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31

僕は何も知りません。

世界のアブラヤシ・ゴム・コーヒー・カカオ・サトウキビなどのプランテーションが、どこにどれだけあるのか。
どこのそれが、どれだけ悲惨なのか。

なぜ悲惨なのか。
どうすれば悲惨でなくなるのか。

現実に、実際に何がどうなのか何も知らないのです。

みんなが何を考えているのか、また「世界における思想の最先端」がどうなっているかも、何も知りません。
誰が何を考えているのかも知りません。
僕は護憲派や保守派の代弁をよくしますが、その一人一人が何を考えているか、どんな人か、ひとかけらも知りません。

僕は「人間が何を好むか」「人間はどんな動物か」知っているつもりですが、本当に知っているのでしょうか。
僕が知っている人間の所業も、ごく一部でしかありません。

30

南海トラフ地震で、最悪32万人死亡、だとか。

で、日本政府は何かする気はあるのでしょうか。
そして日本人そのものは。

どうしてこんなに無気力が当たり前になったのでしょう。
無力感が強いのでしょう。

震災対策なら、建物の耐震基準は大幅に上がっています。
東日本大震災でさえ、建物倒壊による被害は驚くほど小さいものでした。

しかし津波の前ではどうしようもない、自然に逆らってはならない…そんな感じがないでしょうか?
また、日本はもう貧乏なんだ、金がないんだ、と思っていないでしょうか?

29

我々に、別の歴史はありえたのでしょうか。

ドードーを絶滅させず、その他多くの環境破壊をせずに、環境の重要性を理解できた別の歴史は。
科学技術を捨て、虐殺をしないこと、絶対平和主義を選んだ歴史は。

どのようにしていれば、インカ・アステカ帝国とスペイン・ポルトガルが平和に共存できたのでしょう。
明がそのまま文明開化するシナリオはどうしてもなかったのでしょうか。

28

アフガニスタンやソマリアでは、「まともな政府がなく原理主義テロリストや武装勢力の天下」である状態が、当事者全員が一番得をするのでしょう。
少なくとも力のある当事者は。

要するにゲーム理論の均衡、坂道の途中の穴にはまった球。

近代化するより現状のほうがみんな心地いい。
そこで生まれる女子供は除いて、です。

それとも、何をどうやっても、アフガニスタンやソマリアは絶対にどうしようもないのでしょうか。

前に考えた、全ての多国籍企業や超金持ちたちが全力で改心して世界みんなを豊かにさせる努力をしても、無駄なのかどうかと同じですね。

27

運動とギャンブルを組み合わせたら、少なくとも公衆の健康にはいいでしょう。
単純に、現状のパチンコは禁じるか重税をかけます。
逆に、「運動が必要なパチンコ」はギャンブルとして公認し、しかも射幸性も高くしていいとします。

施設自体に、ロッカールームとシャワールームが必要になります。
そして、パチンコ台に、固定された自転車こぎや、ベルトの上をランニングする装置をつけます。
個人用の紙コップも渡され、それは台に戻せば塩水が補充されます。
止まっていると、玉が当たる確率はほぼゼロです。
運動を続けていれば、その運動の強度に比例して当たる確率が増します。

オリンピック入賞級の運動選手なら、期待値はプラス…長い目で見てその「運動パチンコ」を続けると得になります。
プレイヤー全体が、高い運動能力に報酬を払うわけです。
さらに、おそらく実際のパチンコでは言語道断でしょうが、「毎日続けてゆっくり二時間散歩している」ことに、確率制御で報酬を払ってもいいでしょう。

運動は続ければ楽しみがあり、それにギャンブルの楽しみが結びつけば、むしろ中毒性は増すでしょう。
ゲームの「努力が報われる喜び」も得ることができるのです。ちなみにそれは現実世界にないのでゲームが好まれます。ギャンブルでは、本当は努力は関係ないのですがあるという幻想を与えられています…パチンコのハンドルがそれです。

その形以外でも、壁に固定されたサンドバッグを殴ったり蹴ったり体当たりしたりして、その圧力を別のところにいる通信対戦相手と比べるのも、麻雀など対戦ギャンブルの楽しみになるでしょう。
前にゲームセンターとフィットネスジムの統合で散々検討したように、5kg単位の重さがある剣や弓などアクションゲームと組み合わせても楽しいでしょう。

プレイで勝てば金が出てくるアクションゲームは人の夢ですが、賭博は悪だという批判のためできません。
しかし、運動を組み合わせれば、賭博の悪と運動の善でプラマイゼロだからいい、とならないでしょうか?
何より、運動と連動されていれば、プレイできる時間に限界があります。それがギャンブルの弊害を減らすことにもなるでしょう。

運動がそれほど健康に有効で、健康が国家予算にそれほど重大なら、やる価値はあるはずです。

26

竹島はともかく、尖閣諸島の問題では、沖縄という要因が不思議と抜けています。

尖閣諸島は沖縄県に属しています。
では、沖縄での言葉の世界は、尖閣諸島は日本と中国、どちらの領土なのでしょう。
それ以前に僕は、沖縄での言葉の世界が、沖縄自体を日本・中国・アメリカのどの領土であるのが正当としているのかも知りませんが。または独立国か。

日本と中国が尖閣を巡って戦争になれば、沖縄にはまたあの悲劇が襲います。
そう思えば皮肉にも、沖縄に米軍基地があり、多数のアメリカ市民がいることが、中国が沖縄を空爆・核攻撃できない人質にもなっています。
それは在韓米軍も同じです。

