説明不足に対する補足として、裸身もしくは半裸で一緒に寝るパターンに「あれ」(「ベルセルク」白泉社、三浦健太郎)、つまり水や雪、出血などのショック症状等で体温を奪われ、冷えきった体を温めるために体を密着させる行為についてはっきりとした説明をしていませんでした。
もう一つおまけに補足、一緒に寝る時には着衣の場合肩を並べて(抱くことも)座る、男子が女子を膝の上に乗せて座る、寝るの三つがあります。そして寝るとき、親近感の度合いを見るのに腕枕があるかどうかが結構重要です。腕枕がある時にはお互いに完全に心を開いてる証になります。
今回は前回の続きでスキンシップの分類定義、その肉体的接触以外のところをやります。肉体的接触以外のスキンシップにはここでは間接的接触について考えていきます。狭い意味ですと肉体的接触がスキンシップなのですが、そうでなくても類似の効果を示すことがありますので。
間接的接触とは物品によるもので、少々フェティチィック(厳密には違う)なのですが相手の使用物や接触物に接触し、もしくは貸し借りをすることによって入手、そこから主に想像によって(無論五感を総動員して)相手を感じ、官能的興奮(自慰行為は幼年少女誌範囲外)、すなわちその弱い形でのときめきを得る事が多いです。これには意識的又は無意識的な感染呪術(細かくはJ、フレイザー「金枝編」参照。相手に接触したもの、もしくは相手の切り取られたり抜けたりした一部は相手そのものでもあるとし、それに儀式を行うことで相手を支配できる、という考え方による呪術。有名なわら人形に5寸釘、というのはその典型的な例で、相手の体の一部であった髪の毛等(写真だと類感呪術、名前を書いた紙だとより高等な言霊魔術になる)を加えることで人形が相手と魔術的な共感を持つと考えてである。人形自体は類感呪術で、その合成といってよい)の面もあります。また、多少違うかも知れませんが単純に距離や場所による接触類似事についても考えていきます。
相手の使用物、接触物にときめきを感じるのは大体片思いで憧れの段階から出ていないけれど妄想は極めて強い、そんな段階です。他につきあい初めて後で距離が離れているときもあります。男子と女子は極端に違う描かれ方をします。その大まかな分類ですが、間接キス、極めて性的な側面の強い物、呪術用の品、呪術を意識しない相手の何か等があります。
間接キスは他人が口をつけたものに口をつけること(手で触れることもある程度含む)で、ケースとしては単純な間接キス、飲み物の飲み口の共用を始め飲食器の共用、食物そのものの共用、マイクなどの共用が考えられます。単純な間接キスとはやや不正確な用語ですが、指にキスしてその指で相手の唇に触れることです。幼年少女誌では余り見ません。これはキスする勇気が無いときや大人の女性が少年をからかうときじらすためなどで用いられます。あと投げキスもその応用でしょう。これはいうまでもなく指で自分の唇に触れ、その指で物を飛ばす仕種をすることです。
呪術と意識しての場合、呪術には類感呪術(形の似ているものは呪術的な繋がりがある、という考え方)と感染呪術があります。類感呪術のためには写真は完璧です。呪術を意識したらよくもまあこんな恐ろしいものを発明した、と言っていいでしょう。隠し撮りにはその意味もあります。相手の名前、誕生日(同時に星座等)、血液型等を知りたいのにも魔術的な意味があります。魔術では相手の名前を知ることが相手を支配できることでもありますから。誕生日や血液型を知りたいのも占いの役に立てるだけでなく、相手の霊的な事を知りたいというのが無意識的に含まれています。感染呪術には相手の接触したもの、相手の一部だったものが入手するべきものです。接触していたものにはそれこそ何でもありますが、相手により近い物がより強く効果があります(呪術の理論として)。近いには二通りあり、一つは相手の一部を含んでいるもの・・・衣服などの体と接触するもの等と相手にとって大事なものでもう一つは日常、できるなら体の一部のように使いこなしているものです。別れるときに大事で身近なものを贈ったりスポーツで友情の証としてユニフォーム、ラケット、ボール等を交換したりするのには深層的にその意味もあります。男女間ではシャープペンや消しゴム、ノート(の一部)等の筆記用具、タオルなど、(これらは貸し借りから)、装身具等です。相手の一部には頭髪、切った爪等があります。体液及びそれが染み込んでいるものは勿論それと同等かそれ以上の効力があります。これらは呪術に使われると共にお守り(きちんと言おうとすると色々な言葉があり、複雑過ぎるし用語の統一も取れない。お守りと言うのが一番曖昧な分当たっている)として携帯される(それ自体が変形の呪術)事もあります。