ともかく沖縄は、絶対にあの悲劇は嫌だ、平和を選べ、中国に尖閣ぐらいくれてやってもいい、でしょうか。
少なくとも沖縄から九州まで全滅しても中国に日本寸土も渡すな、はないでしょう。
では中国が次に沖縄本体を求めたら?当然、中国は尖閣を得たら次は沖縄でしょう。
それでも、沖縄は平和のほうがいいのでしょうか。中国の人権水準を知っていても。

問題なのが、中国と日本が尖閣で戦争をして負けたら、少なくとも沖縄は中国に取られるでしょう。おそらくは九州も、できれば北海道以外日本全土…北海道はロシア。
沖縄の人はそのことをどの程度意識しているでしょうか。
日本本土に亡命する準備はできているのでしょうか?それともチベット人と同じ扱いを覚悟しているのでしょうか?中国領になっても自由でいられる、人民解放軍という名前の人たちがひどいことをするわけがない、と幻想に浸っているのでしょうか?

また、中国は戦争において、沖縄県民に協力を求めるでしょう。
それがどんな恐ろしい結果につながるでしょう。
ビラが撒かれているだけでも、沖縄県民は軍を疑い、在日米軍や日本自衛隊は沖縄県民を疑うでしょう。
中国軍が沖縄県民を装って米軍基地に自爆テロをしたら、日米の、軍も政府も沖縄県民を信用できなくなり、テロリストとして扱うしかなくなります。
そうなればしたくなくても、圧政・虐殺になります。

何がリアルかは教育によるのでしょうね。
沖縄の人には戦争の悲惨、「軍隊は国民を守らない」が。
韓国の人には日帝の暴虐と従軍慰安婦が。
中国の人には南京大虐殺が。
イスラム教原理主義者にはムハンマドや初期カリフの無欲大帝国が。
日本の左派には、原爆の悲惨・沖縄や中国での日本軍・ベトナムにおける米軍・パレスチナにおけるイスラエルの暴虐が。
それぞれ絶対の、「リアル」であるように。

日本の左派の現実逃避。
右派の、沖縄に対する鈍感さ…どんな犠牲を払わせるかも意識しない、鶏肉を食うよりも。沖縄県民が同胞で人間だとはかけらも思っていない、犠牲になるのが当たり前の捨て石で、基本的には敵だと思っている。
沖縄の、どうしようもない現実。
中国や韓国の建国神話。
アメリカの、人命コストのインフレと中国貿易。
何より、尖閣諸島・沖縄の、地球儀における位置と面積。

盤面を見通せば、日本は、そして沖縄は徹底的に詰んでいるのです。
だから戦うな、平和主義だ、という九条主義者の主張も部分的に分かりますよ。
ただしその路線でも平和にはつながらない、とは確信できますが。
日本など、もちろん韓国も沖縄も、中国とアメリカの覇権争いの駒でしかないのですから。

実際には沖縄県民は、日本の首相や衆議院の、そして韓国大統領の言葉遊びを、どう思っているのでしょう。
そして本土人も、決して対岸の火事ではないということを意識しているでしょうか。
戦争は栄光物語ではなく、糞尿や死体からの腐液が混じる塹壕の泥沼こそが現実だ、と。

25

野田首相の、韓国や中国に対する言葉は、文面だけ見れば「右派にとって満足できそうな」ものです。

それでも、日本の右派にとっては「民主党首相の口から出た言葉という時点で評価できない」

何を言うかより誰が言うかのほうが重要なのでしょう。

これは着地点がない問題になってしまいましたね。
韓国や中国の最終目的は、天皇の土下座と、日本国内の言論・出版・表現・思想信条の自由を剥奪することですから。
竹島や尖閣諸島という言葉をあらゆる本から消し、誰一人「妄言」を言わないように人の心の内部まで変えろ、というのですから。

何が事実かを、政治で決めろというのです…向こうでは、それが当たり前なのでしょうね。

最悪の事態を考えましょう。
領土問題に対する日本側主張の完全放棄・国内の思想や教育や言論の統制・天皇および国民全員の、徹底した謝罪を要求する最後通牒が、中国・韓国・北朝鮮・ロシア連名で。
同時に福島原発近くの避難地域への、小規模核ミサイルの威嚇射撃。
そこでアメリカが日本を助けないこと、在日米軍の引き揚げを決定。
国連も当然安保理が中国とロシアの拒否権で機能せず、また歴史認識・領土について中韓の主張に追随。
日本は、核攻撃どころか海上封鎖にすら耐えられないのが現実です。そして本当の、血でつながる味方が世界のどこにもいないことも。

24

環境によっては意外なものが有力な建材となるでしょう。

寒いところでは氷が有力な建材です。
南極の氷に、大型輸送機が平気で発着できます。
コンクリートに匹敵する強度を持つ建材なのです。

そして、砂漠の塩湖では、塩の家というのもあります。

さらに将来、海に近い砂漠で太陽熱・風力発電や、さらに将来は宇宙太陽光発電のエネルギーで大規模な海水淡水化をし、それで農業をするとします。その時に大量の塩が余ります。
その塩を海に捨てれば環境破壊ですが、建材にはできないのでしょうか。
砂を混ぜればかさも増し、コンクリートのように強度も増すでしょう。
雨が降ったらアウトに思えますが、日干し煉瓦同様表面だけ漆喰で覆えば、その心配はほぼなくなります。

他にも、意外なものが建材になるかもしれません。

熱帯多雨地域では、「絞め殺しの木」を使って、生きた家を作れるでしょう。

イチジクの一種で、鳥に食べられ糞として木の上のほうで芽を出し、そのまま根を下に伸ばして地面に達して成長をはじめる…有利な地点から開始することで日光を争う競争に勝つのです。
結果、無数の木質の地上根が木や、時には遺跡も覆い、台となった木は枯れ朽ちて大きな空洞を残すこともあります。
それで「絞め殺しの木」と言われるのです。

その最初の台を木の板で作ってやり、伸びる根を制御すればいいのです。出入り口や窓以外はきっちり覆うように。
それで、生きた家の出来上がりです。

なぜ人はそうしていないのでしょう。

他にも、我々が気がついてもいない建材の可能性が、この地球だけでも多くあるのでしょう。

23

増税しても恐慌、増税しなくても財政破綻。
なら、「餓死させない」「自殺せず倒産できる」それだけ徹底する、という選択肢がなぜ出てこないのでしょう。

どちらを選んでも悲惨な結果になるかもしれない、なら最悪の結果だけを見て予防しておく…面舵でも取舵でも船は沈むかもしれない、だから救命ボートは整備しておく。
僕の典型的な論法です。

現実には統計的に多くが落ちているのに「まとも」の基準が下がらないのも、結局この社会は、弱者を殺して強者だけの社会にすることを選んでいるからでしょうか。

でも、それを選んだのは誰でしょう?

22

二十年後、我々は何を考えているのでしょう。
どんな哲学思想があるのでしょう。

文字はあるのでしょうか、それとも脳直結でしょうか。

それとも、文明崩壊の破局でしょうか。

21

新しい時代。

公務員から先に給料を引き下げ、正社員の給料を非正規社員に合わせて引き下げる。
財政に合わせて公務員の給料も下げる。
ほとんどみんな給料を下げる。
社会保障も下げる。
大半はとことん貧しくする。

今の日本人の大半は、ふさわしい生活よりずっと上の贅沢をしているから、正しい水準まで下げるべき。
ごくわずかな「能力・努力にふさわしい報酬を受け取る」極めて優秀な貴族と、同じく「能力・努力にふさわしい報酬を受け取る」徹底的に貧しい生活をする奴隷状態の労働者。
世界でもっとも貧しい人たちにそろえられる……ポトシ銀山やアウシュビッツが標準。
一日20時間365日、一握りのデントコーンだけ、短期間での死。
日本で、正社員およびその家族でない者、「保守的に正しい品格がない」とされる者は黄色い星のついた、再生紙を加工した決められた衣類を着て、デントコーンを食べ、45歳になれば安楽死処分とされる。
それまでの生活も刑務所に準じ、徹底的に規律を守らされる。
技術によっては、思考は必要ないのだから犬や馬のように絶対忠実に作りかえる。

敗者、または道徳的に正しい人格を持たない者は…貧困層もホリエモンの類も…罪人であり、ふさわしく罰し、奴隷労働させ、殺す。
そして死後は地獄に堕ちるとされる。

そして「伝統を受け継ぐ」エリート、「正規国民」たち。
彼らにとって貧困層は、今の日本人にとってのアフリカ難民同様、遠い世界の人間ではない存在、殺処分される野良犬猫ほどの同情にも値しないゴミでしかない。
子供たちは戸塚ヨットスクールのように厳しく体罰でしつけられ、教育勅語の精神を叩き込まれ、英語で勉強して国際社会で通用する。

支配的な思想は新貴族主義。
貴族主義、といっても、歴史的な貴族主義にあるノブレス・オブリージュやパターナリズムの面は除かれ、
「人間は生来豊かで支配する側と、貧しく支配される側があり、それは同じ人間ではない」
「上下体制を転覆しようとするのはそれ自体悪である」
「支配する側は、される側をどう扱ってもよい」
「リベラルは呪わしい誤り」
「この地球は、貴族が広大な芝生の豪邸に暮らし、巨大SUVを乗り回し、シャンパンとコカインのパーティーを楽しむために神がお創りになった」

僕には、その北朝鮮じみた社会像しか、未来として想像できません。

20

今の人類の、子供全員に数学教育をして、軌道エレベーターのためのカーボンナノチューブや繊維の研究をさせれば、実現するでしょうか。
それとも、「政府は科学進歩には無力」が絶対なのでしょうか。

人類は70億人います。半分は子供です。
最高度の数学を理解できる潜在能力を持つ子供も1億人はいるでしょう。
その全員に数学を教えるための、余剰衣食住ぐらいあるでしょう。
人類全体で、優れた子を教育しても、生み出せるものは何もないのでしょうか。

70億人。その中で天才は何千万人もいるはず。
でも、軌道エレベーター一つ作れません。
サハラ砂漠を緑にすることも、太平洋をメガフロートで埋めることも、自己増殖性ナノマシンで水星を太陽電池に作り変えることもできていません。
それどころか貧しい人が今もたくさんいます。

物理法則そのものが、「人類にはここまでしか到達できない」と冷徹に言っているのでしょうか。

19

もし、サウジアラビアが崩壊すると分かったら、何の株を買い何を売るべきでしょうか。

石油が高くなるのは確かです。それで値上がりする産業は何でしょう。
株が下がる産業は?たとえば化学繊維やプラスチックは原料原価が上がり、相対的に天然繊維が儲かる可能性もありますが、その天然繊維も石油から作った窒素肥料や農薬、燃料を使うトラクターやポンプで栽培されているのです。
どこまで読めるでしょう?
金価格はどうなるでしょうか。世界不安で上昇するか、それとも亡命貴族が手放すので値崩れするか。
軍事産業の株が上がるのは当然ですが、日本で買えるでしょうか?