呪術を意識しない何かはそれこそ相手が触れたもの全てで筆記用具、スポーツ用品や楽器、机や椅子、衣類、装身具、本やマンガ、化粧品、雨具、CD、その他諸々。
こういうのは連想と想像力で品物に相手を感じ、ときめく過程が重要です。また賃貸や紛失から盗んだ誤解などトラブルの種です。
男子の場合、獣に描かれることが多いせいもあって性的、即物的な側面が強調されます。フェティシズム的なとらえ方が強いです。まあ現実に妄想レベルではないわけではないのですが。その対象になるのは性的な側面が特に強いものやこれはかなり幼く、大抵小学校ですが間接キスを狙ったリコーダーや食器等があります。まただらしなく描かれることが多いため、ハンカチを始め身の回りのものを借りることも多いです。
性的な側面の特に強いものは幼年少女誌範囲外と言っていいですが、オブラートに包んだ形で扱われることはよくあります。これについては同級生で普通にというのは少なく、むしろ年上の女性に対する憧れから入手しようとしてその妹に咎められ、嫉妬されるとかいじめの一環で入手するように強要されて誤解されるとかのパターンが境界の少し上位で見られますね。
女子の場合はよりロマンチックに描かれます。ときめき等の精神性、抽象性が重視され、性の存在や呪術的な側面は隠蔽されています。
距離や場所によってスキンシップに似た反応があることがあります。
その場合不可抗力が強いため顕在化前の場合には強い嫌悪感と恐怖感、顕在化後の場合には羞恥と緊張、喜びがあります。一般にどういう状況が問題になるかですが、告白のところでやったTPOの議論を思い出してください。あれでは密室性を中心に議論しましたが、それも無論重要です。また加えて単純な距離、周囲の人目など、気分、音楽や光の加減などで変化するムードも考えるべきです。肝心なのは二人きりという状況で、それによって関心の対象が相手に限定され、会話の有無に関わらず意識することになります。それが心の触れ合いとなり、結果的にスキンシップに近いことになっていくわけです。
単純な相合傘はどちらか(現実では男子、マンガでは女子)が傘を持っていないときに雨が降り、そこでもう一方の申し出もしくは友人の仲介によって傘を共有することです。密着に近いほど肩を寄せ合い、傘のスペースに横に並んで入るしかありません。無論顕在化していればどきどきものです。していない状況では片思いしている方がよっぽど強引にしない限り拒否することが多いでしょう。
片思い(と思い込んでいる両片思い状態)では拒否されることを見越し、羞恥心もあって大抵男子が自分の傘を一方的に貸し付け、そのまま走り去って風邪を引く、というパターンがよくあります。この場合貸された方は羞恥と感謝が複雑に混じり、戸惑います。僕もしたかったのですが一度も彼女に部活が無く、僕が傘を持ってきていて彼女は忘れる、ということはありませんでした。4年半も同じ学校、そのうち3年間はクラスメートでしたが。現実はそんなものです。だからこのパターンが好きなんでしょう。
両方とも傘が無い、そんな状況下では男子のほうが有利です。特に詰め襟学生服はある程度雨を防げるほどの分厚さを持っています。一方的にかぶせるのは傘を一方的に貸し付けるケースと同様です。
長くなりましたので続きは次回。何か質問は?御静聴深謝。
今回呪術についても簡単に述べましたが、「少女マンガのための魔術講座」をやる予定もそれだけの知識も今のところありません。いつかやりたいです。やはりデビューした方は行事として・・・又は移動教室などで専門家を招いての講義、あるんでしょうか。絶対あるべきです。呪術の基礎理論、神話学入門、精神分析学入門と象徴理論、図像学入門、魔術史、宗教学入門、重要宗教の魔術的な観点から見た教義学と神秘主義史、文化人類学的観点からの呪術、近代魔術の基礎理論及びそれにつながる重要魔術体系・・・西洋占星術、錬金術、カバラ(数秘術と生命の木及びタロゥ(タロット)等。カバラとタロゥの関連は黄金の夜明け系では中心だが、歴史的には議論がある)、悪魔学及び天使学、所謂低級魔術(魔女がやっていたと伝えられるもの。薬草の使用を中心とし、ケルトやドルイドに起源を持つ。妖精信仰等を含む)、ロマ人(ジプシー)、インド魔術、密教、陰陽五行思想、中国占星術、練丹術(中国錬金術)、神道、近代科学と魔術の歴史的な関係及び正統科学による魔術の評価、新魔術としての疑似科学、予言(預言)と終末思想、ファンタジーにおける戦闘用魔術、霊に関する一般的な俗説とその近代魔術理論、科学両方からの解釈位はやってないと。