来年に東海・東南海大震災+富士山大噴火だとわかっていたら、買うべき株は?
そして、日本が財政破綻すると分かったら、資産は何にすべきでしょう。

株も土地も価値を失うのを、日本人は経験しています。
現金だけは価値を失いませんでしたが、それもいつまででしょう。
黄金は原理的に価値を失いません。しかし、太平洋戦争末期では、満州からの引き揚げでは銃で奪われました。
海外の銀行に、書類ではなく顔と指紋で預金すればいいでしょうか?
でもどこの国のどの銀行が確かでしょう。
人脈こそ財産?誰がいつ失脚するかもしれないのに?

1930年の日本の、まあ働かずに食える程度の金持ちなら、その資産を何にしておけばよかったと言えるでしょう…結果論だけなら全部持って中南米に逃げ、戦争が終わってから日本に帰ってトヨタに投資しろ、ですが、そこまで読める人間などいません。戦後すぐに、うっかり中国に投資して全部失うのが落ちでしょう。

失われないのは何でしょう。

18

「自分の頭で考えろ」と、「おまえの頭は無駄だ。考えるな従え」の、どちらが正しいのでしょう。

僕の感情も理性も全面的に間違っている、と仏教は述べます。
仏教は個人の意見は存在することが許されません。すべて誤りです。

正しいのは「法(ダルマ)」であり、「律」なのです。

いや、論語の「子曰く、学びて思わざれば則ち罔し(くらし)、思いて学ばざれば則ち殆し(あやうし)」、どちらにも偏らずバランスを、でしょうか。

僕がどんなに考えても、データも不足していますし頭脳も不足していますから、下手の考え休むに似たり、です。
さらに僕は他人をまったく説得できないので、何の意味もありません。
そしてどんな人も、さらに人間の集団も、五十歩百歩でしかありません。全知全能な人も人間集団もありません。
人類の行く末はひたすらパチンコ玉です。

それに身を任せるしかないのでしょう。

17

http://wired.jp/2012/08/13/renewable-energy-predictions-wrong/
http://agora-web.jp/archives/1479733.html
どちらが正しいのでしょう。

科学雑誌主導で、ファインマンがスペースシャトルチャレンジャー事故の検証で「Oリングを氷水につけて砕いた」ように、フーコーの振り子が地動説を証明したように、誰が見ても分かるように検証して欲しいです。

明白なこと。

「今できること」で原発と二酸化炭素の両方を減らせる最善のことは、現在ある発電所をコジェネに改良し、また現在計画されている発電所を、もっとも技術的に進んだ、できれば天然ガスコジェネの火力発電所にすること。
それが一番賢明な資金の使い方です。

そして、バカな破壊が起きないように、第三者の目で徹底的に原発をチェックすることも必要です。

何より、エネルギーの議論をしている人たちが、あまりにもいろいろなことを無視しているのです。
天然ガスコジェネの効率の高さ、シェールガス革命。
クリーンコールテクノロジー。
さまざまな、新しい核分裂発電技術の進歩。
加速器や核融合炉の中性子線による核廃棄物処理の可能性。
再生可能エネルギー技術の進歩。
デザーテックや宇宙太陽光など、将来の技術の可能性。
自分に都合のいい技術以外、新しい技術を無視する傾向がとても強いのです。

僕はどちらも怪しいと思います。
どちらも、「自論に都合のいい技術は発達し、都合の悪い技術は発達しない」としているのです。

16

コミックマーケットの最中に大震災が発生したら。
背筋が寒くなりますね、六十万人が津波に飲まれるかもしれないのです。

それも日本のクリエイターほぼ全員が。
大半はアマチュアですが、プロも少なくありません。

まあ、古い小説を書いている人たちの大半は無事かもしれません。
そして、日本の文化として、どちらのほうが重要なのでしょう。
コミケ会場にいる側と、いないで旧来型の活字社会に生き続けている側の。
芥川賞と関係する側と。

コミケの文化には価値はない、あれは文化ではない…そういう人たちが活字社会を作っています。
活字の世界というのは、ごく狭い一つの世界でしかありません。

15

戦後、という時代が終わったともされます。東日本大震災で、災後、とも。
新時代の精神、哲学は何でしょう。

報酬のない道徳・愛国心・遵法・勤勉・服従。安定した身分制度。新時代に必要になるのはそれです。
戦後、高度成長期には、法を守り勤勉に働けば、経済成長の果実として中流生活ができました。それが報酬でした。
しかし新しい時代には、それが不可能になります。

技術の発展とグローバル化により、ごくわずかなエリート以外は、市場価値として世界最貧層と同じ、極限まで低い給料にしか値しないのです。
そして、どうやら新しく切り開けるフロンティアもないようです。
それが、新時代の前提です。

その新時代に合わせて、「フリーター同士が結婚せず同棲して子供を作り、共働きで保育所で育てる社会」「ベーシックインカムで不要な人は趣味で生きられる社会」は、日本の政治状況から見て絶対に不可能です。
日本を支配していくのは、これからも保守と、非現実的な思考停止にすがり続け新しい左派の出現を阻む護憲派でしょう。
そして現実に力があるのは保守です。
社会の治安や家族・道徳という「言葉」を捨て去ることができない、保守にこだわる支配層は、「上がっていく給料」という見返りなしに、減っていく給料で勤勉に働き、より厳しく理不尽になる法・道徳を守り、国の命令に無条件に服従することを求めます。
そして家族が再生産されるのは、ちゃんと結婚できる「まともな正社員」だけでいい、非正規社員層は人間ではない、と思っているようです。
「自由な個人が平等に豊かに」なる戦後はとっくに終わり、「激しい格差があり大半はどんどん貧しくなり、誰もが厳しい道徳に従う」のが新時代でしょう。

その基盤は、道徳と愛国心だけです。
アメリカではキリスト教原理主義と建国神話。
日本では、法律そのものと空気だけでしょうか。そして圧倒的な暴力と恐怖、憎悪。警察権力の拡大。

おそらく魔女裁判に近い叩く相手を与え続けることで、いじめの喜びを報酬とするでしょう。
理不尽な見せしめの暴力で服従させるでしょう…法のように「条理」があるより、ないほうが動物としての人間にはより有効です。
いや、それどころか、姥捨て山やエスキモーの老人遺棄を「美しい」とし、労働力として無価値になった者は自殺しろ、というのを規範にする、という解決をとるでしょう。もちろん、それに従わない「悪人」は魔女だからみんなで拷問を楽しんで殺していい、と。

戦争によりまとめるのもよく言われますが、今は戦争が儲かりません。
アメリカは長いこと戦争をしていますが、景気は悪いし財政は苦しいままです。

どこまでそれが通用するでしょうか。
そんな世界は崩壊しろと思う反面、人類が人類を飼育する技術がどれほど高まったのかお手並み拝見、という気分でもあります。

檻の中から研究者を観察するモルモット、それが今の僕です。
脱出不能、生殺与奪を握られていることはわかっています。
分析結果を伝えようとしても、モルモット仲間にも研究者にも伝わらないこともわかっています。
できるのは、見て分析することだけです。
解剖のメスが腹に食いこむか、致死毒注射の針が刺さるか、その時まで。

14

僕は「批評家」ではありません。「ARISA(安藤なつみ)」をまったく批評できないのです。

批評できる人がいれば、違ったかもしれません。
とてつもなく偉大な作品であることは確かです。

「なかよし」という、二十年来「批評されることのない雑誌」に掲載されたのが間違いなのでしょう。

僕が批評家であれば、この大作を世に出すこともできたのかもしれませんが…

13

オリンピックで大規模テロがなかったのは、9.11以降の「狂気じみた」セキュリティーがそれなりに有効だったからでしょうか。

いや、ニューヨーク核テロも、毒ガステロも起きていないのは、アメリカの対テロ戦略がそれなりに正しかった、といっていいのでしょうか。

我々はテロについて何を知っているでしょう。

12

性悪説だから韓非子、というのはおかしいです。

韓非子が想定している、信賞必罰で治まる人というのは、事実上近代経済が想定する合理的な人です。
見られており、罰を受けるリスクがあれば罪を犯さず、見られておらずリスクがなければ罪を犯さない、という。

特に邪悪な、反社会性人格障害者は、罰が通用しないとされます。
衝動的な殺人も罰とは無関係です。

また名誉の殺人など、その罪を犯さないことで共同体から刑罰以上の罰を受ける場合も、罰は通用しません。

今の罪罰システムは、果たして正しいのでしょうか?
人はそれを疑うようには、できていません。

罰が通用しない反社会性人格障害者に、できることはなにでしょう?
人間の精神医学の知識と能力は、あまりにも乏しいのです。特に人格障害と異常性愛については。

11

日干し煉瓦は雨が降ったら弱いだろ、と思えますが、表面を漆喰で固めればそれは克服できますよね。
それだけで、充分な建材と言っていいのでしょう。

地震に弱いのが欠点かもしれませんが。

漆喰、日干し煉瓦、焼き煉瓦、アスファルト…古代ローマコンクリート…フェルト、獣糞…版築、三和土…どれほど我々は歴史的な、いや今このときも使われているあらゆる建築素材について、無知なのでしょう。

10

レスリングでこれほど多くの金メダルがあって、それが今の日本での競技人口をどう変えているでしょう。

昔はオリンピックでの活躍は、競技人口を大きく増やす力がありました。

漫画もそうですね。今漫画に、その力はあるのでしょうか。

レスリングは西洋格闘技の、重要な根幹です。
プロレスとの関係ももちろん深いです。
結構重要なんですが。

9

富裕税が議論の焦点になっていますが、単に「(自国でも外国でも国債の類じゃなく、生産的に)投資しろ。さもなきゃ税金」でいいのでは?

問題は、その投資先が今のこの世界には本質的にない、ということです。
洋上風力発電や極超音速スカイフック、デザーテック、メガフロート、平和の運河などが不可能ならば、ですが、どうやら不可能なのが事実であるようです。

「今、波力発電は発電の半分じゃない。それが、波力発電は本質的に使い物にならないことの証拠だ」の論が正しいなら、ですが。

8

今アメリカ・イギリス・フランス・ドイツが、とことん本気でこの地球からすべての悪を消し去る、と決意したらどれだけのことがやれるでしょう。

本気で、現地の半盗賊政府全部ふっ飛ばしてでも全員に食料と教育を供給する。
本気で、虐殺・強姦・拷問をしている人間はアメリカの手先だろうと容赦なく狙撃する。
本気で、人口密度が多すぎる地域では余剰な人間を、砂漠沿岸の人工都市に首に縄つけて引きずっていく。何十億人でも。

それをやったら世界はどうなるのでしょう。
焼け石に水でしょうか。

人類の、権力を持つ人すべてが、本気になっても無力なのでしょうか。

ビル・アンド・メリンダ財団は無力なのでしょうか。
その莫大な金は、どの程度世界を救っているのでしょう。
それとも骨の髄が腐っている以上、無駄でしょうか。

人間は「魔王を倒せば世界は平和になる」逆に「魔王を倒さなければ平和はない」と思います。
魔王を否定すると、底なしの無力とニヒリズムに陥ってしまいます。

オバマ、日本の政権交代、中東の連鎖革命…大きい期待が幻滅になり、無力感が世界を覆っているようです。
その行き先がどこになるか…

7

火星探査機キュリオシティが、一応着陸に成功したそうです。

地球に最も近いはずの火星の探査がこれほど困難を極め、金星・水星、木星や小惑星にすら、これほど探査の成功例が少ない…
どれほど宇宙が遠く、旅が困難だか改めて思い知らされます。

しかし困難なミッションに、ひとまず失敗したという報道がないだけでも、その間に進歩はしているのでしょう。

ここで一つの疑問…宇宙開発は進歩しているのかいないのか。
進歩が遅いのだとしたら、それは投資していない、皆が関心を持たないからなのか、それともどんなに金を賭けても進歩しない分野だからなのか。
後者だとしたら絶望的ですが、資金不足の話はどこででも聞きます。
平和の配当とやらはどこにいったのでしょうね。9.11テロがなかったら、その後の対テロ戦争の分がそっちに回っていたでしょうか。

何より楽しみなミッションは火星の生命です。
これは、少なくとも細菌程度なら、いないほうがおかしいと言っていいでしょう。
そして、火星での生命発見は、人類の歴史全体でも史上最大級の発見です。間違いなく。

6

原爆と原発は、別物でしょうか。
それとも一体でしょうか。

実際問題として、原発大国かつ核保有国である、アメリカ・ロシア・フランス・中国では、核兵器用のウラン同位体やプルトニウムの生産に、国内の電力用原発はどの程度貢献しているのでしょう。

もし核兵器の生産にとって、原発がそれほど重要ではないのなら、原発と原爆の関係はきわめて観念的なものとなります。
「人を大事にしない国」「いのちではなく核」というような。
要するに、きわめて感情的・魔術的思考です。

しかし、人間は理性的な存在ではなく、感情的な動物です。「信じる」「従う」などは魔術の回路でしか動きません。
それを前提にものを考えなければならないでしょう。

5

国連安保理が、拒否権ではなく「入札」だったら機能していたでしょうか。

あくまでこうしたい、と主張する国が、金を積み上げる。
最も多くの金を積み上げた国の主張が通り、それまで各国が積み上げていた金すべてが、その行動の費用にあてられる。
それだけです。

そうそう、歴史の if で、「国連が機能していた戦後史」はどのようだったのでしょう。
安保理の常任理事国拒否権なんて無茶がなくて。

イスラエルはパレスチナへの入植を失敗し、アメリカやマダガスカルにでも行っていたでしょうか?
ベトナムは平和裏に共産化されていたでしょうか。

4

僕が何を知らないのか…

なぜ、浮体洋上風力発電・砂漠の太陽熱発電所・トリウム溶融塩原子炉を、とんでもない数作ることができないのでしょう。

なぜ、波力発電とか海洋温度差発電とかは、「できない」ということになっているのでしょう。
試したけどだめだった、証明終わり。ホメオパシー同様科学的実証済み。で済ませていいのでしょうか。

なぜ、メガフロートをたくさん作ってそこに、イスラエルとかで厄介な人を移住させられないのでしょう。

3

ファンタジーの定番である、「全身金属鎧・長剣・盾」要するに西洋騎士装備は合理的でしょうか。

極端なのがドラゴンクエスト1〜3のロト装備。
全身を覆う金属鎧、腕通しのあるきわめて小さい盾、角のついた兜、そして長い剣。
角兜はむしろバイキング時代を思わせますが、小さいアイロン型の盾は、板金鎧が発達した西洋中世後期の騎士の装備です。
またパッケージでよく見られる、布服に小さい盾と剣は逆に危険です。小さい盾は、足も含め板金鎧でがっちり守っていることが前提のはずです。
腕通しのある盾は、確かに安定はしますが、手放すのに時間がかかるため威力の高い両手武器を使えません。

ロードス島戦記の、パーンの装備は、魔法の装備は同様の騎士装備になりました。
ですが初期、父親の形見の装備は、プレートメイル(部分板金鎧)、片手半剣、そして大型の円盾、馬なしの徒歩です。
せめて合理的にしようとしたのでしょう。全身板金鎧で歩いて長旅するのは不可能ですから。
また強力な両手打撃と、片手剣術を兼ねるため片手半剣。といってもアニメではほとんど両手剣として使ってましたが。
できるだけ多様な状況に対応できるように設定されています。

またドラゴンクエストは極端に飛び道具の地位が低いです。魔法があるからかもしれません。よく見ると幽霊船などには大砲もあるのに。
ロードス島戦記は一応弓矢はあるのですが、それがあまり意味がないです。

グイン・サーガは国によってかなり違いますね。
馬も含め超重装甲突進のクム、軽装レイピアで弱さに定評のあるパロ、中庸で基本騎馬突撃のモンゴールやクム、軽装蛮刀人馬一体の草原。

では現実にある素材で、少人数でドラゴンからゴブリンの群れまで、多様な状況に対抗できる装備は?
騎馬と徒歩で全く違います。徒歩であっても、本来長距離の旅には、よほど環境がいいか宿が整備されていなければ役畜が必須です。
魔法の有無でも違いますが、無しとしますか。

徒歩なら、とにかく装備の軽さと攻撃力でしょうね。逃げ足のほうが肝心になります。
弓矢・手で持つだけの体の半分程度を覆う盾・短めの剣か斧、鎧は皮鎧が限度でしょう。

騎馬で替え馬か従卒がいれば、板金鎧もあるでしょう。
でも全身板金鎧はやはり重いのである程度簡略、馬は皮か布で守れば、水を含ませればある程度ドラゴンの炎にも耐えられるかも。

盾はやや大きめ、合成短弓があれば最上。ランスは大きすぎるので普通の長めの槍でしょう。
というか、地形にもよりますが、軽装騎射の遊牧民方式のほうが強いのでは。

ロトの装備は、相当低密度の魔法金属が前提、または(歴史的には銃器が発達した時代の!)重装騎兵のためのもので、普通の冒険者が鋼で模倣するのは無謀なのでは。

あと、西洋騎士装備には、槍と剣だけでなくハルバードやメイスなど多様な武器も従卒に持たせ使い分けるという特徴もありましたが、そちらは無視されていますね。

2

緊縮財政をやったらどうなるか、しっかり結果を見るべきでは。
試行錯誤が最善のはずです。

改革もそうであるべきです。増税も。
「景気が回復しないのは改革が不徹底だから」は、「雨が降らないのは祈りが足りないから」と同じです。
人間はそれが好きですが、現実にいい結果は産みません……戦場では違うと信じられていても。

「現実は複雑だから、改革路線でうまくいかなかったから改革をやめるのは間違ってる」もあるでしょうが、現実が複雑なら改革をしてもしなくてもよくなるかもしれませんし悪くなるかもしれません。
結果を確実にコントロールできないのなら、先に極貧層を捨てるかどうかを決め、捨てないのなら確実に助ける、それだけ明確にすべきです。

決断ではなく、なし崩しで極貧層を捨てるのは最悪では?

1

まずいくつか、前提を。

最初のこの前提は、不思議と誰も賛成しません。
「人類は、地球型生命の情報と、人類の文化文明の松明を、次代に受け渡す使命がある。人類・文明の存続が最高の価値」

以下の前提は科学的に真実ばかりです。間違っているとは誰も言わないと思います。

「将来なにが起きるかはわからない。温暖化対策を頑張っても暴走温暖化になる可能性はある」
「今の、そして今後数十年ぐらいでは、有人恒星間航行は不可能」
「ボイジャー・パイオニアの打ち上げは、何十年も前の技術で可能であり、今の技術で可能」
「タンポポやマンボウなどあらゆる生物は、たくさんの種や卵をばらまき、どれか一つでもいい場所に着き、大人になり、繁殖してくれれば種を保つことができる、という生存戦略をしている。遺伝情報を多数コピーし、広く拡散することによって保つ、という機能を果たしていると言える」
「今の我々は、多くの生物の受精卵や、高密度デジタル情報を、比較的小さいカプセルに詰めることができる。またさまざまな文章情報・DNAデジタル情報・音楽・画像デジタル情報を、宇宙のどこにでも電波で発信できる」
「すべての船は救命ボートを積む義務がある。飛行機はフライトレコーダーなどのブラックボックスを積む義務がある。それは船がよくできていても、船のメンテナンスに努力していても変わりない」
「宇宙船地球号には、現状では救命ボートも、沈没位置送信ブイも、フライトレコーダーも何もない。せいぜいボイジャーとパイオニアの金属板と、だだ漏れのテレビ・ラジオ放送ぐらい」

最初の前提とした、松明を受け渡すという目的のために、現状では地球号の人数分の救命ボートは不可能ですから、せめて沈没位置送信ブイを、名簿を詰めたボトルレターを、というのが僕の中心的な主張です。

それは、「遺伝情報を多数コピーし、拡散することによって保つ」という生物そのものの生存戦略と同様です。

生物に他ならない人類が、生物が一般にすることをしない理由には、何があるでしょうか。

「遺伝情報を未来に受け渡すことなどよりも、デリダのテキスト解釈のほうが大切だ」

「弁証法的唯物論によって確定された歴史の最終形態である完全共産主義には、原理的に失敗がない。環境破壊は資本主義の必然的な愚行にすぎない。滅亡を前提にせよという意見は、共産主義に対する反逆である」

「技術に頼ろう、宇宙に出よう、とするのは西洋優越主義・科学至上主義であり、より広く進出しようという主張の根幹が男性中心主義的・植民地主義的・帝国主義的な罪悪である。科学を脱構築し女性の心、自然に帰り、科学技術を放棄して無為自然・小国寡民という正しい道を歩むべきだ」

「人類が生存しようとあがくのは傲慢だ。今夜にでも最後の審判によりこの宇宙そのものが消え失せ、義人は霊の身体を受けて天国に復活するのだから」

「プランBを実行し、リサイクルと植林を正しく行えば、人類文明は無限に持続可能となる。それ以外のことは考えてはならない」

「財政再建・小さい政府はすべてに優先する。政府の科学政策はすべて経済の足を引っぱる無駄である。市場に任せればすべてはうまくいく、温暖化だの放射能の害だの地球の資源枯渇だの、どれもアカの嘘だ。我が国のこと以外は考えてはならない、宇宙船地球号などとぬかすなら地球市民のパスポートを出してみよ」

という人を説得することは、僕には不可能です。最初の前提、人間全体の目的が徹底的に違うのですから。

地球型の生命、そして人類が創りだした数々の芸術や文化を、ずっと残したいならまずやることは、「救命ボート」「フライトレコーダー」「ボトルメール」そして「タンポポが種を飛ばす」比喩です。
『新スタートレック』の『超時空惑星カターン』同様に、滅びは避けられないものとみなして、情報を打ち上げておくべきです。
今できる、ボイジャー程度の恒星間カプセルに、できるだけの生物受精卵・デジタル情報、そして長旅を考えて情報量は少なくとも単純で壊れにくい情報を詰めて、宇宙じゅう至る所に、大量にばらまくことです。
向こうに生命がいない、また生命に適した星がなくても、「地球の極限環境微生物なら生きられる」惑星や衛星を捜し、そこに微生物を多種多様に詰めたカプセルを放り込む自動機器は可能なはずです。

成功率が低いのはわかっています。
タンポポはたくさん種を飛ばすことで、その成功率の低さを補っています……人類も、それをたくさん飛ばすことで、大量のボトルメールを放ることで、成功率の低さを補えばいいのです。

また、地球の文明は崩壊しても人類は少数生き延びる、という事態もありえるので、そのために様々な作物の種や主要な本を、あちこちに埋めたり世界中ランダムに配ったりしておくべきです。

ここまでは、最悪の事態を前提にした思想です。
ですが、最悪の事態が起きず、人権水準を保ってこの文明を持続させるためにも、宇宙進出は必要です。

同様に前提を並べましょう。科学的に正しいか確定できないことには*をつけます。

「地表の、人類に手が届く資源は有限」
「現在の人類文明は多種多様な、元素として異なる資源を大量に消費し、そのどれか一つでも尽きれば破局する」
「資源の完全なリサイクルは、熱力学第二法則により不可能」
「太陽が核融合で水素を消費しヘリウム核融合になることで、太陽はより熱くなる。また地球内部に水が吸収される。それらにより、どんなに長くても四十億、おそらく十億年もたたないうちに地球は海を失い灼熱に焼け、多細胞生物は全滅する」
「*枯渇性資源を使わない、完全な持続可能文明にすると、科学技術水準が大幅に落ち、現在の世界人口すら食わせられない」
「地球の深地下や深海底に手を届かせるのは大変だが、小惑星や彗星の核には重金属元素を含め、多様な資源が含まれており、地球軌道まで持ってくれば容易に採掘できる」
「はやぶさの技術を応用すれば、小惑星を地球に持ってくることは現在の技術で可能」
「*静止軌道エレベーターは今の技術では不可能だが、極超音速スカイフックは現存するケブラー繊維で可能」
「*使い捨て化学ロケットは効率が悪いが、ほかの技術も研究されている」
「海は陸より広く、海にも雨は降り、海水は淡水より圧倒的に多く、外洋の大半は肥料分不足でほとんど光合成をしていない。そして肥料さえあれば海水で育つ塩生植物や海藻は多種多様にある」

それらの前提から、この文明を続けるためにすることははっきりします。
宇宙に積極的に進出して無尽蔵の資源とエネルギーを得、また地球が滅んでも生き延びて地球を再開拓できる規模のコロニーを作っておくべきです。
海で、海水で農耕をすべきです。砂漠を掘り下げて海水を引く。肥料不足の外洋に海藻筏を造って肥料を撒く。富栄養化した海域に海藻筏を造る。雨の多い海域やアマゾン沖などにメガフロート農場を築く、など。

「宇宙船地球号の、舵をどうするにせよ救命ボートを点検せよ。今は無理だからボトルメールをカターン星人のように、タンポポが種を飛ばすように。地球生命代表として松明を受け継ぐために」
「この文明を長期間続ける」
のどちらのためにも宇宙進出は必須、というわけです。

でも、誰もが、この文章を読むこと自体拒絶するでしょう。
最初の一文字から、激しい本能的な嫌悪感を感じ、叩きつけたくなるだけでしょう。

単純に……この考えの全体が、ホモ・サピエンス向きではないのです。
イカ型宇宙人用の光線銃は人類の手では使いにくいのと同じように。
ホモ・サピエンスの進化で設計された脳には、キリスト教原理主義・イスラム教原理主義・共産主義・ポストコロニアル思想・ディープエコロジー・新保守主義……そんなものが向いているのです。

そして、どの群れにも属していない僕の言葉は、それ自体が敵意に満ちた攻撃でしかないのです。